生命保険とは、病気やケガなど生活上のリスクに備えるための保険で、定期保険や終身保険など、さまざまな種類があります。
種類によって保障内容や保険期間が異なるため、まずは生命保険の基本を理解し、自分のライフスタイルに合った保険を選ぶことが大切です。
今回は生命保険の種類や目的、保障内容などの基本から、メリット・デメリット、おすすめな人の特徴までをわかりやすく解説します。
生命保険に関するまとめ
- 生命保険とは、大勢の契約者が保険料を出し合うことで、被保険者に万が一の事態が起こった場合にその保険料から保険金・給付金などを支払う仕組みのことです。
- 生命保険は種類によって『一定期間の保障が手厚い』『終身で保障が受けられる』『年金形式で保険金を受け取れる』など特色が異なります。
- そのため、保険の知識があまりない人が最適な保険を自分で選ぶのは難しいでしょう。そこでおすすめなのが、保険相談窓口の利用です。
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生命保険とは?仕組みをわかりやすく解説
生命保険は、自分に万が一のことが起きた際に、残された家族の生活費を確保したり、自分の病気やケガの治療費、さらには介護が必要になった場合の介護費用をカバーすることを目的に加入するものです。
では、生命保険はどのような仕組みで成り立っているのか、また、生命保険の加入目的や実際の加入率について詳しく見ていきましょう。
生命保険の仕組み
生命保険は、多くの加入者がそれぞれ保険料を出し合い、その中の誰かが万が一の事態に遭遇したときに、まとまったお金(保険金や給付金)を受け取れる仕組みです。
この助け合いの仕組みを「相互扶助」と呼びます。
編集部
生命保険への加入目的
生命保険に加入する際には、その目的を明確にしておくことが大切です。
日常生活では、死亡や病気、ケガ、介護などのリスクが常に存在し、それらは誰にでも起こり得ます。
生命保険の主な加入目的
- 万が一の際に、遺された家族の生活費や教育費を支えるため
- 病気やケガによる経済的なリスクに備えるため
- 老後資金を準備するため
このように、日々の生活の中にある「もしも」や「万が一」に備えるのが生命保険の役割なのです。
生命保険の加入率
生命保険は生活の中におけるリスクに備えるために必要なものですが、実際にどれくらいの人が加入しているのでしょうか。
生命保険文化センターの2022年度『生活保障に関する調査』によると、約8割の人が何らかの生命保険に加入していることがわかります。
編集部
さらに、性別・年齢別の加入率を以下にまとめましたので参考にしてください。
年代 | 男性の加入率(%) | 女性の加入率(%) |
20代 | 46.4 | 57.1 |
30代 | 82.5 | 82.8 |
40代 | 86.1 | 86.3 |
50代 | 86.9 | 87.8 |
60代 | 85.8 | 86.5 |
※生命保険会社、郵便局、JA、県民共済・生協などの生命保険や生命共済(個人年金保険やグループ保険、財形は除く)の加入率
20代では男女共に6割弱ですが、30代以降は8割以上という高い加入率となっています。このことから、年齢を重ねるほど生命保険への加入の必要性を感じている人が多いことがわかります。
生命保険の4つの種類と目的
ひとくちに生命保険といっても、保険の種類は以下のように大きく4つに分けられます。
ここでは、これら生命保険の種類ごとの特徴と目的について解説します。
❶死亡保険
死亡保険とは、保険の対象になる人(被保険者)が死亡または約款に定められた高度障害状態になった場合に保険金が支払われる保険です。
大きく分けると以下の3つの保険があります。
死亡保険の種類
- 定期保険
- 収入保障保険
- 終身保険
それぞれについて解説します。
定期保険
定期保険とは、保障の期間が決められている保険です。
編集部
定期保険のなかでも以下の3種類に分けられます。
定期保険の種類
- 保険金額が保険期間中一定で変わらない「定額タイプ」
- 一定期間ごとに保険金額が減っていく「逓減(ていげん)タイプ」
