生命保険の受取人は誰がいい?独身で配偶者・子どもがいない場合は?
生命保険の「受取人」と言ったとき、それは「保険金受取人」を指します。つまり、保険金が支払われるとき、そのお金を受け取ると契約で決められている人のことです。
生命保険の受取人は保険を契約する人が指定すると思うのですが、誰でもいいのでしょうか?実は、受取人は誰でもいいわけではなく、また、受取人を誰にするかによって課税額が変わってくることもあるのです。
そこで今回は、保険金受取人について徹底解説。独身の方で配偶者や子供以外を受取人に設定したい場合についても解説します。
この記事の要点
- 1.契約者と受取人の関係によって課税関係に違いが出てきますが、生命保険の受取人は、契約後に変更することが可能です。
- 2.生命保険の趣旨から、保険金受取人になれる人も限定されていますが、近年はライフスタイルの多様化を反映して、その制限も変わってきています。
- 3.今後も、社会のさまざまな変化に適応して、保険はその形を変えていくでしょう。
- 4. 生命保険の加入や見直しを検討しているなら、保険相談窓口で専門家に相談することがおすすめです。
- 5. 保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」では、専門家が40社以上の保険商品からあなたのニーズに合った保険を無料で提案してくれます。
目次
生命保険の受取人とは?
生命保険には、保険契約の当事者というべき3つの立場があります。
生命保険における3つの立場
- 保険契約者…保険会社と契約を結んだ人であり、保険料を負担する人。一般的には保険の加入者とも呼ばれます。
- 被保険者…保険の対象になっている人。保険契約者と同じであることもありますが、違う場合もあります。
- 保険金受取人…保険金を受け取る人です。契約の内容によっては、被保険者自身が保険金受取人である場合もあります。
保険契約者・被保険者・保険金受取人の関係について、いくつか例を挙げてみましょう。
例①
Aさんは、自分が亡くなったら、配偶者のBさんに保険金が支払われる死亡保険に加入した。
保険料はAさんが負担している。
保険契約者:Aさん
被保険者:Aさん
保険金受取人:Bさん
例②
Aさんは、配偶者のBさんが亡くなったら、自身に保険金が支払われる死亡保険に加入した。
保険料はAさんが負担している。
- 保険契約者:Aさん
- 被保険者:Bさん
- 保険金受取人:Aさん
例③
Aさんは、配偶者のBさんが亡くなったら、ふたりの子であるCさんに保険金が支払われる死亡保険に加入した。
保険料はAさんが負担している。
- 保険契約者:Aさん
- 被保険者:Bさん
- 保険金受取人:Cさん
例④
Aさんは、自身が65歳になったら、年金が支払われる個人年金保険に加入した。
保険料はAさんが負担している。
- 保険契約者:Aさん
- 被保険者:Aさん
- 保険金受取人:Aさん
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生命保険の受取人によって税金の種類が異なる
保険金受取人は、保険契約者や被保険者と同じ場合もあれば、異なる場合もあります。
死亡保険の場合、被保険者は保険金受取人と同じ人がなることはできませんが、保険契約者と被保険者は同じ場合も異なる場合も考えられるため、先ほど例に挙げた、
- Aさん
- Bさん(Aさんの配偶者)
- Cさん(AさんとBさんの子ども)
の家族で考えると、以下のようなパターンが一般的です。
保険契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | |
---|---|---|---|
パターン① | Aさん | Aさん | Bさん |
パターン② | Aさん | Bさん | Aさん |
パターン③ | Aさん | Bさん | Cさん |
パターン① 相続税が課税されるケース
パターン①のように、保険契約者が被保険者であり、その被保険者が亡くなることで支払われる保険金は、相続税法上は被保険者の相続財産とみなされます(みなし相続財産といいます)。
ポイント
- 保険金受取人が被保険者の相続人であった場合は相続で、そうでなかった場合は遺贈によって、この「みなし相続財産」を受け取ったものとされ、相続税が課税される可能性があります。
- ただし相続税には一定の基礎控除があるほか、相続人の受け取った生命保険金は一定額までは課税されない決まりもあるため、額によっては税負担がないこともあります。
