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国から支給される老齢年金は、老後生活を支える貴重な収入です。年金の受給額は、加入している年金の種類や保険料納付月数によって異なります。
老後に備えて、自分は年金をいくらもらえるのか把握しておくことは重要です。しかし、「具体的に月いくらもらえるのだろう」「収入によって年金額はどれくらい差があるのだろう」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、年金の平均受給額を年代・世帯・収入別に解説。併せて、受給額の計算方法や調べ方についてもまとめてご紹介します。
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目次
年金をいくらもらえるか知る前に受給資格を再確認
将来受け取れる年金の金額や種類は、職業によって異なります。
日本の年金は3つの階層から成り立っていますが、全ての人が3階分の年金を受け取れるわけではありません。年金の受給額を確認する前に、日本の年金制度についておさらいしましょう。
以下に、日本で一般的な年金と、その受給資格についてまとめましたので確認してみてください。
受給資格 | 受給開始時期 | |
国民年金※1 | 受給資格期間が10年以上ある場合 (平成29年8月1日に25年から短縮) | 原則65歳から (繰上げ受給や繰下げ受給も可能) |
厚生年金※2 | 国民年金を受け取れる方に厚生年金の加入期間がある場合 | 原則65歳から (繰上げ受給や繰下げ受給も可能) |
※1:日本年金機構「老齢基礎年金の受給条件・受給開始時期・年金額」より
※2:日本年金機構「老齢厚生年金の受給条件・受給開始時期・年金額」より
年金の受給資格は「国民年金」と「厚生年金」で異なるため、必ず確認しておきましょう。国民年金は受給資格期間が10年以上ある場合のみ受け取れます。
一方厚生年金は国民年金の受給資格がある方で、厚生年金に加入していた期間がある場合に受け取れます。
編集部
【番外編】年金がもらえない人はいる?
年金がもらえない人を一言でいうと、「年金を払っていない人」です。しかし厳密にはそれぞれの年金で条件があるため、知らないと「払ったのにもらえない」なんてことになりかねません。
種類別の条件は以下の表を確認してみてください。
【種類別】年金がもらえない人の条件
年金の種類 | 条件 |
国民年金 |
保険料納付済み期間と合算対象期間の合計が10年に満たない人 |
厚生年金 |
厚生年金の被保険者期間が1ヶ月以上ない人(または国民年金を受け取る資格がない人) |
参照:日本年金機構「老齢厚生年金の受給条件・受給開始期・年金額」より
基本的に国民年金の受給資格を満たしていない方は、厚生年金も受け取れません。また、自営業者やフリーランスなど厚生年金に加入していない人も受け取れないでしょう。
これらのことから、国民年金の保険料納付期間が10年に満たない人が受給できないといえます。国民年金の未納は他の年金受給資格にも関わるため、追納などの対応をとりながら支払いましょう。
年金の平均支給額と種類は働き方によって異なる
老齢年金の受給額は、現役時代の働き方によって大きく変わります。実際に年金を受給している方の支給額データをもとに、詳しく見ていきましょう。
老齢年金の基本的な仕組みと種類
国民年金と厚生年金の違い
老齢年金には、以下の2種類があります。
2種類の老齢年金
- 国民年金:全国民共通の年金制度
- 厚生年金:厚生年金加入者に支給される年金制度
国民年金は自営業者にも会社員にも支給されます。一方、厚生年金は会社員(厚生年金の加入者)のみが受給できる年金制度です。
なお、公務員の老齢共済年金は平成27年10月に老齢厚生年金に統合されました。
支給開始年齢と特別支給について
支給開始年齢は、国民年金も厚生年金も原則65歳からとなっています。
ただし、一定年齢以上の方については、65歳よりも前に特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
特別支給の老齢厚生年金がもらえる人
- 男性:昭和36年4月1日以前に生まれた人
- 女性:昭和41年4月1日以前に生まれた人