- 保険金額が増えていく「逓増(ていぞう)」タイプ
保険料が戻らないため保険料は割安で、同じ保険料で大きな保障が得られるのがメリットです。
収入保障保険
収入保障保険は定期保険と同じ掛け捨ての保険ですが、保険期間中に死亡した場合は契約時に定めた保険期間満了時まで年金形式で保険金を受け取れます。
収入保障保険の特徴
- 年金を受け取れる「保険期間満了」の時期が決まっているのが特徴で、死亡した時期によって受け取れる保険金の総額が変わります。
- 加入して日が浅い段階で死亡するほど多くの保険金が受け取れますが、逆に保険期間満了ぎりぎりに死亡した場合は受け取れる保険金は少なくなります。
編集部
終身保険
終身保険とは、文字通り保障が一生涯にわたって継続する保険です。
終身保険の特徴
- 契約している間に被保険者が死亡した場合保険金が支払われます。
- また、保険料の一部が積み立てられるため、解約時にも解約返戻金として受け取れるのが定期保険とは異なるメリットです。
ただし、解約返戻金を受け取れる分だけ、同じ保障を得るにしても定期保険よりは保険料が割高になります。
また、保険料の払込方法には以下の2種類があります。
終身保険の払込方法
- 一定年齢または一定期間で満了する「有期払込タイプ」
- 一生涯払い続ける「終身払込タイプ」
❷生存保険
生存保険は、被保険者が保険期間満了後に生存していた場合に保険金などが支払われるタイプです。
主に、以下の2つの保険があります。
生存保険の種類
- 学資保険
- 個人年金保険
それぞれについて解説します。
学資保険
子どもの将来の学費準備を目的とした保険です。
学資保険の特徴
- 子どもの入学や進学に合わせて祝い金や満期保険金を受け取ることが可能で、契約者(親)が死亡した場合はそれ以降の保険料支払いが免除されます。(保険料払込免除特約が付加されている場合)
- 確実に将来の教育費用を貯めたい場合に有効です。
- 保険会社によっては特約を付加することで、被保険者の子どもが病気やケガで入院した場合に入院給付金を受け取れるタイプもあります。
個人年金保険
個人年金保険は老後資金の準備を目的とした保険です。
個人年金保険の特徴
- 契約時に定めた年齢から保険金を受け取れます。
- 受け取る期間は保険の種類によってもさまざまで、保険開始前に死亡した場合、それまでに払い込んだ保険料に相当する程度の死亡保険金が支払われます。
年金の受取方法は、以下の3つに大別されます。
確定年金 | 契約時に定めた一定期間は生死に関係なく年金を受け取れる |
保障期間付 有期年金 |
保障期間中は生死に関係なく年金を受け取れる。そのあとは契約時に定めた期間中に被保険者が生存しているときに限って年金を受け取れる |
保障期間付 終身年金 |
保障期間中は生死に関係なく年金を受け取れる。そのあとは被保険者が生存している間は一生涯にわたって年金を受け取れる |
❸生死混合保険
生死混合保険とは、死亡保険と生存保険が組み合わさった保険を指します。
編集部
養老保険
養老保険は被保険者が保険期間内に死亡または所定の高度障害状態になった場合には死亡保険金を受け取ることができ、保険期間満了後に生存していた場合には満期保険金が受け取れる保険です。
さらに、保険期間中に解約した場合には解約返戻金を受け取ることができます。
注意点
ただし、養老保険は一般的に保険料が高くなりやすいため、大きな保障を用意するのは難しい点がデメリットといえるでしょう。
一方で将来受け取る金額が決まっているため、老後資金の計画を立てやすいメリットもあります。
❹その他の保険
生命保険には、死亡保険、生存保険、生死混合保険などが一般的ですが、それらに該当しない保険も存在します。例えば、医療保険、がん保険、介護保険などがそれにあたります。
その他の保険の種類
- 医療保険:病気やケガで入院したり手術を受けた際に給付金を受け取れる
- がん保険:がんと診断されたときに保障が得られる
- 介護保険:病気やケガで働けなくなった場合の生活費を補填する
- 就業不能保険:介護が必要になった際の費用を補填す
