医療保険の保障は日額5000円で十分?入院費を踏まえ徹底解説

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「医療保険の入院給付日額は5,000円で十分」という意見がありますが本当なのでしょうか?

実際に病気やケガをしたとき自己負担費用はいくらかかるのか、5,000円で本当に安心できるのか気になっている人は多いはずです。

本記事では、病気やケガで入院した場合にかかる費用を踏まえて、医療保険の入院給付日額が5,000円で十分かどうかを徹底検証します。

マガジン編集部

医療保険の入院給付日額を5,000円、10,000円にした場合のメリット・デメリットまで詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の要点

  • 入院した場合、1日あたりの自己負担平均額は2万700円。自己負担額を医療保険で全額カバーするには、入院給付日額5,000円では足りません。ただし、実際の経済的負担を貯蓄で賄える場合は、入院給付日額5,000円を選ぶのも一つの選択肢です。
  • 入院給付日額を選ぶ際は、収入や預貯金、生活費を考慮して適切な金額を決めることが重要です。しかし、保険選びは複雑であるため、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
  • 万が一に備えて十分な保障を受けるためには、無料保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」で専門家と相談し、自分に合った医療保険を納得して選ぶことが大切です。

ほけんのぜんぶ

この記事は5分程度で読めます。

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病気やケガで入院した場合いくらかかる?

まずは病気やケガで入院した場合、具体的にいくらかかるかをみてみましょう。

入院時に自己負担する費用は「治療費の3割」

入院した時の治療費は、健康保険制度が適用されれば全額自己負担になるわけではありません

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保険適用の治療に対して「自己負担額」は治療費の3割です。※6歳以上(義務教育就学後)から69歳の人

また、1か月の自己負担額が高額になった場合は、高額療養費制度の適用申請をすれば、所得に応じて決まる「自己負担限度額」以上の負担はありません。

参考:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」

治療費のほか、保険の適用されない費用が加算されるため、入院時に自己負担する費用は次の合計となります。

入院時の主な自己負担費用

  • 治療費の「自己負担分(3割)」または高額療養費制度の「自己負担限度額」
  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事代
  • 交通費(見舞いにくる家族の交通費も含む)
  • 入院時の生活費(生活用品や雑費など) など

厚生労働省の調査によると、令和3年7月1日時点における差額ベッド代の平均額は1日あたり6,613円で、入院が長期化すると大きな出費です。

1日あたりの差額ベッド代
個室のタイプ 差額ベッド代
1人部屋 8,315円
2人部屋 3,151円
3人部屋 2,938円
4人部屋 2,639円
平均 6,613円

参考:健康保険組合連合会「健保ニュース2022年9月下旬号」

上表は各人数部屋の平均金額ですが、病院によっては差額ベッド代が数万円かかることもあります。

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ちなみに、今回の調査で差額ベッド代の最高額は38万5,000円でした。

また、入院時に差額ベッド代を徴収する病床数は、調査対象医療機関の総病床数の20.7%でした。すべての入院で差額ベッド代がかかるわけではありません。

1入院あたりの自己負担額の平均は30.2万円

生命保険文化センターの調査によると、1回の入院にかかる費用は次の通りです。

1入院あたりの自己負担額
自己負担額 割合
100万円以上 9.2%
50万円以上100万円未満 5.7%
30万円以上50万円未満 13.5%
20万円以上30万円未満 7.1%
10万円以上20万円未満 24.8%
5万円以上10万円未満 25.5%
5万円未満 14.2%
平均 30.2万円

参考:生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査(速報版)(以下同様)

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1入院あたりの自己負担額の平均は30.2万円です。

また、全体の約1/3は10万円未満、約6割は20万円未満で、貯蓄で賄える人も多いでしょう。

しかし、100万円以上かかるケースもあり、経済的負担が大きくなる可能性もあります。

1日あたりの自己負担額の平均は2万700円

次に、1日あたりの自己負担額をみてみましょう。

1日あたりの自己負担額
自己負担額 割合
4万円以上 13.2%
3万円以上4万円未満 5.5%
2万円以上3万円未満 16.0%
1万5,000円以上2万円未満 7.9%
1万円以上1万5,000円未満 23.3%
7,000円以上1万円未満 11.5%
5,000円以上7,000円未満 8.8%
5,000円未満 13.8%
平均 2万700円

1日あたりの自己負担額の平均は2万700円です。

全体の約20%は1万円以下、約65%は1万5,000円以下ですが、1日あたり3万円以上かかった人も約19%と相当数います。

1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額は平均2万5,800円

入院によって失った収入を逸失収入と呼びます。前述の自己負担額と合わせて実質的な経済的負担を考えると次の通りです。

1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額
自己負担額 割合
4万円以上 18.0%
3万円以上4万円未満 6.5%
2万円以上3万円未満 16.8%
1万5,000円以上2万円未満 9.3%
1万円以上1万5,000円未満 20.9%
7,000円以上1万円未満 9.7%
5,000円以上7,000円未満 6.5%
5,000円未満 11.5%
平均 2万5,800円

1日あたりの自己負担額と逸失収入の総額は平均2万5,800円、逸失収入の平均額は約5,000円です。

総額が2万円以下に収まるのは約半分の人で、残りの半分は2万円以上の経済的負担が発生しています。

医療保険の保障は日額5,000円で十分?