働き方別の年金平均受給額
会社員(厚生年金加入者)の場合
厚生労働省によると、会社員など厚生年金に加入している人の支給額は平均で月額14万7,360円です。
この金額には、次に紹介する国民年金も含まれています。
※保険料を25年以上納付した人を対象とした平均額
参考:厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 P8
自営業者(国民年金のみ)の場合
国民年金の支給額は平均で月額5万7,700円です。
厚生年金に加入したことのない自営業者は、国民年金のみの受給となります。会社員などの厚生年金加入者と比較すると、受給額は半分以下にとどまるのが現状です。
参考:厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 P19
老齢年金の平均支給額(月額)の推移と制度変更の影響
年度によって増減はありますが、最近の5年間の平均支給額(月額)推移を見ると、厚生年金と国民年金の支給額はやや減少傾向です。
表は横にスライドできます
厚生年金の支給額 | 国民年金の支給額 | |
令和元年度 | 14万6,162円 | 5万6,049円 |
令和2年度 | 14万6,145円 | 5万6,358円 |
令和3年度 | 14万5,665円 | 5万6,479円 |
令和4年度 | 14万4,982円 | 5万6,428円 |
令和5年度 | 14万7,360円 | 5万7,700円 |
参考:厚生労働省「令和5年 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
国民年金の受給額がやや増加している背景には、昭和61年の制度変更で専業主婦が年金制度に加入できるようになり、結果的に国民年金加入者が増えたことが一因として挙げられます。
一方で、厚生年金が減少している理由は大きく2つあります。
まず、「世代交代による影響」です。過去の制度変更により、新しく年金を受け取り始める人の給付水準が低く設定されているため、受給者全体の平均額が下がっています。
次に、「マクロ経済スライドによる調整」です。少子高齢化に対応するため、2004年から導入された制度により、年金額の伸びが継続的に抑制されています。この調整は2026年度に終了予定ですが、その後の年金額の見直しや新たな制度については今後の議論に委ねられることとなります。
編集部
\年金だけでは足りないかも…!/
国民年金と厚生年金の計算方法
次に、老齢年金の支給額の計算方法について見てみましょう。国民年金と厚生年金とでは計算方法が異なります。
国民年金の計算方法
国民年金の計算方法は次の通りです。
国民年金の計算方法
480か月(40年間)保険料を払った人の支給額は78万900円で、この金額を国民年金の満額(毎年改定)といいます。
計算基礎となる保険料納付月は、20歳から60歳までの国民年金被保険者期間が対象です。 厚生年金保険料を支払っていた会社員も、国民年金の被保険者です。
ポイント
- 第1号被保険者:自営業者など
- 第2号被保険者:会社員や公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者の被扶養配偶者(専業主婦など)
20歳から60歳まで40年間年金制度に加入し、35年分(420か月)の保険料を納付した人の国民年金の支給額は次の通りです。
参考:日本年金機構「老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」
保険料免除期間の計算方法
申請などによって保険料の払込が免除された期間については、納付月数を次の通りカウントします。
- 全額免除月:1/2か月
- 1/4免除月:5/8か月
- 半額免除月:6/8か月
- 3/4免除月:7/8か月
「学生納付特例」や「納付猶予制度」を利用して保険料を納付しなかった月については、納付月数は0ヶ月になります。
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厚生年金の計算方法
厚生年金(65歳未満の特別支給の老齢厚生年金を除く)の支給額は次の通りです。
厚生年金の計算方法
支給額=報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額