これらの保険は、所定の病気やケガ、介護が必要な状況になった際に、保険金が支払われる保険です。一般的に「第三分野保険」とも呼ばれています。
生命保険の主な保障内容
生命保険の主な保障内容は以下の4つです。一つずつ解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
❶死亡保障
死亡保障とは、被保険者が亡くなった場合に死亡保険金を受け取れる保障のことです。
編集部
死亡保障付きの保険を契約していない家庭で稼ぎ頭である人が亡くなると、収入がなくなり残された家族の金銭的な負担が大きくなってしまうことも考えられます。
死亡保障を備えた保険に加入することで、そのような万が一のリスクに備えることができます。
❷医療保障
医療保障とは、入院時、通院時、手術時などに給付金を受け取れる保障のことです。
注意点
ケガや病気で入院・手術をした際にかかる医療費は公的な医療保険で自己負担は3割以下になりますが、差額ベッド代や食費、家族の交通費などは全額が自己負担になります。
また、長期間働けないことで本来受け取れるはずだった収入が減ってしまう「逸失収入」も考えられます。
編集部
❸がん保障
がん保障とは、がんと診断されて入院・手術をした場合に給付金を受け取れる保障のことです。
がん保障の内容例
- がんと診断されただけで受け取れる「診断給付金」
- 放射線治療・抗がん剤治療などを受けた場合に受け取れる給付金 など
編集部
❹就業不能保障
就業不能保障とは、病気・ケガなどが原因で働けない場合に、就業不能給付金を受け取れる保障です。
就業不能保障が必要な理由
- 病気やケガの治療費を保障してくれる医療保障では長期間働けないときの保障は受けられないため、就業不能保障も併せて検討する必要があります。
- 特に国民健康保険に加入している個人事業主は会社員のように「傷病手当金」を受け取れないため、働けなくなるとすぐに収入が少なくなるリスクがあります。
個人事業主においては、会社員と比較して就業不能保障の必要性は高まるでしょう。
生命保険のメリット・デメリット
生命保険のメリット
生命保険に加入することで、いくつかのメリットが得られます。
生命保険のメリット
- 貯蓄でカバーしきれない経済的リスクに備えられる
- 所得税や住民税の負担を軽減できる
- 相続税対策ができる
まず、生命保険は貯蓄だけではカバーしきれない経済的リスクに備える手段として利用できます。突然の病気や事故で亡くなった際に、保険金が支払われ、遺族に財政的な安心感を提供します。
また、生命保険の保険料は税制優遇の対象です。支払った保険料が所得から差し引かれることで、税金の負担を軽減できます。
さらに、生命保険は相続税対策にも役立ちます。遺産を相続する際、相続税の負担を軽減するために、生命保険は有効なツールとしてよく利用されます。
編集部
生命保険のデメリット
一方、生命保険に加入することでいくつかデメリットもあります。
生命保険のデメリット
- インフレによるリスクがある
- 途中解約すると元本割れのリスクがある
生命保険はインフレーション(物価上昇)により将来の保険金や支払額が価値を維持できなくなる可能性があるため、長期の契約では注意が必要です。
また、途中解約時に初期支払いが手数料や費用として差し引かれ、元本が減少することがあります。そのため、短期間で契約を解約すると、支払った保険料よりも多くの損失を被ることがあります。
編集部
生命保険の加入をおすすめする人・しない人
生命保険については「不要論」も存在します。
編集部
ここでは生命保険が必要性が高い人、低い人の特徴を紹介します。
生命保険の必要性が高い人の特徴
扶養する家族がいる人
独身の人は必ずしも生命保険は必要ないかもしれませんが、扶養する家族がいる場合は生命保険の必要性は高くなります。
注意点
- 残された家族は遺族年金を受け取ることができますが、それでも老後に年金を受け取り始めるまでに必要な生活費の全額を受け取れるわけではありません。
- 遺族基礎年金の金額は年間で100万円前後、遺族厚生年金を受け取れる人でも合計で150万円前後になることが一般的です。