入院時の自己負担額について見てきましたが、医療保険の入院給付日額は5,000円で十分でしょうか。

入院時の自己負担額をすべて医療保険で賄うケース

1日あたりの自己負担額の平均2万700円、逸失収入を合わせた負担額は平均2万5,800円です。これらをすべて医療保険で賄うと仮定すると、入院給付日額5,000円では全然足りません

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しかし、使うかどうかわからない医療保険に何件も加入して、入院給付日額を2万円や3万円にするのは現実的に思えません。

前述した生命保険文化センターの調査によると、過去5年間の「入院経験あり」の割合は16.7%に過ぎません

また、たとえ入院しても全体の約半数は1週間以内の入院で、1か月や2か月を超える入院は1割以下です。

入院時の入院日数(過去5年間に入院した人)
入院日数 割合
5日未満 19.8%
5日~7日 27.5%
8日~14日 24.1%
15日~30日 17.8%
31日~~60日 6.8%
61日以上 4.0%
平均 17.7日

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最悪の状況に備えるという考え方もありますが、保険料の負担を考えるとおすすめできません。

入院時の自己負担額の一部を貯蓄などで賄うケース

入院時の自己負担額が医療保険の給付金だけでは賄えない場合、貯蓄を使って不足分を補うことが一般的です。この際、どれくらいの自己負担額を貯蓄でカバーできるかを基に、医療保険の入院給付日額を設定することが重要です。

次のモデルケースを使って、入院したときの自己負担額を具体的にイメージしてみましょう。

モデルケース
  • 入院時の1日あたりの自己負担額:2万700円
  • 医療保険の入院給付日額:5,000円
  • 入院日数:7日、15日、30日、60日

このモデルケースでは、貯蓄で補う必要のある実質的な経済的負担額は次の通りです。

表は横にスライドできます

入院日数別の実質的な経済的負担額
入院日数 自己負担額(①) 入院給付金(②) 実質的経済的負担額(①-②)
7日 約14.5万円 3.5万円 約11万円
15日 約35.0万円 7.5万円 約27.5万円
30日 約62.1万円 15.0万円 約47.1万円
60日 約124.2万円 30.0万円 約94.2万円

※上記金額は、医療保険からの給付を入院給付金のみと仮定して計算しています。

マガジン編集部

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もし「入院一時金」や「手術給付金」が加わる場合、実質的な経済的負担額はさらに小さくなります。
入院一時金の金額は医療保険加入時に設定するもので、例えば2.5万円・5万円・10万円・30万円など様々です。

注意点

入院一時金を支払うタイプの保険では、入院が4日以内の場合、入院給付金の代わりに一時金が支払われることがあります。さらに、入院給付金が支給されない入院一時金保険も存在するため、事前に保険内容を確認しておくことが大切です。

こうした情報を踏まえて、次のような方は入院給付日額の増額を検討してみましょう。

  • いざという時の貯蓄がほとんどない
  • 入院費用のすべてを医療保険で賄いたい
  • 自営業者など入院によって収入が途絶える可能性がある

会社員や公務員の場合は、休業しても給与が支給されたり、健康保険から傷病手当金が支給されたりするため、収入の心配は少ない傾向があります。

しかし、自営業者やフリーランスの場合は、入院により収入が途絶えるリスクが高いため、保障額を増やす必要性が高いと言えるでしょう。

保障額を日額5,000円にした場合のメリットとデメリット

入院給付日額を5,000円にした場合のメリットとデメリットについて解説します。

保障額を日額5,000円にした場合のメリット

入院給付日額を5,000円にした場合のメリットは、保険料を安く抑えられることです。

医療保険のほとんどは掛け捨てであるため、入院しなければ支払った保険料は原則戻ってきません。

たとえば、入院給付日額を5,000円の医療保険に5年間加入した場合と10,000円の医療保険に加入した場合の保険料を比較すると次の通りです。

各年齢の男性がA生命保険会社の医療保険に定期タイプ・特約なしで加入したと仮定して試算しました。

表は横にスライドできます

入院給付日額の差による保険料の差額
加入時年齢 日額5,000円の保険料 日額1万円の保険料 保険料の差額

②-①

1か月 ①5年間 1か月 ②5年間
20歳 880円 5万2,800円 1,760円 10万5,600円 5万2,800円
30歳 1,155円 6万9,300円 2,310円 13万8,600円 6万9,300円
40歳 1,560円 9万3,600円 3,120円 18万7,200円 9万3,600円
50歳 2,220円 13万3,200円 4,440円 26万6,400円 13万3,200円
60歳 4,065円 24万3,900円 8,130円 48万7,800円 24万3,900円

