医療保険には、一定期間のみ保障される「定期型」と、一生涯にわたって保障が続く「終身型」があります。
医療保険の加入を検討している人の中には、「自分に終身医療保険は必要なのか」「定期型(掛け捨て型)とどちらを選ぶべきか迷っている」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、終身医療保険のメリット・デメリットや必要性が高い人の特徴について徹底解説。併せて、定期型の医療保険との違いもわかりやすく比較しています。
この記事の要点
- 終身医療保険とは、加入後一生涯にわたって保障を受けられる医療保険です。この保険のメリットは、保障が一生涯続くことに加え、保険料が変わらない点です。
- しかし、保障の見直しが難しく、インフレのリスクがあるため、全ての人におすすめできるわけではありません。
- 自分に終身医療保険が必要か悩んでいる方は、保険相談窓口で専門家に相談してみることをおすすめします。
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終身医療保険とは?
定期タイプの医療保険と違って加入時点の保険料は高めである一方、長期間の加入では最終的に終身医療保険のほうが割安になります。
編集部
契約内容は「主契約」「特約」に分かれる
編集部
一般的には入院日数に応じて支払われる「入院給付金」と手術をしたときに支払われる「手術給付金」がメインですが、そのほかにもオプションとして特約を設定することも可能です。
たとえば…
- たとえば先進医療特約は、先進医療による療養を受けたときに先進医療の技術に係る費用(技術料)と同額の保障を受けられます。
- 給付される金額には上限が設定されていますが、2,000万円など高額な上限額が設定されていることで複数の病気に対応可能です。
- また、女性疾病特約では女性特有の病気で入院した場合に入院給付金などに保障が上乗せされます。
- そのほかにも「三大疾病特約」「がん特約」など、さまざまな特約を任意に組み合わせることが可能です。
終身医療保険がおすすめできる人・できない人
一生涯の保障を得られることがメリットである終身医療保険ですが、すべての人に必要とは言えません。
ここからは、終身医療保険がおすすめな人の特徴とおすすめできない人の特徴をご紹介します。
編集部
終身医療保険がおすすめな人の特徴
生涯にわたって医療保障を得たい人
一生涯にわたって医療保険の保障を得たい人は終身医療保険が適しています。
定期型医療保険を選択した場合でも更新によって長期間の契約は可能ですが、更新が一定の年齢で止まるため、一生涯の保障を得られません。
注意点
- ただし、契約したときの内容で保障内容が固定される点はネックになります。
- 保険の内容を見直すときは別の医療保険に乗り換えといった方法で検討する必要があります。
老後の年金や他の収入が多い人
注意点
- 終身医療保険でネックになるのは、定年退職後も生涯にわたって発生する保険料です。
- あるいは定年までに保険料を払い終えてしまう場合は、割高になる保険料を払えるかどうかが大切になってきます。
老後の収入が十分な人であれば、保険料を心配する必要はありません。
その場合は生涯にわたって保障が得られる終身医療保険が適しています。
後期高齢者制度の改正
- 今までの後期高齢者医療制度では75歳以上の後期高齢者は原則として自己負担1割、現役並み所得者に限って3割負担でした。
- それが2022年度後半以降、年収200万円以上の人が窓口で支払う負担が1割から2割に引き上げられます。
今後は年収200万円以上の人は公的医療保険の負担が増えることを考えると、民間の終身医療保険で備えをしておく必要性が高まります。
参考:ニッセイ基礎研究所
終身医療保険をおすすめできない人
一定期間だけ保障を手厚くしたい人
一定期間だけ手厚い保障が欲しい人は終身医療保険には向いていません。
終身医療保険で支払う保険料が一定なのは、いってみれば老後に必要になる保険料を若いうちに前払いしているということです。
編集部
ライフスタイルに合わせて保障内容を見直したい人
終身医療保険では契約時の保障内容で生涯保障が継続される反面、自ら見直しをしないと保障が古いままになってしまう可能性があります。
ポイント
- 定期型医療保険であれば更新時に保障内容の変更や、他社への保険の切り替えも柔軟に対応できます。
- 常に最新の保険商品に目を通せる人であれば、定期型医療保険の方が適している可能性があります。
編集部
終身医療保険のメリットとデメリット
終身医療保険のメリット・デメリットを整理しておくと、保険選びの際に役立ちます。ここでは終身医療保険のメリット・デメリットの両方を見ていきましょう。
終身医療保険のメリット
終身医療保険の主なメリットは以下のとおりです。
終身医療保険のメリット
- 保険料がずっと上がらない
- 若い時に加入しておけば老後の保険料負担が軽くなる
- 健康状態が悪化しても保障内容が変わらない
保険料がずっと上がらない
保険料が一生涯上がらないのは、終身医療保険のもっとも大きなメリットの1つです。
