医療保険の入院給付金とは?いくらに設定すべきか徹底解説

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入院給付金とは、医療保険加入者(被保険者)が病気・怪我などで入院を余儀なくされた場合に受け取れる給付金のことです。
医療保険に加入した人が約款(やっかん)に定められた所定の入院をした場合に、「入院給付金」を受け取ることができる場合があります。
しかし、どんな入院でも給付金が支払われるわけではなく、支払い日数には一定の限度があることが一般的です。

そこで今回は医療保険の給付のうち、入院給付金の特注意点について詳しく解説します。

マガジン編集部

医療保険を選ぶ際は、入院給付金の特徴をよく理解した上で加入・見直しの検討をすることが大切です。

この記事の要点

  1. 入院した日数に応じた給付金を受け取れるのがメリットですが、一定の限度日数(多くは60日)が設定されていることを覚えておきましょう。
  2. 入院給付金は、2回以上の入院であっても、1回目の入院と原因が同じで、退院の翌日からその日を含めて180日以内の入院では1回の入院とカウントされる点にも注意が必要です。
  3. そのほか「受取には請求が必要」「入院でも支払いの対象外のケースがある」といったデメリットや注意点を理解した上で、加入する医療保険を決めていきましょう。
  4. 医療保険の加入・見直しを検討している人は、保険相談窓口で専門家に相談しながら検討するのがおすすめです。
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入院給付金とは?

入院給付金とは、病気やケガで入院した際に支払われる給付金で、入院日数に応じて金額が支払われます

この給付金は、入院に伴う一時的な費用の支払いを助け、入院中の収入減を補填する役割もあります。

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以下では、入院給付金の特徴を詳しく解説していきます。

1回の入院で支払い限度日数が決まっている

入院給付金には支払い限度日数が設定されています。

ポイント

  • 2回以上の入院をしたとしても、原因が同じ病気やケガによる入院の場合、一般的に前回の退院の翌日からその日を含めて180日以内の入院は「1回の入院」とみなされます。
  • また、設定された支払い限度日数を超えて入院した分に関しては、入院給付金で保障されることはありません。
  • 医療保険の支払い限度日数は「60日」が主流ですが、なかには30日と短いものから180日・360日といったように半年から1年の長期にわたって限度日数が設定されている場合もあります。

ただし、支払い限度日数が長いほど保険料が高くなる傾向にある点には注意が必要です。

マガジン編集部

読者
やみくもに入院給付金の金額や支払い限度日数を増やすのではなく、必要な期間と金額に絞って契約するのがポイントなのですね。

入院一時金のタイプもある

医療保険の入院保障は、入院日数に応じて支払われるのが一般的ですが、一時金形式の保険もあります。

一時金タイプでは、入院日数に関係なく一定の金額が支払われるため、日帰りでも支払われる場合があります。デメリットとして、入院が長引くと、相対的に受け取れる金額が少なくなることがあります。

入院給付金の保障対象にならないもの

入院給付金は治療目的での入院に対して支払われますが、治療目的ではない場合は支払い対象外となります。

ポイント

  • たとえば「検査を目的とした入院」では文字通り目的が治療ではないため、一般的に入院給付金の支給対象外です。
  • さらに出産のうち正常分娩(自然分娩)の場合、治療ではないため支払いの対象からは外されます。

一方で、異常妊娠や帝王切開など、治療を伴う入院の場合は支払いの対象となります。

マガジン編集部

読者
入院であれば何でも支払われるわけではないのですね。

入院給付金はいくら必要?設定額を考えよう

入院給付金の金額は、医療保険ごとに設定された選択肢のなかから申込者が選択するのが一般的です。

しかし、根拠なく選んでしまうと「入院したら給付金が足りなかった」あるいは、「入院給付金が過剰だった」という事態が発生する可能性もあります。

マガジン編集部

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そこで、以下では入院給付金の設定金額を決める場合のポイントについて解説していきます。

