生命保険の給付金とは?保険金との違いや税金について徹底解説
生命保険は、死亡時や満期に支払われる「保険金」の他に、怪我や病気で入院・手術・通院が必要になった際に受け取れる「給付金」が保障内容に盛り込まれている場合もあります。
しかし、保険金と給付金の違いは曖昧なことも多く、多くの人はこれらの違いを理解していないのではないでしょうか。
また、「給付金に税金はかかるの?」「給付金を受け取れるタイミングは?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。
そこで、今回の記事では、給付金と保険金の違いや給付金の種類、給付金にかかる税金について解説します。
この記事の要点
- 1.給付金は入院や手術をしたときに被保険者に支払われ、主に治療のために使われ、何度でも支給され、支給後も契約は継続される特徴がある。
- 2.保険金(死亡保険金)は被保険者が死亡時に遺族に支払われ、支払い後に契約は消滅する。
- 3.病気やケガの治療を行う被保険者に支給される給付金は非課税となる。
- 4. 給付金と保険金の違いをしっかり理解した上で保険を選びたいなら、保険相談窓口で専門家に相談するのがおすすめ。
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生命保険の給付金とは?
保険会社の担当者やテレビコマーシャルなどで「入院したときには初日から入院給付金が受け取れます。」「万一、手術を受ければ手術給付金が受け取れます」といった説明を聞いたことがあるでしょう。
給付金の主な特徴は次のとおりです。
ポイント
- 被保険者が所定の状態に該当したときに支給される
- 給付金は契約者や保険金受取人ではなく、被保険者自身に支給される
- 給付金の支払いがあった後も、保険契約は継続する
- 給付金の種類によっては何度でも受け取ることができる
それぞれの特徴についてみていきましょう。
被保険者が所定の状態に該当したときに支給される
生命保険の給付金は、被保険者が契約時に決めた所定の状態(入院や手術など)に該当したときに支給されます。
契約内容が初日からの入院保障なら療養のために入院すれば「入院給付金」が、保険会社所定の手術をすれば「手術給付金」が支給されます。
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給付金は契約者や保険金受取人ではなく、被保険者自身に支給される
生命保険の給付金は、被保険者自身に支給されます。
入院保障付きの死亡保険に加入していた人が入院後に死亡した場合、死亡保険金は保険金受取人に対して支給されますが、入院給付金は遺族が被保険者に代わって請求することになります。
給付金の支払いがあった後も、保険契約は継続する
生命保険の給付金の支払いがあった後も、保険契約は継続します。
1入院に対する支払限度日数は商品によって60日、120日、180日などさまざまですが、保険契約自体は存続します。
ポイント
- 何度も入院して所定の通算支払限度日数に達すると保険契約は消滅します。
- 通算支払限度日数は1,095日など長期であるためこれを使い切るケースはめったにありません。
給付金の種類によっては何度でも受け取ることができる
生命保険の給付金は種類によっては、何度でも受け取ることができます。
1入院の支払限度日数が60日の入院保障では、継続して60日入院すれば支給はストップしますが、別の病気で入院した場合や退院日後180日を経過して再入院した場合は再度、入院給付金を受け取ることができます。
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保険金と給付金の違い
給付金と保険金はどちらも所定の支給事由が発生したときに支給されるので混同しやすいですが別のものです。
給付金と保険金の主な違いは次の3つです。
給付金と保険金の違い
- 生命保険の支給事由が違う
- 保険会社から支給されるお金の受取人が違う
- 支払い後の契約継続の有無が違う
それぞれについてみていきましょう。
生命保険の支給事由が違う
生命保険の給付金と保険金の違いの1つ目は支給事由です。
ポイント
- 給付金:支給事由は入院や手術、放射線治療など所定の治療を受けたこと
- 保険金:支給事由は死亡したときや満期になったこと
