個人年金保険とiDeCoは加入するならどっち?両者の違いを徹底解説
数年前、「老後2,000万円問題」のニュースが話題になり、そこからどのように老後資金を準備しようか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
老後資金の準備方法を調べていると、「個人年金保険」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」が有力な選択肢になり得るとよく目にすることもあるかもしれません。
今回は、その「個人年金保険」と「iDeCo」のどちらが老後資金の準備に向いているのかを徹底的に比較・検証してみました。
この記事の要点
- 1.個人年金保険とiDeCoの違いは主に税制面と運用面にあります。
- 2.個人年金保険はローリスク・ローリターンで、iDeCoはハイリスク・ハイリターン商品となります。
- 3.個人年金保険もiDeCoも向き不向きがあるため個々人の考え方と合わせて適切な判断をしましょう。
- 4. どちらが自分に向いているか悩んでいる人は、一度保険相談窓口で専門家に相談してみることをおすすめします。
- 5. 保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」では、40社以上の保険商品から専門家があなたにぴったりの保険をご提案します。
この記事は5分程度で読めます。
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目次
個人年金保険とは?わかりやすく解説します
個人年金保険とは、老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金や、勤務先の企業年金などだけでは老後の生活費が心配な方が、任意で加入することで不足する分を準備する私的年金のことをいいます。
まずは公的年金について将来いくら受け取れるのか解説をしたあと、私的年金として準備ができる民間の個人年金保険について解説をします。
公的年金の仕組み
仕組み
日本の公的年金制度は、高齢者などの生活を社会全体で支えようという考えのもとに成り立っており、「国民皆年金」、「社会保険方式」、「世代間扶養」という3つの特徴があります。
それぞれの特徴の内容は以下の通りです。
国民皆年金 | 20歳以上60歳未満のすべての人が公的年金に加入する義務がある |
社会保険方式 | 現役世代が納める保険料と国庫負担金(税金)を組み合わせて安定した年金給付をはかる。 原則として、保険料を納めなければ年金を受給できない。 |
世代間扶養 | 現役世代が支払う保険料を年金給付に充てる |
なお、公的年金の支給対象は高齢者への「老齢年金」だけではなく、偶然の事故や病気になったときの「障害年金」、一家の働き手が死亡ときの「遺族年金」もあります。
障害年金 | 病気やけがで生活や仕事などに制限を受けるようになった場合に受け取れる年金(現役世代も受取可)
|
遺族年金 | 家庭内で収入を得ている人や年金を受け取っている人などが死亡したときに、遺族に給付される年金。 亡くなった人の年金加入状況などにより、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」のいずれか、または両方の年金を受け取ることができる。 |
このように、高齢者だけでなく、障害者、家計を支える人が死亡した場合の保障を受けることができます。
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「国民年金」と「厚生年金」の2階建て
また、公的年制度は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっており、1階部分が国民年金で、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入します。
なお、国民年金には2階部分がありませんが、「付加年金」や「国民年金基金」という制度もありますので、年金受給額を増やしたい人は任意で加入することができます。
被保険者の3つの種類
公的年金の被保険者は、働き方などによって「第1号」「第2号」「第3号」被保険者の3つに分かれます。
第1号被保険者 | 自営業や個人事業主、学生、無職の人などが該当。 保険料は一律(令和3年は16,610円/月)。 |
第2号被保険者 | 会社員や公務員などが該当。 保険料は被保険者と勤務先が折半して支払う。 |
