個人年金保険にかかる税金を解説!受取後に確定申告は必要か?

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個人年金保険の受取には税金がかかりますが、確定申告が必要なケースがあります。どんなケースで確定申告が必要になり、逆に確定申告をしなくてもいいケースはどのような場合なのでしょうか。

また、公的年金等を受け取ったときはどうなるのでしょうか?今回の記事では、個人年金保険の受取で確定申告が必要な場合と不要な場合について解説します。

マガジン編集部

正しく申告しないとペナルティを科せられることもあるので、しっかりと理解しておきましょう。

この記事の要点

  • 個人年金保険の受取にかかる税金は受取方法によって異なり、確定申告の要・不要を判断するのが難しい場合があります。
  • しかし、確定申告をしないと「無申告加算税」や「延滞税」が発生する可能性があるため、しっかり確認することが重要です。
  • 保険やお金について不安がある方は、累計申込件数21万件以上の実績を誇る「ほけんのぜんぶ」で専門家に相談してみましょう。相談料は何度でも無料です。

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個人年金保険の受取にかかる税金の種類と課税対象

個人年金保険の受取にはどんな種類の税金がかかるのでしょう。また、なにが課税対象となるのでしょう。まずは、個人年金保険にかかる税金の種類と課税対象について説明します。

個人年金保険の受取にかかる税金は3種類

個人年金保険にかかる税金は、受取方法などによって次の3つに分類できます。

ポイント

  • 所得税(雑所得):契約者(※)と受取人が同じで毎年年金を受け取るケース
  • 所得税(一時所得):契約者と受取人が同じで年金を一括で受け取るケース
  • 贈与税:契約者と受取人が別人のケース

※契約者が保険料の支払い者であることを前提に解説します。

①、②のケースでは契約者と受取人が同じで、自分で保険料を支払って自分で年金収入を得ることになるので所得税の対象となります。

また、所得の種類は所得税法で定められています。個人年金保険については、受取方法によって雑所得または一時所得として課税されます。

一方、③のケースでは契約者と受取人が別人なので、契約者から受取人への贈与があったとみなされ贈与税がかかるのです。

個人年金保険の課税対象

次に、個人年金保険を受け取ったときの課税対象について、前述の個人年金保険にかかる税金ごとにみていきましょう。

①所得税(雑所得):契約者と受取人が同じで毎年年金を受け取るケース

契約者と受取人が同じで毎年年金を受け取るケースでは、雑所得に対して課税されます。雑所得は受け取った年金額ではなく、年金額から必要経費を差し引いて計算します。

POINT
●雑所得=年金額(年額)―必要経費
●必要経費=年金額(年額)× 払込保険料の合計額/年金受取の合計額

「年金受取の合計額」は「年金額(年額)×年金受取年数」で計算できるので、次の式で簡単に計算できます。

ポイント

必要経費=払込保険料の合計額/年金受取年数

※終身年金の場合の年金受取年数は「平均余命」。
参考:生命保険文化センター「税金に関するQ&A・個人年金保険の年金を受け取って所得税がかかるときの計算方法は?」

たとえば、「65歳年金開始の10年確定年金に加入し、年金額(年額)50万円、払込保険料の合計額450万円」の場合、雑所得は次の通り計算します。

ポイント

  • 必要経費=450万円÷10年間=45万円
  • 雑所得=50万円―45万円=5万円

雑所得5万円をそのほかの所得と合算して、所得税を計算します。

②所得税(一時所得):契約者と受取人が同じで年金を一括で受け取るケース

契約者と受取人が同じで年金を一括して受け取るケースでは、一時所得に対して課税されます。一時所得の計算方法は次の通りです。

ポイント

一時所得=一括受取金額―必要経費―特別控除額(50万円)