自己負担と逸失収入をカバーできる金額を設定する

入院給付金の設定金額は、契約時にいくつかの選択肢のなかから設定することができます。

いくらに設定するかは個人の自由ですが、基本的には「自己負担と逸失収入をカバーできる金額」に設定することになります。

ポイント

  • 入院中は3割の自己負担の治療費に加えて、完全な自己負担の差額ベッド代・食事代・日用品の費用が必要です。
  • さらに、仕事を休むことで本来得られるはずだった収入が受け取れない「逸失収入」まで計算に入れる必要があります。

生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によれば、入院経験がある人の、直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額は以下のとおりです。

自己負担費用と逸失収入の総額 割合
5万円未満 6.7%
5~10万円未満 18.5%
10~20万円未満 31.0%
20~30万円未満 13.7%
30~50万円未満 14.3%
50~100万円未満 10.3%
100万年以上 5.5%
平均 30.4万円

引用元:生命保険文化センター|令和元年度 生活保障に関する調査|20Pをもとに作成

差額ベッド代の金額も計算に入れる

入院時にかかる医療費について、小学校入学後から69歳までのおおよその方は自己負担割合が3割となっています。

マガジン編集部

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ただし、全てが3割の自己負担になるわけではありません。

たとえば「差額ベッド代」。大部屋より人数が少ない少人数部屋や個室を希望する場合の差額ベッド代は全額が自己負担になります。

厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」によれば、平成29年7月1日現在の平均徴収額は以下のとおりです。

部屋の種類 1日当たり平均徴収額(推計)
1人室 7,387円
2人室 3,119円
3人室 2,798円
4人室 2,440円
合計 6,188円

出典:厚生労働省|主な選定療養に係る報告状況

部屋数にもよりますが、平均で1日あたり「6,188円」が追加で必要になるとされています。

マガジン編集部

読者
入院給付金を設定する際には、3割の自己負担に加えて差額ベッド代も計算に入れておく必要性があるんですね。

高額療養費制度・多数該当の制度も加味する

公的な医療保険の自己負担は3割ですが、高額な医療費を支払った場合はさらに高額療養費制度が利用できます。

高額療養費費制度とは?
高額療養費制度とは、一定の自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度で、1ヶ月あたりの自己負担限度額を超えた分については、手続きを経て払い戻しが行われます。

年齢区分によって高額療養費は異なります。70歳未満の高額療養費は以下のとおりです。

70歳未満の方の区分
【平成27年1月診療分から】
所得区分
自己負担限度額
多数該当

① 区分ア

(標準報酬月額83万円以上の方)
(報酬月額81万円以上の方)

252,600円+(総医療費※-842,000円)×1%
140,100円

② 区分イ

(標準報酬月額53万〜79万円の方)
(報酬月額51万5千円以上〜81万円未満の方)

167,400円+(総医療費※-558,000円)×1%
93,000円

③ 区分ウ

(標準報酬月額28万〜50万円の方)
(報酬月額27万円以上〜51万5千円未満の方)

80,100円+(総医療費※-267,000円)×1%
44,400円

④ 区分エ

(標準報酬月額26万円以下の方)
(報酬月額27万円未満の方)

57,600円
44,400円

⑤ 区分オ(低所得者)

(被保険者が市区町村民税の非課税者等)

35,400円
24,600円

※総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。
引用元:全国健康保険協会|高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)

さらに、条件を満たすと高額療養費よりも自己負担が安くなる「多数該当」もあります。

多数該当とは?
多数該当とは、過去12ヶ月で3回以上高額療養費を利用した場合、4回目からはさらに自己負担が軽減される制度です。

また、所得によっても適用される限度額が異なります。

マガジン編集部

読者
自己負担限度額を事前に調べておくことで、入院給付金を決める際の参考になりそうですね。

マガジン編集部

そして実際に入院給付金の額を決めるときは、高額療養費の1ヶ月分の自己負担限度額に差額ベッド代の費用を加味した金額を基本にすると良いでしょう。

ポイント

  • 食費交通費なども自己負担となりますが、何でも入院給付金で済ませようとすると保険料は高額になってしまいます。
  • 最低限の保障以外の部分については自己負担で賄うことも視野に入れましょう

入院給付金の注意点

入院給付金は医療保険の重要な保障ですが、契約内容によって支給条件や金額に違いがあります。自分に適した保障を受けるために、契約前に以下の点をしっかりと確認しておきましょう。

