厚生労働省の調査によると、がんの患者は全国に178万人程度いると言われています※。
がんにかかると、多額の治療費がかかるイメージがありますが、実際のところどうなのでしょうか?
もし多額の治療費負担があるのだとすれば、がんにどのように備えるべきなのか、またがん保険に加入する以外になにか対策はあるのか知っておくべきです。
本記事では、最新データに基づいたがん治療費の平均自己負担額を紹介。がん保険と一緒に検討できる公的制度も紹介します。
この記事の要点
-
がんの治療費は、がんの種類や治療方法によって異なり、一部のケースでは数十万円以上かかることもあります。
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高額ながんの治療費に備えるためには、公的制度をしっかりと理解し、がん保険への加入を検討することが重要です。
- がん保険を検討する際は、累計申込件数21万件以上※の保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」を活用し、専門家からアドバイスを受けることをおすすめします。
※2023年2月時点
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がん治療でかかる費用とは
「がんの治療費」と言ったとき、そこには何が含まれるでしょうか。
編集部
そこに治療のための入院・通院の費用、それらに付随して発生する費用(入院中の食事代など)を含めて考えるのが広い意味での治療費といえるでしょう。
治療に直接かかる費用
がん治療に直接かかる費用は、治療方法や進行状況、患者の状態によって異なります。
代表的な治療方法は、外科療法(手術)、化学療法(薬物治療)、放射線療法の3つです。それぞれの治療には異なる費用がかかります。
治療方法 | 概要 |
---|---|
外科療法(手術) | 手術によってがんを取り除く方法。進行や転移を防ぐために行われ、内視鏡手術など技術進歩により、入院日数が短くなる場合もある。 |
化学療法(薬物療法) | 抗がん剤を用いた治療方法。手術後の再発防止に使われることが多い。通院で治療が可能で、治療は長期間にわたることが多い。 |
放射線療法 | がんができた部位に放射線を照射し、がん細胞を壊す治療方法。他の治療法(手術や抗がん剤)と併用されることが多い。通院で治療を受けることが一般的で、放射線の種類や照射方法によって費用も異なる。 |
その他かかる費用
がん治療にかかる費用は、直接的な医療費だけでなく、以下のような公的医療保険で保障されない費用も含まれます。
公的医療保険の保障対象外の項目
- 希望して個室に入院した場合などの差額ベッド代
- 入院中の食事代
- 入院中に必要な日用品などの費用
- 家族のお見舞いや付き添いの費用
- 通院の交通費
【部位別】がん治療費の平均額
編集部
がんの分類 | 入院 | 入院外 | ||
---|---|---|---|---|
費用 | 自己負担額(3割) | 費用 | 自己負担額(3割) | |
胃の悪性新生物 | 64万4,408円 | 19万3,323円 | 3万8,482円 | 1万1,545円 |
結腸の悪性新生物 | 64万6,173円 | 19万3,852円 | 4万3,128円 | 1万2,939円 |
直腸S状結腸移行部及び 直腸の悪性新生物 |
74万4,941円 | 22万3,482円 | 5万8,960円 | 1万7,688円 |
肝及び肝内胆管の 悪性新生物 |
60万8,477円 | 18万2,543円 | 4万2,247円 | 1万2,674円 |
気管,気管支及び 肺の悪性新生物 |
67万1,648円 | 20万1,494円 | 9万1,366円 | 2万7,410円 |
乳房の悪性新生物 | 57万2,085円 | 17万1,625円 | 5万3,583円 | 1万6,075円 |
子宮の悪性新生物 | 63万2,867円 | 18万9,860円 | 2万8,757円 | 万8,627円 |
悪性リンパ腫 | 96万2,421円 | 28万8,726円 | 6万2,230円 | 1万8,669円 |
白血病 | 1,51万9,743円 | 45万5,923円 | 8万2,722円 | 2万4,817円 |
その他の悪性新生物 | 64万5,913円 | 19万3,774円 | 5万8,576円 | 1万7,573円 |
※厚生労働省「医療給付実態調査」平成30年度の疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)をもとに、総費用をがんの分類ごとに件数で割って1件あたりの費用を算出。端数は四捨五入。費用は点数1点を10円とした。
がんの種類によって幅がありますが、平均的には以下のとおりです。
がんの治療平均額
- 入院の場合 約76万円(自己負担3割の場合、約23万円)
- 外来の場合 約5.6万円(自己負担3割の場合、約1.6万円)
注意点
- 1回入院して23万円の自己負担額を支払い、その後、5回通院して8万円を負担した、というケースもあります。
- また、この統計にあらわれているのは公的医療保険から給付があった、保険診療の適用がある治療だけです。
- 保険診療ではない自由診療や先進医療については、全額が自己負担となり、高額な費用がかかる場合もあります。
たとえば、放射線治療の一種で、先進医療に選ばれている「陽子線治療」と「重粒子線治療」については、平均的に以下のような費用がかかるとされています。