必要経費は、払込保険料の合計額です。また、一時所得を計算する際は「一時所得の特別控除額50万円」を差し引くことができます。

一括受取金額500万円、払込保険料の合計額450万円の場合、50万円のプラスがありますが、特別控除額50万円を差し引くことで一時所得金額は0円になります。

マガジン編集部

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編集部
「一時所得」も「雑所得」と同様に、その他の所得と合算して所得税が課税(総合課税)されます。

③贈与税:契約者と受取人が別人のケース

契約者と受取人が別人のケースでは、「年金受給権の評価額」に対して贈与税が課せられます。契約者から受取人に対して「年金受給権の評価額」が贈与されたとみなされるのです。

「年金受給権の評価額」は、次の3つの金額のうち最も大きな金額です。

ポイント

  • 解約返戻金の額
  • 年金に代えて一時金の給付を受けられる場合は一時金の金額
  • 予定利率等をもとに算出した金額

参考:生命保険文化センター「税金に関するQ&A・年金受給権の評価方法とは?」

上記評価額に対して、次のとおり贈与税額を計算します。

ポイント

  • 課税価格=年金受給権の評価額―基礎控除額(110万円)
  • 贈与税額:次の速算表にて計算(直系尊属からの贈与については、特例税率を使用して計算)

表は右にスクロールできます。

課税価格 200万円以下 200万円超

300万円以下

300万円超

400万円以下

400万円超

600万円以下

600万円超

1,000万円以下

1,000万円超

1,500万円以下

1,500万円超

3,000万円以下

3,000万円超
一般税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

個人年金保険の受取で確定申告が必要な場合

確定申告とは、1年間の所得金額と所得控除額などから課税所得を計算し、納めるべき税金の金額を確定し税務署に報告することです。

マガジン編集部

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編集部
源泉分離課税などによって納税が済んでいない所得は、確定申告をして納税しなければなりません。

また、源泉徴収されている給与所得者でも次に該当する人は確定申告が必要です。

ポイント

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 1カ所から給与の支払いを受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人
  • 2カ所以上から給与を受け取っていて、年末調整を受けていない給与とその他の所得金額が20万円を超える人 など

参考:国税庁「確定申告が必要な方」

上記を前提に、個人年金保険の受取で確定申告が必要な場合について解説します。確定申告が必要なのは次のケースです。

個人年金保険の受取で雑所得が発生する場合

契約者と受取人が同じで毎年年金を受け取るケースで、雑所得のある人は確定申告が必要です。

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雑所得が発生するのは、年金額(年額)が必要経費を上回るときです。

確定申告によって、その他の所得と合算して所得税が課税(総合課税)されます。

個人年金保険の受取で一時所得が発生する場合

契約者と受取人が同じで年金を一括して受け取るケースで、一時所得のある人は確定申告が必要です。一時所得が発生するのは、一括受取金額が「払込保険料の合計額+特別控除額(50万円)」を上回るときです。

確定申告によって、その他の所得と合算して所得税が課税(総合課税)されます。

源泉分離課税された税金を精算する場合

個人年金保険の受取のとき、所得税が源泉分離課税されるケースがあります。

ポイント

  • 「雑所得が25万円以上」の場合、保険会社で所得税と復興特別所得税(合計10.21%)が源泉徴収されます。
  • 所得税率を10%として源泉徴収しますが、実際の所得税率は個々人の収入によって異なるため確定申告によって税金の過不足を精算します。

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確定申告をすることで、雑所得の精算を行うと同時に医療費控除などの所得控除の申告もできます。

参考:国税庁「No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」

贈与税を支払う場合

契約者と受取人が別人のケースでは、「年金受給権の評価額」に対して贈与税が課されます。

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贈与税に支払いが必要になるのは、「年金受給権の評価額」が贈与税の基礎控除額(110万円)を上回る場合です。

贈与税の申告も所得税と同様、確定申告によって行いますが、申告書の提出期限は異なるので注意しましょう。

注意点

  • 所得税の確定申告:年金受給の翌年の2月16日から3月15日まで(令和3年度は4月15日まで)
  • 贈与税の確定申告:年金受給の翌年の2月1日から3月15日まで
    参考:国税庁「No.4429 贈与税の申告と納税」

