生命保険と死亡保険の違い|受け取りにかかる税金はいくら?
もしもに備えて加入する保険のことを、「生命保険」といったり、「死亡保険」といったりします。しかし、「生命保険と死亡保険は同じ意味ではないの?」と疑問を持っている人もいるでしょう。
そこで本記事では、生命保険と死亡保険の違いや死亡保険の3つの種類について詳しく解説します。
また、保険金の受け取りにかかる税金や、相続税がかかるケースについても分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
編集部
生命保険と死亡保険に関するまとめ
- 生命保険とは、人の生死に関して保険金が支払われる保険を指し、死亡保険はそのうち、人が亡くなったときに保険金を受け取れる保険を指します。
- 死亡保険は終身保険・定期保険・養老保険などいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なるため、目的に合ったものを選ぶことが大切です。
- 死亡保険は受取方法によって相続がかかる場合があるため、その辺りもしっかり踏まえた上で慎重に検討しましょう。
- 保険と税金には複雑な仕組みも多いので、加入を検討している方は保険相談窓口で専門家に相談することをおすすめします。
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目次
生命保険と死亡保険の違いは?
生命保険と死亡保険は、正確には同じではありません。
正しくは、死亡保険は生命保険の一種であり、生命保険のほうが広い意味の言葉です。
生命保険とは「人の生死に関連して保険金が支払われる保険」のことです。以下で詳しく解説していきます。
死亡保険
一般的な生命保険のイメージそのものなので、死亡保険が生命保険代表のようにとらえられています。
そのため、生命保険と死亡保険は同じものと考えている人も多いのでしょう。
生存保険
意外に聞こえるかもしれませんが、生命保険は「人の生死に関連して保険金が支払われる」のですから、「人が生きていること」も保険金支払いの対象になりえるわけです。
個人年金保険は、将来の決められた時期(対象になる人が60歳になる時期など)に、対象になる人(被保険者)が「生きていれば」、以後、決められた年金が支払われます。
対象が生きていることを条件に支払われる保険なので、生存保険といえます。
生命保険ではない保険
なお、生命保険は「人の生死に関連して保険金が支払われる保険」でしたが、保険そのものはもっと幅広いものです。
これらは火災や自動車事故による「物への損害に対して保険金が支払われる保険」ですので、「損害保険」という分類です。
また、医療保険やがん保険は、生命保険でも損害保険でもないので、「第3分野の保険」と呼ばれています。
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死亡保険は大きく分けて3種類ある
死亡保険は、大きく3つの種類に分けられます。それぞれ見ていきましょう。
❶終身保険
解約したときは、その時点までに払い込んだ保険料の一部が解約返戻金として受け取れます。
ある程度以上払い込んでいると、払い込んだ総額よりも多めに解約返戻金が受け取れることもあるため、保障を確保しながら資金準備のために用いられることもあります。
❷定期保険
期間中に、対象になる人が亡くなった場合は死亡保険金が受け取れますが、期間が終われば契約は終了します。
契約が終了したり、途中で解約したりしても、解約返戻金は受け取れないのが普通です。
そのぶん、保険料は終身保険に比べて割安になっています。
❸養老保険
対象になる人が生きたまま期間の終わりを迎えると、死亡保険金と同額の満期金が受け取れます。
資金準備のために用いられることが多いですが、確実にお金を受け取れるため、保険料は終身保険に比べても割高です。
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死亡保険に相続税がかかる場合とは?
