医療保険の一時金はいくら必要?公的制度を踏まえて徹底解説
医療保険に加入している場合、入院日数に応じて「入院給付金」を受け取れます。
また、最近では日数に関係なく一時金としてまとまったお金を受け取れる「入院一時金」を採用する保険会社もあります。
しかし、入院給付金があれば、それで十分という気がしますが入院一時金は必要なのでしょうか。
今回は入院一時金にスポットを当てて、「入院給付金との違い」「メリット・デメリット」「いくらに設定するべきか」などについて解説します。
この記事の要点
- 1.入院日数が徐々に短くなっていることから考えると、入院給付金よりも一時金形式の方が多くの金額が受け取れる可能性は高まっています。
- 2.しかし、長期入院したときは受取額が少なくなることも考えられるため、一時金と給付金の両方が受け取れるような特約も検討する必要があるでしょう。
- 3.設定する金額はご自身の職業や差額ベッド代などの情報も加味して、一部は自己負担で賄うことも前提に柔軟に決めていきましょう。
- 4. 医療保険の加入する際は、保険相談窓口で専門家に相談し、納得したうえで加入することをおすすめします。
- 5. 保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」では、40社以上の保険商品から専門家があなたにぴったりの保険をご提案します。
この記事は5分程度で読めます。
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医療保険の一時金はなぜ必要?
そもそも、医療保険の一時金(入院一時金)とはどのような制度なのでしょうか。
医療保険の一時金とは
医療保険を選ぶとき、通院保障や手術の保障とあわせて重要になるのが「入院給付金(入院一時金)」です。
ポイント
- 医療保険に含まれる保障としては入院日数に応じて給付金が支払われる「入院給付金」のタイプが一般的です。
- ただし、入院1日目から30日・60日・180日など支払日数の上限が設定されているため無制限に受け取れるわけではありません。
- また、最近では短期日数でも「入院一時金」として受け取れるケースが増えています。
さらに入院日数に応じて給付金を受け取りたいというニーズもあるため「日額と一時金の両方が受け取れる」というタイプも存在します。
今回は医療保険の中でも入院一時金にスポットを当てて見ていきましょう。
ひとくちに入院一時金といっても、契約の種類によって以下の2パターンに分かれます。
入院一時金の内容
- 入院一時金が主契約になっている
- 入院一時金が特約になっている
それぞれについて解説します。
入院一時金が主契約になっている
1つ目は、入院した場合に入院一時金を受け取ることが主契約になっているタイプです。
ポイント
- 日帰り入院でも受け取りの対象になることが多く、30万円などのまとまった金額を受け取れる場合があります。
- 契約当初に決まった金額が支払われることになるため、契約時の金額設定を間違えないことが重要です。
- また、入院一時金を採用した医療保険を検討するなら、日帰り入院が対象になっているか確認しましょう。
詳しくは後述しますが、入院日数はどんどん短くなってきています。
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入院一時金が特約になっている
特約として入院一時金を選択することもできます。
ポイント
- 代表的な特約の例としては、「入院給付金が支払われない短期入院をカバーできる」といったものが挙げられます。
- 入院5日目から通常の入院給付金が給付される契約で4日以内の入院をした場合に備えて、入院一時金を受け取る特約を組める場合があります。
入院日数は徐々に短くなっている
入院一時金の必要性について考えるときには、入院日数が徐々に短くなっていることを理解しておく必要があります。
厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」によれば、施設の種類別にみた退院患者の平均在院日数の年次推移は以下のとおりです。
病院と一般診療所の総数(日) | |
平成29年 | 29.3 |
---|---|
平成26年 | 31.9 |
平成23年 | 32.8 |
平成20年 | 35.6 |
平成17年 | 37.5 |
平成14年 | 37.9 |
平成11年 | 39.3 |
平成8年 | 40.8 |
平成5年 | 41.9 |
出典:厚生労働省|平成29年(2017)患者調査の概況|11Pをもとに作成
平成5年と平成29年を比較すると、平均で12.6日も入院日数が短くなっていることが分かります。
注意点
入院日数に応じて受け取れる入院給付金の場合、短期の入院では十分な金額を受け取れない可能性があります。
入院が短期、あるいは日帰りでも一定額を受け取れる入院一時金の利用価値は、以前にもまして高まっているといえるのです。
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医療保険の一時金はいくら必要?
医療保険の一時金の金額は、契約時に契約者が決定します。
ここでは、一時金の金額を決めるためのヒントを解説します。
1入院の自己負担はいくら?
