学資保険とは、子どもの教育資金を確保する方法の1つであり「将来、お金に不自由なく子どもを学校に通わせたい」という親御さんに人気の保険商品です。
しかし、「保険に加入するなら学資保険よりも優先すべきものがあるのでは?」「計画的に貯蓄や投資をすれば十分なのでは?」といった声もよく聞かれます。
当記事ではこれから学資保険の加入を検討する方に向けて、学資保険の特徴やメリット・デメリットを簡単にわかりやすく解説します。
編集部
この記事の要約
- 学資保険とは、子どもの教育資金を計画的に準備する方法の一つです。定期預金よりも貯蓄効率が良く、貯蓄が苦手な人でも取り組みやすいメリットがあります。
- 契約者(親)にもしものことがあった場合には以降の保険料払込が免除されるので、確実に教育資金を準備したい方におすすめです。
- 学資保険選びで迷っている方は、子育て世代相談件数40,000組以上※の「ほけんのぜんぶ」で知識豊富なFPに無料相談してみましょう。
※ほけんのぜんぶ自社調べ 2023年2月時点
この記事は5分で読めます。
「学資保険」関連記事
※本コンテンツで紹介している保険会社は、保険業法により金融庁の審査を受け内閣総理大臣から免許を取得しています。コンテンツ内で紹介する商品の一部または全部に広告が含まれています。しかし、当サイトは生命保険協会等の公的機関や保険会社の公式サイトの情報をもとに各商品を公正・公平に比較しているため、情報や評価に影響する事は一切ありません。当コンテンツはほけんのぜんぶが管理しています。詳しくは、広告ポリシーと制作・編集ガイドラインをご覧ください。
【当サイトは金融庁の広告に関するガイドラインに則って運営しています】
金融商品取引法
生命保険商品に関する適正表示ガイドライン
募集文書等の表示に係るガイドライン
広告等に関するガイドライン
学資保険とは?特徴をわかりやすく解説
学資保険にはどのような保障内容があるのか、主な特徴を確認していきましょう。
保障と貯蓄を兼ね備えている
学資保険とは、子どもの教育資金を準備するための生命保険で、万が一の場合の保障と貯蓄を兼ね備えています。
保険料を支払うことで、子どもが契約時に決めた年齢に達したときに「お祝い金」や「満期保険金」が受け取れ、必要な学費に充てることができます。
編集部
学資保険には、「貯蓄型」と「保障型」2つのパターンがある
学資保険には、お金を貯めることに特化した「貯蓄型」と、特約を付けてケガや病気などもしもの場合に備える「保障型」の2種類があります。
貯蓄型の特徴 | 保障型の特徴 |
---|---|
◎支払った保険料よりも多くの保険金を受け取れる
△満期がインフレと重なった場合、教育資金が不足する可能性がある |
◎万が一の際に生活費の一部や保険金を受け取れる
△解約時や満期時に受け取れる保険金が少なくなることが多い |
保障型の場合、途中解約をしたり満期を迎えたりしたときに受け取れる保険金が貯蓄型と比べて少なくなる点には注意が必要です。
親に万が一のことがあれば、保険料の支払いが免除される
学資保険の契約者(保険料を支払う人)が死亡または所定の高度障害状態に陥った場合、それ以降の保険料の支払いが免除されます。
これにより、万が一の場合でも、子どもの進学時に必要な学資金を確保することができます。
なお、この保険料払込免除は、学資保険の主契約で保障されている商品もありますが、「保険料払込免除特約」を付ける必要がある商品もありますので、契約時に確認しましょう。
お祝い金や満期保険金の受け取り時期を選べる
お祝い金や満期保険金の受け取り時期は、家庭によって希望するタイミングが異なることがあります。
たとえば、大学入学時に一度にまとめて受け取りたい人もいれば、中学校や高校の入学時にもお祝い金を受け取りたい人もいます。
また、お祝い金の金額も毎回10万円にしたい人や20万円にしたい人など、希望額はそれぞれです。
編集部
お祝い金や満期保険金の受け取り時期、それぞれの金額を希望通りに設計することができます。
さらに、保険料の払い込み期間は、満期金受取時までコツコツと積み立てる方法ももちろんありますが、早期に払い込みを完了しその後は運用に回すことで受取額を増やすこともできます。
生命保険料控除の対象になる
学資保険の保険料は、「生命保険料控除」の対象になるため、所得税や住民税の支払い負担を軽減することができます。
控除金額は、学資保険の契約日によってふたつに分かれます。
※平成24年1月1日以降に契約した学資保険(新制度)では所得税が最大4万円(住民税は2万8,000円)、平成23年12月31日以前に契約した学資保険(旧制度)では所得税が最大5万円(住民税は3万5,000円)が控除されます。
子どもの教育資金は一体いくら必要?
