生命保険の中には、万が一のときのための保障だけでなく「お金を貯める」という役割を持つ積立型の生命保険があります。
「貯蓄もできて保障も得られる」と聞くとお得な気がしますが、積立型の生命保険もほかの保険と同様にメリット・デメリットや向き・不向きがあります。
今回は積立型の生命保険とは何なのか、掛け捨て型の生命保険との違いやどんな人におすすめなのかを詳しく解説します。
編集部
この記事の要点
- 積立型の生命保険は、なんらかの形で将来必ずお金を受け取ることができる、保障と貯蓄を併せ持った保険です。
- 掛け捨て型の生命保険との違いは、保険料と解約返戻金の一部を借りられる契約者貸付制度が利用できる点です。
- 積立型の生命保険は、こつこつ貯金をするのが苦手な人や、銀行の金利よりも少しでも有利に貯蓄をしたい人に向いています。
- 生命保険選びで悩んでいる方は、無料保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」で専門家に相談してみましょう。40社以上の中から、プロがあなたに最適な保険を提案してくれます。
この記事は5分程度で読めます。
こちらの記事も読まれています
※本コンテンツで紹介している保険会社は、保険業法により金融庁の審査を受け内閣総理大臣から免許を取得しています。コンテンツ内で紹介する商品の一部または全部に広告が含まれています。しかし、当サイトは生命保険協会等の公的機関や保険会社の公式サイトの情報をもとに各商品を公正・公平に比較しているため、情報や評価に影響する事は一切ありません。当コンテンツはほけんのぜんぶが管理しています。詳しくは、広告ポリシーと制作・編集ガイドラインをご覧ください。
【当サイトは金融庁の広告に関するガイドラインに則って運営しています】
金融商品取引法
募集文書等の表示に係るガイドライン
生命保険商品に関する適正表示ガイドライン
広告等に関するガイドライン
目次
積立型の生命保険とは?5つの種類を解説
積立型の生命保険とは、払い込んだ保険料の一部が積み立てられ、将来、積み立てたお金を受け取ったり、引き出したりできる保険を指します。
別名「貯蓄型保険」とも呼ばれており、お金を貯めることができる保険といえるでしょう。
どのような形で貯めたお金を受け取れるかによって、いくつかの種類に分けられます。
❶終身保険
終身保険とは、生命保険の一種で、被保険者(保険の対象になっている人)が亡くなった場合に死亡保険金が受け取れる保険です。
保険期間(保障期間)には終わりがなく一生涯保障されるのが特徴で、途中で解約すると解約返戻金という形で積み立てたお金が受け取れます。
❷養老保険
養老保険とは、生命保険の一種で、被保険者が亡くなると死亡保険金が支払われます。
終身保険と異なる点として、保険期間に限りがある点、そして保険期間が終わる(「満期を迎える」といいます)と、死亡保険金と同額の満期保険金が支払われます。
編集部
❸学資保険
学資保険とは、子どもの教育資金準備を目的とした保険です。親が契約者になり、大学入学のタイミングなど、子どもの年齢に応じて、決められた時期に学資金や祝い金などの形でお金が受け取れます。
払込期間中に契約者にもしものことがあった場合、以後の保険料の支払いは不要になる一方で、学資金は契約通りに受け取れる払込免除の仕組みがあります。
編集部
❹個人年金保険
個人年金保険とは、将来、年金形式でお金を受け取ることができる保険です。年金の受け取り方の違いにより、終身年金・有期年金・確定年金などの種類に分けられます。
また、受け取り方法も年金形式ではなく一括で受け取ることも選択可能です。いずれも、公的年金では不足するぶんを補い、老後の資金を準備するために用いられます。
❺外貨建て保険
外貨建て保険とは、払い込んだ保険料を外貨で運用する保険をいいます。
外貨建て保険という保険の種類があるというより、たとえば「外貨建ての終身保険」や、「外貨建ての個人年金保険」という形で、積立型の保険のなかに、外貨建てのタイプの商品もあると理解するといいでしょう。
半面、為替(日本円と外貨の交換レート)は常に変動しているため、タイミングによっては損をしてしまいます。日本円に換算したときに払い込んだ総額よりも低い額しか受け取れない可能性があります。
編集部
積立型と掛け捨て型の生命保険の違い
