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iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は老後資金を準備するための制度で、税制優遇を受けながら公的年金の不足分を補うことができます。
ところが、「iDeCoはデメリットしかない」「8割が元本割れしている」といった意見もあり、iDeCoを加入するかで迷っている人は一定数いるでしょう。
そこで本記事では、iDeCoの仕組みやデメリットしかないと言われる理由について詳しく解説。iDeCoを活用するメリットや向いている人も紹介しているので、検討中の人は参考にしてください。
- 「iDeCoはデメリットしかない」というのは誤解です。
正しく活用すれば、老後資金づくりに役立つ制度です。 - 元本割れのリスクはありますが、
長期運用や商品選びによって軽減できます。 - 掛金・運用益・受取の3つで税制優遇を受けられるのが、
iDeCo大きなメリットです。 - 60歳まで引き出せない点は確かにデメリットですが、裏を返せば「強制的に老後資金を貯められる仕組み」でもあります。
- 「自分にiDeCoは合っているのか分からない」「老後資金が不安…でもどう備えれば?」そんな方には、ほけんのぜんぶの無料相談がおすすめ。税制や制度の仕組みについて、FPがわかりやすくアドバイスしてくれます。
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目次
iDeCoとは?
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、自分自身で老後資金を準備する私的年金制度のことです。任意で加入することができ、公的年金(国民年金・厚生年金)だけでは不足しがちな老後資金を補完する役割を担っています。
iDeCoの概要を下表にまとめました。
対象者 | 国民年金第1・2・3号被保険者または任意加入被保険者※1 |
---|---|
拠出方法 | 毎月一定額を積立 |
最低拠出額 (1ヶ月あたり) |
5,000円 |
最大拠出額 (1ヶ月あたり) |
12,000円〜68,000円※2 |
運用方法 | 運営管理機関が選定する運用商品の中から加入者自身が選択して運用 |
運用商品のタイプ |
|
受給開始時期 | 原則60歳以降 |
受給方法 |
|
税制 |
|
※1:農業者年金の被保険者、国民年金の保険料免除者を除く。企業型年金加入者は別途加入条件あり。
※2:最大拠出額は職業により異なる
参照:厚生労働省「iDeCoの概要」、iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」
iDeCoは、自ら商品を選んで積立・運用を行い、60歳以降に年金または一時金として受け取れる仕組みです。税制優遇(掛金全額が所得控除・運用益が全額非課税)を受けられるため、老後資金を準備する手段として注目されています。
現在の日本は少子高齢化が急速に進行しているため、老後資金を公的年金だけに頼ることは大きなリスクです。
編集部
iDeCoは意味ない?デメリットしかないと言われる理由
老後資金の準備ができるiDeCoですが、一部では「意味がない」「デメリットしかない」という否定的な声もあります。そういった意見が出る理由について解説していきます。
元本割れのリスクがあるから
iDeCoは、預貯金・個人向け国債のような元本が保証された制度ではなく、あくまで投資によって資産を増やす仕組みです。選ぶ商品によっては運用成績がマイナスになり、元本割れを起こすこともあり得ます。
元本保証された商品以上の運用益を期待できるものの、元本割れを許容できない人はiDeCoのデメリットの部分を強く感じてしまうでしょう。
iDeCoを始めるには、資産運用における元本割れリスクを理解することが前提と言えます。
元本割れが8割という噂に注意
ネット記事やSNSなどでは「iDeCo利用者の約8割が元本割れしている」といった噂があります。しかし、そのような噂に根拠はないため、利用者の8割が損をしているとは考えにくいです。
確かにiDeCoでは元本割れするケースはあるものの、元本割れするかどうかは運用商品の選び方や積立期間によって変わります。そして、元本割れリスクは運用商品・運用方法に注意することでリスクを軽減できるので、この噂は深刻に考えなくても良いでしょう。
以下に、iDeCoで元本割れリスクを軽減する活用方法をまとめました。
- 拠出・運用を長期間継続する