生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」によれば、直近の入院時の自己負担費用は以下のとおりです。
[集計ベース:過去5年間に入院し、自己負担費用を支払った人(高額療養費制度を利用した人+利用しなかった人(適用外含む))]
ポイント
- 5万円未満=7.6%
- 5~10万円未満=25.7%
- 10~20万円未満=30.6%
- 20~30万円未満=13.3%
- 30~50万円未満=11.7%
- 50~100万円未満=8.4%
- 100万円以上=2.7%
平均=20.8万円
あくまで全体の平均ですが、1入院につき20万8,000円がかかるという結果になりました。
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医療保険と高額療養費制度を考慮に入れる
70歳未満の人の医療保険の自己負担は3割(6歳(義務教育就学前)未満の人は2割)になりますが、さらに高額療養費制度を利用できます。
たとえば70歳未満の場合の高額療養費制度は以下のとおりです。
表は横にスライドできます
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当 |
---|---|---|
① 区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) | 252,600円+(総医療費※-842,000円)×1% | 140,100円 |
② 区分イ (標準報酬月額53万〜79万円の方) | 167,400円+(総医療費※-558,000円)×1% | 93,000円 |
③ 区分ウ (標準報酬月額28万〜50万円の方) | 80,100円+(総医療費※-267,000円)×1% | 44,400円 |
④ 区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) | 57,600円 | 44,400円 |
⑤ 区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) | 35,400円 | 24,600円 |
※総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。
出典元:全国健康保険協会|高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
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会社員は傷病手当金を受け取れる
会社員や公務員の場合、傷病手当金を利用できます。
注意点
- ただし、自営業者は国民健康保険に加入しており、傷病手当金を受け取ることができません。
- 専業主婦は会社員や公務員の扶養に入ることで同じ健康保険に加入できますが、傷病手当金は対象外です。
全額が自己負担の費用もある
入院にかかる費用のうち、治療に必要な費用は自己負担が3割以下になります。
一方で全額が自己負担のものもあります。たとえば「差額ベッド代」です。
厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」によれば、大部屋以外の少人数部屋や個室で必要になる差額ベッド代(平成29年7月1日現在)は以下のとおりです。
1日あたり平均徴収額(推計) | |
1人室 | 7,837円 |
---|---|
2人室 | 3,119円 |
3人室 | 2,798円 |
4人室 | 2,440円 |
個室や少人数部屋を希望する場合、この金額まで考慮に入れて入院一時金の額を検討する必要があるでしょう。
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医療保険の一時金のメリットとデメリット
医療保険の一時金を受け取ることについてはどのようなメリットとデメリットが挙げられるのでしょうか 。
まずはメリットから見ていきましょう。
メリット
短期入院でも決まった金額が受け取れるのが一時金のメリットです。
ポイント
- 入院日額1万円の医療保険で1週間の入院なら7万円が受け取れますが、入院1回あたり10万円の一時金を受け取れるタイプの医療保険のほうが多くの金額を受け取れます。
- 短期入院ではさらに差が顕著です。
- 入院日数が1日のみの場合は入院給付金で受け取れる金額は1万円ですが、一方の入院一時金では10万円を受け取ることができます。
デメリット
次にデメリットです。
長期入院した場合は一時金の額が不足する可能性がある
入院一時金のデメリットは、長期入院になればなるほど受け取る金額が相対的に少なくなることです。
注意点
- 厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」のデータより、平成29年の平均在院日数は29.3日です 。
- 30日として仮に平均通りの入院をした場合、1日1万円の入院給付金を受け取れる場合は30万円になりますが、入院1回10万円の一時金を受け取るタイプでは10万円しか受け取れません。
複数の入院が1回の入院とカウントされることも
治療の間同じ病院にいるとも限りません。途中で一度退院してもう一度入院するなどの可能性もあるでしょう。
注意点
- このようなケースで退院から同じ病気または関連する病気で再入院するまでの期間が一定未満(一般的に180日未満)の場合、1回の入院とカウントされます。
- 後半の入院と合わせて1回しか受け取れないことがあるため、注意が必要です。
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一時金が受け取れない医療保険とは
給付対象外の入院をしたとき
対象外の入院の例
一般的に入院一時金の支払い対象になるのは「治療のための入院」です。約款に定められた治療のための入院に限定されます。
以下のような入院の場合は医師から施術を受けるにしても「治療」ではないため、一般的に入院一時金は支払われません。
注意点
- 正常分娩
- 美容整形手術
- 抜歯・インプラント
- 疾病が原因ではない不妊手術
検査入院をしたときも対象外
健康診断や人間ドックで異常が見つかって、詳しく検査するために検査入院を指示されることがあります。
検査入院の目的はあくまでも「異常の検査」であり、治療目的の入院ではありません。
このような場合、入院一時金も入院給付金も支払いの対象外です。
※身体に異常があり、治療するにあたって検査が必要であるとの医師の指示で入院した場合は、支払の対象となる保険会社もあります。
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免責事由に該当した場合
保険会社が定める免責事由に該当した場合、入院一時金は支払われません。
たとえば、被保険者が泥酔したことが原因でケガをして入院・通院する場合等が該当します。
ポイント
- 契約者や被保険者の重大な過失によって入院・通院する場合は保険会社の支払いは免責になるのです。
- そのほか、台風などの自然災害や戦争・紛争なども免責事由に該当します。
告知義務違反があった場合
持病がある場合、保険に申し込む際の「告知」で知らせる義務があります。
注意点
- 故意に事実を告知しなかったケースでは入院給付金・入院一時金支払いの対象外です。
- たとえば、すでにがんに罹患している(疑いがある)ことを隠して保険を契約し、契約後にがんと診断されて入院するケース等です。
- この場合は一般的に契約が解除になり、入院給付金も支払われません。
また、保険金をだまし取る目的で事故を起こした場合や、反社会的勢力に資金を提供することが目的と認められた場合なども、当然に入院一時金は支給されません。
故意でなくても支払われない場合がある
故意でないとしても、契約時に正しく告知できていない場合は給付金が支払われない可能性があるため要注意です。
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