個人年金保険のお得な受け取り方は?かかる税金や注意点を解説
令和4年度「生活保障に関する調査」によると、82%以上の人が老後生活に対して不安を抱えており、なかでも「公的年金だけでは不十分」と考えている人が79.4%です※。
老後の生活に不安を感じる人から注目を集めているのが、「個人年金保険」が気になっています。
しかし、個人年金保険の受け取り方にはいくつかの選択肢があり、選択した方法によっては多額の税金が課税される可能性があります。
そこで今回は、個人年金保険のお得な受け取り方と、受け取り時の注意点を解説します。
※出典:生命保険文化センター|生活保障に関する調査|100P、102P
この記事の要点
- 1.契約者と個人年金の受取人を同じにすると、「一時所得」や「雑所得」になる一方、契約者と受取人が違う人になると贈与税が発生し、所得税よりも多額の税金がかかる可能性があります。
- 2.できるだけ支払う税金を少なくするなら「契約者=受取人」になるように契約しましょう。
- 3.すでに契約者と受取人が異なる契約にしている場合でも、あとから受取人を変更することもできます。
- 4. これから個人年金保険に加入しようと考えている人は、専門家とよく相談しながら検討しましょう。
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目次
個人年金保険の受け取り方は主に3種類ある
そもそも個人年金保険とは、保険料を一定期間支払うことで、払い込んだ保険料を元に将来に年金を受け取ることができる保険のことを指します。
たとえば30歳から保険料の払い込みをスタートして60歳まで継続し、65歳から受け取る、といった具合です。
年金の受け取り方法は主に3種類
確定年金
被保険者である年金受取人が生存しているか死亡したかに関係なく、一定期間だけ年金を受け取れるタイプです。
有期年金
被保険者である年金受取人が生存している限り、一定期間だけ年金が受け取れるタイプです。
注意点
- 被保険者が死亡した場合は年金の支払いが終了するため、遺族は受け取れません。
- 保険料はほかのタイプよりも割安になる一方、早期に亡くなると元本割れのリスクがあります。
似た商品として「保証期間付有期年金」も選択可能です。
保証期間中は生死に関係なく受け取れ、被保険者である受取人が死亡した場合は保証期間中に限り遺族が年金を受け取れます。
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終身年金
被保険者が生存している限り、一生涯年金を受け取れるタイプです。
注意点
被保険者が亡くなった場合は年金の支払いが終了するため、早期に亡くなると元本割れのリスクがあります。
類似した仕組みとして「保証期間付終身年金」も選択が可能です。
保証期間中は生死に関係なく受け取れます。
被保険者である受取人が死亡していた場合は保障期間に限り、遺族に年金が支払われます。
一括での受け取りも可能
支払い期間が決まっている確定年金の場合は年金受取開始時に以下の2点を選択できます。
確定年金の場合の年金受け取り開始の選択
- 今後受け取る年金を毎年受け取るか
- 一括で受け取るか
一括受け取りであれば1回でまとまったお金が手に入る点がメリットです。
しかし、年金形式での受け取りに比べて目減りして受取額が少なくなるデメリットがあります。
しかし、目減りまで考えるとトータルではもらえる金額が少なくなることもあるため注意が必要です。
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個人年金保険のお得な受け取り方
個人年金保険の受け取り方を決める際、以下の選択肢があります。
個人年金保険の受け取り方の選択肢
- 年金で受け取るか・一括で受け取るか
- 契約者と受取人が同一人物か・異なる人物か
保険料の負担者と年金受取人を同一人物にする
結論から言ってしまえば、「契約者と同じ受取人が年金形式で受け取る」方法がおススメです。
注意点
保険料の負担者と年金受取人が別人で贈与税の対象になった場合、通常の所得税に比べて税金が高くなることがあります。
年金受取人はあとからでも変更が可能
注意点
一括受け取りにせず、毎年の年金で受け取る
税金を少なくするという観点では、個人年金保険といえども年金よりも一括で受け取った方がお得になります。
しかし、一括で受け取る際の金額は原則として年金で受け取る場合の総額よりは目減りして少なくなるのが原則です。
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個人年金保険の受け取り方でかかる税金が変わる
個人年金保険の受け取りで発生する税金は、受け取り方に応じて2種類に分かれます。
契約者と年金受取人の関係によって以下のとおりに決まることを覚えておきましょう。
ポイント
- 「契約者」と「年金受取人」が同一人物=所得税
- 「契約者」と「年金受取人」が違う人=贈与税
さらに所得税は受け取り方によって「雑所得」「一時所得」に分かれます。
それぞれの税金の特徴を次項で見ていきましょう。
契約者と年金受取人が同じ場合は所得税がかかる
年金形式で受け取るなら「雑所得」
雑所得は、所得税のなかの区分の1つです。
