国民年金と厚生年金の違い|もらえる額や加入条件などを徹底比較
本記事を読めば国民年金と厚生年金の違い、それぞれの切り替えタイミング、障害年金、企業年金の概要について簡単に理解できます。
この記事の要点
この記事は5分程度で読めます。
目次
国民年金と厚生年金の違いとは
国民年金とは
国民年金とは、「国民年金法」によって定められている公的年金のことで、基礎年金といわれることもあり、20歳以上60歳未満の人はすべて加入することが義務付けられている制度です。
国民年金の3つの特徴
国民年金は、高齢者などの生活を社会全体で支えることを目的として制定されたものです。
国民皆年金
原則として、20歳以上60歳未満のすべての国民に公的年金への加入義務があり(国民皆年金制度)、これにより安定した保険料収入を確保することが可能となり、社会全体で年金受給者の生活を支えることができるようになります。
社会保険方式
年金として給付される財源は、現役世代が納める保険料に国庫負担金(税金)を組み合わせたもので、安定的な年金給付が可能となっています。
なお、原則的には保険料を納めない人は年金を受給することができません。
世代間扶助
年金給付は「世代間扶助」という考えのもとに成り立っており、現役世代が納める保険料が年金受給者が受け取る年金の原資となっています。
このような世代間扶養「世代と世代の支え合い」という制度のおかげで、終身に渡って年金の支給を受けることができ、インフレなどの物価変動にも対応できるというメリットもあります。
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保険料は一律
国民年金の保険料は、年齢性別を問わず原則として一律で令和3年度は月額16,610円です。
ポイント
- また、まとめて前払い(前納)すると割引制度が適用され、「6か月前納」、「1年前納」、「2年前納」と、まとめる期間が長期間になるほど割引率も大きくなります。
- 反対に、収入の減少や失業などで保険料の支払いが難しい場合は「免除制度」も設けられており、免除申請をすることで全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除のいずれかを受けることができます。
免除申請をせずに未納のまま放置してしまうと、いざ年金を受給するときに受給条件を満たさなくなってしまったり、受給額が少なくなってしまったりするため、支払えない場合は忘れずに免除申請をしてください。
年金受給額は保険料払込月数によって異なる
国民年金を老後に受け取る場合(老齢基礎年金)、受給できる金額は保険料を払い込んだ月数によって決まります。
具体的には、老齢基礎年金の満額は令和3年度で780,900円ですが、これは40年間(480月)すべて保険料を支払った人が受給できる金額で、免除や未納があった月数がある場合は、その分は支給されません。
たとえば、2年間(24月)の未納期間がある場合、保険料納入月数は456月(480月-24月)なので、年金受給額は以下のように計算できます。
780,900円×456月/480月=約741,800円
このように、未納月があると金額が減額されてしまうので「追納」などで未納分を解消し、できるだけ納入月数を増やしておくことが大切です。
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厚生年金とは
厚生年金とは、日本における公的年金のひとつで、会社員など企業に勤めている人が加入する年金制度です。
国民年金に上乗せする形で保障されており、毎月の保険料は会社と従業員が折半して支払います(「労使折半」といいます)。
厚生年金への加入条件
厚生年金にはすべての従業員が加入できるわけではなく、加入できるのは「70歳未満で常時雇用されている人」と決められています。
なお、国民年金の加入は20歳からと義務付けられていますが、厚生年金は企業に勤めはじめたときから加入できるので、たとえば16歳から常時雇用される人は16歳から加入することが可能です。
また、条件を満たせば外国人労働者であっても加入することができます。
パートやアルバイトも加入可能
パートやアルバイトの人は、常時雇用されていて1週間の所定労働時間が正規雇用者の4分の3以上の場合は、厚生年金に加入することができます。