- 残された家族の生活費や子どもの教育費まで考えると、不足すると考えるのが自然です。
他方、収入のない主婦(夫)が亡くなるとしても、残された片親が仕事と家事・育児に取り組むなかで自由に利用できるお金を用意する必要性は高いといえます。
将来の資金に不安がある人
老後資金や子どもの教育費など、将来の生活の準備をしていくにあたってどうしても必要になるのが「お金」です。
ポイント
例えば、万が一のことが起こった場合でも定期保険であれば1,000万円以上のお金を一度に受け取れるほか、収入保障保険では毎月5万円、10万円などの一定金額を保険期間満了時まで受け取ることもできるのです。
遺産を確実に渡したい人
もし生命保険が不要だと思っていても、有効に利用できることもあります。
たとえば「自分に万が一のことが起こった際に受取人に確実に遺産を渡したい場合」です。
ポイント
- 遺産相続は遺言がないと遺族同士で揉めてしまうことがあり、結果として意図したとおりに遺産分割が進まないことも考えられます。
- 生命保険であれば契約時に受取人を指定できるため、特定の人に受け取ってほしい金額を確実に残すことができます。
生命保険の必要性が低い人の特徴
お金が十分にある人
すでに貯蓄などでお金が十分にある人の場合は、万が一のことがあってもそこからお金を捻出すれば良いため、生命保険は必ずしも必要ではありません。
ポイント
- 貯蓄の手段は普通預金や定期預金に限るわけではありませんが、いざというときに必要なお金を手元に用意できることが条件です。
- つまり、値動きが激しい投資商品は不向きといえます。
編集部
両親が十分にお金を持っている場合
もし独身の被保険者に万が一のことがあった場合、両親が生存していることがあります。
ポイント
- 将来自分が両親の面倒を見たいと思っていても、死亡してしまったら両親は自分たちで自分の面倒をみることになります。
- 多くの場合、介護施設などに入居することになるでしょう。
- 両親に十分なお金があれば、介護施設への入居費や老後の生活資金の心配は少ないでしょう。
- 子どもが生命保険を使って残しておく必要性は低いでしょう。
編集部
お金を使わずにとっておける人
普通預金などはいつでも現金として引き出せるため、万が一のときにもすぐにお金を用意できますが、意思が強くないと普段の生活でついつい使ってしまう可能性も否定できません。
一方で生命保険という形で備えておけば、解約しない限りは万が一の際にお金を受け取れます。
ポイント
意思の強さに自信があり、「貯金で十分」と思うのなら、生命保険という形でなくても良いでしょう。
独身の人
子どもがいる世帯では「教育資金」「養育費用」などを含めて大きな金額が必要になりますが、生涯独身の人の場合は自分のため以外のお金がなくても困りません。
そのため、「独身の人には生命保険はいらない」という意見をよく耳にする人も多いでしょう。
万が一の際に親に迷惑をかけたくないとしても、葬式費用など最低限の金額を確保できていれば良いため貯金でも十分ともいえます。
生命保険に関するよくある質問
生命保険は『相互扶助』という仕組みでできています。加入している多数の人がそれぞれ保険料を出し合い、保険金や給付金が必要になった加入者が必要なときにお金を受け取れる仕組みです。
まとめ
今回は、生命保険の主な仕組みや保障内容、選び方について簡単にわかりやすくご紹介しました。生命保険とは、大勢の契約者が保険料を出し合うことで、被保険者に万が一の事態が起こった場合にその保険料から保険金・給付金などを支払う仕組みのことです。
生命保険は主に、以下の4つの種類に分けられます。
生命保険の種類
- 生存保険: 生存時に給付がある保険
- 死亡保険: 死亡時に保険金が支払われる保険
- 生死混合保険: 生存時と死亡時の両方に保障がある保険
- その他の保険: 上記以外の保険
生命保険の必要性は個々人の貯蓄状況や家庭の状況によります。万が一の場合にどれだけの保障が必要かを計算し、適切な保険を選びましょう。
編集部
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。