必要な確定申告をしないとペナルティ

個人年金保険の受取で確定申告が必要な場合について解説しましたが、確定申告をしないと次のペナルティが課せられるので注意しましょう。

注意点

  • 無申告加算税:期限内に確定申告しなかった場合に加算される税金(納税額が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%)
  • 延滞税:法定納期限(令和2年分の申告は令和3年4月15日)から納付までの間の利息(2か月以内の延滞分は2.5%、2か月超分は8.8%)

「無申告加算税」は納税額の15%から20%と大きな金額となるため、確定申告が必要な人は必ず期限内に行いましょう。

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確定申告を期限内にできなかった場合は、できるだけ早い時期に手続きしましょう。

期限後申告でも、次の要件を満たす場合は無申告加算税を免れることができます。

ポイント

  • 期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。
  • 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。

参考:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

個人年金保険の受取で確定申告が不要な場合

次に、個人年金保険の受取で確定申告が不要な場合を解説します。確定申告が不要なのは次のケースです。

総所得の金額が48万円以下の場合

個人年金保険による所得(雑所得や一時所得)を含む総所得金額が48万円以下の場合は、確定申告は不要です。

ポイント

  • 所得税額を計算するときに総所得金額から差し引くことができる「基礎控除」の金額は48万円です。
  • つまり、総所得金額が48万円以内ならば所得税はかからないので確定申告は不要です。

ただし、個人年金保険の雑所得が25万円以上で源泉徴収されていた場合は、源泉徴収された税金の還付を受けるために確定申告をしましょう。

公的年金等に係る確定申告不要制度に該当する場合

公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金など)を受給している人で、次の条件に該当する場合、確定申告は不要です。この仕組みを「公的年金等に係る確定申告不要制度」といいます。

ポイント

  • 1年間の公的年金等の収入金額が400万円以下である
  • 公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっている
  • 1年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である

収入が年金のみで公的年金の受給額が400万円以下、個人年金保険の雑所得が20万円以下ならば確定申告は不要です。

参考:国税庁「公的年金等を受給されている方へ」

個人年金保険の雑所得が25万円以上で精算が不要な場合

「個人年金保険の雑所得が25万円以上で源泉徴収された税金の精算が必要な場合」には確定申告が必要であることを前述しました。

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逆に言えば、税金の精算が必要なければ確定申告は不要です。

自分の所得税率が10%ならば、税金の精算は不要です。

一括受取金額が「払込保険料の合計額+特別控除額(50万円)」を下回る場合

一括受取金額が「払込保険料の合計額+特別控除額(50万円)」を下回る場合、確定申告は不要です。

一時所得は次のとおり計算されるので、一括受取金額が「払込保険料の合計額+特別控除額(50万円)」を下回る場合、所得金額は0円になるからです。

ポイント

一時所得=一括受取金額―必要経費―特別控除額(50万円)

契約者と受取人が別人で「年金受給権の評価額」が110万円以下の場合

契約者と受取人が別人で「年金受給権の評価額」が110万円以下の場合、確定申告は不要です。

注意点

契約者と受取人が別人の場合は贈与税がかかりますが、贈与税の基礎控除額(110万円)を下回る贈与に対しては税金がかからないからです。

保険期間が5年以下の一時払い個人年金保険を一括受取する場合

保険期間が5年以下の一時払い個人年金保険を一括受取する場合、確定申告は不要です。

ポイント

  • このケースでは、一括受取する際に課税対象となる一時所得に対し源泉分離課税が適用されます。
  • 税率は20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)です。