たとえば、正規雇用の1週間の労働時間が40時間の場合、30時間以上勤務するパートやアルバイトであれば加入対象となるということです。
ただし、平成28年10月以降、従業員が501人以上の企業に勤務している場合は、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば加入できるというように、対象範囲が拡大されています。
厚生年金に加入できない人
次の条件に該当する人は厚生年金に加入することができません。
厚生年金に加入できない人
- 日雇い労働者である
- 雇用契約が2か月以内の有期雇用である
- 4か月以内の季節的事業のための雇用である
- 6か月以内の臨時的事業のための雇用である
- 事務所の所在地が一定しない
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厚生年金に加入するメリット
厚生年金に加入するメリットとして、主に次のようなことが挙げられます。
厚生年金に加入するメリット
- 保険料を勤務先が半分負担してくれるので国民年金よりも負担が軽くなる
- 配偶者を扶養に入れることができるので保険料の負担がない
- 万が一のことがあった場合の「遺族年金」や障害を負った場合の「障害年金」の給付を受けられる など
国民年金は、保険料を全額自分で支払わなくてはなりませんが、厚生年金であれば企業が半分を負担してくれるので、保険料の支払い負担を軽くできるというメリットがあります。
さらに、老後に受け取れる「老齢厚生年金」のほかにも、障害を負ったときの「障害厚生年金」や自分が死亡した場合に家族が受け取れる「遺族厚生年金」などの保障があるというメリットもあります。
国民年金と厚生年金の違い
国民年金と厚生年金の違いを解説する前に、大前提として知っておくべきなのが、どちらも日本政府が運営する「公的年金制度」の一部であるということです。
公的年金制度のポイント
- 公的年金制度は、原則20〜60歳の働ける世代全員が加入しなければなりません。
- 20歳になると免除申請しない限り、自動的に毎月保険料が徴収されます。
- その保険料によって老後を迎えた高齢者や障害を抱えた人、扶養者の遺族などに年金が支払われます。
公的年金制度は、職業別に加入者が次の3種類に分けられます。
公的年金制度の被保険者の種類 | |||
第一号 被保険者 | 第二号 被保険者 | 第三号 被保険者 | |
---|---|---|---|
条件 | 日本国内に住所を有する20〜60歳未満の人で、第二・第三号被保険者に該当しない人 | 原則70歳未満の人 | 第二号被保険者に生計を維持されている20〜60歳未満の配偶者 |
職業 | ・自営業者 ・農業 ・漁業者 ・学生 ・無職 ・その配偶者 | ・公務員 ・教職員 ・民間企業の会社員 | 主に専業主婦 |
そして年金制度は、自分で準備する年金を含めると、次の3つの年金があるのです。
日本の年金制度
- 国民年金:原則20〜60歳の全国民が加入
- 厚生年金:会社員や公務員などが加入
- 私的年金:確定拠出年金や確定給付年金、年金払い退職給付など企業や個人が任意に加入
それぞれのところでお伝えできなかったことも含めて、国民年金と厚生年金の違いをまとめると次の表のようになります。
国民年金と厚生年金の違い | ||
国民年金 | 厚生年金 | |
---|---|---|
加入対象者 | 20〜60歳の全国民 (自営業者やフリーターなど第一号・第三号被保険者) | 会社員や公務員(第二号被保険者) |
保険料 | 一律 (2020年度は1万6,540円) | 所得により異なる |
保険料支払い負担 | 加入者の全額負担 | 事業主と折半 |
最低被保険者期間 | 10年 | 1ヶ月 |
支給開始年齢 | 65歳 | 65歳 |
付加年金 | 加入できる | 加入できない |
国民年金基金 | 加入できる | 加入できない |
加給年金 | 支給されない | 支給される |
年金給付額 | 加入期間に応じて一律 | 所得と加入期間によって異なる |
日本人の場合は、9割ほどが会社員といわれているので、厚生年金に該当する人がほとんどといえるでしょう。
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国民年金と厚生年金でもらえる額の違いは?