前述の通り、過去5年間に入院経験のある人の割合は13.7%で、9割近い人は直近5年間で入院を経験していないことになります。

マガジン編集部

読者
医療保険の給付を全く受けなかった場合、入院給付日額5,000円を選択すれば、表の「保険料の差額」分を得したことになりますね。

保障額を日額5,000円にした場合のデメリット

入院給付日額を5,000円にした場合のデメリットは、実際に入院したときの実質的な経済的負担額が発生することです。

特に、次のケースでは負担は大きくなります。

経済的負担が大きくなるケース

  • 入院が長期化した場合
  • 差額ベッド代が高額になった場合
  • 入院によって収入が減少した場合
  • 預貯金が少ない人の場合

治療費が高額になったり、入院が長期化したりする可能性の高い生活習慣病などに備えて、特約などで負担をカバーするという選択肢もあります。

保障額を日額10,000円にした場合のメリットとデメリット

入院給付日額を10,000円にした場合のメリットとデメリットは次の通りです。

保障額を日額10,000円にした場合のメリット

入院給付日額を10,000円にした場合、日額5,000円の場合と比較して入院給付金が2倍になるだけではなく、入院一時金や手術給付金も2倍になるケースがあります。

マガジン編集部

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入院一時金は、日帰り入院など短期間の入院でもまとまったお金が出るため、治療費以外の費用に充てることもできます。

また、手術給付金の給付金額が手術の種類に応じた給付倍率(10倍、20倍、40倍など)で決まる場合、最大40万円の給付を受けられます。

入院が長期化したり、収入が減少したりした場合でも、入院給付日額10,000円なら経済的負担を大幅に抑えることができる可能性があります。

保障額を日額10,000円にした場合のデメリット

入院給付日額を10,000円にした場合のデメリットは、保険料の負担が大きいことです。

前述の保険料シミュレーションでは、医療保険の給付を5年間全く受けなかった場合の保険料負担は、年齢によりますが日額5,000円の人よりも約5万円~約25万円も増えます。

20年、30年以上も入院経験のない人も数多くいるので、特約を少なめにするなど保険料の払い過ぎに注意しましょう。

医療保険の日額に関するよくある質問

入院すると、1日あたり入院費用(自己負担額)はどれくらいかかりますか?
生命保険文化センターの調査によると、1日あたりの自己負担額は平均2万700円です。ただし、具体的な金額は入院目的、施設の種類、治療内容、保険の適用状況によって異なります。入院が必要な場合は、保険契約書や医療機関との相談を通じて、詳細な自己負担額を確認しましょう。
入院給付金は日額5,000円と10,000円、どちらを選ぶべきですか?
入院給付金の選択は個人の予算とニーズによって異なります。日額5,000円は低コストで保険料が抑えられますが、医療費をカバーしきれない場合があるため、財政的余裕がある場合に適しています。一方、日額10,000円はより高い給付金で、入院中の費用をより効果的にカバーしますが、保険料が高くなります。健康状態や予算を考慮して、必要な保障額を選択しましょう。

まとめ

今回は「本当に入院給付日額は5,000円で十分なの?」と疑問を抱えている人のために、医療保険の入院給付日額が5,000円で十分かどうかを徹底検証しました。

病気などで入院した場合、自己負担となるのは主に次の4つです。

入院時の主な自己負担費用

  • 治療費の「自己負担分」または高額療養費制度の「自己負担限度額」
  • 差額ベッド代(1日あたり平均6,613円)
  • 入院時の食事代(1食につき460円)
  • 入院時の生活費(着替えなどの生活用品や雑費など)

1日あたりの自己負担額の平均は2万700円、逸失収入を合わせた負担額は平均2万5,800円です。自己負担額の全額を医療保険で賄おうとすると、入院給付日額5,000円では全然足りないため、不足分を貯蓄などで賄うことを考えましょう。

入院給付日額を5,000円にした場合、保険料を抑えることができる反面、入院が長期化した場合など実質的な経済的負担額が大きくなるリスクがあります。

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いざというときの預貯金が準備できているか、入院したときの収入はどうなるか、など個々の状況を十分に検討した上で、最適な入院給付日額を選択しましょう。
監修者の紹介
岡田行史

人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタントMDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。

岡田行史のプロフィール情報

岡田行史

監修者の紹介
渡辺一哲

岩手県出身。大学卒業後、銀行、外資系生命保険会社、建設業(企業再生)を経て、ほけんのぜんぶに入社。
保険業界経験歴は18年。岩手県生命保険協会副会長も務める。

渡辺一哲のプロフィール情報

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