- 元本確保型のみでの運用を避ける
- 年単位拠出(年1回払い)をしない
この中でも、特に注目したいのが元本確保型のみでの運用を避けることです。
「元本確保型なら元本割れしないのでは?」と考える人も多いでしょうが、iDeCoでは加入時や毎月の口座維持で手数料が発生します。元本確保型で得られる利息は非常に少ないため、手数料分を上回れずに元本割れしてしまうケースがほとんどです※。
編集部
※:利率が年0.035%の元本確保型で2,000円強/年の手数料より多い利息を受け取るには、約572万円以上の残高が必要。(iDeCo公式サイト「有識者によるiDeCoのコラム#4」)参照
原則60歳まで資産を引き出せないから
iDeCoは老後資金の準備を目的とした制度のため、原則として60歳になるまで資産を引き出すことができません。この、資産の流動性の低さをデメリットと感じてしまう人は一定数いるでしょう。
例えば、冠婚葬祭や突発的な病気、家具・家電の故障など、急にお金が必要になった際の資金は、iDeCoとは別で用意しておく必要があります。
60歳以前に引き出しが認められる「脱退一時金※」という例外はあるものの、細かい条件を全て満たす必要があるので、あまり現実的ではありません。
編集部
※:脱退一時金を受け取るには、60歳未満、企業型DC非加入者、iDeCo資格喪失から2年以内など複数条件を全て該当した場合に限る(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」)参照
各種手数料がかかるから
iDeCoでは、下表の通り各種手数料が発生するため、無料で利用することはできません。
iDeCo加入手数料 | 2,829円(初回のみ) |
---|---|
口座維持費 | 掛金の拠出がある場合:171円〜/月※ 掛金を拠出せず運用のみの場合:66円〜/月※ |
還付手数料 | 1,488円/回 |
iDeCo口座の移管手数料 | 4,400円/回 |
受取手数料 | 440円/回 |
※:金融機関によって異なる
出典:iDeCoナビ
上記以外にも、投資信託の運用で発生する信託報酬もあります。元本割れリスクに加えて手数料もかかるという点は、損失を嫌がる人からすると大きなデメリットに感じてしまうでしょう。
編集部
iDeCoを活用する2つのメリット
「意味ない」「デメリットしかない」という声もあるiDeCoですが、実際には押さえておきたいメリットも存在します。ここでは、特に重要な2つのメリットについて解説します。
メリット・デメリットの両面を理解したうえで、加入するかを判断することが大切です。
税制優遇制度が手厚い
iDeCoの最大とも言えるメリットは、税制優遇制度が手厚いことです。積立・運用・受取の3つのタイミングで税制優遇を受けられるため、老後資金の準備を効率よく進められます。
積立時:掛金は全額所得控除の対象
積立時の優遇制度は、毎月積み立てる掛金の全額が所得控除の対象になることです。課税所得が減少するため、結果として、所得税・住民税の軽減につながります。
具体例として、年収500万円の30歳会社員が月額2万円(年額24万円)をiDeCoで積み立てたとき、以下の節税効果を期待できます。
- 1年あたりの所得税・住民税の節税効果:4.8万円
- 60歳まで30年間継続した場合の節税効果:144万円
※:三井住友銀行「税軽減シミュレーション」を参照して計算
iDeCoを活用することで年間4.8万円もの節税が見込め、30年間継続した場合の節税見込み額は144万円です。仮に預貯金だけで老後資金を積み上げていると、このような節税効果は得られないので、iDeCoの方が効率よく老後資金を準備できるでしょう。
運用時:運用益は全額非課税
運用時の優遇制度は、運用して得た利益が全額非課税になることです。通常、投資によって得た利益には20.315%※1の税金がかかりますが、iDeCoの場合は運用益がすべて非課税になります。
例えば、運用利回り年率5.0%の商品を毎月2万円積み立てたとき、積立期間ごとの運用益の非課税効果は以下の通りです。
積立期間 | 運用益の非課税効果※2 |
---|---|
1年間 | 1,310円 |
5年間 | 約3.2万円 |
10年間 | 約14万円 |
20年間 | 約68万円 |
30年間 | 約186万円 |
積立期間が長くなるほど、運用益の非課税の恩恵も大きくなるのが特徴です。長期積立が前提になるiDeCoにおいて、運用益が非課税になる優遇制度は相性が良いと言えるでしょう。
※1:国税庁「株式・配当・利子と税」参照
※2:三井住友銀行「税軽減シミュレーション」を参照して計算
