「うつ病」などの精神疾患は、働けなくなる主要な原因の一つです。精神疾患の治療には長期的な入院が必要な場合が多く、その間は収入の減少をカバーする手段が求められます。
そんなときに役立つのが「就業不能保険」です。しかし、就業不能保険の多くは、うつ病などの精神疾患を保障の対象外としていることをご存知でしょうか?
精神疾患で働けなくなった場合、就業不能保険の保障を受けられないことが多いため、保険内容を十分に理解しておくことが重要です。
この記事の要点
- 就業不能保険は、うつ病などの精神疾患を保障対象外にしていることが多いため、精神疾患に備える際は保険内容をよく確認することが重要です。
- 保障額や公的支援制度を考慮して、最適な保険を選ぶようにしましょう。
- もし不安な方は、無料保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」で専門家からアドバイスを受けることをおすすめします。40社以上の中から最適な保険プランを提案してもらえます。
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目次
就業不能保険はうつや精神疾患が保障対象外な理由
就業不能保険は、うつや精神疾患を保障対象外としている保険会社が多い傾向にあります。
その理由は、これらの疾病は症状の線引きが難しく、保障が不公平になってしまう可能性があるためです。
また、精神疾患は回復までの基準が明確でないため、継続的な保険金支払い時にトラブルが起こりやすいことも影響しています。
保険には契約者間の公正性を保つためのルール(公平性の原則)があり、精神疾患が対象外となるのはこの原則に基づいています。
編集部
うつ病や精神疾患でも保障対象になる就業不能保険はある?
なかにはうつや精神疾患でも保障対象となる就業不能保険もあります。
ただし、うつや精神疾患を保障対象としている保険会社は少ないため、選択肢が少なくなってしまうことには理解が必要です。
また、就業不能保険は「支払対象外期間」や「支払削減期間」を設けている保険がほとんどです。
編集部
うつや精神疾患で就業不能状態になったときに頼れる公的制度
一方、うつ病などの精神疾患に罹患した場合は公的制度を活用することで自己負担を軽減させることも可能です。公的制度をフル活用しながら、就業不能保険などの民間保険でのカバーを検討していくことが大切です。
ここでは、就業不能状態をカバーできる公的制度について解説します。
精神疾患罹患時に利用可能な公的制度
労災保険
指定医療機関での治療でなかった場合は、後日に治療費などが支給されます。働いている期間や職業・雇用形態(正社員かアルバイトかパート社員か等)にかかわらず支払いの対象です。
ケガや病気の原因が業務上の理由でない場合は、労災は支給されません。
編集部
健康保険の傷病手当金
支給金額は、[支給開始日前の12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均] ÷ 30 × 2 ÷ 3で計算され、病気やケガで給与が受け取れない状態では最長1年6ヶ月間にわたって手当を受け取ることができます。
うつ病などの精神疾患にかかった場合、傷病手当金を受け取りながら治療を続け、回復に時間をかけつつ復職のタイミングを見極めることが可能です。
編集部
自立支援医療
対象になるのは以下のような、精神障害によって通院による治療を続ける必要がある人です。
通院による治療が必要な精神障害
- 統合失調症
- うつ病、躁うつ病などの気分障害
- 薬物などの精神作用物質による急性中毒又はその依存症
- PTSDなどのストレス関連障害や、パニック障害などの不安障害
- 知的障害、心理的発達の障害
- アルツハイマー病型認知症、血管性認知症
- てんかん 等
引用元:自立支援医療(精神通院医療)について
この制度を利用することで、対象になる精神疾患を治療するために発生する通院治療費や投薬費・デイケア費・訪問看護に関する負担が原則1割になります。
月に3万円の治療を受けた場合は、通常であれば健康保険の3割負担で9,000円の自己負担ですが、病院で「自立支援医療受給者証」を提示すれば患者の負担は1割の3,000円になります。
医療費の月額や通常の健康保険の医療費のように上限が設定されており、それを超えて請求はされません。
ただし、1割の対象になるのは精神疾患の治療で支払った費用です。風邪やケガによって通院しても適用はありません。入院についても対象から外されます。
編集部
高額療養費制度
