現代は「人生100年時代」と言われており、その中で認知症は老後の生活において心配される問題の一つです。2025年には、65歳以上の人々の中で約5.4人に1人が認知症になると予測されています。
もし要介護状態になる場合、公的な介護保険制度からの支援を受けることは可能ですが、全ての費用をカバーできるわけではありません。
公的保障以外にも手厚く備えようとしたとき、選択肢になるのは認知症保険です。本記事ではそもそも認知症とは何か、介護保険との違いや必要性、注意点などについて詳しく解説していきます。
この記事の要約
- 認知症保険は、所定の認知症と診断された際に保険金を受け取れる保険です。認知症保険は現金給付が一般的で、介護費や医療費にしっかり備えられます。
- ただし、認知症保険には不担保期間や給付条件があり、初心者には選択が難しい可能性があります。
-
加入を検討する際は、保険相談窓口でプロに無料相談することがおすすめです。
-
無料保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」なら、40社以上の中からプロが最適な保険を提案してくれます。
この記事は5分程度で読めます。
こちらの記事も読まれています
※本コンテンツで紹介している保険会社及び保険代理店は、保険業法により金融庁の審査を受け内閣総理大臣から免許を取得しています。コンテンツ内で紹介する商品・サービスの一部または全部に広告が含まれています。しかし、コンテンツの内容や評価に一切影響する事はありません。当コンテンツはほけんのぜんぶが管理しています。詳しくは、広告ポリシーと制作・編集ガイドラインをご覧ください。
【当サイトは金融庁の広告に関するガイドラインに則って運営しています】
金融商品取引法
募集文書等の表示に係るガイドライン
第三分野商品(疾病または介護を支払事由とする商品)に関するガイドライン
生命保険商品に関する適正表示ガイドライン
広告等に関するガイドライン
目次
認知症保険とは?特徴をわかりやすく解説
認知症保険とは、認知症と診断されて保険会社が定めた所定の状態に該当した場合、保険金の給付が受けられる保険のことです。
近年、認知症保険によるリスクや介護のための費用を準備するための手段として注目が集まっています。
ポイント
- 認知症保険に加入するには、基本的に認知症を発症する前や要介護状態になる前に加入する必要があります。
- しかし、なかには認知症と診断された後に加入できる商品や、発症前に予防給付金が支給される商品も存在します。
認知症保険が登場してから歴史が浅いこともあって、給付金が支払われる条件や給付内容は各社で全く異なるのが現状です。
認知症保険の特徴
ここからは、認知症保険の特徴をご紹介していきます。
認知症保険の特徴
現金で給付を受けられる
公的な介護保険や公的な医療保険では現金が給付されるわけではなく、治療やサービスが実施されることによる「現物給付」が行われます。
対する民間保険である認知症保険では、現金の給付が受けられるのが特長です。
万が一認知症になったとき、老後の蓄えや年金収入だけで生活できるかどうか、不安を感じる方も多いでしょう。
認知症保険によって支払い基準が異なる
認知症保険の保険金の支払基準は、以下のとおり3つの種類に分かれています。
認知症保険の保険金支払基準
- 非連動型
- 連動型
- 一部連動型
非連動型は公的な介護認定に関係なく、保険会社が独自に定めた基準によって保険金が支払われるタイプです。
連動型は、文字通り公的な介護保険の認定基準に沿って保険金が支払われます。
編集部
一部連動型は基本的に公的な介護保険と連動していますが、一部について保険会社が独自に決めた基準で支払われます。
保障内容が幅広い
民間の認知症保険は保障内容にも大きな違いがあります。特約を組み合わせることで、認知症以外にも幅広い疾病に対応することも可能です。
民間の認知症保険の特約
- 糖尿病などの7大疾病
- 骨折 など
特約を付けて保障を手厚くすることで保険料が高くなるデメリットはありますが、保障内容を自由にカスタマイズできるのはメリットといえます。
加入できる年齢が幅広い
公的な介護保険は、40歳になると自動的に加入が義務付けられています。一方、民間の認知症保険では15歳から加入できる商品もあり、加入年齢の幅が広いのが特徴です。
編集部
さらに、85歳まで加入可能な介護保険もあり、選択肢が豊富です。認知症は年齢とともにリスクが高まるため、任意のタイミングで加入できるのはメリットだと言えるでしょう。
認知症保険は必要?数字で見る加入の必要性
認知症保険の特徴が分かったところで、「果たして自分に認知症保険は必要なのだろうか?」と疑問を感じている方もいらっしゃるでしょう。
ここからは、厚生労働省の調査データをもとに「全国に認知症の人はどのくらいいるのか」「認知症になる確率は高いのか」詳しく解説していきます。
認知症の人はどのくらいいる?