第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養されている専業主婦(夫)などが該当。 保険料の納付は不要。 |
将来の受取可能額
将来、自分が公的年金から年金をいくら受け取れるのか気になる人は多いでしょう。
数年または数十年先の受取可能額をご紹介することは難しいですが、現在の年金受給者がどのくらい受給しているのかを知ることはできます。
日本年金機構によると、国民年金と厚生年金から受け取れる年金額は以下の通りです(令和3年4月分から支給分)。
年金の種類 | 年金月額 | 年金年額 |
国民年金(満額) | 65,075円 | 780,900円 |
厚生年金(夫婦2人分)※ | 220,496円 | 2,645,952円 |
※夫婦2人分の標準的な年金額。平均標準報酬43.9万円で40年間就業した場合で計算
参考:日本年金機構:令和3年4月からの年金額等について
国民年金は加入月数に応じて受給額が決定し、満額が受け取れるのは保険料を40年(480月)納めた場合です。
たとえば、未納分が2年(24月)あり、38年(456月)しか納付しなかった場合、780,900円×456/480月≒742,000円となります。一方、厚生年金は現役時代の年収や勤続年数などによって年金額が決定するため、個別に計算が必要です。
そのため、ここでは標準的な収入のあった夫婦2人での年金額を試算してあります。
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「繰り上げ受給」や「繰下げ受給」も選択可能
2021年10月現在、公的年金の受給開始年齢は原則65歳です。
しかし、「65歳前に受給したい」、「年金はまだ必要ないから70歳からにしたい」といったように、受給開始年齢に希望がある場合は「繰り上げ受給」や「繰下げ受給」を選択することができます。
繰り上げ受給
繰り上げ受給は、60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて年金を受給できる制度で、65歳を待たずに年金を受給することができます。
注意点
たとえば60歳から繰上げ受給をする場合は5年間(60月)繰り上げることになるため、減額率は24%(60月×0.4%)となり、満額から24%減額された金額を一生涯にわたり受給することになります。(令和4年4月から、この繰上げ受給の減額率が1月あたり0.5%から0.4%に変更されました。対象となる方は令和4年3月31日時点で、60歳未満の方(昭和37年4月2日以降生まれの方)です。昭和37年4月1日以前生まれの方については、現行の減額率0.5%から変更はありません。)
繰下げ受給
繰り下げ受給は、65歳で年金受給開始の手続きを取らずに、66歳から70歳までの間に受給を開始できる制度です。1か月繰下げるごとに0.7%の年金額が増額され、増額された金額は一生変更されません。
たとえば、70歳で繰下げ受給をする場合、5年(60月)繰下げることになるため、増額率は42%(60月×0.7%)になります。
民間の個人年金保険
60歳や65歳といった年齢まで保険料を納めることで、契約時に決めた年齢に達すると、年金または一時金を受け取ることができます。
また、金融審議会が発表した「市場ワーキング・グループ報告書」によると、退職金給付制度のある企業は年々減少傾向にあり、2018年では全体の約8割となっています。
さらに、退職金給付額を見てみると、1997年には平均約3,200万円支給されていましたが、その後は年々減額しており、2017年には平均約2,000万円とピーク時の約6割程度に減少しています。
参考:金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』(令和元年6月3日)」
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個人年金保険の3つの種類
個人年金保険には、主に「確定年金」、「有期年金」、「終身年金」の3つの種類があり、下表のような特徴があります。
| 確定年金 | 有期年金 | 終身年金 |
年金受給期間 | 10年など契約時に定めた一定期間 | 10年など契約時に定めた一定期間 | 生存している限り受給できる |
被保険者が死亡した場合 | 遺族の受け取り可 | 遺族の受け取り原則不可 (保証期間付きのものは可) | 遺族の受け取りは不可 (保証期間付きのものは可) |
それぞれの年金について解説していきます。
確定年金
年金の受給期間が10年や15年など契約時に定めた一定期間に限定されています。
