がん保険は、「がんに罹患した場合」に備えるための保険です。現代では「人生100年時代」とも言われ、特にがんは年齢を重ねるほどに罹患する可能性が高まります※。
一方で、「がん保険はがんに罹患したときにしか保障されないから不要だ」という声もあります。果たしてこれらの意見は本当に正しいのでしょうか?
この記事では、がん保険がいらないと言われる理由や必要性について詳しく考察します。また、がん保険の適切な選び方や必要性が高い人と低い人の特徴についても解説します。
編集部
がん保険の必要性まとめ
- がんは絶対にいつか必ず訪れるものではありません。しかし、そもそも保険は万が一に備えるためのものです。
- 「がん保険に加入したら金銭的に得できるか?」という視点だけではなく、貯蓄額や親族にがん罹患者がいるかなど、それぞれの事情から必要かどうかを検討しましょう。
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目次
がん保険がいらないと言われる4つの理由
がん保険は必ずしも必要ではないと言われることがあります。多くの人がその必要性について疑問を持っていますが、実際に不要だとされる理由は次の4つです。
がん保険がいらないと言われる理由
❶がんになる確率は必ずしも高くないから
「日本人の2人に1人ががんになる」という言葉をよく耳にしますが、実際には若い年代でがんに罹患する確率は低く、がん保険の必要性を感じにくいことが多いです。
国立がん研究センターの調査によると、生涯でがんに罹患する確率は男性で65.5%、女性で50.2%ですが、年齢が若いほどその確率は低くなります。
例えば、30歳の人が20年以内にがんにかかる確率は、男性が2.2%、女性が5.6%に過ぎません。逆に50歳を過ぎると、がんに罹患する確率は男性で20.3%、女性で16.1%に増えます。
【男性の場合】がんの発症率
【女性の場合】がんの発症率
❷がん保険で受け取れる金額は多くないから
がん保険に加入すると、以下のような保障を受けることができます。
がん保険で受け取れる給付金一例
- 診断給付金:がんと診断された場合に50~200万円
- 入院給付金:がんによる入院1日につき5,000円~1万円
- 手術給付金:入院給付金の10~40倍
診断給付金は一時的にまとまった金額を受け取ることができるため便利ですが、入院給付金や手術給付金に関しては、受け取れる金額があらかじめ決められており、高額な手術であっても金額は変わりません。
したがって、長期間の治療や大きな手術が必要になった場合、がん保険でカバーされる範囲が不十分に感じられることがあります。
❸高額療養費制度で医療費を十分賄えるから
日本の医療制度は「国民皆保険制度」になっており、医療費の自己負担は1~3割で済むようになっています。
もちろん、がんに罹患して治療が長期間にわたる場合は3割の自己負担でも積み重なり、家計の大きなダメージになります。
編集部
たとえば70歳未満の方の高額療養費は収入に応じて以下のとおりです。
表は横にスライドできます
所得区分
|
自己負担限度額
|
多数該当
|
---|---|---|
① 区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) |
252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1%
|
140,100円
|
② 区分イ (標準報酬月額53万〜79万円の方) |
167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1%
|
93,000円
|
③ 区分ウ (標準報酬月額28万〜50万円の方) |
80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%
|
44,400円
|
④ 区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) |
57,600円
|
44,400円
|
⑤ 区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) |
35,400円
|
24,600円
|
※1総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。
出典元:全国健康保険協会|高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
❹医療保険にがん治療の保障が含まれているから
医療保険には、がん治療に必要な入院費や手術費、通院費などの保障が含まれていることが多いため、がん保険の加入が不要とされることがあります。
がん診断給付金が付帯されている医療保険も多く、がんと診断された際に一定額が給付されるため、がん保険を別途契約する必要がなくなるケースが多いです。
このように、すでに医療保険でがん治療がカバーされている場合、がん保険の保障内容が重複してしまうため、無駄な出費を避けるためにも加入は不要とされることがあります。
がん保険は何のために必要?
ここからは、がん保険の必要性を考えていきます。がん保険は以下のようなニーズから、加入が必要だと言われています。
予測できないリスクに備えるため
がんは日本人にとって身近な病気であり、若い世代でも生活習慣や遺伝要因によって発症リスクがあるため、「まだ若いから大丈夫」とは言い切れません。
また、がんはある日突然発覚することが多く、発症後に急いで保険に入ることはできません。健康なうちに備えておくことで、もしものときも冷静に治療の選択ができます。
編集部
医療保険ではカバーしきれない高額な治療費への備え
がんの治療費用は化学療法や放射線療法などの高度な医療技術を必要とするため、医療費用が非常に高額になることが多いです。公的制度や基本的な医療保険では、治療にかかる全ての費用をカバーしきれない可能性があります。
がん保険は、そういった高額な医療費用をカバーし、家族に経済的な負担をかけずに治療を受けるための重要な支援を提供します。
がん治療で働けなくなった際の生活費用を補うため
さらに、がん治療によって休業や退職を余儀なくされた場合も、がん保険が収入の補填として役立ちます。
ただし、がんに限らず、病気やケガで働けなくなった際に備えるなら『就業不能保険』への加入もしましょう。両方に加入すれば、より安心です。
編集部
がん保険でどんな保障が得られるの?