受取時:退職所得控除または公的年金等控除の対象
受取時の優遇制度は、受け取る所得が控除の対象になることです。
iDeCoで積み立てた資産は、60歳以降に「一時金」「年金形式」「一時金・年金形式の併用」の中から受取方法を選ぶことができ、活用できる優遇制度も異なります。
受取方式 | 所得区分 | 税制優遇制度 |
---|---|---|
一時金受取 | 退職所得 | 退職所得控除 |
年金受取 | 雑所得 | 公的年金等控除 |
一時金で受け取る場合は退職所得扱いになるので「退職所得控除※1」の対象です。退職金と合算して控除枠内に収まる金額までは、課税対象にはなりません。
一方、年金形式で受け取る場合は雑所得扱いとなり「公的年金等控除※2」が適用されるので、一定額までは非課税での受取が可能です。
また、一時金と年金形式を併用して受け取る場合、退職所得控除(一時金での受取分)と公的年金等控除(年金形式での受取分)の両方を活用できます。
例えば、退職金と公的年金どちらも受給額が大きい人は、一時金・年金形式の併用により、節税効果を高められます。
※1:国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)」参照
※2:国税庁「公的年金等の課税関係」参照
リスク分散しながら半強制的に資産形成ができる
税制優遇以外のiDeCoのメリットは、強制力の強い資産形成制度である点です。
資産を原則60歳まで引き出せないという制限は一見するとデメリットですが、考え方を変えれば強制的に資産形成を継続できる仕組みとして機能しています。
貯蓄が苦手な人からすると、iDeCoに加入して積立を継続するだけで老後資金の準備になるのはメリットとも言えるでしょう。
「ドルコスト平均法」によるリスク分散も期待できる
iDeCoは長期にわたり定期的に投資を続ける制度のため、自然と「ドルコスト平均法」によるリスク分散効果も期待できます。
同じ商品を購入する場合でも、購入タイミングを分散させることで価格急変による高値掴みのリスクを軽減できるのが、ドルコスト平均法のメリットです。相場を読む力がない投資初心者でも、リスクを分散させた資産形成が可能になるでしょう。
特に、iDeCoでは年間1回までしか積立額の変更ができないため、ドルコスト平均法と相性の良い制度と言えます。
iDeCo加入に際して覚えておきたい注意点
誰でも加入できるわけではない
iDeCoには複数の加入条件があるので、誰でも自由に利用できるわけではありません。年齢や国民年金の支払い状況が加入の可否に関係するので、あらかじめ確認しておく必要があります。
- 国民年金を満額納めていない人※1(未納・免除がある人)
- 65歳以上の人※2
- 農業者年金の被保険者
- 企業型DCに加入し、マッチング拠出制度※3を利用している人
- 老齢基礎年金・特別支給の老齢厚生年金の繰り上げ受給者
自営業者・フリーランス・学生の方々が特に注意したいのは、国民年金を満額納付しているかどうかです。未納・納付免除(一部免除も含む)があるとiDeCoへの加入はできません。
会社員の方々は、企業型DCのマッチング拠出を利用しているかどうかが加入可否のポイントになります。iDeCo加入を希望する場合は、マッチング拠出を利用しないようにしてください。
※1:納付免除者でも障害基礎年金の受給者は加入可能
※2:すでにiDeCoに加入している人が、65歳以降も運用することは可能
※3:企業型DC加入者が任意で掛金を上乗せする制度(労働金庫連合会「マッチング拠出について」参照)
国民年金を支払っているかは現在ベース|過去の免除は問われない
iDeCo加入の条件の1つである「国民年金の満額納付」に関しては、現在の納付状況が基準になります。過去に国民年金を免除していた時期があったとしても、加入手続きの時点で満額納めていれば問題ありません。
ただし、加入後に経済的事情などで国民年金の免除申請を行って認められた場合、その時点でiDeCoの加入資格は喪失します。国民年金の満額納付は加入時だけではなく、iDeCoでの積立を継続する限りは必須です。
編集部
拠出額の制限がある
iDeCoでは、毎月の拠出額(積み立てる金額)に制限があります。下限は一律で5,000円に設定されているので、毎月5,000円の積立が難しい人はiDeCoを始めにくいかもしれません。
一方、上限額は職業によって下表の通りに定められています。
職業区分 | iDeCoの上限拠出額 (1ヶ月あたり) |
|
---|---|---|
第1号被保険者・任意加入被保険者 (自営業者・学生など) |