厚生労働省老健局「認知症施策の総合的な推進について」によれば、1万人コホート年齢階級別の認知症有病率は以下のとおりです。
年齢 | 全体 | 男性 | 女性 |
65-69歳 | 1.5 | 1.5 | 1.6 |
70-74歳 | 3.6 | 3.4 | 3.8 |
75-79歳 | 10.4 | 9.6 | 11.0 |
80-84歳 | 22.4 | 20.0 | 24.0 |
85-89歳 | 44.3 | 35.6 | 48.5 |
90歳以上 | 64.2 | 42.4 | 71.8 |
出典:厚生労働省老健局|認知症施策の総合的な推進について
※コホートとは、同じ外的条件に置かれた母集団のこと
2012年時点では、高齢者の約4人に1人が認知症、または軽度認知障害(MCI)であるとされています。
また2018年時点では、約7人に1人は認知症とされています。
年齢を見ると60代では罹患する可能性は高くありませんが、70代、80代と年齢を重ねるごとに罹患する可能性が右肩上がりで上がっていくことが分かります。
認知症保険に加入したら必ず家族に伝えることが大切
厚生労働省の統計において約7人に1人が認知症と言われている時代です。誰が認知症になっても何ら不思議ではありません。
編集部
医療保険やがん保険に加入していて、がん等の病気になった場合、基本的に自分の力で手続きすることが可能です。
注意点
- しかし、認知症保険が使えるということは自分自身が認知症になっているということです。
- せっかく認知症保険に加入していても、その事実を忘れて請求できない可能性もあります。
認知症になる確率
将来的に、今の若い世代が認知症になる確率は高いのでしょうか。それとも、低くなっていくのでしょうか。
厚生労働省老健局「認知症施策の総合的な推進について」によれば、認知症の人の将来推計が以下のように発表されています。
認知症の人の将来推計人数/(率)
年 | 各年齢の認知症有病率が一定の場合 |
各年齢の認知症有病率が上昇する場合 |
2012年 |
462万人 15.0% |
|
2015年 | 517万人
15.7% |
525万人
16.0% |
2020年 | 602万人
17.2% |
631万人
18.0% |
2025年 | 675万人
19.0% |
730万人
20.6% |
2030年 | 744万人
20.8% |
830万人
23.2% |
2040年 | 802万人
21.4% |
953万人
25.4% |
2050年 | 797人
21.8% |
1,016万人
27.8% |
2060年 | 850万人
25.3% |
1,154万人
34.3% |
年を追うごとに認知症に罹患する人の比率は増加していくことが予想されています。
編集部
認知症保険の必要性が高い人の特徴
認知症保険はどんな人も絶対に加入が必要とは限りません。
たとえば「認知症や要介護状態になったとしても現金の準備にまったく不足がない」という人であれば、必要性は低いといえます。
具体的な事例として、以下の2つのタイプを紹介します。
認知症保険が必要な人の特徴
認知症のリスクに手厚く備えたい人
認知症になってしまった場合、介護費用が高額になる恐れがあります。
生命保険文化センターの令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」によれば、住宅改造や介護ベッドの購入などに必要な一時費用の合計は平均で「74万円」です。
編集部
要介護度 | 介護費用 (一時的な費用の合計) |
要支援1 | 17万円 |
要支援2 | 76万円 |
要介護1 | 51万円 |
要介護2 | 59万円 |
要介護3 | 93万円 |
要介護4 | 55万円 |
要介護5 | 81万円 |
他方、月額の介護費用は平均で8.3万円、介護期間の平均は61.1ヶ月(5年1ヶ月)です。
つまり、介護が発生した場合は平均で以下の費用が発生します。
8.3万円×61.1ヶ月+初期費用74万円=581万1,300円
ポイント
約500万円の費用を問題なく支払えるかどうかが、認知症保険に加入するか否かの境目になるでしょう。
編集部
※出典:生命保険文化センター|令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」
現物給付ではなく現金で備えたい人
認知症保険では公的な介護保険のような現物給付とは異なり、現金で給付を受けられるのが最大の特徴です。
ポイント
- 一時金や年金など違いは見られるものの、万が一の際に現金で受け取れることで家計の助けになります。
- なかには年金タイプとして、終身にわたって受け取れるタイプもあります。
認知症は年齢を重ねるほど罹患する可能性が高くなる病気です。
編集部
認知症保険の選び方|5つのポイント
ひとくちに認知症保険といっても、取り扱う商品は各社で特徴が異なります。そこで以下では、認知症保険の選び方のコツ・ポイントについて解説します。
認知症保険を選ぶ際のポイント
❶加入条件・加入年齢
認知症保険は要介護状態、あるいは認知症と診断される前に加入するのが一般的です。
注意点
なかには認定されてしまったあとでも加入できる商品もありますが、保険ごとに定められた加入条件・加入年齢を超えてしまうと加入はできません。
加入年齢は保険ごとに幅広く、「20~80歳」「50~80歳」などさまざまなパターンがあります。
編集部
ただ、認知症は若いうちのリスクは高くありません。