支給事由が違うため、給付金と保険金では活用方法も異なります。
給付金は主に被保険者の治療費用などに充てるために使われる一方、「死亡保険金」は被保険者死亡後の遺族の保障、「満期保険金」は満期後の資産として活用されます。
災害割増特約と傷害特約
災害割増特約と傷害特約はどちらも死亡保険の特約として付加され、不慮の事故や所定の感染症で死亡したときに死亡保険金額に加算されます。
ポイント
- 被保険者が不慮の事故や所定の感染症で死亡した場合に支給されるのは「災害死亡保険金」という保険金です。
- また、不慮の事故などで高度障害状態になったときは「災害高度障害保険金」という保険金が支払われます。
- しかし、不慮の事故で所定の障害状態になったとき、傷害特約からは障害の程度に応じた「障害給付金」という給付金が支給されます。
傷害特約では、被保険者が死亡・高度障害状態になれば保険金が支給され、被保険者が所定の障害状態になったときには給付金が支給されるのです。
傷害特約だけでなく生命保険全般(満期の場合などを除く)についても、生存して受け取るのが給付金、死亡・高度障害状態になったときに受け取るのが保険金という区分もできます。
保険会社から支給されるお金の受取人が違う
生命保険の給付金と保険金の違いの2つ目は、保険会社から支給されるお金の受取人です。
ポイント
- 給付金:受取人は実際に治療などを受けた被保険者
- 保険金:契約時に設定した死亡保険受取人や満期保険受取人
支払い後の契約継続の有無が違う
生命保険の給付金と保険金の違いの3つ目は、支払い後の契約が継続するかどうかです。
ポイント
- 給付金:給付金の支払い後も契約が継続する
- 保険金:保険金の支払いによって契約が消滅する
保険金は死亡や満期によって支給されますが、支給後に保険契約は消滅します。
介護保険と特定疾病保険
所定の要件に該当すれば、介護保険からは「介護保険金」、特定疾病保険からは「特定疾病保険金」という保険金が支給されます。
ただし、介護保険や特定疾病保険が特約で付加されている場合、特約は消滅しますが主契約は継続します。
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生命保険の主な給付金の種類
生命保険の給付金の種類は、保険会社によってさまざまで名称が同じでも保障内容が異なることもあります。
たとえば、一口に入院給付金といっても保障が始まる時期や給付日数なども異なります。
ポイント
- 保障開始:「日帰り入院から」「1泊2日の入院から」「入院5日目から」など
- 給付日数:60日、120日、180日など
生命保険の主な給付金の種類
生命保険の主な給付金の種類は下記のとおりです。
給付金が支払われる特約を記載しましたが、入院特約にセットになっていたり別途特約付加が必要であったり、保険会社によって取り扱いは異なります。
表は横にスライドできます
給付金 | 特約 | 給付内容 |
---|---|---|
入院給付金 | 災害・疾病入院特約 | 病気やケガで入院したとき、入院日数に応じて支給される。 |
手術給付金 | 災害・疾病入院特約 | 所定の手術を受けたとき支給される。手術の程度によって支給額が異なることもある。 |
長期入院給付金 | 入院特約・長期入院特約 | 入院が長期になったときに支給される。入院日数は125日以上、180日以上など。 |
通院特約 | 入院特約・通院特約 | 入院給付金の対象となる入院をし退院した後、通院したときに通院回数に応じて支給される。 |
生活習慣病入院給付金 | 生活習慣病入院特約 | 所定の生活習慣病で入院したときに支給される。 |
女性疾病入院給付金 | 女性疾病特約 | 子宮、乳房の病気など女性特有の病気などで入院したときに支給される。 |
がん入院給付金 | がん入院特約 | がんで入院したときに支給される |
がん診断給付金 | がん入院特約・がん診断給付金特約 | がんと診断されたときに50万円、100万円など所定の金額が支給される。再発時の取り扱いは保険会社によって異なる。 |
放射線治療給付金 | がん入院特約 | がんで放射線治療を受けたときに支給される。 |
抗がん剤治療給付金 | がん入院特約 | がんで抗がん剤治療を受けたときに支給される。 |
先進医療給付金 | 先進医療特約 | 保険の利かない先進医療を受けたときに支給される。上限は1,000万円、2,000万円など高額。 |