死亡保険と相続税についてみていきましょう。
お伝えしたとおり、契約者(保険料を支払った人)と被保険者(保険の対象になる人)が同じで、保険金受取人が別の人の場合、受け取った人は相続税が課される可能性があります。
課税される額は相続財産額に応じて決まりますが、死亡保険金は一定額までは課税対象から省かれる非課税枠があります。
死亡保険金の非課税枠は次のように計算します。
上記の額までなら、保険金を受け取っても相続税が課税されません。
先ほどの3人家族で考えると、Aさんの法定相続人は、配偶者のBさんと子どものCさんの2人です。
そのため、Aさんの保険金は、2人×500万円=1,000万円までなら相続税非課税です。
たとえば、妻と2人の子どもがいて(法定相続人3人)、妻が2,000万円、子どもたちがそれぞれ1,000万円の保険金を受け取る場合は、次のように考えます。
ポイント
- 生命保険金の非課税枠:3人×500万円=1,500万円
- 妻が受け取った保険金の非課税枠:1,500万円×(2,000万円/4,000万円)=750万円
- 子ども①が受け取った保険金の非課税枠:1,500万円×(1,000万円/4,000万円)=375万円
- 子ども②が受け取った保険金の非課税枠:1,500万円×(1,000万円/4,000万円)=375万円
非課税枠を超える額の保険金を受け取ったとしても、相続税には一定の基礎控除があります。
ほかにも、配偶者の相続した財産に対しては多額の税額軽減があったり、未成年の子どもが相続すると控除を受けられるなど、さまざまな決まりがあるので、実際には課税されないケースも多いでしょう。
メリット
- 保険金は受取人が確実に受け取り、遺産分割協議の対象にならない(分け方でもめることがない)
- 預貯金の財産が少ない場合に、相続税の納税資金の準備ができる
- 不動産などの分けにくい財産しかない場合にも平等に遺産分割ができる
保険と税金には複雑な仕組みも多いので、保険相談窓口などの専門家にアドバイスを受けることをおすすめします。
死亡保険の受け取りにかかる税金【ケース別】
ここからは保険と税金について整理しましょう。
しかし、保険の契約の形によって、どのような税金を課されるかが変わり、計算方法なども異なってきます。
複雑な仕組みですが、要点をおさえて、損のないようにしたいものです。
ポイントとなる関係
- 保険契約者(保険料を支払う人)
- 被保険者(保険の対象となる人)
- 保険金受取人(保険金を受け取る人)
ある家族のケースでみていきましょう。
パターン① 契約者と被保険者が同じ場合
Aさんが自分を被保険者として死亡保険を契約し、Aさんが亡くなった場合は、配偶者のBさんが保険金を受け取ります。
ポイント
- よくある形だと思いますが、この場合、保険金の出所となった元はなにかといえば、Aさんのお金です。
- そのため、Bさんは、Aさんが亡くなったことで、Aさんの財産を受け取ったものと考えられますから、相続財産のようなものと考えられます(※専門的には「みなし相続財産」といいます)。
相続税については、後の項目で詳しく解説します。
実際、どのくらいの額が課税されるかは、Aさんのほかの相続財産の額によるので一概にはいえませんが、後で解説するように、死亡保険金には一定の非課税枠があること、配偶者が相続財産を受け取った場合は多額の税額軽減を受けられる仕組みがあることなどから、このケースでは税額0円になる可能性が高いと思われます。
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パターン② 契約者と被保険者が違い、受取人が契約者の場合
Aさんが配偶者のBさんを被保険者として死亡保険を契約し、Bさんが亡くなった場合は、Aさんが保険金を受け取ります。
ポイント
- Aさんは、Bさんが亡くなったことでお金を受け取るのですが、保険はAさん自身が契約したものですから、この保険金は元はAさん自身のお金といえます。
- そこで、この保険金は自分自身で得たお金ということで、利益に対して課税される所得税の対象です。
細かく言うと「一時所得」というものになり、次のように計算します。
- 受け取った保険金額から払い込んだ保険料総額を引いたものを利益の額(差益)とします
- 差益から特別控除50万円を引いたものが一時所得です
- 一時所得の1/2が課税対象額です
- 課税対象額に税率をかけたものが、この保険金に課される税額です
※ほかに一時所得にあたるものがない場合
※課税対象額にかける税率は、Aさんの年間の総所得金額によります。
計算方法
- 受け取った保険金:3,000万円