当月の1日から末日までに限度額を超えた自己負担限度額について、後日に払い戻しを受けることができます。
ただし、払い戻しは医療機関などから提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を行うため、診療月から3ヶ月以上かかるのが一般的です。
精神障害者保健福祉手帳
対象となるのはすべての精神疾患で、具体的には以下のような疾患を指します。
対象となる精神疾患
- 統合失調症
- うつ病、躁うつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症
- 高次脳機能障害発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
- その他の精神疾患(ストレス関連障害等)
引用元:厚生労働省|みんなのメンタルヘルス
この手帳をもつことで、必要な福祉・各種サービスが受けやすくなります。
編集部
この手帳を提示することで税金の優遇や公共料金の割引を受けることができます。受けられる割引の内容は地域や障害等級によっても異なるため、自治体の公式ホームページで確認が必要です。
割引や減免を受けられる項目
- 所得税・住民税の減税
- NHK受信料の減免
- 鉄道やバスの割引
- 水道料金の割引
- 自動車税・軽自動車税の減免
障害者の親族を扶養している場合、本人や配偶者、その他の親族が障害者や特別障害者であれば、所得税の減税が適用されます。
具体的には、1級(特別障害者)なら40万円、2・3級なら27万円、同居の特別障害者なら75万円が所得金額から控除されます。
障害年金
例えば、障害年金の受給対象となるのは、うつ病、統合失調症、双極性障害、反復性うつ性障害などです。これらの疾患は、一定の要件を満たすと認められれば受給できます。ただし、人格障害やパニック障害などは、障害年金の対象外となります。
なお、症状が固定して障害状態と診断された場合、または初診日から1年6ヶ月が経過しても傷病が治癒しない場合、その日を障害認定日として扱います。
うつや精神疾患による就業不能状態になる可能性は高い?
うつ病や精神疾患は現代を代表する病気の1つ
精神疾患の1つである「うつ病」は、現代を代表する病気の1つです。厚生労働省「令和2年患者調査の概況」によれば、「気分[感情]障害(躁うつ病を含む)」の総患者数は入院・外来を合わせると約120万人にものぼります※1。
精神疾患が原因で休業や退職に追い込まれることは、決して珍しいことではないのです。
休業と退職は別々のカウントになっているため、1割以上の事業所で過去1年に何らかのメンタルの不調で1ヶ月以上休業あるいは退職した労働者がいるということです。
編集部
※1:厚生労働省|令和2年患者調査の概況|6P
※2:厚生労働省|令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況|3P (令和2年11月1日〜令和3年10月31日までの期間)
うつ病を含む気分障害の入院は長期化する
厚生労働省の「令和2年患者調査の概況」によると、うつ病や躁うつ病を含む気分[感情]障害で入院している人は約3万人にのぼります。
また、同調査によれば、気分[感情]障害での平均在院日数は137.4日です。15~34歳の平均は40.1日、35~64歳では116.7日と、必ずしも高齢者だけが長期入院しているわけではないことが分かります。
<15~34歳の平均在院日数>
就業不能保険と関係がある現役の世代の入院期間も長くなる傾向にあります。さらに、「統合失調症」についてはもっと長くなる傾向があります。
15~34歳の平均日数が153.3日、35~64歳で334.4日と、35歳以降の年齢に絞ると実に1年近い期間にわたって入院をする可能性があります。
編集部
就業不能保険とうつ病に関するよくある質問
ここからは、就業不能保険とうつ病に関するよくある質問に回答していきます。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
就業不能保険はうつや精神疾患でも保障の対象になる商品がある一方で、それらが保障の対象外になる商品が大半なのが実情です。
しかし、うつや精神疾患を患っているからといって必ずしも就業不能保険に入れないわけではありません。精神疾患に対する備えが欲しい場合は、支払条件に注目して各社の保険商品を比べてみましょう。
精神疾患に罹患した際に利用できる公的制度も含めて「どのくらいの保険金を受け取れれば安心なのか」ということを考えて最適な保険を選んでいきましょう。
編集部