被保険者が個人年金受給中に死亡した場合は、遺族が残りの年金受取期間に年金または一時金として受け取ることができるので、保険料が払い損になる心配がありません。
有期年金
年金の受給期間が10年や15年など契約時に定めた一定期間に限定されている点は確定年金と同じですが、被保険者が個人年金受給中に死亡した場合は年金の支払いは終了するため、遺族が残りの年金を受け取ることはできません。
終身年金
被保険者が生存している限り年金を受給できるため、「長生きリスク」に備えることができますが、被保険者が死亡した時点で年金の受け取りは終了するため、遺族は年金を受け取ることができません。
しかし、被保険者が年金受給開始後まもなく死亡してしまった場合、長年支払ってきた保険料がムダになってしまい、長生きする方が受け取れる年金総額と比較して、「損した」というイメージが強くなってしまいます。
そういった不公平感をやわらげるために「保証期間」付きの終身年金にすることで、保証期間の残りの分の金額を遺族が年金または一時金として受け取ることができます。
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運用方法による2つの種類
個人年金保険は、払い込んだ保険料の運用方法によって、「定額年金」と「変額年金」に分けられます。
| 定額年金 | 変額年金 |
運用利率 | 契約時に決定 | 運用次第で変わる |
運用 | 保険会社が一般勘定で運用 | 契約者本人が特別勘定で管理 |
元本保証 | 最低額の保証あり | 最低額の保証なし |
リスク負担者 | 保険会社 | 契約者 |
インフレへの対応 | 難しい | 可能 |
定額年金
契約時に決められた「予定利率」によって運用されるため、契約時に将来受け取れる年金額が決定します。
確実に受け取れる金額がわかるので計画的に老後資金を準備できるというメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。
注意点
- 利率の低い時期に契約すると返戻率が低くなる
- インフレに対応しづらい
変額年金
年金原資の運用は契約者自身が行い、運用実績によって将来の受取年金額が変動します。
そのため、運用次第では受取年金額を増やすことができるというメリットがありますが、運用がうまくいかない場合は以下のようなデメリットも発生します。
注意点
積極的に老後資金を準備したい方に利用されていますが、リスクについても十分に理解しておく必要があります。
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iDeCoとは?特徴や注意点をおさらい
iDeCoとは、individual-type Defined Contribution pension planの略称で、契約者自身で積立金を選定・運用する点が特徴的です。
積み立てたお金を将来受け取ることができる点では個人年金保険と変わりません。
iDeCoの3つの特徴
iDeCoの特徴として、3つの大きな節税効果が挙げられます。
節税効果1.運用期間中の非課税
まず、「運用期間中の非課税」です。iDeCoの投資で得た投資の売買益は、運用期間中は非課税になります。通常は投資で得た利益20.315%が課税されますが、これが一切かかりません。
節税効果2.所得控除
次に「所得控除」です。拠出した掛け金の全額が小規模企業共済等掛金控除という名前の所得控除になります。どれくらい節税になるかは加入者の所得税率によって異なりますが、所得税率10%で計算してみましょう。
所得税率10%でシミュレーション
- 月の最低の掛け金は5,000円ですから年間の掛け金は60,000円です。
- 所得税率が10%の場合の所得税は6,000円、住民税は一律10%で6,000円、合わせて1年間で12,000円の節税になります。
節税効果3.受取時の節税
3つ目は「受取時の節税」です。iDeCoでは60歳以降に掛け金と運用益を「一括」か「年金形式」で受け取れます。
一般的な退職所得控除の計算式は(収入金額-所得控除額※1)×1/2です。1/2にされることもあり、税金の計算でほかの所得よりも有利に計算できます。
●勤続年数が20年までの場合
40万円×勤続年数(80万円より少ないときは80万円)
●勤続年数が20年を超える場合
70万円×勤続年数-600万円
障害者となったことにより退職した場合は、上記で計算した金額に100万円を加算します。
出典:国税庁「退職所得の計算方法」
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iDeCo加入の注意点