治療法 | 1件あたりの費用 |
---|---|
陽子線治療 | 約270万円 |
重粒子線治療 | 約309万円 |
※厚生労働省「先進医療会議」令和元年度実績報告から、令和元年6月30日時点における先進医療Aに係る費用の「陽子線治療」「重粒子線治療」の先進医療総額を年間実施件数で割り、万円未満を四捨五入
編集部
がんの治療費負担を軽減するのに役立つ公的制度
がん治療には高額な費用がかかることがありますが、そうした費用負担を軽減するために役立つ公的制度があります。
これらの制度をうまく活用することで、自己負担を抑え、経済的な負担を軽減することが可能です。以下では、具体的な制度について詳しく紹介します。
高額療養費制度
高額療養費制度のポイント
- 高額療養費制度は月単位で計算され、自己負担額が決められた上限額を超えると、超過分が後日払い戻されます。
- さらに、12ヶ月以内に3回以上利用した場合は、4回目以降に上限額が下がることもあります。
- 医療費は世帯全体で合算可能です。
注意点として、高額療養費制度は月単位で計算されるため、月をまたいで負担が発生した場合、各月ごとに計算され、合計で負担が増えることがあります。
編集部
傷病手当金
傷病手当金のポイント
- 仕事を休んで給与が支払われない日が3日以上続いた場合、4日目以降から最大1年6ヶ月間、本来の給与の約2/3が支給されます。
- 会社員や公務員が加入している健康保険で適用されます。治療を続けながらも、生活費の負担を軽減できます。
働きながら治療を続ける会社員にとっては、ぜひ活用したい制度といえるでしょう。
編集部
近年におけるがん治療の傾向
医学の世界は日進月歩と言われます。がん治療についても、近年は新たなトレンドが生まれています。
入院から通院(外来)の治療へシフト
厚生労働省の調査によると、入院しているがん患者の数は減っている一方、外来(通院)の患者数は増えています。
(単位:千人)
調査年 | 入院患者数 | 外来患者数 |
---|---|---|
平成17年 | 169.8 | 204.6 |
平成20年 | 159.2 | 218.2 |
平成23年 | 150.6 | 219.9 |
平成26年 | 144.9 | 231.6 |
平成29年 | 142.2 | 249.5 |
※厚生労働省「患者調査」平成17年~29年の結果の概況から、傷病分類別で「新生物」の入院・外来それぞれの推計患者数の推移をもとに作成
編集部
がん患者の入院日数の平均は24.6日から16.1日にまで短縮してきているのです。
調査年 | 入院日数 |
---|---|
平成17年 | 24.6日 |
平成20年 | 22.4日 |
平成23年 | 19.5日 |
平成26年 | 18.7日 |
平成29年 | 16.1日 |
※厚生労働省「患者調査」平成17年~29年の結果の概況から、傷病分類別で「新生物」の退院患者の平均在院日数の総数の推移をもとに作成
注意点
- 入院主体よりも通院主体のほうが、入院費が必要ないぶん、費用負担は軽減されます。
- しかし、人によっては仕事と治療を続ける生活を両立させなければならないということでもあります。
新しい治療法の登場
免疫療法
「外科療法(手術)」「化学療法(薬物治療)」「放射線療法」ががんの3大治療と呼ばれていることはお伝えしました。
近年、これに加えて「第4の治療法」とも呼ばれ、注目されているのが「免疫療法」という方法です。(※免疫療法を化学療法の一部としてとらえる考え方もあります)
免疫療法には、大きく以下の2つの方法があります。
免疫療法の方法
- 免疫力を高めて免疫にがん細胞を攻撃させる
- がんが免疫を抑制する仕組みを取り除く
いずれも人間がもともと持っている免疫機能を利用してがんを治療しようという考え方です。
編集部
「免疫チェックポイント阻害剤」や「サイトカイン療法」といった一部の治療法はすでに保険診療が適用されています。
遺伝子検査を取り入れた治療
がんの標準治療は、がんの種類や進行具合などに基づいて選ばれますが、近年ここに遺伝子検査が取り入れられるようになりました。
主にがん組織から遺伝子情報を調べ、より効果的と考えられる治療法見つけるための手がかりを得られるようになったのです。
編集部
がんの治療費に関するよくある質問
「外科療法(手術)」「化学療法(薬物治療)」「放射線療法」をがんの三大治療と呼んでいます。またこれらの治療を標準治療とも呼び、主治医の方針で受ける治療が変わるのです。
まとめ
がんの治療費について、知っておきたい内容をまとめました。
がんの治療は、がんの種類などによってさまざまです。年々、新しい治療法が生まれるなどのトレンドの変化もあるため、治療費がいくらかかるのかは、一概に言うことはできません。
それでも、統計を紐解けば、やはり数十万円単位のお金がかかってしまうのは珍しいことではないようです。
高額療養費制度などの公的制度の知識をしっかり持ったうえで、万一の場合のお金の準備はしておきたいものです。
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。 ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。 また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
愛知県出身。社会保険・税金の効率化、家計・固定費の見直し、保険の新規加入・見直し、住宅購入・住宅ローン、資産形成・老後の年金対策・少額投資(iDeCo・NISAなど)の相談を得意とする。