すでに住民税を含む税金が源泉徴収されているので、確定申告をする必要はありません。

参考:国税庁「No.1490 一時所得」

公的年金の場合は確定申告が不要

公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金など)を受給している場合、確定申告は不要です。

マガジン編集部

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確定申告が不要である理由は、公的年金の受取時に源泉徴収されるからです。

税率は年齢や収入などによって異なりますが、年金収入が次の「公的年金等控除額」の範囲内なら所得税はかかりません。

ポイント

  • 65歳未満の控除額:60万円
  • 65歳以上の控除額:110万円

公的年金以外に収入がない場合、所得税の基礎控除48万円を加えて、年金収入が次の場合は所得税がかかりません。

ポイント

  • 65歳未満の人:年金収入108万円以下
  • 65歳以上の人:年金収入158万円以下

受取り方別にかかる税金をシミュレーション

それでは、実際にどれだけの税金がかかるのかを、受取り方別にシミュレーションしてみましょう。

ポイント

  1. 契約者と受取人が同じで毎年年金を受け取るケース(雑所得の計算)
  2. 契約者と受取人が同じで年金を一括で受け取るケース(一時所得の計算)
  3. 契約者と受取人が別人のケース(贈与税の計算)

①契約者と受取人が同じで毎年年金を受け取るケース(雑所得の計算)

最初に、契約者と受取人が同じで毎年年金を受け取るケースにかかる雑所得について説明します。

雑所得の計算方法

雑所得の計算方法は次の通りで、1年ごとに計算しなければなりません。

ポイント

雑所得=収入(受け取る年金)-必要経費(支払った保険料)

収入は所定の年金額ですが、必要経費は年金の型(確定年金や終身年金)によって異なります。

ポイント

  • 10年確定年金:必要経費=支払った保険料÷10年(1年当たりの必要経費)
  • 終身年金:必要経費=支払った保険料÷年金支給開始日の平均余命(※)

マガジン編集部

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編集部
(※)平均余命は下表の通りです。

表は右にスクロールできます。

年齢 55歳 60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳 66歳 67歳
男性 23年 19年 18年 17年 17年 16年 15年 14年 14年
女性 27年 23年 22年 21年 20年 19年 18年 18年 17年

表は右にスクロールできます。

年齢 68歳 69歳 70歳 75歳 80歳
男性 13年 12年 12年 8年 6年
女性 16年 15年 14年 11年 8年

参考:生命保険文化センター「税金に関するQ&A・個人年金保険の年金を受け取って所得税がかかるときの計算方法は?」

雑所得のシミュレーション

ケース①

65歳年金開始の10年確定年金に加入の男性。年金額50万円、支払保険料の合計金額450万円の場合

(雑所得の計算)
必要経費=450万円÷10年間=45万円
雑所得=50万円-45万円=5万円

(所得税額)総合課税の所得税率10%の場合
所得税額=5万円✕10%=5,000円

ケース②
65歳年金開始の終身年金に加入の男性。年金額50万円、支払保険料の合計金額600万円の場合
(雑所得の計算)
必要経費=600万円÷15年間=40万円
雑所得=50万円-40万円=10万円
(所得税額の計算)総合課税の所得税率10%の場合
所得税額=10万円✕10%=1万円

②契約者と受取人が同じで年金を一括で受け取るケース(一時所得の計算)

次に、契約者と受取人が同じで年金を一括で受け取るケースにかかる一時所得について説明します。

一時所得の計算方法

一時所得の計算方法は次の通りです。

ポイント

一時所得=収入(受け取る一時金)-必要経費(支払った保険料)-特別控除額(50万円)

一時所得に対する税額は次の通り計算します。

ポイント

税額=一時所得金額✕1/2✕20.315%(※)
※所得税のほかに復興特別所得税と地方税を含む税率。

一時所得のシミュレーション

ケース①

65歳年金開始の10年確定年金に加入の男性。65歳時に年金を一括受け取り(900万円)、支払保険料の合計金額800万円の場合

(一時所得の計算)
一時所得=900万円-800万円-50万円=50万円(税額の計算)所得税のほかに復興特別所得税と地方税を含む。
税額=50万円✕1/2✕20.315%=5万700円(百円未満切り捨て)