iDeCoの注意点はいくつかありますが、代表的なものが「一定の手数料が毎月かかる」という点です。個人年金保険の手数料は保険料に含まれますが、iDeCoの場合は掛け金とは別に加入時に2,829円、継続の場合は最低でも毎月237円の手数料が発生※します。
※金融機関によって異なる
iDeCoは投資信託という投資商品で運用するのが基本になりますが、投資信託のコストのうち「信託報酬」は必ず発生する点も覚えておきましょう。
職業によって月の掛け金の上限が異なる
iDeCoで毎月拠出できる金額の上限は、加入者の職業に応じて以下のように異なります。
職業 | 限度額 |
公務員 | 月12,000円 |
会社員(企業年金あり) | 月12,000円~20,000円 |
会社員(企業年金なし) | 月23,000円 |
専業主婦 | 月23,000円 |
自営業 | 月68,000円 |
※自営業は国民年金基金や付加保険料との合算
表を見ると、自営業が拠出できる掛け金が特に多くなっているのがわかります。
これは、会社員や公務員が将来「基礎年金+厚生年金」の両方を受給できるのに対し、フリーランスなどの自営業者が「基礎年金」しか受け取れないことが要因です。
掛け金額の変更タイミングは限られる
iDeCoでは、その年の1月から12月の間に1回だけ掛け金額の変更が可能です。契約途中で掛け金を変更できると、収入状況に応じてある程度柔軟に投資方針を変えることが可能となります。
しかし、変更は年1回ですから、思いつくままに掛け金を変えることはできません。どんな商品をいくら運用するのか自分であらかじめ決めておき、経済情勢や自分の懐事情に応じて掛け金を効果的に変更していくことが必要になります。
個人年金保険とiDeCo、それぞれのメリット・デメリット
個人年金保険とiDeCo、それぞれにメリットとデメリットが存在しますが、個々人によってメリットがデメリットになり、デメリットがメリットになり得ます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
個人年金保険 |
|
|
iDeCo |
|
|
個人年金保険のメリット
個人年金保険は積立金の運用を保険会社に任せることができ、非常に手軽な点がメリットです。一方のiDeCoは自分で運用する商品を選定するほか、実際の運用も自分自身で行う必要があります。
また、原則として途中解約できないiDeCoに対し、個人年金保険は途中解約して解約返戻金を受け取ることができます。
戻ってくるお金が支払ったお金を下回る「元本割れ」を起こすリスクがありますが、途中でお金が必要になった時に柔軟に対応することが可能です。
また、個人年金保険では、積立期間の設定を自分で行える点もメリットになります。
iDeCoの加入期間は60歳までと固定ですが、一方の個人年金保険では「何年かけて積み立てるのか」「一括で受け取るのか」「5年かけて受け取るのか」「10年かけて受け取るのか」といった選択肢の中から、個人の事情に合わせて選ぶことができます。
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iDeCoのメリット
iDeCoは自分で投資商品を運用するため、投資に関する知識が必要になります。また、60歳まで途中で解約できないというデメリットがある点もネックです。
iDeCoの掛け金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になり、掛け金と所得税率に応じて還付が行われます。
また、年金の受取時は一括で受け取る場合に退職所得、年金形式で受け取るなら雑所得が適用され、それぞれに控除があります。
投資の運用益も60歳になるまで全額が非課税です。
ポイント
- 通常は投資で得た売却益のうち20.315%(復興特別所得税も含む)が課されますが、iDeCoでは全額が非課税になります。
- 所得税や住民税の控除の場合は収入がない専業主婦(第3号被保険者)には恩恵がありませんが、運用益が非課税になるメリットは専業主婦でも等しく恩恵を受けることができます。
ただ単に20%分の節税になるだけではありません。iDeCoでは、得た利益を再投資することで雪だるま式にリターンを大きくすることを目指します。
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個人年金保険とiDeCoを併用するメリット・デメリット