支給額の中心は「報酬比例年金額」です。「経過的加算」と「加給年金額」については、加算される人と加算されない人がいます。
報酬比例年金額の計算方法
報酬比例年金額は、厚生年金の加入月数と加入中の標準報酬月額などによって決まります。 また、支給額の計算方法は厚生年金に加入していた時期によって異なります。
ポイント
- 平成15年3月以前:平均標準報酬月額(※1)✕7.5/1,000✕平成15年3月以前の加入月数
- 平成15年4月以後:平均標準報酬額(※2)✕5.769/1,000✕平成15年4月以後の加入月数
※1:平成15年3月までの標準報酬月額の総額を加入月数で除して得た額
※2:平成15年4月以後の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入月数で除して得た額
平成15年3月以前については、毎月の「標準報酬月額」を基に厚生年金保険料や老齢年金の支給額が計算されます。
しかし、総報酬制導入により平成15年4月以後は、毎月の「標準報酬月額」に加え「標準賞与額」も加味した計算が必要です。
参考:日本年金機構「老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」
経過的加算の計算方法
日本年金機構「老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」では、経過的加算について次の通り解説しています。
「特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額から厚生年金保険の被保険者期間のうち昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の期間の老齢基礎年金相当額を算出し定額部分から差し引いたもの」
解説すると長くなるのと、20歳前や60歳以降に厚生年金保険に加入していなければ支給額は少額なので解説は省略します。
20歳前や60歳以降に厚生年金保険に加入していた人の経過的加算額は、20歳前や60歳以降の加入月数に1,628円を乗じて概算できます。
加給年金額の計算方法
加給年金は、厚生年金保険に20年以上加入した人が、65歳のとき扶養する配偶者や子がいるときに加算されます。加算額は次の通りです。
加給年金額の計算方法
- 配偶者:39万500円(令和3年度、昭和18年4月2日以後生まれの人)
- 子ども:1人22万4,700円(令和3年度、3人目以降は1人7万4,900円)
すでに年金を受給している厚生年金の加入期間が20年以上の配偶者は、加給年金の対象外です。また、配偶者に対する加給年金は、配偶者が65歳になり国民年金を受給するようになると支給停止されます。
子どもに対する加給年金は、高校卒業前までの子ども(または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子ども)が対象です。
厚生年金の支給額の計算方法を解説しましたが、国民年金とは異なり全て自分で計算するのは困難です。
編集部
\年金だけでは足りないかも…!/
年金支給額の平均はいくら?【年代・年収別】
【年代別】年金支給額の平均
老齢年金の支給額は年代別で異なります。前述の「老齢年金の支給額の推移」で解説した通り、次の傾向があります。
ポイント
- 国民年金の平均支給額は若い世代ほど高い
- 厚生年金の平均支給額は年齢が上がるにつれて多くなる
令和3年度のデータに基づく、65歳から80歳までの年代別の老齢年金支給額(平均月額)は以下の通りです。
表は横にスライドできます
厚生年金(※1) | 国民年金(※2) | |
65歳 | 14万5,876円 | 5万9,599円 |
66歳 | 14万8,285円 | 5万9,510円 |
67歳 | 14万9,205円 | 5万9,510円 |
68歳 | 14万7,862円 | 5万9,194円 |
69歳 | 14万5,960円 | 5万8,972円 |
70歳 | 14万4,773円 | 5万8,956円 |
71歳 | 14万3,521円 | 5万8,569円 |
72歳 | 14万2,248円 | 5万8,429円 |