解約時や満期時などに、払い込んだ保険料の一部を受け取ることのできる「積立型」に対して、払い込んだ保険料が戻ってこない生命保険を「掛け捨て型」といいます。
お金が戻ってこないことのほかに、積立型と掛け捨て型でどういったところが違うのでしょうか。それぞれの特徴は以下の通りです。
積立型の特徴 | 掛け捨て型の特徴 |
---|---|
・貯蓄しながら万が一の保障を得られる◎
・積み立てた保険料からお金を借りられる◎ ・保険料が割高 ・保障が一生涯続く |
・保険料が割安◎
・積立型より高額な死亡保障を用意できる◎ ・掛金が戻ってこない ・保障は契約満了まで |
ここからは、掛け捨て型との違いを詳しく解説していきます。
保険料は掛け捨て型のほうが安い
一般的に、保障内容などの条件が同じなら、保険料は掛け捨て型のほうが安くなります。積立型の保険は、保険料の一部を積み立て(貯蓄)に回す必要があるので、そのぶん多めにお金が必要だからです。
掛け捨て型の保険料=保障のためのお金
保険料は加入者の年齢の影響を受けるので、掛け捨て型の保険は若いうちに加入すると保険料がとても安くなることが多いです。
積立型には契約者貸付などのメリットも
一方、積立型は保険料の一部が貯められていきますから、解約したときは解約返戻金が受け取れます。預金のように、保険会社にお金を預けている状態と考えることもでき、このお金を使う仕組みがあるのも、積立型保険の特徴です。
この仕組みを「契約者貸付」といいます。
通常であれば、あらかじめ決められた形で受け取る場合(学資保険の学資金や、個人年金保険の年金など、受取時期が決まっています)と解約して解約返戻金として受け取る場合のみですが、借りるという形でなら、お金の一部を引き出せるのです。
お金を借りるのですから、利息を付けて返済しなくてはなりませんが、キャッシングやカードローンに比べると低金利になっています。
編集部
積立型は解約せずに保障内容を見直せる
積立型の保険は、貯まっているお金(その時点の解約返戻金相当額)を使って、以後の保険料払い込みをストップし、保障内容を見直すことができます。
- 払済保険(はらいずみほけん)…保険料の払込みを中止し、保険期間(保障期間)を変えずに保障金額を減額して契約を続ける
- 延長保険(えんちょうほけん)…保険料の払込みを中止し、保険金額を変えずに保険期間(保障期間)を短縮して契約を続ける
いずれも、保険料を払い続けることが難しくなったときに、解約せずに保障を確保したい場合に用いられます。
※払済保険・延長保険への変更が可能かどうかは商品によって異なります。
積立型の生命保険のメリット・デメリット
積立型の生命保険は加入したら何かしらの形でお金が返ってきます。しかし「具体的なメリット・デメリットがわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで以下では、積立型の生命保険のメリット・デメリットをまとめていきます。加入を検討中の方は参考にしてみてください。
積立型の生命保険のメリット
積立型の生命保険のメリット
❶保険料が払い損にならない
積立型の生命保険は、保険料が払い損になりません。なぜなら解約返戻金や満期保険金を設けているからです。
掛け捨ての生命保険の場合、契約期間内に支払い事由に該当しないと、保険料はそのまま無駄になります。しかし、積立型保険の場合は何かしらの形で返ってくるため、払い損の心配がないのです。
編集部
これは積立型保険ならではの特徴です。払い損が気になる方は、積立型保険を検討すべきでしょう。
❷目的に合わせた資産形成ができる
積立型の生命保険は、目的に合わせて資産形成ができます。なぜなら満期保険金やその他の保険金を受け取れる時期を必要なときに設定できるからです。
例えば学資保険では、最も学費がかかるといわれている大学入学時期に合わせたり、個人年金保険では年金受給開始期の65歳に設定したりできます。
積立型保険に加入すると、契約者貸付制度を利用できます。そのため「まとまったお金が必要だけど用意できない」というときでも対応できるのです。
契約者貸付制度を活用すると、解約返戻金の範囲内で借り入れができます。なお、契約してからすぐは解約返戻金が少なく借り入れできない可能性があるため、注意しましょう。
