医療保険と介護保険は、どちらも病気・ケガによって一定の体の不具合が生じた場合に活躍する保険です。
しかし、医療保険と介護保険は具体的にどう違うのか・どちらの加入を優先すべきか分からず悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、医療保険と介護保険の違いを明確にした上で、それぞれの優先順位や併用の可能性についてわかりやすく解説します。
この記事の要点
- 医療保険は本人や家族が病気・ケガをしたときに、その治療にかかる医療費を負担してくれる保険のこと。介護保険は、介護状態になったときに、サービスや資金を提供する保険制度のこと。
- 医療保険と介護保険では、発生確率や保険金の給付条件などから医療保険の加入を優先するのがおすすめ。
- 公的医療保険制度と公的介護保険制度の併用はできないが、民間の医療保険と民間の介護保険では併用できる場合がある。
- ただ、保険の知識がないと保障内容が重複し、無駄な保険料を払うことになってしまう可能性があるため、検討の際は専門家に相談するのがおすすめです。
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目次
医療保険と介護保険の違い
医療保険と介護保険の違いをまとめると、次のようになります。
医療保険と介護保険の違い | ||
公的医療保険制度 | 公的介護保険制度 | |
対象者 | 誰でも加入できる (国民全員に加入義務あり) |
誰でも加入できる (40歳以上は強制加入) |
目的 | 加入者の医療費負担を軽減する | 加入者の介護費負担を軽減する (介護サービスを提供する) |
利用条件 | 特になし | 医師による要介護・要支援状態の認定が必要 |
医療保険は、病気やケガによる医療費をカバーし、入院や手術などの医療サービスに対する経済的な支援を提供します。
一方で、介護保険は高齢者や要介護者の日常生活の支援や介護サービスを補償し、家庭内での生活支援や施設利用などを対象とします。
編集部
医療保険とは?
まずは医療保険から確認していきましょう。
医療保険の種類
- 公的医療保険
- 民間の医療保険
公的医療保険
年金保険や後述する介護保険などと合わせて、社会保険制度の一つとなっています。
編集部
表は横にスライドできます
公的医療保険の種類 | ||
健康保険 | 国民健康保険 | 後期高齢者医療制度 |
会社員・公務員、その被扶養者が加入する | 自営業者・健康保険への非加入者が加入する | 75歳以上の方が加入する |
ちなみに他にも、船員の方は船員保険、教職員の方は共済組合といった公的医療保険に加入します。
公的医療保険の主な保障内容は、医療にかかる人の医療費の一部を負担することです。次の表のように、負担割合は本人の年齢によって異なるので確認してください。
被保険者年齢 | 医療費の被保険者の負担割合 |
小学校入学前 | 2割負担 |
小学校入学後から満69歳まで | 3割負担 |
満70歳から満74歳 | 2割負担 (現役並みの所得がある人は3割負担) |
満75歳以上 | 1割負担 (現役並みの所得がある人は3割負担) |
民間の医療保険
民間の医療保険の目的は、公的医療保険制度ではまかないきれなかった医療費を補填することです。
編集部
保険会社によって多少異なりますが、医療保険の主な保障内容は次の通りです。
保障名 | 保障内容 |
入院保障 | 病気・ケガで入院したとき、入院日数に応じて保険金を受け取れる。 |
手術保障 | 手術をしたとき、一回あたり所定の保険金を受け取れる。 |
通院保障 | 外来で通院したときに、通院日数に応じて保険金を受け取れる。 |
特定疾病保障 | がん・心筋梗塞・脳卒中といった特定の疾病になったときに一時金を受け取れる。 |
先進医療保障 | 高額となる先進医療を受けたときに、その実費が支払われる。 |
そして医療保険には、主に次のような種類があります。
医療保険の種類 | 内容 |
定期医療保険 | 一定の期間、医療保障が受けられる掛け捨てタイプの保険。更新のたびに保険料が上がる。 |
終身医療保険 | 一生涯の医療保障が受けられる保険。 |
引受基準緩和型 医療保険 |
持病や入院歴があっても、加入しやすい保険。保険料が割高。 |
女性向け医療保険 | 女性特有の病気に特化して保障を受けられる保険。 |
医療保険に加入するには、告知や医師の診断が必要で、健康状態に問題があれば加入できない恐れがあります。
編集部
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介護保険とは?