パターン② 所得税が課税されるケース
保険料を負担していた契約者本人が、保険金を受け取った場合、この保険金は、契約者の一時所得とみなされます。
一時所得の計算方法
収入-収入を得るために支出した金額-特別控除(50万円)
「収入を得るために支出した金額」とは、この場合、支払った保険料の累計額です。
こちらの式で算出した一時所得を1/2した額が、その年のほかの所得と合算され、総合的に課税されます。
パターン③ 贈与税が課税されるケース
保険契約者と被保険者、保険金受取人のすべてが違う人の場合、受取人が受け取った保険金は贈与税の課税対象になります。
ポイント
- 保険金の出所は元をたどれば保険契約者のお金であり、この場合、そのお金を別の人が受け取っていて、かつそれが相続や遺贈ではないので、贈与であるとみなされるのです。
- 贈与税は、通常、贈与を受けた人(この場合、保険金受取人)がその年中に贈与された総額から、贈与税の基礎控除額110万円を差し引いて残った額に、税率を掛けて考えます。
満期金などを自分で受け取った場合は?
もうひとつ、別のパターンとして、満期金や解約返戻金に関していえば、保険契約者・被保険者・保険金受取人のすべてが同一人であるケースも考えられます。
この場合も、パターン②と同じく、受け取った満期金などを一時所得と考え、所得税の課税対象になります。
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生命保険の受取人になれる人は限られている
多くの保険会社では、原則として以下の人物でなければ受取人にはなれない、としています。
ポイント
- 配偶者
- 2親等以内の血族である親族
血族とは、直接血のつながりのある親族をいいます。
注意点
配偶者の兄弟姉妹などは、2親等以内ですが、血族ではない(配偶者の親族は「姻族(いんぞく)」といます)ため、範囲に含まれません。
複数人でもOK。いつでも変更できる
なお、受取人になれる立場の人であれば、複数人を受取人とすることが可能です。
注意点
- ただし、受取人が複数名いる場合、受け取りの際の手続きを複数名で行わなくてはなりません。
- また、保険会社によっては、支払いは代表者に対してのみ行われます。
- そのため、複数人に保険金を渡したい場合は、契約自体を複数に分けて行ったほうが、スムーズかもしれません。
契約時に決めた受取人は、その後、手続きを行えば変更することができます。
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他人(第三者)は受取人になれる?
まったくの他人(第三者)はモラルリスク(犯罪など保険が不適切に利用される可能性)の観点から保険金受取人になれないのが一般的でした。
しかし、近年、ライフスタイルが多様化し、上記にはあてはまらない「他人」だけれども、事実上は「家族」と呼んで差し支えない関係性を持つ人も少なくありません。
こうした人たちも、近年では、保険金受取人になることを認める保険会社が増えています。
事実婚・内縁関係の場合
実質的には結婚したような状態だけれども、法律上は婚姻をしていない状態を、「内縁関係」と呼びます。
ポイント
- 「事実婚」と内縁関係は同じ意味ですが、何か事情があって結婚しないのではなく、自分たちの意思であえて婚姻届を出していない状態を、内縁と区別して事実婚と呼ぶ人もいるようです。
- 事実婚・内縁関係でも、住民票には「夫(未届)」「妻(未届)」などという形で記載することが可能です。
事実婚・内縁関係のパートナーは、法律上の配偶者ではありませんが、保険会社は一定の条件で配偶者に相当するものとして、保険金受取人になることを認めるケースが多いです。
条件はおおむね、以下の3つです。
保険金受取人になるための条件
- 双方に配偶者がいないこと(別の人と法律上の婚姻をしていない)
- 同居していること
- 生計を同じにしていること
細かな点は保険会社ごとに規定があります。
たとえば同居の条件として一定期間以上の同居であることを定めていたり、必要な証明書類が指定されていたりするほか、訪問や面談をすることになっている場合もあります。
証明書類を求められる場合は、
- 戸籍謄本
- 住民票
が必要な場合が多いようです。
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同性パートナーの場合
近年、性的マイノリティの認知が広がる一方、諸外国のように同性婚が認められていないため、同性カップルに対して、自治体が独自に「パートナーシップ証明書」を発行するケースがあります。