ケース②
65歳年金開始の10年確定年金に加入の男性。65歳時に年金を一括受け取り(450万円)、支払保険料の合計金額400万円の場合
(一時所得の計算)
一時所得=450万円-400万円-50万円=0円
(税額の計算)
税額:一時所得0円なので課税なし

③契約者と受取人が別人のケース(贈与税の計算)

最後に、契約者と受取人が別人のケースにかかる贈与税について説明します。

贈与税の計算方法

贈与税は、契約者から受取人に対して「年金受給権の評価額」が贈与されたものとして課税されます。

「年金受給権の評価額」は、次の3つの金額のうち最も大きな金額です。

ポイント

  • 解約返戻金の額
  • 年金に代えて一時金の給付を受けられる場合は一時金の金額
  • 予定利率等をもとに算出した金額

参考:生命保険文化センター「税金に関するQ&A・年金受給権の評価方法とは?」

上記評価額に対して、次の通り贈与税額を計算します。

ポイント

  • 課税価格=年金受給権の評価額-基礎控除額(110万円)
  • 贈与税額:次の速算表にて計算(直系尊属からの贈与については、特例税率を使用して計算)

表は右にスクロールできます。

課税価格 200万円以下 200万円超

300万円以下

300万円超

400万円以下

400万円超

600万円以下

600万円超

1,000万円以下

1,000万円超

1,500万円以下

1,500万円超

3,000万円以下

3,000万円超
一般税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

贈与税のシミュレーション

ケース①
65歳年金開始の10年確定年金。契約者は夫で受取人は妻、年金受給権の評価額が500万円の場合
(課税価格の計算)
課税価格=500万円-110万円=390万円
(贈与税額の計算)
贈与税額=390万円✕20%-25万円=53万円
ケース②
65歳年金開始の10年確定年金。契約者は夫で受取人は妻、年金受給権の評価額が110万円の場合
(課税価格の計算)
課税価格=110万円-110万円=0円
(贈与税額の計算)
贈与税額:課税価格0円なので課税なし

個人年金保険受取時の税金に関する注意事項

個人年金保険受取時の税金については、次の事項に注意しましょう。

個人年金保険を受け取ったら確定申告が必要

個人年金保険を受け取った場合は、確定申告が必要です。

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確定申告によって、その他の所得と合わせて所得税を納めます。

雑所得の金額が25万円以上の場合は保険会社で源泉徴収されますが、税率や所得控除の金額は個人ごとに異なるため確定申告で精算が必要です。

ただし、次の場合は確定申告不要です。

ポイント

  • 年金所得者の確定申告不要制度に該当する場合(公的年金等の収入金額が400万円以下で、その他の所得金額が20万円以下の場合)
  • 課税所得がない場合(一括受け取りした年金額が支払保険料を50万円以上、上回らない場合など)
  • また、契約者と受取人が別人で贈与税を支払った人も、所得税を支払うために確定申告が必要です。

参考:国税庁「公的年金等を受給されている方へ」

契約途中で契約者を変更した場合

前述の通り、契約者と受取人が異なる場合、受取人の年金受給権の評価額に対して贈与税が課税されます。

これを避けるために年金開始直前に契約者を受取人に変更するケースが散見されます。

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契約者と受取人が同じなら贈与は発生しないという理屈です。
注意点
しかし、このようなケースでも変更前の契約者が支払った保険料によって変更後の契約者が年金を受け取ることになるので、変更前に支払われた保険料分は贈与税の対象となります。

遺族が個人年金を受け取る場合

年金受取人が死亡して遺族が代わって年金を受け取る場合は、契約者(保険料を支払った人)が誰かによって課税される税金の種類が異なります

マガジン編集部

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課税の対象は「年金受給権の評価額」で、年金受給権の取得者には次の税金がかかります。