文部科学省の調査(平成30年度子どもの学習費調査)によると、小学校~高校までにかかる費用は以下のとおりです。
表は横にスライドできます
小学校〜高校まで | 学校教育費 | 学校給食費 | 学校外活動費 | 合計 |
---|---|---|---|---|
公立小学校 | 6万3,102円 | 4万3,728円 | 21万4,451円 | 32万1,281円 |
私立小学校 | 90万4,164円 | 4万7,638円 | 64万6,889円 | 159万8,691円 |
公立中学校 | 13万8,961円 | 4万2,945円 | 30万6,491円 | 48万8,397円 |
私立中学校 | 107万1,438円 | 3,731円 | 33万1,264円 | 140万6,433円 |
公立高校 | 28万0,487円 | - | 17万6,893円 | 45万7,380円 |
私立高校 | 71万9,051円 | - | 25万0,860円 | 96万9,911円 |
この統計は、それぞれ在学1年間の金額です。
給食費や学校外活動費(塾や習い事の費用)も含めると、私立の小学校がいちばん高く、年間160万円程度かかるようです。
大学の費用については、日本政策金融公庫の調査(「教育費に関する調査結果」2020年10月発表分)で次のような結果が出ています。
大学の種類 | 入学金 | 在学費用(年間) |
---|---|---|
公立大学 | 77万0,000円 | 115万0,000円 |
私立大学(文系) | 95万1,000円 | 152万1,000円 |
私立大学(理系) | 94万2,000円 | 192万2,000円 |
入学のために70~95万円程度、在学中は年間110~190万円程度かかっています。
小学校から大学まですべて公立に進むことができれば、次のようになります。
小学校〜大学まですべて公立の場合 | |
---|---|
公立小学校(6年間) | 192万7,686円 |
公立中学校(3年間) | 146万5,191円 |
公立高校(3年間) | 137万2,140円 |
公立大学(入学金+4年間) | 499万4,000円 |
合計 | 975万9,017円 |
中学までは公立で、私立高校、私立文系の大学に進んだとすれば、次のとおりです。
小学校〜中学校まで公立 高校〜大学は私立進んだ場合 |
|
---|---|
公立小学校(6年間) | 192万7,686円 |
公立中学校(3年間) | 146万5,191円 |
私立高校(3年間) | 290万9,733円 |
私立大学文系(入学金+4年間) | 703万5,000円 |
合計 | 1,333万7,610円 |
編集部
一般的には、高校までの費用は日々の家計から出してゆき、並行して大学の費用を、入学までにコツコツ貯めていくという家庭が多いでしょう。
大学にかかる費用を500万円程度と考えるなら、月あたり2万5,000円を17年間貯めればいいことになります。
学資保険に加入するメリット
教育資金を準備するには定期預金でコツコツ貯金したり、つみたてNISAやiDeCoなどの投資信託を活用したりなどさまざまな方法があります。
ですが、学資保険には学資保険ならではのメリットがあります。一つひとつ見ていきましょう。
学資保険のメリット
①預金よりやや有利に貯められる
学資保険は、一般的に払い込んだ保険料の総額よりも多めの学資金を受け取ることができます。
編集部
現在、学資保険の返戻率が110%程度の商品もあります。
本格的な投資に比べるとわずかな利率ですが、銀行預金に比べれば高いと言えます。
預金金利を返戻率に変換すると……
- 超低金利の今、預金金利は、高めと言われるネット銀行の定期預金でも0.01~0.02%程度。
- 100万円を17年預けたとして、金利0.02%(半年複利)なら100万3,406円になります(税金考慮せず)。
- これを返戻率に直すと約100.3%です。