6.8万円 | |
第2号被保険者 (会社員・公務員など) |
企業年金がない会社員 | 2.3万円 |
企業型DCのみ加入の会社員 | 2.0万円 | |
DB※と企業型DCに加入の会社員 | ||
DBのみ加入の会社員 | ||
公務員 | ||
第3号被保険者 (専業主婦(夫)) |
2.3万円 |
※:確定給付企業年金の総称
出典:iDeCo公式サイト
自営業者・学生に代表される第1号被保険者は、月額6.8万円まで拠出可能。厚生年金に加入していない分、老後資金対策として活用できるよう上限が高めに設定されています。
会社員・公務員などの第2号被保険者は、月額2.0〜2.3万円が上限です。厚生年金があることもあり、第1号被保険者よりも低い設定になっています。もし、上限額以上に資金の余裕がある人は、他の制度も活用すると老後資金の準備がより盤石になるでしょう。
編集部
iDeCoが向いている人・向きにくい人の特徴
iDeCoの特性を踏まえたうえで、向いている人・向きにくい人の特徴をまとめました。
iDeCoが向いている人の特徴
自営業者・フリーランスの人
自営業者・フリーランスで働いている人は、厚生年金に加入できないためiDeCoの活用が向いています。
iDeCoの拠出額上限も、自営業者・フリーランスが該当する第1号被保険者は月額6.8万円と最高額の設定。iDeCoで得られる節税効果は他の職業よりも大きいため、iDeCoのメリットを受けやすい職業とも捉えられます。
※:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」参照
公務員・退職金制度のない会社員
公務員や退職金制度のない会社員も、老後資金準備のためにiDeCo加入が適しています。
また、退職金制度がそもそも存在しない企業に勤める会社員は、退職時にまとまった資金を得ることができません。
このように、老後資金の原資として退職金を期待しにくい場合、iDeCoに加入して退職後に備えておくことは有効な手段です。
※:日本経済新聞2012年8月7日付の記事を参照
20代・30代の人
20代・30代のような年齢が若い人は、以下の理由からiDeCoとの相性が良好です。
- 積立投資の恩恵を活かしやすい
- 税制優遇を受けられる年数が多くなる
- 若いうちから金融リテラシーの向上を見込める
iDeCoは長期積立により、時間分散によるリスク軽減や複利効果が期待できる制度です。加入時期が早ければ早いほど「長期・積立・分散」という積立投資の恩恵を活かすことができるでしょう。
また、20代・30代のうちに加入すれば、iDeCoのメリットである税制優遇を受けられる年数が多くなり、節税効果も大きくなります。
金融リテラシー(お金に関する知識や判断力)の向上という観点でも、若いうちからiDeCoに加入しておく意味は大きいです。早くから税制や資産形成に興味を持つようになり、一定の老後資金を築くための考え方も養えるかもしれません。
所得税額が多く節税しやすい人
掛金全額が所得控除になるiDeCoの大きなメリットは、所得税・住民税の負担が大きい人ほど恩恵を受けられます。
「所得税・住民税の負担が大きい人=高所得者」のため、資金にもある程度の余裕を持っている人が多いでしょう。可能であればiDeCoの掛金は上限いっぱいに設定して、節税効果を高めるのがおすすめです。
資金に余裕がある高所得者なら、急な出費の際もお金に困るケースは少ないでしょう。60歳まで資金がロックされるというデメリットの影響を受けにくい点も、iDeCoが向いている要素の1つです。
iDeCoが向きにくい人の特徴
貯蓄が少ない人・収入が安定していない人
iDeCoは、貯蓄が少ない人や収入が不安定な人にとって、以下の理由から不向きな制度と言えます。
- 貯蓄が少ない人:最低でも月5,000円の拠出が、生活費を圧迫するリスクがある
- 収入が不安定な人:収入が少ない年は、iDeCoの節税メリットを活かせない
家計が苦しい場合、掛金の拠出を一時的に停止することは可能です。しかし、拠出を一時停止したままでは資産の伸びを期待しにくく、老後資金の準備としては不十分になるかもしれません。
また、収入が不安定な人は、収入が低い年には掛金全額が所得控除という税制優遇のメリットを活かせないことがあります。例えば、収入が少なく住民税非課税世帯に該当する年は、掛金が控除されるメリットは一切ありません。
編集部
住宅ローンを組んでいる人
住宅ローンを組んでいて、住宅ローン減税を受けている人は、iDeCoとの節税の重複に注意が必要です。