死亡した受取人Aの財産を相続した場合

受取人 契約者 年金受給権の取得者 税金の種類
ケース① A A B 相続税
ケース② A B C 贈与税

ケース①では死亡したAの財産(年金受給権)を譲り受けたため「相続税」が発生し、ケース②では生存しているBから財産を譲り受けたので「贈与税」が発生します。

参考:国税庁「No.1615 遺族の方が支払を受ける個人年金」

個人年金保険に加入するときは年金受取人を契約者に

個人年金保険に加入するときは、年金受取人を契約者にするのがおすすめです。

ポイント

  • 予定利率の高かった数十年前に加入した個人年金保険以外は、大きな所得税がかかる可能性が低いです。
  • 年金額から必要経費を除いた雑所得の金額が20万円を超えたり、一括受け取りした年金額から必要経費を除いた一時所得の金額が一時所得の特別控除額50万円を超えたりすることはまれです 。

しかし、贈与税の対象となる「年金受給権の評価額」が非課税枠の110万円を超えて贈与税が発生する可能性は高く、またその額が高額になる可能性もあります。

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契約者と受取人が同じならば、課税されるのは所得税だけで贈与税がかかることはありません。

個人年金保険にかかる税金についてよくある質問

個人年金保険に税金はかかりますか?
かかります。契約者と被保険者の関係によって、「所得税(雑所得)」「所得税(一時所得)」「贈与税」のいずれかを支払う必要があるのです。
個人年金保険の加入者で確定申告が必要になるケースを教えてください。

雑所得が発生する場合や一時所得が発生する場合源泉分離課税された税金を精算する場合などで必要になります。担当者や専門家に確定申告の有無を確認してみてください。

確定申告を行わないとどのようなことが起こりますか?
納税の義務に反するため、追加徴税されてしまいます。具体的には「無申告加算税」「延滞税」などで余計に支払わなければいけなくなるため、注意が必要です。
個人年金保険で確定申告が不要な場合を教えてください。

総所得の金額が48万円以下のケースや、確定申告不要制度に該当するケースなどが挙げられます。ご自身の加入内容と照らし合わせてみてください。

自分が加入している個人年金保険の税金がわかりません。
個人年金保険の税金についてわからない方は、「ほけんのぜんぶ」をはじめとする保険相談窓口の活用をおすすめします。専門家が現在加入している内容から、税金の問題を洗い出してくれますよ。

まとめ

個人年金保険の受取にかかる税金は、受取方法によって異なり、主に「雑所得」「一時所得」「退職所得」の3種類に分かれます。

確定申告が必要かどうかを判断するためには、「所得控除後の所得」の有無や、「源泉分離課税」の適用を確認することが重要です。源泉分離課税が適用される場合、通常は確定申告が不要ですが、適用されない場合は申告が必要となることがあります。

もし確定申告をしないと、「無申告加算税」や「延滞税」が課せられる可能性があるため、税務署に正しく報告することが大切です。

年金支給開始時には、保険会社の担当者に確認し、必要な手続きをしっかりと行い、税務面でのトラブルを避けましょう。

監修者の紹介
岡田行史

人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタントMDRT成績資格会員2度取得。 ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。 また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。

岡田行史のプロフィール情報

岡田行史

監修者の紹介
辻佳崇

生命保険の業界歴10年。年間500世帯の相談実績。 社会保険・税金の効率化、家計・固定費の見直し、保険の新規加入・見直し、住宅購入・住宅ローン、資産形成・老後の年金対策・少額投資(iDeCo・NISAなど)、不動産投資と幅広い分野に精通。

辻佳崇のプロフィール情報

辻佳崇

監修者の紹介
辻本剛士

大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職。在職中にFP1級CFP宅地建物取引士に独学で合格。 会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動中。

辻本剛士のプロフィール情報

辻本剛士