上皮内新生物とは?がんとの違いや保険加入前に知っておくべきこと
実はひとくちに「がん」といっても、悪性新生物と上皮内新生物の2種類があります。
上皮内新生物とは、その名の通り、遺伝子に傷がついた異常な細胞のうち、身体の表面を覆う上皮内にとどまっている状態のもののことです。
身体の内側に無い分、手術による切除も比較的容易で、早い段階であれば内部への転移のリスクも極めて小さく済みます。
しかし、がん保険の契約時に気を付けたいのは「上皮内新生物では保障が薄いことがある」という点です。
今回は悪性新生物と上皮内新生物の違いと、がん保険契約時の注意点を解説します。
この記事の要点
- 1.上皮内新生物は腫瘍細胞が粘膜の上部層である上皮内にとどまっており、その下の基底膜(大腸の場合は粘膜金筋板)を破って浸潤していない状態をいいます。初期の状態のがんであり、早いうちに完全に取り除くことで転移や再発の心配がなくなります。
- 2.上皮内新生物の保障は薄くなっているのが一般的ですが、なかには乳がんのように「乳房再建術」の必要性によって悪性新生物と同等の費用がかかるときもあります。
- 3.特に女性特有のがんは上皮内新生物の状態で発見されることが多い傾向にあるのも特徴であることから、女性は上皮内新生物でも悪性新生物と同等の保障を受けられるタイプのがん保険が望ましいでしょう。
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目次
上皮内新生物とは?
人間の粘膜の表面部分は「上皮」であり、その下には基底膜、さらにその下は間質と続いています。
上皮内に留まっていたがんが悪性化して基底膜を破り、間質内にまで浸潤した状態が一般的ながん(悪性新生物)と呼ばれる状態です。
具体的には以下のような病気が、がんの中でも上皮内新生物と呼ばれます。
ポイント
- 乳腺の非浸潤性乳管がん
- 大腸の粘膜内がん
- 子宮頚部の上皮内がん
これらの上皮内新生物は悪性新生物と比較して、適切に治療を受ければ転移や再発の可能性は低いといわれています。
注意点
ただし、上皮内新生物に分類されていても、そのまま放置して症状が進行すると悪性新生物になる可能性が高くなります。
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上皮内新生物と悪性新生物(がん)の違い
悪性新生物も上皮内新生物も「がん」であることは変わりませんが、上皮内新生物は放置すると進行して悪性新生物になる可能性があります。
ただし、両者には違いも少なくありません。上皮内新生物と悪性新生物の違いを一覧にまとめました。
悪性新生物 | 上皮内新生物 | |
浸潤 | 基底膜を破って間質まで浸潤している | 上皮で留まって浸潤していない |
転移 | 転移している可能性がある部位まで切除する必要性がある | 転移の可能性はほとんどない |
再発 | 小さな悪性新生物が残ると再発の可能性がある | 再発の可能性はない |
転移の有無
悪性新生物がリンパ管に入る「リンパ節転移」、血管に入り込んでしまって血液に流されて全身に運ばれると全身の至るところに転移する「遠隔転移」になってしまいます。
ポイント
- 上皮内新生物の場合は血管やリンパ管がある部分まで浸潤していないため、転移する可能性はほとんどありません。
- 粘膜の表面を浅く削る外科手術で治療が可能です。
一方の悪性新生物は血管やリンパ管があるところまで浸潤しているため、転移の可能性があります。
転移の可能性がある部位まで含めて取り切る必要があり、手術が大がかりなものになりがちです。
再発の可能性
悪性新生物は再発の可能性があるのが上皮内新生物との違いです。
注意点
- 治療が上手くいったように思えても手術や放射線などの治療で取り切れなかった小さな悪性新生物が大きくなったり、別の場所に移動したりすることで再発する可能性があります。
- 薬物治療や抗がん剤治療でも同様で、治療によっていったんは縮小していたがんが再び大きくなって別の場所に現れることがあります。
上皮内新生物は初回の治療で完璧に取り除かれていれば再発の心配は限りなく低くなります。
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上皮内新生物と悪性新生物の診断割合