個人年金保険とiDeCoの併用を考えている方の中には「なんとなく併用しようと考えているけど、メリット・デメリットがわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで以下では個人年金保険とiDeCoを併用するメリット・デメリットを解説していきます。老後資金に関わる重要な問題だからこそ、詳しく確認していきましょう。
個人年金保険とiDeCoを併用するメリット
ポイント
- 手堅く運用できる
- 将来受け取る資産が増える
- 税制面でお得
手堅く運用できる
まず第一に個人年金保険とiDeCoを併用すると、手堅く運用できます。なぜなら、個人年金保険は契約期間内正しく積み立ていれば元本割れの心配がないからです。
例えばiDeCoのみで運用した場合、比較的安全な銘柄で運用しても元本割れのリスクは伴います。さらにアクティブファンドを銘柄に選定していた場合、そのリスクはさらに高まるでしょう。
将来受け取る資産が増える
また個人年金保険とiDeCoを組み合わせることで将来受け取る資産が増える可能性があります。なぜなら支払額の増額や運用による利益によって年金額が増える可能性があるからです。
例えば個人年金に月2万円かけていた30歳男性が、iDeCoに月1万円入金し始めたとしましょう。60歳まで支払う金額に増減額なかった場合は、以下の結果になります(個人年金の利率は考慮しないものとします)。
ポイント
個人年金に月2万円かけていた場合:720万円
個人年金に2万円、iDeCoに月1万円(利回り4.0%)かけた場合:720万円+約680万円(積立元本360万円+運用益320万円)=1,400万円
以上のように、個人年金保険で手堅く積み立てつつ、iDeCoで利回り4%程度で運用できれば、月1万円の掛金増で倍近くの年金を蓄えられるのです。
もちろん運用にはリスクがつきもので、元本割れする可能性も考えられます。しかし、コツコツ積み立てることでこのような結果になる可能性もあるのです。
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税制面でお得
個人年金保険とiDeCoを併用すると、税制面でよりお得に運用できます。なぜならそれぞれの制度で控除枠が異なるため、余すことなく税金の控除を受けられるからです。
個人年金保険料控除は所得税が年間4万円まで、住民税が年間2.8万円までが控除の対象になります。また、小規模企業共済等掛金控除は働き方や他の制度の加入状況によって異なりますが、年14.4万円から81.6万円が控除対象になります。
このように、個人年金保険とiDeCoを併用することで税制面のメリットを存分に活用できるのです。
個人年金保険とiDeCoを併用するデメリット
ポイント
- 管理に手間がかかる
- 収益が分散される
管理に手間がかかる
個人年金保険とiDeCoを併用すると管理に手間がかかります。なぜならそれぞれ取り扱っている会社が異なる可能性が高いからです。
具体的に個人年金保険は保険会社から、iDeCoは証券会社や銀行などで口座開設します。そのため、関わる担当者が2人になる可能性が高いのです。
収益が分散される
また、iDeCoで大きな利益が出た場合、収益が分散されてしまう可能性があります。先ほどの例同様、30歳男性が60歳までiDeCoにかけた場合でシミュレーションしてみましょう。
ポイント
個人年金に2万円、iDeCoに月1万円(利回り4.0%)かけた場合:720万円+約680万円(積立元本360万円+運用益320万円)=1,400万円
iDeCoに月3万円(利回り4.0%)かけた場合:約2,000万円(積立元本1,080万円+運用益約970万円)
以上の結果からわかるように、iDeCoの運用でプラスの収益が生まれた場合、個人年金保険にかけていた分600万円の損失が生まれてしまいます。
もちろん元本割れするリスクや銘柄選定の手間もかかるため、一概には言えませんが、併用することで収益が分散する可能性が高いということを理解しておきましょう。
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個人年金保険がおすすめな人、おすすめしない人
個人年金保険への加入が、おすすめな人やおすすめしない人はどのような人なのでしょうか?
それぞれのタイプについてどのような人があてはまるのかを紹介しますので、ご自身にとって個人年金保険が必要かどうか検討してみましょう。
個人年金保険がおすすめな人
個人年金保険への加入をおすすめするのは次のような人です。
個人年金がおすすめな人
- 預貯金よりも返戻率を高くしたい人
- 元本割れリスクを負わずに着実に貯蓄したい人
- 貯蓄が苦手な人
預貯金よりも返戻率を高くしたい人
老後資金は、個人年金保険ではなく銀行などへの預貯金で準備することもできます。