保険の保障が開始されないと給付を受けられない

医療保険は、申込書を提出したからといってすぐに保障が開始されるわけではありません。

一般的に、以下の3つの手続きを完了させて初めて保障が開始されます。(契約内容によっては告知日または保険会社(もしくは代理店)で申込書を受領した日のいずれか遅い日から保障が開始されます。)

医療保険の給付を受ける流れ

  1. 申込書を提出
  2. 告知・審査
  3. 初回保険料の払込

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これら3つが揃っていない状態では、入院しても入院給付金が支払われません

さらに医療保険の一種である「がん保険」の場合、契約から90日間は免責期間とされています。

上記の3つが済んでいたとしても、免責期間中にがんと診断されれば給付金は支給されません。

請求が遅れると給付金を受け取れない可能性もある

入院給付金は、入院後すぐに請求手続きを行いましょう。請求が遅れると、入院給付金を受け取れない可能性があります。

注意点

保険会社は被保険者からの連絡がない限り、入院や手術の事実を把握できないため、給付金が自動的に支払われることはありません。速やかに保険会社に連絡し、必要書類を提出する必要があります。

また、請求手続きが遅れると、必要書類が揃わず、給付金が支払われない可能性もあります。

例えば、「医療機関のカルテ」の保存期間は一般的に5年間であり、手続きが遅れるとカルテが利用できなくなります。この場合、入院給付金を請求できなくなってしまうことがあるため、早期の手続きが大切です。

日帰り入院から給付を受けられるかは保険次第

最近は日帰り入院から給付される入院給付金も増加傾向にありますが、以前の入院給付金は入院日数が短いと支給されない場合もあります。

たとえば「継続して〇日以上入院した場合に支給」という条件がついている場合、条件を満たさない短期間の入院や日帰り入院では入院給付金は支払われません。

日帰り入院とは

日帰り入院の定義は、以下の2つを満たした入院です。

日帰り入院の定義

  • 入院日と退院日が同じ日の入院であること
  • 診療報酬点数に記載があること

深夜0時以降に急患として入院したものの、その後に体調が回復したため夕方などに退院した場合は日帰り入院として扱われます。

逆に、日をまたぐ場合は日帰り入院ではなくなります。

さらに、医療費の領収書内の「入院料等」の項目に診療報酬点数の記載があるものが日帰り入院と定義されます。

マガジン編集部

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入院料等に記載がない場合、日帰り入院ではなく「通院」と判断されることがあるため注意が必要です。

保障対象外の入院では給付を受けられない

医療保険は、病気の内容次第で給付金が支払われない場合があります。

すでに紹介した「正常分娩」「検査入院(健康診断目的)」のほかにも、以下のような目的での入院は入院給付金の対象外になります。

給付金対象外となる入院

  • インプラントをはじめとした「審美歯科」
  • 人間ドック
  • 美容整形
  • 日常生活介護のための入院
  • 疾病を直接の原因としない不妊手術のための入院

まとめ

今回は医療保険の給付のうち、入院給付金の特徴と注意点について解説しました。

入院した日数に応じた給付金を受け取れるのがメリットですが、一定の限度日数(多くは60日)が設定されています。また2回の入院であっても原因が同じで、退院の翌日からその日を含めて180日以内の入院では1回の入院とカウントされる点にも注意が必要です。

そのほか「受取には請求が必要」「入院でも支払いの対象外のケースがある」といったデメリット・注意点を理解した上で、加入する医療保険を決めていきましょう。

監修者の紹介
小宮崇之

大学卒業後、信用金庫に入社。中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。
保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店『コミヤ保険サービス』を設立。
保険代理店の実務経験を生かして、執筆業や講師業も行う。

小宮崇之のプロフィール情報

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監修者の紹介
岡田行史

人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタントMDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。

岡田行史のプロフィール情報

岡田行史

監修者の紹介
渡辺一哲

岩手県出身。大学卒業後、銀行、外資系生命保険会社、建設業(企業再生)を経て、ほけんのぜんぶに入社。
保険業界経験歴は18年。岩手県生命保険協会副会長も務める。

渡辺一哲のプロフィール情報

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