がん保険で支払われる給付金は商品によってさまざまです。以下では、代表的な保障内容を6つご紹介します。
給付金 | 保障内容 |
---|---|
診断給付金 | がんと診断された際に受け取れる給付金。使い道が自由で、治療費や生活費、収入補填にも活用できます。 |
入院給付金 | がん治療で入院した際に支給される給付金。日数制限なしで保障されることが多く、安心して治療に専念できます。 |
手術給付金 | がんの手術を受けた際に支給される給付金。手術回数に制限なく、給付額は契約内容により決まります。 |
通院給付金 | がん治療のために通院した際に受け取れる給付金。最近では、入院を伴わない通院でも保障される商品が増えています |
抗がん剤治療 給付金 |
抗がん剤治療を受けた場合に支給される給付金。入院・通院のいずれでも保障され、特約として追加するタイプが多いです。 |
先進医療給付金 | 先進医療を受けた際の治療費を補填する給付金。高額な治療費をカバーするための特約として追加できます。 |
このように、がん保険に加入しておくことで、治療費や入院費、手術費用などにかかる経済的負担を軽減できます。金銭的な不安を解消し、治療に専念することができるため、必要性を改めて見直してみましょう。
がん保険に加入するメリット・デメリット
がん保険には医療保険にはない大きなメリットもあります。メリットとデメリットを把握し、自分にとってのがん保険の必要性を考えてみましょう。
がん保険のメリット
診断給付金や通院給付金を受け取れる
がん保険では、医療保険には含まれないがん診断給付金(一時金)や通院給付金といった保障を得られます。
がんの診断給付金は50万~200万円が一般的です。給付金は、治療費や入院期間中の生活費など、さまざまな用途に使用できます。
給付金があればがん治療に専念できるため、仕事や家事などに影響が出る心配がありません。がんの備えとして心強い味方となってくれるでしょう。
編集部
高額な治療に特化した特約を追加できる
がん治療は、先進医療や化学療法(抗がん剤など)など公的制度の適用外の治療も多く、医療費の自己負担額が高額になるケースが多いです。
しかし、がん保険にはがんの特性に備えた特約が豊富に用意されています。
主な特約種類 | 保障内容 |
---|---|
がん先進医療 | 公的医療保険が適用されない先進治療を受けた際に給付される |
放射線治療 | 化学療法・放射線治療を受けた際に給付される |
女性疾病保障 | 性特有のがん(乳がん・子宮がんなど)罹患時に給付される |
がん通院給付金 | 通院治療した際に給付される |
がん手術給付金 | がんの手術にかかった費用に対して給付される |
上記は一例ですが、自分の状況に合わせて保障を充実させられるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
がん保険のデメリット
免責期間中にがんが見つかると保障されない
がん保険には、支払条件に該当しても保障がされない「免責期間」というものがあります。一般的に、がん保険の免責期間は90日または3か月程度です。
この期間中に、がんが見つかってしまった場合は給付金を受け取れません。
編集部
がん以外の病気やケガは保障の対象外
がん保険はがんに特化した保険であるため、原則がん以外の病気やケガに対する保障は対象外です。
なかには、保障範囲を広げる特約を追加できるがん保険もありますが、基本的にがん保険で備えられるのはがんに対するリスクのみです。
がん保険で医療保険や生命保険の役割をカバーすることはできないということを覚えておきましょう。
編集部
がん保険に加入するべき?必要性が高い人の特徴
がん保険が不要だと考えられることもありますが、実際に必要かどうかは人それぞれです。したがって、不要論だけを鵜呑みにするのではなく、自分自身の状況をよく考慮して必要性を考えてみましょう。
がん保険の必要性が高いのは、以下のような人です。
がんに罹患した場合の経済的な不安が大きい人
がん保険に加入する必要性が高い人は、がんになった場合に治療費の支払いや収入減の影響が大きい人です。
たとえば、がんに罹患して長期間働けなくなることで住宅ローンやマイカーローンなどの返済が滞る人は、そうなることを見越してがん保険に加入しておく価値があるといえるでしょう。
個人事業主(自営業者・フリーランス)の人
自営業者の場合、会社員であれば受け取れる「傷病手当金」が受け取れないため、がん保険に加入する必要性は高いといえます。
※支給条件があります。
編集部
編集部
先進医療を希望している人