ポイント
- 事実婚・内縁関係と同様に、同居しているかや、生計をともにしているかなど、パートナーとしての実態があるかを確認するプロセスを経て、受取人になることができます。
- 先に述べた自治体のパートナーシップ証明書があれば、参考にする保険会社もあると思われますが、パートナーシップ証明書はすべての自治体で発行されるわけではなく、法律上の効力もないため、あくまで参考資料にとどまるでしょう。
そのため、訪問や面談などが行われるケースが多いようです。
事実婚や同性パートナーが受取人になる場合の注意点
死亡保険金の非課税枠がない
事実婚・内縁関係や同性パートナーは、法定相続人になることができません。
注意点
- 通常、法定相続人である配偶者や親族が死亡保険金を受け取った場合、そのうち一定額は相続税の課税対象にならないという決まりがあります。
- 具体的には、法定相続人の数×500万円を限度とする非課税枠があり、相続人全体でこの額までは相続税が課税されません。
しかし、事実婚・内縁関係や同性パートナーは、たとえ保険金受取人であったとしても、相続人になれないため、この非課税限度額はありません。
※婚外子の父親が被相続人である場合、父親に認知されていれば法定相続分を有します。
生命保険料控除が使えない
生命保険に加入して、保険料を負担している人は、年間に払い込んだ保険料に応じて、生命保険料控除を受けることができ、所得税・住民税が抑えられる仕組みがあることは多くの方がご存じでしょう。
注意点
- 実は、生命保険料控除には「その保険金などの受取人がすべて、自分または自分の配偶者などの親族である場合」という条件があります(個人年金保険の場合は「年金の受取人が自分また自分の配偶者」)。
- この条件にあてはまらない保険契約は、保険料を負担していたとしても、生命保険料控除は使えないのです。
- つまり、保険金の受取人が、法律上の配偶者ではない、事実婚・内縁関係や同性パートナーであるときも、生命保険料控除は使えないことになります。
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受取人になれる人がいない場合は?
その他の親族
配偶者も2親等以内の血族もいない場合、その他の親族を受取人として指定できる場合があります。
ただし、経済上・生活上の結びつきがあった(どちらかが経済的に支援していたとか、同居していたなど)ことなどを条件とするケースが多いようです。
特別縁故者
具体的には以下のような人物などを指します。
特別縁故者になりえる人
- 亡くなった人と生計をともにしていた人
- 亡くなった人の療養看護に努めた人
- 亡くなった人と特別な縁故があった人
事実婚・内縁関係や同性パートナーもこれにあたりますが、身よりのない人が入居していた福祉施設の運営法人が特別縁故者と認められるケースなどもあります。
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受取人が被保険者より先に亡くなってしまった場合は?
被保険者からすると、保険金を残したい意図にそぐわないかもしれませんので、このような場合は、受取人を変更することを検討しましょう。
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まとめ
今回は生命保険の受取人についてお伝えしました。
生命保険の趣旨から、保険金受取人になれる人も限定されていますが、近年はライフスタイルの多様化を反映して、その制限も変わってきています。
今後も、社会のさまざまな変化に適応して、保険はその形を変えていくでしょう。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
・本コンテンツは商品の概要を説明しています。
・詳細は「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり/約款」を、通信販売の場合は、「パンフレット」「特に重要な事項のお知らせ/商品概要のご説明/ご契約のしおり抜粋」「ご契約のしおり/約款」を必ずご確認ください。
・弊社は本コンテンツの正確性、確実性、最新性及び完全性等に関して保証するものではございません。
・本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。
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