預貯金は、思い立ったときからすぐに始められるので便利な方法ですが、2021年11月現在も引き続き低金利の状況が続いており、今後どうなるかも不透明です。
そのため、同じ保険料(貯金額)を出すのであれば、加入方法次第で返戻率を上げられる個人年金保険の方がおすすめです。
元本割れリスクを負わずに着実に貯蓄したい人
老後資金を効率よく準備するには、運用益のより期待できる投資信託などの金融商品の方が魅力的です。
注意点
- もちろん、老後資金は可能な限り準備しておきたい気持ちもありますが、高い運用益が見込めるということは、それだけ大きな損失を被るリスクも大きいことを意味しています、
- 運用次第では元本割れしてしまうリスクも十分に考えられます。
老後生活は着実に準備したいという人は、損失リスクのある投資商品ではなく、個人年金保険で着実に準備していく方法がおすすめです。
貯蓄が苦手な人
貯蓄が苦手な人は、個人年金保険に加入すれば、保険料が毎月(毎年)口座振替で決まった期日に自動引き落としされるので、半強制的に貯蓄をすることができます。
また、急にお金が必要になったとき、預貯金の場合は金融機関の窓口で簡単に解約し現金化することができますが、個人年金保険の解約は、保険会社に解約の手続きをとってから現金化されるまでに数日かかります。
個人年金保険をおすすめしない人
一方で、次のような人は個人年金保険への加入の必要性は低いといえます。
個人年金をおすすめしない人
- 投資のリスクを理解したうえで、より高い運用益を得たい人
- 個人年金保険以外の方法ですでに準備をしている人
- 保険料を支払う余裕がない人
投資のリスクを理解したうえで、より高い運用益を得たい人
すでに投資信託などで資産運用をした経験があり、より高い運用益を得ることを目指したい人は、老後資金も投資などの資産運用で準備するのも選択肢のひとつになります。
ただし、投資についての十分な知識があり、さまざまなリスクについても理解し納得したうえで活用する必要があるため、投資初心者にとってはおすすめの方法とはいえないでしょう。
個人年金保険以外の方法ですでに準備をしている人
老後資金を準備する方法には、個人年金保険以外にも「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「つみたてNISA」といった金融商品や、「低解約返戻金型終身保険」などの生命保険を活用した方法もあります。
このような方法ですでに老後資金の準備を始めている人は、個人年金保険に加入する必要性は低いといえます。
保険料を支払う余裕がない人
老後資金の準備についての重要性はわかっていても、現在の生活に余裕がなく個人年金保険の保険料を支払うことができない人もいるでしょう。
急に収入を増やすことは難しいので、家計簿をつけて生活費を見直し無駄遣いを減らしてみましょう。
老後資金の準備は、生活に余裕ができたときから始めると良いでしょう。
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iDecoに向いている人、不向きな人
iDeCoに向いている人
iDeCoに向いている人は「所得が多い人」です。保険料の控除の上限額が決まっていないため、控除の対象金額を大きくすることができます。
また、「大きなリターンを得たい人」「投資の知識がある人」もiDeCo向きです。iDeCoで長期投資を行った場合、一般的には、全世界に分散して長期投資を行った際のリターンは年「6%」といわれています。
iDeCoは個人年金保険と違って投資商品を自分で選定し、期間中の運用も自分自身の手で行っていく必要があるうえ、投資商品は「投資信託」というリスクが比較的高い商品を選ぶのが一般的です。
iDeCoに不向きな人
臨機応変に金融商品を見直したい人はiDeCoは不向きです。iDeCoは、一度始めると60歳まで途中解約できません。あくまで年金の上乗せ制度ですから、60歳になるまで掛け金を拠出し続けることになります。
もし掛け金を拠出し続けることが難しい場合は契約をやめてしまうこともできます。契約途中で大きなお金が必要になりそうな時、個人年金保険のほうが対応しやすさに軍配が上がるでしょう。
個人年金保険からiDeCoに乗り換える際の注意点
「iDeCoの方が性に合っていそうだから、この際乗り換えよう」と決心した方もいらっしゃるでしょう。しかし、そのままの勢いで乗り換えると大きなリスクにさらされる可能性があります。
そこで以下では個人年金保険からiDeCoに乗り換えるときの注意点をまとめていきます。
ポイント
- 個人年金保険解約時は元本割れする可能性が高い