雑所得の計算式
- 総収入金額-必要経費
総収入金額は受け取る年金の総額のことです。
次の「必要経費」に関しては以下の計算式で成り立っています。
- 年間の受取額×払込保険料総額割÷年金の総支給見込額
なお、所得税には誰にでも発生する基礎控除が48万円(所得2,400万円以下)あるため、今回のケースでは個人年金保険以外に所得がない限り所得税はかかりません。
一括受け取りの場合は「一時所得」
個人年金保険を一括で受け取る場合、「一時所得」に該当します。
一時所得の計算式
- (総収入金額-必要経費-特別控除額50万円)÷2
総収入金額は一括受け取りの総額のことで、必要経費は支払った保険料の総額です。
特別控除額が50万円あるため、総収入額と必要経費の差額が50万円以上ない場合は課税されません。
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契約者と年金受取人が異なる場合は贈与税がかかる
契約者と年金受取人が異なる場合は受取人が契約者から「年金を受け取る権利」を贈与されたとみなされるため、贈与税が発生します。
贈与税の計算式
(課税価格-基礎控除110万円)×税率-控除額
たとえば個人年金保険の受取額が600万円の場合、課税対象になるのは600万円から110万円を引いた490万円です。
年金受取人が子どもや孫である場合は「特例税率」が適用され、税率は以下のとおりです。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
---|---|---|
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
先ほどのケースを特例税率で計算すると(600万円-基礎控除110万円)×20%-30万円=68万円となり、68万円を贈与税として納めることになります。
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個人年金保険の受け取り方で注意すべき点
個人年金保険を受け取る際、税金と一緒に知っておきたいのは「確定申告」が必要かどうか、ということでしょう。
ポイント
- また、個人年金保険を途中で解約する可能性もあるはずです。
- その際は税金の支払い方が年金や一時金を受け取る場合と異なることがあります。
年金の受け取りで確定申告が必要になる場合がある
給与所得がある
個人年金保険を受け取る年齢に達していても、再雇用や雇用の延長で会社から給与を受け取っている人もいます。
ポイント
- このケースでは給与所得や退職所得以外の合計所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。
- とはいえ給与以外の収入が個人年金保険だけの場合、雑所得や一時所得が20万円を超えるケースは一般的ではありません。
- もちろん、高額な年金を設定している契約の場合は年間20万円を超えてくる可能性はあります。
公的年金の受け取りがある
公的年金を受け取っていて以下のいずれかに該当する場合、確定申告が必要です。
確定申告が必要な場合
- 公的年金の額が400万円を超えている
- 年金額が400万円以下で源泉徴収がされていない場合
- 公的年金以外の所得が20万円を超えている場合(個人年金保険の雑所得や一時所得も対象)
途中で解約した場合の解約返戻金にも税金がかかる
注意点
- 個人年金保険を契約の途中で解約すると「解約返戻金」を受け取れますが、この解約返戻金にも税金がかかることがあります。
- 考え方は年金として受け取る際と同じで、契約者と解約返戻金の受取人が同じであれば「所得税」、契約者と受取人が異なる場合は「贈与税」がかかります。
所得税では「源泉分離課税」になる場合とそれ以外がある点に注意が必要です。
- 確定年金を5年以内に解約=源泉分離課税
- それ以外=一時所得として総合課税
5年以内に解約した場合は金融類似商品に該当するため、源泉分離課税になります。
ポイント
- 解約返戻金と払込保険料の差益に対して、ほかの所得とは関係なく一律で20.315%が課税され、税金を差し引いた金額を受け取ることになります。
- 総合課税の場合は給与所得などと合わせて税率が決定されます。
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出典:保険マンモス
個人年金保険の受け取り方に関するよくある質問
まとめ
今回は個人年金保険のお得な受け取り方と、受け取る際に知っておきたい注意点を解説しました。
契約者と受取人を同じにすると「一時所得」「雑所得」になる一方、契約者と受取人が違う人になると贈与税が発生し、所得税よりも多額の税金がかかる可能性があります。
できるだけ支払う税金を少なくするなら「契約者=受取人」になるように契約しましょう。すでに契約者と受取人が異なる契約にしている場合でも、あとから受取人を変更することもできます。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
・本コンテンツは商品の概要を説明しています。
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