がん治療において、基本的には健康保険が適用され、自己負担は3割です。しかし、治療によっては高額な費用がかかり、全額自己負担となることがあります。代表的な例が「先進医療」です。
例えば、以下のがんに対する先進医療の費用は、いずれも平均で約300万円となります。
- 陽子線治療:約271万円(1件あたり)
- 重粒子線治療:約312万円(1件あたり)
出典:厚生労働省|令和元年6月30日時点における先進医療Aに係る費用
編集部
身内でがんに罹患した人がいる人
身内にがん患者がいる場合、自分ががんに罹患するリスクが相対的に高くなる可能性があります。
がん保険はまだ発生していない事態に対する備えであり、一生涯の中でがんにかからない可能性もあるため、加入することに対して「もったいない」と感じる方もいるかもしれません。
編集部
がん保険はいらない?不要な人の特徴
一方で、以下のようなケースではがん保険の必要性は低いといえます。自身の状況に照らし合わせて、必要性を再確認してみましょう。
がん保険の必要性が低い人
貯金が十分にある人
高額療養費制度により超過額の支給を受ければで10万円前後の自己負担になるといっても、貯金が少ないとその支出さえ厳しいと感じる人もいるでしょう。
編集部
先進医療にかかる費用は約300万円となることもあります。その費用を支払っても生活に問題がないのであれば、がん保険の必要性は低いと言えるでしょう。
すでに他の保険でがんに対して備えている人
がんに対して備えられる保険はがん保険だけではありません。
たとえばがん以外も幅広くカバーしている医療保険に「がん特約」を付帯させた場合でも、がんになったときに手厚い保障を受けられます。
すでに別の保険でがんに対する備えがされており、保険金額にも不足がないということであれば新しくがん保険に加入する必要性は低いでしょう。
がん保険、自分には必要?不要?判断ポイント
それでも、自分にがん保険が必要なのか迷っている人は、以下の判断ポイントを参考に必要性を考えてみてください。
がん治療にかかる費用や、今後の生活費をどう確保するかなど、慎重に判断することが大切です。
がん保険の必要性を判断するポイント
貯金は十分にあるか?
まずは現在の貯金額から、もしがんにかかってしまった場合の治療費を賄えるかどうか確認しましょう。
たとえ、高額療養費制度で医療費が安くなるといっても、治療が長引いたり、自由医療や先進医療を受けたりする場合には、負担が大きくなります。
がんになったときに、「どのような治療を受けたいのか」「どのように病気と向き合いたいのか」をしっかり考えておきましょう。
自分自身の健康状態に不安はあるか?
がん保険が必要かどうかは、自分自身の健康状態によっても異なります。自分自身ががんになりやすいと思われる場合や、家族にがん歴がある場合は必要になる可能性が高いでしょう。
基本的にがんになってから保険に加入することは難しいため、早めに加入しておくことをおすすめします。
現在加入している保険で治療費をカバーできるか?
現在、医療保険や生命保険などの保険に加入している場合は、保障内容をよく確認してみましょう。もし既に加入している保険で十分だとすれば、がん保険に加入する必要はないと言えます。
しかし、医療保険や生命保険で保障される範囲には限りがあり、万が一の治療費をカバーできない可能性があるので注意が必要です。
必要な保障内容は人によって異なるため、自分に必要な保障内容を考え、保険の加入を検討しましょう。
まとめ
今回は、がん保険がいらないと言われる理由や必要性、がん保険が必要な人・不要な人の特徴について詳しく解説しました。
特に50代や60代の人はがんの罹患率が高いため、がん保険の必要性が高いと言えます。とはいっても、がんは死亡のように「絶対にいつか必ず訪れるもの」ではありません。
掛け捨ての場合は「元を取る」ということが難しいのも、不要論を後押ししている理由でしょう。
しかし、そもそも保険は「万が一」に備えるためのものです。金銭的に得できるかだけではなく、ご家庭の貯金状況や親族にがん罹患者がいるかなど、それぞれの事情から加入するべきかどうかを検討しましょう。
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。 ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。 また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
愛知県出身。社会保険・税金の効率化、家計・固定費の見直し、保険の新規加入・見直し、住宅購入・住宅ローン、資産形成・老後の年金対策・少額投資(iDeCo・NISAなど)の相談を得意とする。