契約者貸付制度を利用するときは解約返戻金の金額を確かめる必要があります。保険会社のマイページや窓口への問い合わせで確認してみてください。
積立型保険を活用すると、支払った保険料よりも受け取る金額が上回る場合があります。生命保険会社の資産運用によって、手数料以上の収益が挙げられるからです。
積立型の生命保険のデメリット
積立型の生命保険のデメリット
❶掛け捨ての生命保険よりも割高
積立型の生命保険は、掛け捨ての生命保険よりも割高な場合が多くあります。なぜなら貯蓄と保障がセットになっている複雑な保険だからです。
生命保険の保険料は、被保険者(保険をかけられる人)の年齢や生命保険会社にかかる諸費用をベースに算出されます。積立型の生命保険は諸費用が多くかかってしまうため、保険料が高くなるのです。
積立型の生命保険は、貯蓄と保険がセットになった便利な保険です。しかし複雑な分保険料は割高になることを押さえておきましょう。
❷早期解約による元本割れの可能性
積立型の生命保険は、早期解約による元本割れの可能性があります。なぜなら短期間の契約では運用の成果が上がらないからです。
契約者が支払った保険料は、全てが運用に回るわけではありません。保障にかかる費用や生命保険会社の維持費などを差し引いた金額を運用しているのです。
編集部
積立型保険は資産運用率の低さがデメリットといえます。主な要因は、保障にも費用がかかっているからです。
例えば終身保険は「死亡保障+貯蓄」、学資保険は「子ども・親の保障+貯蓄」など多くの場合保障がセットになります。資産運用以外にも費用がかかる分、資産運用率が下がってしまうのです。
編集部
積立型の生命保険がおすすめな人の特徴
それでは、積立型の保険はどういう人に向いているのでしょうか。
ここからは、積立型の保険がどんな人におすすめなのか、特徴を解説していきます。
積立型がおすすめな人の特徴
貯蓄が苦手な人
「お金を貯める」といってまず思い浮かぶのは預貯金ですが、コツコツと銀行預金で積み立てていくのが難しいという人もいるでしょう。
振り込みや入金の手続きが面倒ということもありますし、いつでも引き出せる預金だと、ついお金を下ろしてしまってなかなか貯まりません。
その点、積立型の生命保険であれば以下のような効果が期待できます。
- 一度契約すれば、口座振替やカード払いで自動的に保険料が払い込まれるため、知らないうちに貯まる仕組みが作れる
- 引き出すためには解約するしかないため、使い込んでしまうリスクを抑えられる
また、積立型の保険に払い込んだ保険料の一部は、保険会社によって運用されます。現在、銀行の預金商品の金利は非常に低いため、積立型保険のほうが利率は高いです。
つまり、払い込んだ保険料の総額に対して受け取れる金額が増えている割合が預貯金よりも大きく、有利に貯められる可能性があります。
編集部
支払った保険料が戻ってこないのが嫌な人
保険に加入するとき、掛け捨て型の保険は「なにか損をしているようで嫌だ」と考える人がいます。掛け捨て型の保険は、保険料がすべて保障準備に使われるため、たしかに、満期金や解約返戻金はありません。
それでも、「お金が戻ってくる」ほうが嬉しいと感じてしまうのも理解できる心理です。
掛け捨て型のほうが保険料が安いことはお伝えしたとおりですが、性格的に掛け捨て型になじまないという人は、貯蓄型を選んだほうが気持ちの面では満足度が高いかもしれません。
将来を見据えて貯蓄したい人
将来を見据えて貯蓄したい人は、積立型保険の加入をおすすめします。なぜなら、保険料を支払うだけで将来に向けて積立できるからです。
例えば終身保険であれば、解約返戻金として積み立てた分のお金を受け取れます。また、個人年金保険であれば、積み立てた保険料は年金として受け取れるのです。
編集部
貯蓄と保障をまとめたい人
貯蓄と保障をまとめたい人は、積立型保険の加入をおすすめします。なぜなら積立型保険は貯蓄と保障がセットになっている仕組みだからです。
例えば終身保険は死亡保障と解約返戻金での貯蓄がセットになっています。学資保険では満期保険金での貯蓄と満期保険金分の死亡保障がセットになっている保険がほとんどです。
ただし、ひとつにまとめることでどっちつかずになってしまう可能性もゼロではありません。加入を検討するときは、将来満足できる金額を受け取れるか確認してみてください。
保険を見直したり加入し直すのが面倒な人