学資保険の返戻率についてもっと詳しく知りたい方は『学資保険の返戻率を高くする方法』の記事も参考にしてみてください。
②貯蓄が苦手な人でも貯めやすい
学資保険の大きなメリットは、貯蓄が苦手な人でも貯めやすいという点です。
学資保険には途中解約によって元本割れが発生するリスクがありますが、これが「解約したくない」という心理を働かせ、貯金を続けやすくする要因となります。
普通預金だと、つい引き出してしまうことが多いため、なかなか貯まらないことも少なくないでしょう。
一方で、学資保険では月々の保険料を自動引き落としやカード払いで支払えるため、特に意識することなく積み立てが進みます。
編集部
③万一の場合にも教育資金を確保できる
学資保険には、契約者(親)に万一のことがあったとき、以後の保険料は不要になりますが、学資金は契約どおりに受け取れるという「払込免除」の仕組みがあります。
編集部
預金であれば、お金を貯めている人が亡くなったらそこでストップしてしまいますが、学資保険ならもしものことがあっても契約した学資金ぶんは確実に用意できるというわけです。
学資保険に加入するデメリット
学資保険には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。デメリットもしっかり把握したうえで、加入を検討しましょう。
学資保険のデメリット
①早期解約すると高確率で元本割れしてしまう
学資保険は、早期してしまうと高確率で元本割れしてしまう恐れがあります。預けた期間や保険内容によっても異なりますが、1年目での解約では積み立てた分の約6割程度しか返ってきません。
せっかく今まで支払ってきた保険料を無駄にしないためにも、早期解約をするのはできる限り避けましょう。
②積み立てたお金を簡単に引き出せない
学資保険は、預金や投資信託のように簡単にお金を引き出せません。学資保険とは別に貯金を貯めていなければ、大きなお金が必要になったときに困ってしまうでしょう。
しかし、学資保険では必要なときにお金を借りられる“契約者貸付”の制度があります。契約者貸付を利用すれば、途中解約せず手元に現金を用意することが可能です。
編集部
学資保険を選ぶ際に注目すべきポイント
数ある学資保険のうち、我が家に適したものを選ぶには何に注目すればいいのでしょうか。ここからは、学資保険を選ぶ際のポイントを紹介していきます。
学資保険を選ぶ際のポイント
①返戻率の高さ
学資保険は貯蓄型の保険で、主な目的は教育資金を準備することです。このため、返戻率が学資保険選びの重要なポイントになります。
返戻率は、支払った保険料に対して将来受け取れる学資金の総額がどれくらいかを示す指標です。
編集部
学資保険でどれだけ効率よく教育資金を貯められるかを把握するために、まずは返戻率を確認し、この数値を目安に、自分に合った商品を選びましょう。
返戻率の計算式
- 返戻率(%)=受け取れる学資金などの総額÷払い込んだ保険料の総額×100
②保険料をいつまで払い込むか
学資保険では、保険料の払い込み期間を選べます。代表的なものは「短期払い」と「全期払い」です。
全期払いは、学資金を受け取るタイミングまで払い込みが続きます。例えば、18歳で学資金を受け取る場合、18歳まで保険料を支払い続けます。
短期払いは、払い込み期間を早期に終えるプランで、例えば15歳までに払い終えるといった形です。払い込みが終了した後は、保険会社が運用する期間が長くなるため、返戻率が高くなる傾向があります。
編集部
③月々の保険料はいくらに設定するか
学資保険は中途解約すると元本割れする可能性があるため、できるだけ解約しないことが前提です。
そのためには、払い込む保険料を無理のない金額で契約することが大切です。
編集部
毎月の払い込みが苦しくて、結局解約してしまった……とならないようにしたいものです。
学資保険の払込方法
- 毎月払い込む月払い
- 半年ごとに払い込む半年払い
- 年に一回まとめて払い込む年払い
上記を選べる商品もあります。
まとめて払い込むにはその都度まとまった額が必要ですが、月あたりに割って考えると保険料は割り引かれています。