- 払込保険料総額:300万円
- Aさんの総所得:約300万円(所得税率10%)の場合、
- 3,000万円-300万円=2,700万円(差益)
- 2,700万円-50万円=2,650万円(一時所得)
- 2,650万円×1/2=1,325万円(課税対象額)
- 1,325万円×10%=132.5万円(税額)となり、132.5万円の所得税が課税されます。
また、所得額に応じて住民税も課税されるため、Aさんの住民税率が10%だとすると、同額の住民税も課税されます。
パターン③ 契約者・被保険者・受取人がすべて別の場合
Aさんが配偶者のBさんを被保険者として死亡保険を契約し、Bさんが亡くなった場合は、子どものCさんが保険金を受け取ります。
ポイント
- Cさんは、Bさんが亡くなったことでお金を受け取るのですが、この保険金はAさんのお金を元にしています。
- すると、この保険金はAさんがCさんにあげたようなものと考えられ、贈与税の対象です。
贈与税は次のように計算します。
- 受け取った保険金額から贈与税の基礎控除110万円を差し引いたものが課税対象額です
- 課税対象額に税率をかけたものが、この保険金に課される税額です
※ほかに贈与されたものがない場合
※課税対象額にかける税率は、課税対象額によります。
計算方法
- 受け取った保険金:3,000万円
- Cさんの贈与税:基礎控除後の贈与額×50%-控除額250万円(Cさんは未成年とする)の場合、
- 3,000万円-110万円=2,890万円
- 2,890万円×50%-250万円=1,195万円となり、1,195万円の贈与税が課税されます。
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満期金・解約返戻金を受け取った場合
死亡保険金ではなく、満期金や解約返戻金としてお金を受け取った場合は、一時所得として所得税の対象です。
例外として、一時払いで契約した養老保険などから5年以内に受け取った満期金・解約返戻金は一律で20%(所得税15%・住民税5%)の課税がされるという決まりもあります。
ポイント
- このように、死亡保険から受け取るお金への課税のされ方は、形によりさまざまで、課税額にも開きがあります。
- ケース・バイ・ケースですが、多くの場合は、相続税の課税対象となるケースが、いちばん課税額を抑えられることが多いでしょう。
実際に死亡保険があるとどのくらい助かるの?
死亡保険がどれほど役立つか知ることで、死亡保険の必要性がより理解しやすくなるでしょう。
以下では、死亡保険が実際に助けになる具体的なケースをご紹介します。
死亡保険が助けになる具体的なケース
- 経済的な安心感
- 未払いのローンや借金の完済
- 教育費や生活費の負担軽減
- 葬儀費用のサポート
これらのケースを考えると、予期せぬ事態に備え、元気で若いうちに死亡保険に加入しておくことが、家族にとって経済的な安心感をもたらす手段となります。
ただし、闇雲に死亡保険に入っておけば安心というわけではありません。個々のライフスタイルや家族構成に合わせて、保障内容や支払い条件をよく理解し、適切なプランを選ぶことが重要です。
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まとめ
本記事では、生命保険と死亡保険の違いをはじめ、保険金の受け取りにかかる税金はいくらなのか、相続税がかかるケースについてわかりやすく解説しました。
生命保険とは人の生死に関して保険金が支払われる保険を指し、死亡保険はそのうち人が亡くなったときに保険金を受け取れるものをいいます。
死亡保険は終身保険・定期保険・養老保険などいくつかの形があります。それぞれ特徴が異なりますから、目的に合ったものを選ぶことが大切です。
通常、死亡保険金には税金が課されますが、これは契約者・被保険者・保険金受取人の設定によって課税方法が変わってきます。
都内の私立大学を卒業後、日系生命保険会社に就職。主に個人・中小企業の保険営業とマネジメント業務を担当した。 その後、2021年11月にライターとして独立。実務経験を活かし、保険・税金・クレジットカードなど金融ジャンルを中心に記事執筆から編集まで行う。
ライターとして経験を積んだのち、ほけんのぜんぶマガジンの編集者を担当。保険業界の最新情報をいち早く掴み、読者に役立つ情報をわかりやすく提供することを心がけています。 質の高いコンテンツを通じて、読者が自分に合った保険やサービスを選べるようにサポートしていきます。
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