国立がん研究センター「全国がん罹患モニタリング集計2015年罹患数・率報告」のデータによれば、がんの中で上皮内新生物(上皮内がん)と診断された人の割合(単位%)は以下のとおりです。
部位 | 集計対象数 | 上皮内がん | 限局 | 所属リンパ節転移 | 隣接臓器浸潤 | 遠隔転移 | 不明 |
全部位 | 941,419 | 10.1 | 40.6 | 8.3 | 12.0 | 16.2 | 11.0 |
食道 | 24,400 | 9.3 | 32.8 | 8.4 | 24.3 | 15.1 | 10.2 |
大腸(結腸・直腸) | 169,843 | 22.4 | 33.7 | 13.1 | 8.8 | 14.1 | 7.8 |
結腸 | 114,170 | 24.3 | 32.7 | 12.0 | 9.3 | 14.2 | 7.4 |
直腸 | 55,673 | 18.6 | 35.9 | 15.5 | 7.7 | 13.8 | 8.5 |
肺 | 106,773 | 0.3 | 32.5 | 9.8 | 8.5 | 37.2 | 11.7 |
皮膚 | 25,948 | 20.3 | 67.1 | 1.0 | 3.9 | 0.8 | 6.7 |
乳房 | 91,745 | 10.1 | 52.2 | 19.5 | 3.7 | 5.5 | 9.0 |
乳房(女性のみ) | 91,141 | 10.1 | 52.3 | 19.5 | 3.7 | 5.4 | 8.9 |
子宮 | 45,467 | 44.0 | 30.6 | 1.9 | 12.4 | 5.6 | 5.5 |
子宮頚部 | 30,707 | 65.1 | 14.5 | 1.3 | 11.5 | 3.9 | 3.9 |
膀胱 | 35,462 | 44.2 | 36.5 | 1.0 | 6.6 | 2.7 | 9.1 |
引用元:国立がん研究センター|全国がん罹患モニタリング集計2015年罹患数・率報告|69P
これによると、上皮内新生物と診断された人の割合は全部位の平均では10.1%、悪性新生物の割合は78.9%でした。
ポイント
- 膀胱と子宮については約半分、子宮頚部に至っては半数以上が上皮内新生物であることが分かります。
- このことからも、女性に関しては悪性新生物に加えて上皮内新生物までしっかりと備えておくことが大切です。
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がん保険に加入する前に注意すべきポイント
がん保険では悪性新生物に関しては手厚い保障が受けられますが、上皮内新生物に関しては悪性新生物と同様の保障が受けられるかは分かりません。
ここでは、これからがん保険に加入を検討する方に向けて、がん保険に加入する際の注意点を解説します。
保険によって上皮内新生物への保障は異なる
注意点
保険の契約内容を見てみると、「この保険においてがんとは悪性新生物および上皮内新生物をいいます」という記載が見つかりますが、保険商品によって上皮内新生物と悪性新生物で給付内容が異なる場合がある点に注意が必要です。
例えばがん保険のメインの給付の1つである「診断給付金」の項目をよく読むと、悪性新生物の2分の1など給付額が減額される保険もあります。
とはいえ、上皮内新生物は適切な処置をすれば転移の心配も少ないのは確かで、悪性新生物と比較して保障内容が薄いのはある意味で契約者側にとっても合理的です。
ただし、女性特有のがんでは上皮内新生物の割合が多い傾向にあるため、いざ見つかったときに保障なしでは困ってしまいます。
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がん保険によって上皮内新生物の取り扱いが異なる理由
上皮内新生物でも悪性新生物でも、全く同様に保障されるがん保険はごく一部であり、多くのがん保険では上皮内新生物の保障額に制限があります。
ポイント
- なぜかというと、上皮内新生物は良性の腫瘍と同じ治療方法で完治が可能であるためです。
- 粘膜の上層にあたる上皮を完璧に切除することで、多くの場合は完治可能です。
- 治療が長期化したり再発や転移したりという心配がないため、入院費用が大きくなってしまう心配は少ないといえます。