国民年金と厚生年金では、受け取れる金額に差があります。
まず前提として、国民年金は加入期間によって異なりますが、1年間で受け取れる満額が77万9,300円と決まっています。
一方の厚生年金は、所得に応じて保険料率が異なるため、将来的に受け取れる年金額は所得と加入期間によって変わってきます。
国民年金と厚生年金の年金額の違い
- 国民年金の平均年金月額は5万5,946円
- 厚生年金の平均年金月額は14万4,268円(さらに国民年金も上乗せされる)
ちなみに年金の受給開始は65歳ですが、60歳からに早めたり(繰り上げ受給)、70歳まで遅めたり(繰り下げ受給)することができます。
繰り上げ受給と繰り下げ受給
- 繰り上げ受給の場合:繰り上げた月数×0.5%の減額(最大30%減)
- 繰り下げ受給:繰り下げた月数×0.7%の増額(最大42%増)
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国民年金と厚生年金の切り替えが必要なタイミング
国民年金と厚生年金は、どちらかに加入すると、一生そのままであるわけではありません。
国民年金から厚生年金に切り替えるタイミング
国民年金から厚生年金へ切り替えるのは、次のような人が会社員もしくは公務員などになったときです。
国民年金から厚生年金へ切り替えの対象となる人
- 無職者
- 学生
- 自営業者
- 専業主婦(主夫)
- 農業・漁業従事者
切り替えるに当たって、加入者が手続きをしなければならないことはありません。
というのも、手続きは就職先が行うからです。
基本的には、就職先から年金手帳の提出が求められるようです。
厚生年金から国民年金に切り替えるタイミング
厚生年金から国民年金に切り替えるタイミングは、上記の逆で会社員や公務員が無職・学生、自営業者・フリーランス、専業主婦(主夫)になったときとなります。
厚生年金から国民年金に切り替えるときは、次の手続きをしなければなりません。
厚生年金から国民年金に切り替えるために必要な手続き
- 厚生年金の脱退手続き
- 国民年金への加入手続き
厚生年金の脱退手続きは、所属していた会社や組織がしてくれるので、脱退者が特段しなければならないことはありません。
そして国民年金の加入手続きは、住所のある役所で行います。
国民年金の加入手続きのポイント
- 退職日から14日以内に手続きをする
- 必要書類は、年金手帳または基礎年金番号通知書、退職証明または離職票など退職日のわかる書類、免許証など身分証明できるもの。
ちなみに配偶者が所得130万円未満の被扶養者であるなら、国民年金から厚生年金、またその逆の場合でも同じ手続きが必要です。
国民年金から厚生年金になる場合の配偶者は、第3号被保険者になります。
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障害年金との違いとは
つまり障害年金も老齢年金と同じく、国民年金と厚生年金が保障している年金制度のひとつです。
障害年金には、次の2種類があります。
障害年金の種類
- 障害基礎年金:国民年金に加入している間に初診し、障害等級表1・2級に該当する障害を負った場合に年金が支給される
- 障害厚生年金:国民年金に加入している間に初診し、障害等級表1・2級に該当する障害を負った場合に障害基礎年金に上乗せして支給される
障害年金には、次のような注意点もあります。
障害年金の注意点
- 初診日から1年6ヶ月後から申請できる
- 老齢年金と併用できない
- 障害年金を受けていて老齢年金を受け取る時期がきたら、どちらかを選ぶ必要がある
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企業年金との違いとは
所属している企業によって、受け取り条件やそもそもの有無が異なります。
また中小企業向けには、中小企業退職金共済制度(中退共)があります。
また、他に年金として企業が提供している制度には、次のようなものがあります。
企業が提供する年金制度
- 確定拠出年金(企業型):資金の運用先を自分で決められる年金
- 確定給付年金:資金の運用を企業がしている年金
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まとめ
国民年金と厚生年金では、加入対象となる職業によって違いが生まれてきます。
会社員や公務員など組織に所属する人は厚生年金、それ以外の人は国民年金へ加入するのが原則です。
もし職業に関する立場が変わった場合、手続きが変更になるかもしれませんので、本記事を参考に手続きをしてみてください。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
・本コンテンツは商品の概要を説明しています。
・詳細は「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり/約款」を、通信販売の場合は、「パンフレット」「特に重要な事項のお知らせ/商品概要のご説明/ご契約のしおり抜粋」「ご契約のしおり/約款」を必ずご確認ください。
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