73歳 | 14万4,251円 | 5万8,220円 |
74歳 | 14万7,684円 | 5万8,070円 |
75歳 | 14万7,455円 | 5万7,973円 |
76歳 | 14万7,152円 | 5万7,774円 |
77歳 | 14万7,070円 | 5万7,561円 |
78歳 | 14万9,232円 | 5万7,119円 |
79歳 | 14万9,883円 | 5万7,078円 |
80歳 | 15万1,580 円 | 5万6,736円 |
このように年代別に見ると、厚生年金は年齢とともに増加傾向にあり、特に70歳以上になると徐々に高くなります。一方で、国民年金の支給額はほぼ一定であり、若い世代でも支給額に大きな差は見られません。
※1:支給額は老齢基礎年金額を含む ※2:対象は会社員など老齢厚生年金加入者を含む
参考:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」P25
【年収別】年金支給額の平均
年収別の老齢年金の支給額については、統計資料がありませんので、年収を数パターン設定してシミュレーションします。試算の対象は厚生年金に加入する会社員などです。
自営業者はいくら年収が高くても、受給できるのは国民年金(満額でも月額6.6万円弱)のみです。年収別に厚生年金の支給額を試算します。試算の前提条件は次の通りです。
試算の前提条件
- 平成15年4月以後、厚生年金に40年間(480か月)加入
- 賞与なしで標準報酬月額は年収/12か月とする
- 40年間、年収が変わらないものとする
厚生年金の支給額は、「平均標準報酬月額✕5,769/1,000✕加入月数(480か月)」で計算できます。
年収 | 標準報酬月額 | 厚生年金の支給額 |
240万円 | 20万円 | 約55万円(約4.6万円) |
360万円 | 30万円 | 約83万円(約6.9万円) |
480万円 | 40万円 | 約111万円(約9.2万円) |
600万円 | 50万円 | 約138万円(約11.5万円) |
720万円 | 60万円 | 約166万円(約13.8万円) |
※()内は支給額の月額
年収500万円前後で40年間加入した場合、厚生年金の支給額(月額)は約10万円になります。国民年金の支給額が6.6万円であるため、合わせて約16.6万円の支給となります。
編集部
夫婦2人の年金支給額はいくらになる?
老後生活を夫婦2人で過ごすと仮定すると、2人の老齢年金の合計金額が気になるところです。夫婦で支給額はいくらになるかについて見ていきましょう。
夫婦の支給額は加入する年金制度で大きく異なる
年金の支給額は1人1人異なるため、単純にいくらとは言えません。特に、厚生年金に一定期間加入していたかどうかが支給額に大きく影響します。 前述しましたが、老齢年金の平均支給額は次の通りです。
老齢年金の平均支給額
- 厚生年金の支給額:月額14万4,982円
- 国民年金の支給額:月額5万6,428円
この平均額を使用すると、年金制度の加入状況別に夫婦の支給額は次の通りです。
夫の老齢年金 | 妻の老齢年金 | 夫婦の合計支給額 |
14万4,982円 (厚生年金) |
14万4,982円 (厚生年金) |
28万9,964円 |
14万6,162円 (厚生年金) |
5万6,428円 (基礎年金) |
20万2,590円 |
5万6,428円 (基礎年金) |
5万6,428円 (基礎年金) |
11万2,856円 |
夫婦とも厚生年金の平均額をもらっていれば、年金収入は月30万円近くになるので老後の生活はなんとかなるかもしれません。 しかし、夫婦とも厚生年金未加入で国民年金の平均額なら、年金だけでは家計の大幅な赤字が予想されますね。
夫婦の支給額合計は平均22万円
総務省の「家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の社会保障給付費は約22万円です。さまざまな社会保障給付が考えられますが、ほとんどが老齢年金とみていいでしょう。 令和5年の家計収支は次の通りです。
引用:総務省「家計調査報告2023年(令和5年)平均結果の概要・P18」
老後の家計収支を見ると、令和5年は3万7,916円の赤字です。
老後2,000万円問題の根拠は?