がん保険における上皮内新生物の保障内容を理解しておく
がん保険において上皮内新生物の保障パターンは、大きく分けて3つに分かれています。
ポイント
- 全く保障されない
- 一部のみ保障
- 悪性新生物と同等の保障
それぞれのパターンの詳細を見ていきましょう。
全く保障されない
古いタイプのがん保険を中心に、上皮内新生物の場合は一切の保障対象外というケースもあります。
この点を理解しないままでがん保険に加入すると、いずれ大きなトラブルになってしまうでしょう。
一部のみ保障
上皮内新生物でも保障はされますが、悪性新生物よりも保障内容が薄いタイプです。
ポイント
- 診断給付金の額に差が出るほか、診断給付金の支払限度回数に違いが見られます。
- 例えば金額は上皮内新生物について悪性新生物の10分の1、2分の1などの設定があります。
- 支払限度に関しては、悪性新生物の場合は1年に1回まで診断給付金を受けられる保険でも上皮内新生物では1回限りで給付がストップするなどの制限が設けられているのが一般的です。
また上皮内新生物の場合、診断給付金の支払条件が厳しくなっていることも考えられます。
悪性新生物と同等の保障
3つ目は、悪性新生物でも上皮内新生物でも同額の保障が得られるというパターンです。
注意点
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女性は特に上皮内新生物の取り扱いに注意
前述したように大半のがんが上皮内新生物という部位(子宮・子宮頚など)も存在するため、悪性新生物と同等の保障が受けられるに越したことはありません。
注意点
- 前述の部位別の罹患数・率報告では子宮では44.0%、子宮頚部では65.1%という高い割合で上皮内新生物が見つかっています。
- また、乳がんでは上皮内新生物の可能性自体は低いものの、上皮内新生物であった場合に乳房再建術を受ける必要がある点に注意が必要です。
- 非浸潤性の乳がん(乳がんにおける上皮内新生物)であっても抗がん剤治療やホルモン剤治療を長期間にわたって行うことも考えられます。
女性ががん保険を検討する際は、上皮内新生物までしっかりと保障される商品を選ぶと安心できるでしょう。
男性は一般の医療保険で十分な場合も多い
女性の乳がんの上皮内新生物では悪性新生物の乳がんと同じ治療が必要なほか、子宮も子宮頚も上皮内新生物の可能性が高いため、上皮内新生物までしっかりと保障される商品の方が望ましいです。
先ほどのデータでも女性特有のがんと比較して上皮内新生物の割合が低いのが分かります。
ポイント
- もし上皮内新生物が見つかったとしても、完全に切除できれば治療は完了します。
- 生命保険で医療費に備えることをせず、公的な医療保険だけでも十分に対応できます。
- 高額療養費制度は一般的な社会人で1ヶ月あたりの自己負担限度額が8万円程度に抑えられるため、無理にがん保険で備える必要はないでしょう。
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上皮内新生物と診断されるとがん保険への加入は制限される
がん保険では、一度がんに罹患するとがん保険への加入は難しくなります。
再発・転移の可能性がある悪性新生物はもちろん、上皮内新生物でも同様です。
注意点
- 上皮内新生物では完治後に一定期間が経過するなどの条件で加入できるケースも考えられますが、加入できる保険の種類は限定されます。
- また、完治していて転移・再発の心配がないのが条件です。
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上皮内新生物に関するよくある質問
まとめ
上皮内新生物は初期の状態のがんであり、早いうちに完全に取り除くことで転移や再発の心配が少なくなります。
そのため保障が薄くなっているのが一般的ですが、なかには乳がんのように「乳房再建術」が必要なため悪性新生物と同等の費用がかかるときもあります。
特に女性特有のがんは上皮内新生物の状態で発見されることが多いのも特徴です。
女性は上皮内新生物でも悪性新生物と同等の保障を受けられるタイプのがん保険を選ぶことが望ましいでしょう。
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