住宅ローン減税とは、住宅ローン契約者を対象にした税制優遇制度のこと。要件を満たした際に、年末のローン残高の0.7%を所得税(住民税)から「税額控除」の形式で控除を受けられます。
iDeCoで受けられる「所得控除」とは、控除区分が異なっている点に気をつけてください。
iDeCo | 住宅ローン減税 | |
---|---|---|
控除区分 | 所得控除 | 税額控除 |
概要 | 課税所得が軽減されるので、算出される所得税・住民税が少なくなる | 算出された所得税(住民税)から直接引かれる |
住宅ローン減税で受けられる税額控除は、算出された所得税に対して適用されるのに対し、iDeCoで受けられる所得控除は、所得税算出前の課税所得に対して適用される点が異なります。
裏を返せば、すでに住宅ローン減税で所得税・住民税が還付されている状態なら、iDeCoに加入しても所得控除の税制優遇は効果的とは言えないでしょう。
その他、住宅ローンを繰上返済したい場合も注意が必要です。60歳以前はiDeCoの資産を使えないので、繰上返済のための資金を用意する際に、iDeCoの流動性の低さがデメリットになることも考えられます。
編集部
参照:国土交通省「住宅ローン減税」
50代・60代の人
iDeCoは老後資金の確保を目的とした制度であり、50代・60代で加入すると運用期間が短くなり、iDeCoのメリットである税制優遇の恩恵は少なくなります。
iDeCoの受給開始時期は最大75歳まで伸ばせるので、50代・60代から始めても運用期間を長くすることは理論上は可能です。50代・60代で始めようとしている人は、受取開始年齢を遅らせることも視野に入れることを検討してください。
編集部
iDeCoのデメリットに関するよくある質問
元本確保型の商品は運用そのもので損をすることはないですが、運用益がiDeCoの手数料を上回れない場合に損をしてしまいます。
元本確保型の運用益は微々たるものなので、投資信託も含めたポートフォリオを組むことをおすすめします。
金融機関が破綻しても、加入者自身の資産に影響を与えるケースは少ないです。
資産に影響を与えるケースは、運用商品を提供している金融機関が破綻する場合で、定期預金・保険商品により運用しているときに限られます。その際も、一定の補償があるので、金融機関の破綻により資産を全て失うといった事態は起こりません。
iDeCo加入中に死亡した場合は、遺族に対して死亡一時金が支払われます。この際は、一時金による支払いに限定され、年金方式での受取を選択することはできません。
なお、受け取る一時金は基本的に相続税の課税対象となり、受取金額によっては相続税の支払いが発生するので注意しましょう。
iDeCoの受取方式は「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3つがあり、どれがおすすめかは人により異なります。
一時金受取の場合は、退職金とiDeCoのどちらを先に受け取るかでも、節税効果は変わってきます。退職金の額や他の所得を加味して、節税メリットの大きい受取方法を選択すると良いでしょう。
iDeCoと企業型DCのどちらがおすすめかは、自身の投資知識や企業型DCの掛金上限により異なります。
企業型DCの場合、掛金・手数料を会社が負担してくれる点がメリットです。一方で、会社負担の掛金が少ない場合や、選択できる商品が限られることもあります。
iDeCoは、選択できる商品が幅広いことや、転職による影響を受けない点がメリットです。しかし、掛金・手数料が自己負担になる点は、企業型DCとの比較ではデメリットになるでしょう。
勤務先が企業型DCを導入している人は、制度を理解したうえでどちらを選択するかを判断してください。また、企業型DCでマッチング拠出を行わない場合は、iDeCoとの併用もできるので、合わせて検討しましょう。
まとめ
本記事では、iDeCoの仕組みやデメリットしかないと言われる理由、活用するメリットを中心に解説しました。
iDeCoがデメリットしかないと言われる理由は、元本割れリスクがあることや、原則60歳まで引き出しできないためです。
しかし、活用することで拠出時・運用時・受取時の3つのタイミングで税制優遇を受けることができます。また、60歳まで引き出せない点は、裏を返せば強制的に老後資金を準備できるというメリットにもなり得ます。
自営業者・フリーランスのような公的年金が少ない人や高所得で納税額が大きい人は、iDeCoのメリットを活かしやすいので加入がおすすめです。
デメリットばかりの制度ではないので、老後資金の準備が不安な人は、ぜひiDeCoの加入を検討してみましょう。