同じ保険料を払うなら、30~50代ならほかの保障を充実させたり貯金に回したりしたほうが良い場合も多いでしょう。
ポイント
- 認知症のリスクが高まりを見せ始める60代から加入でも遅くはないかもしれません。
- あとは、加入条件によって加入できる保険かどうかを判断しましょう。
加入条件は大きく分けて「標準体」「引受基準緩和」に分かれます。
健康状態次第では標準体タイプに加入できないため、そのような場合に加入を検討しましょう。
❷保障範囲と保険料
保障範囲の広さと保険料もチェックしたいポイントです。広範な保障範囲を持つ保険は、軽度の認知症でも保障を受けられる場合があります。
また、入院給付金を提供する保険にも加入することで、入院時の支援を受けることができるでしょう。介護や死亡保障が付帯している保険もあります。
編集部
ただし、保障範囲が広がるほど、保険料も高額になることがあります。生活費に負担がかからないように、保障範囲と保険料の調和を検討することが重要です。
特約の場合は後から見直しできますが、主契約の一部の保障を解除するのは難しいことがありますので、契約の選択に注意が必要です。
❸保障タイプ
ひとくちに認知症保険といっても、以下の2つのタイプに分かれています。
認知症保険のタイプ
- 治療保障タイプ=所定の認知症と診断された場合に一時金・年金を受け取れる
- 損害補償タイプ=第三者に損害を与えた場合に費用の補てんを行う
治療保障タイプは生命保険会社が取り扱う商品、損害補償タイプは損害保険会社が取り扱う商品という点でそもそも異なります。
認知症になったことでかかる費用を補てんするなら、生命保険会社が扱う治療保障タイプがおすすめです。
万が一認知症になった家族が損害賠償や捜査費用などを請求された場合に補償を受けたい場合は損害補償タイプがおすすめです。
編集部
❹受け取り方法
認知症保険は給付金を一時金で受け取るか、終身等の年金として受け取るかを選択できます。
ポイント
- 一時金はまとまった費用が必要になる初期費用に備えたい人向けです。
- 年金タイプは終身で受け取れるため、認知症介護が長引いた際に負担を軽減する効果が期待できます。
保険料は高くなりますが、両方のタイプに加入することも可能です。
❺保険金給付のタイミング
保険金給付のタイミングにも注意が必要です。保険会社によって給付のタイミングはさまざまです。
たとえば「認知症の状態が180日以上続く場合」といったように、認知症になったからといってすぐに受け取れるとは限りません。
編集部
認知症保険加入時の注意点
認知症保険に加入する際は以下の4つのポイントに注意しましょう。
❶認知症保険の加入を家族に伝えておく
認知症保険に加入する際は、家族に契約内容を伝えておきましょう。
なぜなら、認知症になると自分が認知症保険に加入したこと自体を忘れてしまう可能性があるからです。もし家族以外の誰にもその情報が伝わらなければ、保険金の請求手続きが難しくなり、今まで払った保険料が無駄になってしまいます。
ですから、認知症保険に加入する際には、契約内容・契約書類の保管場所・保険金の請求方法などを家族に共有しておきましょう。
そして、もしも本人が認知症により保険金の請求ができなくなった場合に備えて、ご家族を「指定代理請求人」として設定しておくことをおすすめします。
編集部
❷全ての認知症が給付対象ではない
認知症保険は、名前は同じでも、保険会社によって保障の対象が異なります。
たとえば、認知症と診断されるだけで給付金を受け取れる保険会社もあれば、診断に加えて要介護認定を受ける必要がある保険会社もあります。
つまり、認知症が診断されたからといって、必ずしも保険金の給付が受け取れるとは限りません。
認知症保険を検討する際には、給付条件をしっかり確認することが大切です。
❸保険加入後すぐに認知症になっても支払われないことがある
認知症保険では、1年や180日、あるいは2年などの「不担保期間」が設定されていることが一般的です。
不担保期間内に認知症と診断された場合、その認知症に対しては保障が受けられません。
保険商品によっては、認知症保険の責任開始日から数えて不担保期間が設けられることがあります。保険金の支給条件や保障期間には十分に注意しましょう。
編集部
❹解約返戻金がないことが多い
認知症保険のほとんどは、掛け捨て型です。そのため、保険料の払込期間の満期を迎える前に途中解約してしまうと、解約返戻金を受け取れません。
認知症保険に加入する際は、保険料の支払期間を確認し、その期間内で保険料を支払い続けられるかどうかをよく考えることが大切です。
途中解約による損失を避けるために、慎重に検討しましょう。
認知症保険についてよくある質問
まとめ
今回は「認知症保険について何かよく分からない」「わざわざ認知症保険に入る必要はあるのか」と加入を悩んでいる人に向けて、介護保険との違いや必要性、注意点などについて詳しく解説しました。
認知症保険とは、認知症と診断されて保険会社が定めた所定の状態に該当した場合、保険金の給付が受けられる保険のことです。
公的介護保険との違いは、現金の給付が受けられたり、加入できる年齢幅が広かったりと言った特徴があります。また、認知症以外の幅広い疾病に対応する保障も得られます。
認知症で介護が必要になった場合、一般的には約500万円が必要と言われています。公的な介護保険のほかに金銭による給付を受けたいなら、認知症保険は十分に検討する価値があると言えるでしょう。
編集部