続いて、介護保険についてです。
介護保険の種類
- 公的介護保険制度
- 民間の介護保険
公的介護保険制度
編集部
強制的に加入するものなので、加入にあたって特別な手続きをする必要はありません。
公的介護保険制度の加入者区分
- 第1号被保険者:65歳以上
- 第2号被保険者:40〜64歳
公的介護保険制度に関する注意点は、次のようになります。
公的介護保険制度の注意点
- 64歳以下で生活保護下にある人は、加入できない。
- 65歳以上の年金受給者は、介護保険料を年金から天引きされて支払う。
公的介護保険制度で受けられるサービス
- 施設サービス:特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの施設に入所するサービス。
- 訪問サービス:自宅に訪問してもらって介護や看護、リハビリをしてもらうサービス。
- 通所サービス:施設に通ってリハビリやデイサービスを受けられる。
- 介護予防サービス:介護予防のためのサービスを、訪問や通所で受ける。
- 地域密着型介護予防サービス:グループホームや定期巡回など、地域密着で受けられる介護予防サービス。
ただし、サービスを受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
公的介護保険制度でサービスを利用する条件
- 第1号被保険者のうち、要介護認定を受けた方
- 第2号被保険者のうち、指定の特定疾病※により要介護認定を受けた方
2. 関節リウマチ
3. 筋萎縮性側索硬化症
4. 後縦靭帯骨化症
5. 骨折を伴う骨粗鬆症
6. 初老期における認知症
7. 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
8. 脊髄小脳変性症
9. 脊柱管狭窄症
10. 早老症
11. 多系統萎縮症
12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
13. 脳血管疾患
14. 閉塞性動脈硬化症
15. 慢性閉塞性肺疾患
16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
編集部
認定段階は、次の表のように分けられています。
公的介護保険制度を利用する上での、介護状態の認定段階 | |
自立(非該当) | 介護が必要ない状態 |
要支援(1〜2) | 一部の介護サービスや介護予防サービスが必要な状態 |
要介護(1〜6) | 介護サービスが必要となる状態 |
民間の介護保険
民間介護保険の保険金の給付要件
- 公的介護保険制度で要介護・要支援認定を受けたときに保険金が給付されるタイプ
- 保険会社が独自に定める要介護・要支援状態を認定する基準を満たしたら給付されるタイプ
公的介護保険制度では、サービスが提供される「現物給付」でしたが、民間の介護保険の場合は介護費用を補填するための「現金給付」となっています。
編集部
民間の介護保険の給付方法
- 年金形式
- 一時金形式
- 上記2つの併用
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医療保険と介護保険、どちらを優先すべき?
編集部
その場合、もちろん各個人の置かれている状況によって異なりますが、まず優先して加入すべきなのは医療保険でしょう。
介護保険より医療保険を優先すべき理由
- 多くの人にとって介護状態になるよりも、病気・ケガをする可能性の方が高いから。
- 介護保険は、要介護・要支援状態と認定されなければ保険金が給付されないから。
- 要介護状態は、介護保険に加入していなくもて障害年金などの適用があるから。
- 公的介護保険制度と公的医療保険制度では、公的介護保険制度の方が、自己負担額が少ないから。
医療費についても公的医療保険制度が原則、常に適用されますが、その負担額は大きくなりやすいです。
さらに要介護状態になる前に、病気・ケガをして入院する・手術を受ける可能性が高いのはいうまでもないでしょう。
医療保険に加入しておけば、差額ベッド代や高額な先進医療費などを給付金で補填することができます。
編集部
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医療保険と介護保険は併用できる?
ここでは、医療保険と介護保険の併用の可能性について公的制度と民間保険の併用に分けて紹介していきます。
公的医療保険と介護保険の併用はできない
実は公的医療保険制度と、公的介護保険制度は同時に加入できるものの、同時に利用することはできません。
編集部
繰り返しになりますが、公的介護保険制度を利用する場合は、医師による診断が必要になるので、要介護・要支援状態認定後に、介護サービスを利用するなら公的介護保険制度が適用されます。
民間の医療保険と介護保険の併用はできる
編集部
医療保険の保障内容と、介護保険に付加していた特約が、同じ給付条件で、両者からの給付があるということもあります。
併用する際は保障が重複しないように注意しよう
医療保険と介護保険を併用する場合の注意点は、保障が多くなりすぎる場合があることです。
医療保険と介護保険はそれぞれ異なるリスクに対する保障を提供しますが、重複する部分もあるため、無駄な保険料を支払う可能性があります。
編集部
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編集部
出典:ほけんのぜんぶ
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編集部
出典:マネードクター
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そして、公式サイトには利用者の口コミ・評判がアップされているため、第三者の意見をもとに利用を検討したい人はチェックしてみることをおすすめします。
編集部
出典:保険マンモス
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編集部
出典:保険市場
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編集部
出典:保険無料相談ドットコム
※2024年6月時点
医療保険と介護保険に関するよくある質問
医療保険は、病気やケガによる医療費をカバーし、入院や手術などの医療サービスに対する経済的な支援を提供します。一方で、介護保険は高齢者や要介護者の日常生活の支援や介護サービスを補償し、家庭内での生活支援や施設利用などを対象とします。
公的医療保険と、公的介護保険は同時に加入できるものの、同時に利用することはできません。一方で、民間の医療保険と民間の介護保険の併用は可能です。
介護保険と医療保険の2つの種類の保険を利用できます。ただし、これらの保険は同時に適用することができません。どちらの保険を選ぶかによって、1回の訪問看護で提供される時間や、1ヶ月に何回まで受けられるかなどに制限が存在します。そのため、適切な保険の選択と利用条件の確認が大切です。
まとめ:自分に合った医療保険と介護保険の選び方
医療保険と介護保険の違いは目的にあります。医療保険は病気やケガに対する治療や入院などの医療費をサポートし、介護保険は介護が必要になった際の経済的なサポートを目的としています。
医療保険と介護保険、どちらに加入すべきか迷っている場合は、まずは医療保険に加入するのがおすすめです。なぜなら、病気やケガによる医療費の必要性は、介護が必要になるよりも高い可能性があるからです。急な入院や手術が必要になった場合、医療保障が大きな助けとなるでしょう。
また、民間の医療保険と介護保険は基本的に併用可能です。ご自身の健康状態や家族構成などを総合的に考えて、最適な保険プランを選びましょう。
編集部
大学卒業後、信用金庫に入社。中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。
保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店『コミヤ保険サービス』を設立。
保険代理店の実務経験を生かして、執筆業や講師業も行う。
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
岩手県出身。大学卒業後、銀行、外資系生命保険会社、建設業(企業再生)を経て、ほけんのぜんぶに入社。
保険業界経験歴は18年。岩手県生命保険協会副会長も務める。