④受け取りのタイミングはどうするか
学資保険は、大学入学前に満期となり、入学金などに使える学資金を受け取るというのが主流ですが、以下のような商品やプランもあります。
学資保険の受け取りタイミング
- 中学・高校の入学に合わせて祝い金を受け取る
- 幼稚園や小学校も含めて進学ごとにお金を受け取れる
- 大学卒業に合わせて就職の祝い金・支度金として受け取れる
編集部
実際にいつお金が必要になるのかは、確認が必要です。
大学の入学金・初年度の授業料などは、合格発表後1~2週間以内に納めるのが一般的です。
合格発表の時期は入試の種類によって異なり、一般入試は高校3年生の2~3月ですが、推薦入試ですと11~12月、AO入試では早ければ8月ということもあります。
「満期」表記の注意点
- 一方、学資保険で「〇歳満期」と言ったとき、実際にお金を受け取れるのは「子どもが〇歳になった後の最初の契約応当日」です。
- 契約応当日とは、学資保険を契約した月日のことです。
- 「5月1日生まれの子どものために、18歳満期のプランを6月1日に契約した」という場合、応当日は「高校3年生の6月1日」です。
⑤貯蓄型か保障型か
基本的に学資保険は子どもの教育資金の貯蓄のための保険と解説しましたが、それに加えて医療保障を付加できる商品もあります。
保障型の学資保険の商品
- 特約(オプション)として子どもの医療保障が追加できる商品
- 払込免除の仕組みとは別に、親が亡くなった場合や高度障害など万が一のことがあった場合に子どもに育英年金が支給される商品
保障型は、一見ありがたいように思えますが、払い込んだ保険料の一部が保障準備にあてられるため、返戻率は下がり、100%を割り込むことも多いので、貯蓄性という点では不利になります。
貯めることを考えるなら保障型は避けたほうがいいのですが、子どもの保障を重視するのも一つの考え方ですし、他の医療保険に別途加入するのも一つの手です。
編集部
学資保険に関してよくある質問
学資保険の加入タイミングで迷われている方は『学資保険にはいつから加入するべき?最適な加入時期を解説』の記事もチェックしてみてください。
*出生予定日5ヵ月前と表現している会社や、プランによって91日前からとしている会社もあります。
「18~65歳」など、幅広くとられていますが、祖父母が契約者となる場合などは、確認するようにしてください。
学資保険はできるだけ早めに入ることをおすすめします。その理由は以下の通りです。
- 同じ商品・プランであっても、加入したときの子どもの年齢が低いほど、月々の保険料は安くなります。
- 安い保険料で学資金を貯められるため、利率も高くなります。
学資保険では、保険料を長期間運用して学資金を準備します。払い込み期間が長いと運用期間も長くなり、運用益を得やすくなります。そのため、保険料の払い込みを早く終える短期払いのほうが、利率が良くなる傾向があります。
まとめ
学資保険について、基本的な内容をまとめました。
近年は学資保険の利率が下がっており、以前ほどの魅力がなくなったことは事実です。
しかし、貯蓄が苦手な人にとっては貯めやすい仕組みづくりができることや、親に万一のことがあった場合の死亡保障にもなるなど、学資保険ならではのメリットもあります。
いずれにせよ、教育資金は大きな額になりますので、そのすべてを学資保険だけで準備するのもムリがあります。預貯金や、ときには投資なども組み合わせて、長期的なマネープランが必要でしょう。
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
専業主婦を経て、子供が4歳のときにファイナンシャルプランナー(FP)に転身。生命保険会社や大手保険代理店での勤務期間中には、数多くの店舗の立ち上げにも携わる。 約18年間で法人・個人5,000件以上のコンサルティングを担当。
自身の人生経験からもお金の大切さを痛感し、新聞社主催のマネーセミナーや女性のためのマネーセミナー、キッズセミナーなどの講師として活躍中。