保険を見直したり、加入し直したりすることが面倒な人は、積立型保険の加入をおすすめします。終身型やある目的に向けた保障内容であることがほとんどのため、見直しの必要性が低いからです。
例えば学資保険は「教育資金」、個人年金保険は「60歳以降の年金」のように、加入する目的が明確です。期限も決まっているため、一度加入したら見直す必要性が低くなります。
編集部
積立型の生命保険の最適な選び方
積立型の生命保険が気になっている人の中には「選び方がわからない」という方もいらっしゃるでしょう。積立型保険は掛け捨て型より保険料が高くなる傾向があるため、慎重な判断が求められます。
そこで以下では積立型の生命保険の最適な選び方を解説していきます。積立型の生命保険に興味がある方は参考にしてみてください。
積立型の生命保険の選び方
まずは加入目的に合わせて必要な保障を見極めていきましょう。前述したように、積立型の生命保険は以下の5種類に分けられます。
積立型の保険の種類
- 終身保険
- 養老保険
- 学資保険
- 個人年金保険
- 外貨建て保険
例えば、「死亡保障を用意しながら積み立てていきたい」という方は、終身保険や養老保険を用意すると良いでしょう。一方、「子どもの教育資金を確保したい」と考えている方には、学資保険がぴったりです。
編集部
保険会社によって提供される特約・特則の内容は異なるため、自分のニーズに合わせたオプションを選ぶことが大切です。必要に応じて、細かな保障も追加できるため、選択肢をよく確認してみましょう。
注意点
特約・特則は手厚くできる反面、追加しすぎると保険料が割高になってしまう可能性があります。そのため本当に必要な内容のみ加入するようにしましょう。
このように、それぞれのニーズに応じて必要な保障内容を選ぶことが、積立型生命保険をうまく活用するための第一歩となります。
編集部
積立型生命保険を選ぶ際には、返戻率にも注目しましょう。返戻率とは、解約時や満期時に受け取れる金額が、払い込んだ保険料の何%に相当するかを示す指標です。
返戻率が100%以上の場合、将来受け取る金額が払い込んだ保険料より多くなります。一方、返戻率が100%未満の場合は、受け取る金額が支払った保険料の総額を下回ることになります。
返戻率の計算方法
受け取れる保険金の総額 ÷ 支払った保険料の総額 × 100
※計算する際は、死亡保険や高度障害保険金は含めずに、積立部分のみを計算するようにしましょう。
貯蓄性を重視する場合は、返戻率が100%以上の積立型生命保険を選ぶと良いでしょう。しかし、外貨建て保険の場合、返戻率が高くても為替リスクが伴うため、慎重に検討する必要があります。
また、同じ保険商品でも、前納や一時払いで保険料を支払うことで、返戻率が高くなる場合があります。
編集部
積立型の生命保険に関するよくある質問
まとめ
今回は積立型と掛け捨て型の生命保険の違い、おすすめな人の特徴、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。
積立型の生命保険とは、なんらかの形で将来お金を受け取ることができる、保障と貯蓄を兼ね備えた保険です。
掛け捨て型の生命保険よりも保険料が割高ですが、教育資金や老後資金などまとまったお金を準備したい人には役立つ保険と言えます。
特に「自分でコツコツ貯めていくのが苦手」「投資はできないけれど、少しでも有利にお金を貯めたい」という人に向いているでしょう。
しかし、人によっては大きな保障が必要だったり、掛け捨て型と併用したほうが良かったりするケースもありますので、目的に合った保険を活用することが重要です。
編集部
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
都内の私立大学を卒業後、日系生命保険会社に就職。主に個人・中小企業の保険営業とマネジメント業務を担当した。
その後、2021年11月にライターとして独立。実務経験を活かし、保険・税金・クレジットカードなど金融ジャンルを中心に記事執筆から編集まで行う。
ライターとして経験を積んだのち、ほけんのぜんぶマガジンの編集者を担当。保険業界の最新情報をいち早く掴み、読者に役立つ情報をわかりやすく提供することを心がけています。 質の高いコンテンツを通じて、読者が自分に合った保険やサービスを選べるようにサポートしていきます。