- 個人年金保険解約時に受け取ったお金を一気にiDeCoに投資するとリスクが偏る
個人年金保険解約時は元本割れする可能性が高い
個人年金保険を早期解約するときはほとんどの確率で元本割れします。なぜなら生命保険会社の運用益より取引にかかる手数料などの諸費用が上回っている状態だからです。
しかし先ほどのシミュレーションでもわかるように、iDeCoは個人年金保険以上の成果を挙げられる可能性があります。さらに投資期間が長いほど、リスクも分散されるため、乗り換えるのであれば早めに解約しましょう。
個人年金保険解約時に受け取ったお金を一気にiDeCoに投資するとリスクが偏る
個人年金保険解約時に受け取ったお金を一気に投資するとリスクが偏ります。なぜなら一気に投資した場合、基準日より銘柄に関係のある指数が下回った場合は元本割れしてしまうからです。
そのため個人年金保険から乗り換えてiDeCoに積み立てる方は「ドル・コスト平均法」を活用して、毎月定額を投資していくことをおすすめします。
ドル・コスト平均法を活用すると、リスクが分散されて暴落時の損失や価格が高い時の高値掴みを抑えられます。初心者でも簡単に投資できるようになるため、活用しましょう。
また、iDeCoは積立途中で金額の増減可能です。そのため、個人年金保険の解約返戻金を取り崩し終えたら減額することもできるため、ニーズに合わせて調整しましょう。
老後資金はいくら必要になる?最低必要額とゆとりある生活
老後は主な収入が年金だけになることがほとんどなので、現役のうちにできるだけ資金を貯めておくことが望ましいです。
しかし、目標金額もわからずにただ貯めていくだけでは計画性に欠けるため、老後資金はどのくらい必要なのか、まずは最低必要額を知る必要があります。
夫婦ふたりの老後に必要な生活費は最低22.4万円
老後の生活費にいくら必要なのか、現在の65歳以上の夫婦ふたり世帯の平均生活費をみてみましょう。
総務省の「家計調査報告書(家計収支編2020年)」によると、65歳以上の夫婦のみの世帯の1か月の生活費は、平均で約22.4万円が必要という結果になっています。
可処分所得(※) | 225,501円 |
消費支出 | 224,390円 |
収支(黒字) | 1,111円 |
※可処分所得:年金などの個人所得から税金や社会保険料などを差し引いた金額。手取り額のこと。
毎月の年金などの収入のうち税金や社会保険料などを差し引いた手取り額(可処分所得)が225,501円で、食費や光熱費などの支出合計が224,390円なので、1,111円の黒字となっていることがわかります。
ひとり世帯に必要な生活費は平均12.5万円
一方、65歳以上のひとり世帯の場合の1か月の生活費は、平均約12.5万円が必要という結果となっています。
可処分所得(※) | 125,423円 |
消費支出 | 133,146円 |
収支 | ▲7,723円 |
年金などからの手取り収入が125,423円で、支出合計が133,146円となるため、1か月あたり7,723円の赤字となっていることがわかります。
1か月1万円の赤字をカバーするとなると1年で12万円、90歳まで生きると仮定すると25年間分が必要となるので、12万円×25年=300万円は準備しておくと赤字を回避できるといえます。
ゆとりある老後生活に必要な金額
夫婦ふたり世帯に必要な生活費は月額約22.4万円で、ひとり世帯に必要な生活費は約12.5万円ということがわかりましたが、これはあくまでも最低限必要な生活費です。
老後は時間に余裕ができるため、旅行などの趣味を楽しみたいという人は多いでしょう。
使い道としては、旅行やレジャー、趣味や教養、日常生活費の充実、身内とのつきあいなどが多くなっています。
しかし、可処分所得の平均は月額約22.6万円なので、ゆとりある生活に36.1万円を使えるようにするためには、追加で13.5万円を準備しておかなくてはなりません。
個人年金とiDeCoに関するよくある質問
まとめ
iDeCoは所得控除に制限がないため、より多くの掛け金を拠出できるほど節税面で有利になります。投資商品を自分で選ぶことでリターンも高い傾向にあり、将来の資産形成を狙うなら優先して活用していきたい制度です。
ただし、掛け金には上限があるため、掛け金を増やしたくても増やせない場合があります。
そんな時は、他の制度と併用することで投資額を増やすことを考えましょう。
より大きな金額の資産運用を目指すなら、iDeCoをベースに個人年金保険を加えてみるとよいでしょう。
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