- 老後2,000万円問題が話題となったのは、「2017年家計調査」では家計収支が月5万4,519円の赤字だったからです。
- 毎月の赤字が30年間続くと仮定すると赤字額の合計は1,962万円となるため、老後資金として2,000万円が必要だというものです。
令和2年の家計収支に黒字転換したので安心かというと、そうではありません。令和2年は新型コロナウイルス感染症による影響で消費支出が減少する一方、特別定額給付金による収入が増えたことが黒字転換の要因です。
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実際に必要な老後資金はいくらか知っておこう
「年金がいくらもらえるかはなんとなくわかったけれど、実際生活するにはいくらかかるのだろう」と悩んでいる方もいらっしゃいますよね。
具体的な金額は各家庭によって異なりますが、統計データを確認しながら大体の目安をつけておくことが大切です。
以下に65歳以上の1人世帯・2人世帯の資金について、生活費ベースで算出しましたので確認してみてください。
費目 | 1人世帯 | 2人世帯 |
食料 | 40,103円 | 72,930円 |
住居 | 12,564円 | 16,827円 |
光熱・水道 | 14,436円 | 22,422円 |
家具・家事用品 | 5,923円 | 10,477円 |
被服及び履物 | 3,241円 | 5,159円 |
保健医療 | 7,981円 | 16,879円 |
交通・通信 | 15,086円 | 30,729円 |
教育 | 0円 | 5円 |
教養娯楽 | 15,277円 | 24,690円 |
その他支出 | 30,821円 | 50,839円 |
合計 | 145,430円 | 250,959円 |
※参照:総務省統計局「家計調査 家計支出編(年次間)2023年」より
総務省の調査によると、65歳以上の1人世帯の月間支出額合計は14万5,430円、2人世帯は25万959円という結果が出ました。世帯ごとの変化は食費や税金などの非消費支出が大半であることがわかります。
年間の金額に変えると、1人世帯がおよそ175万円で2人世帯がおよそ300万円です。
今からできる!老後資金の準備方法6選
年金額を実際に算出できた方の中には「年金額が少ない」と感じた方もいらっしゃいますよね。金額を見て物足りなさを感じた方は老後の不安が一気に押し寄せているのではないでしょうか。
そこで以下では貰える年金が少ないな、不安だなと感じた時の対処法を紹介していきます。これから学び、実践していけば老後に備えられるので実践してみてください。
老後資金に不安と感じた時の対処法
❶民間の保険で備える
「投資はリスクが高く心配」「預金は金利が低くて物足りない」と考えている方は保険で備えることをおすすめします。なぜなら投資より低リスクで、預金より高利率の成果を期待できるからです。
老後の資産形成に備えられる保険
- 終身保険
- 養老保険
- 個人年金保険
具体的に老後の資産形成に活用できるのは上記3つの保険になります。終身保険や養老保険は死亡保障が付いているため、「万が一に備えながら解約返戻金や満期保険金で老後に備えたい」という方は検討してみましょう。
また、個人年金保険は公的年金制度で不足している年金受給額を補填する任意加入の保険です。掛け金や受給希望額はご自身で選択できるため、不足している金額分追加で加入されることをおすすめします。
編集部
❷NISAやiDeCoなどで事前に備える
NISAとiDeCoは、金融庁が老後の資産形成のツールとしておすすめしているものです。
NISAは、年間最大360万円まで非課税で投資できるつみたて投資枠が設けられており、長期的な資産形成を目的とした積立投資が可能です。金融庁が認定した投資信託やETFが対象で、安定した資産運用を目指せます。
また、iDeCoは3階建の年金制度の3階部分にあたるもので、退職後の年金をご自身で用意できる制度です。税制優遇を受けながら資産を積み立てることができます。
もちろん投資のため、全くリスクがないわけではありません。しかし、資産運用の中では比較的低リスクで始められるため、長期投資を前提に銘柄を選定してみましょう。
出典:
・NISA特設ウェブサイト|金融庁
・iDeCoの概要 |厚生労働省
❸銀行預金を活用する
「流動性の高いところで準備したい」「投資や保険は手数料がもったいない」と考えている方は銀行預金を活用しましょう。預けたお金はいつでも引き出せるため、急遽お金が必要になった時でも対応できます。
しかし、銀行預金は流動性が高い分、個人によっては必要な金額が貯まらない可能性も考えられます。そのようなときは普段利用する口座とは別の口座を開設するなどの対策が必要になるでしょう。