特定損傷給付金 | 特定損傷特約 | 不慮の事故により、骨折、関節脱臼、腱の断裂の治療をしたときに支給される。金額は1回につき5万円、10万円など。 |
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(参考)生命保険の主な保険金の種類
参考までに生命保険の主な保険金の種類を下に示しますので参考にしてください。
表は横にスライドできます
保険金 | 保険・特約 | 保険金の内容 |
---|---|---|
死亡保険金 | 定期保険・終身保険など | 被保険者が死亡したときに支給される。年金タイプで支給されるものもある。 |
高度障害保険金 | 定期保険・終身保険など | 所定の高度障害状態になったときに支給される。 |
災害死亡保険金 | 災害割増特約・傷害特約 | 不慮の事故や所定の感染症で死亡したときに死亡保険金額に加算して支給される。 |
リビング・ニーズの保険金 | 定期保険・終身保険など | 余命6ヶ月以内と判断されたとき、被保険者が請求すれば死亡保険金などの一部が前払で支給される。 |
介護保険金 | 介護保険(特約) | 介護が必要となる所定の状態になったときに一時金が支給される。年金タイプで支給されることもある。 |
特定疾病保険金 | 特定疾病保険(特約) | がん、心筋梗塞、脳卒中など所定の疾病に罹患したときに一時金が支給される。 |
上記以外にも養老保険が満期になったときの満期保険金などもあります。
給付金の受け取りに税金はかかる?
これまで解説してきた給付金では数十万円から数百万円の支給を受けるケースもあります。
給付金に対する課税と注意点について説明します。
治療のための給付金は非課税
治療のために受け取った給付金は非課税です。
実際の治療にかかった費用を上回る給付金を受け取ることもありますが、その場合も同様に税金はかかりません。
医療費控除の確定申告をするときは要注意
給付金に税金はかかりませんが、医療費控除の確定申告をするときは注意が必要です。
年末調整では控除を受けることができないため自分で確定申告する必要があります。
医療費の実質負担額が50万円で生命保険の給付金を受けていなければ医療費控除額は40万円ですが、入院給付金など40万円以上の給付金を受け取っていれば医療費控除は受けられません。
保険金には税金がかかるケースもある
給付金は非課税ですが、保険金には税金がかかるケースとかからないケースがあります。
具体的には、「高度障害保険金」や「リビング・ニーズの保険金」、「介護保険金」、「特定疾病保険金」です。
これらが非課税になる理由は、給付金と同様に所得税法施行令第30条の「非課税とされる保険金」に該当するからです。
一方、税金がかかる可能性があるのは「死亡保険金」と「災害死亡保険金」です。
死亡保険金などにかかる税金の種類は生命保険への加入形態により3パターンに分かれます。
契約形態 | 税金の種類 | 契約例 |
---|---|---|
契約者=被保険者 | 相続税 | 契約者、被保険者である夫が死亡し妻が受け取り |
契約者=死亡保険受取人 | 所得税 | 妻が死亡して契約者である夫が受け取り |
契約者、被保険者、受取人がすべて異なる | 贈与税 | 夫が契約者、妻が死亡して子どもが受け取り |
満期保険金についても所得税や贈与税がかかるケースがあります。
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まとめ
生命保険の給付金とは、所定の入院や手術をしたときに保険会社から支払われるものです。
被保険者が十分な治療を受けるために設けられたので、給付金は被保険者自身に支給され、給付金支払い後も契約は継続します。
また、同様の理由で給付金に対しては税金がかかりません。
保険金は被保険者が死亡した場合の遺族保障などを目的とするのに対し、給付金は被保険者が生きるために安心の医療を保障するものともいえます。病気やケガへの手厚い保障を望むなら、給付金の充実をメインとして保険設計をしましょう。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
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