❹会社員や公務員は財形貯蓄を活用する
会社員や公務員で財形貯蓄制度が整っている会社に属している方は、本制度を利用してみましょう。給与から天引きで貯蓄に回されるため、管理に手間がかかりません。
財形貯蓄は早期解約による元本割れのリスクもありますが、退職時や長期間保有してから計画的に解約すれば元本以上の返戻金を受け取れます。有効な貯蓄手段になるため、検討してみましょう。
❺個人事業主は小規模企業共済を活用する
小規模企業共済とは中小企業の役員や個人事業主が加入する年金制度のことを指します。退職や倒産時の補填に加入される方が多い制度です。
個人事業主や中小企業の役員は会社員と比較して加入している年金制度が少ないです。そのため、小規模共済などに加入して自助努力で年金問題を解決していかなければなりません。
編集部
❻定年後も働く
定年を迎えた時に健康な方は、定年後も働くという選択肢があります。定年後も再雇用などで働き続けて厚生年金の保険料を支払うことで、将来の年金受給額を増やすことができるのです。
職種や働き方によっては定年前より収入は減少する可能性はありますが、リタイア後の年金額が増えることで老後資金の不安を解消できるでしょう。
中には定年年齢を引き上げている会社もあるため、現在勤めている会社の定年が何歳か、引き上げの可能性があるかなど調査してください。
老後に備えられる3つの保険とは
年金の計算ができると、問題点が浮き彫りになります。中には「年金だけでは不安」と感じている方もいらっしゃるでしょう。 そこで以下では年金対策になる生命保険を3種紹介します。
年金だけでは不安に感じている方は、参考にしてみてください。
個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金の不足分を補うために設計された保険で、年金対策として最も一般的な選択肢といえるでしょう。この保険は以下の3つの種類に大きく分けられます。
種類 | 概要 |
確定年金 |
|
終身年金 |
|
有期年金 |
|
基本的にはこれらの中から自分に合った保障を選ぶことになります。相談をスムーズに進めるために、事前に概要を確認しておくとよいでしょう。
編集部
終身保険
終身保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態になったときにお金が受け取れる保険です。死亡保険に分類される保険ですが、年金対策としても活用できます。
ただし、元本以上の解約返戻金を受け取りたい場合は、長期間の契約が前提になります。短期間で解約してしまうと元本割れしてしまうため、注意が必要です。
変額保険
変額保険とは、運用実績に応じて保険金や解約返戻金が増減する保険のことです。死亡時には死亡保険金と運用による変動保険金が受け取れ、解約時には解約返戻金が受け取れます。
同保険は「有期型」と「終身型」に分類され、ニーズに合わせて保険期間を選べることも特徴的です。有期型を選択した場合は、契約満了時に満期保険金(基本保険金額+運用による成果)が受け取れます。
編集部
年金額に関するよくある質問
まとめ:年金額を理解し、老後に備えよう
今回は、「具体的に老齢年金はいくらもらえるのだろうか」と疑問をもつ方に向けて、年代・世帯・年収別の老齢年金の平均支給額と計算方法をご紹介しました。
老齢年金は国民年金と厚生年金があります。自営業者など厚生年金に加入したことのない人は、国民年金しかもらえません。 会社員など厚生年金に関しては国民年金に加え、厚生年金をもらえます。
保険料を25年以上納付した人の老齢年金の平均額は次の通りです。
ポイント
- 厚生年金の支給額:月額14万6,162円(老齢基礎年金額を含む)
- 国民年金の支給額:月額5万6,049円(対象は会社員など厚生年金加入者を含む)
老後に夫婦でもらう年金額は、2人が厚生年金に加入していたか国民年金に加入していたかで大きく異なります。
編集部
老後の家計収支で大幅な赤字が見込まれる場合、老後資金を多めに積み立てたり65歳以降も仕事を続けたりするなど対策が必要です。
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。 ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。 また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
生命保険の業界歴10年。年間500世帯の相談実績。 社会保険・税金の効率化、家計・固定費の見直し、保険の新規加入・見直し、住宅購入・住宅ローン、資産形成・老後の年金対策・少額投資(iDeCo・NISAなど)、不動産投資と幅広い分野に精通。