一度加入してしまえば、それ以上保険料が上がる心配がないのは分かりやすいですし、家計を考えるうえでも固定費として管理しやすい点がメリットです。
若い時に加入しておけば老後の保険料負担が軽くなる
現在の日本の定年は65歳であることが一般的です。
その後は毎月の給与を受け取ることができず、貯金と年金で生活を送る必要がでてきます。
その一方で、高齢になるにつれてケガや病気をして入院・手術・通院するリスクが増加する点は気がかりでしょう。
編集部
健康状態が悪化しても保障内容が変わらない
終身医療保険は加入期間中に健康状態が悪化した場合も、保障内容が変わることはありません。また、保障期間が一定期間に限定されていないため、契約が続いている限りは保障が継続します。
一方の定期型医療保険は、更新できる年齢には限度があり、そこに達すると更新できなくなる場合があります。
ほかの生命保険に乗り換える必要がありますが、この場合も健康状態や年齢によっては保険に加入できない可能性があるのです。
終身医療保険のデメリット
終身医療保険のデメリットは以下のとおりです。
終身医療保険のデメリット
- インフレのリスクがある
- 保険を見直しにくい
- 高齢時の保険料負担が大きくなる可能性
インフレのリスクがある
終身医療保険で気を付けるべきことの1つが「インフレリスク」です。
インフレが進んで今の100円の商品が将来は200円を出さないと買えない(貨幣の価値が半分になる)という事態になったと想定してみます。
その場合は今の日額1万円の入院給付金が将来は5,000円分の価値しか得られないことになります。
日本は日本銀行の政策によって毎年2%のインフレ目標が設定されています。
目標は達成していないものの、2013年以降から毎年ゆるやかなインフレに向かっているのです(2016年と2020年を除く)。
保険を見直しにくい
終身であることのデメリットが、保険の見直しがしにくい点です。
注意点
- 保険は医療技術の発達などによって新しい商品が生み出されていますが、加入してから何年も経ったあとで解約してしまうと、そのときの年齢で保険料が計算されて保険料が高くなります。
- 若いときに加入したことによる保険料の安さが理由で、魅力的な保険を見つけても乗り換えることが難しくなることも考えられます。ほかの商品に乗り換えたりすることで対応はできますが、せっかくの保険料の安さを捨てることになります。
一方の定期保険であれば、更新のタイミングで保障内容を見直すことができます。ただし、定期保険もそのときの年齢で保険料が計算されるため、保険料が高くなる可能性があります。
高齢時の保険料負担が大きくなる可能性
終身医療保険の保険料の支払方法は以下の2つに分かれています。
終身医療保険の支払い方法
- 終身払い
- 短期払い
終身払いは文字どおり生きている間は保険料を払い続ける方法で、90歳になっても100歳になっても保険料の払込が続きます。
働いているときとは違い、年齢を重ねると徐々に貯蓄を取り崩して生活していくことになります。
編集部
短期払いでは定年後に支払いを続ける事態は回避できますが、終身払いと比較して保険料が割高のため、定年までの負担が激しくなる点に注意が必要です。
終身医療保険と定期型の医療保険、結局どちらがおすすめ?
結論から言うと、「一生涯の保障を重視するなら終身型、一定期間のみの保障で良いなら定期型」を選ぶのがおすすめです。
以下に終身と定期型の特徴を表にまとめました。
終身医療保険 | 定期型医療保険 | |
保障期間 | 一生涯 | 一定期間 |
---|---|---|
保険料 | 加入時からずっと変わらない | 更新時に上がる |
おすすめな人 | 一生涯にわたって保障を得たい人 | 一定期間だけ保障を受けたい人 |
主なメリット | ・保険料が一定 ・高齢になっても保障が継続する |
・若いときの保険料が割安 ・保険の見直しがしやすい |
主なデメリット | ・インフレリスク ・見直しがしにくい |
・更新で保険料が上がる ・更新できる年齢に上限がある場合も |
一生涯の保障が得られる終身医療保険
終身医療保険は、解約しない限り一生涯保障が続き、保険料は生涯一定で変わりません。加入年齢が若いほど保険料が割安になるため、「老後の医療費を早めに備えたい」と考える人に向いています。
短期払いにすると、定年後などに保険料の支払いがなくなるメリットがありますが、その期間中の支払いが重くなるので注意が必要です。
保障が一定期間のみになる定期型医療保険
定期型医療保険は、特定の期間のみ保障があるため、終身型と比べて保険料が割安で済むのが特徴です。同じ保険料を支払う場合でも、終身型に比べてより手厚い保障内容を選べるため、「必要な期間だけしっかりカバーしたい」と考える人に向いています。
また、若い世代や貯蓄が少ない子育て世代など、短期的な保障を求める層にも適しています。ただし、更新ごとに保険料が上がるため、長期的に利用したい場合はその点も考慮する必要があります。
まとめ
本記事では、終身医療保険のメリット・デメリットや必要性が高い人の特徴、掛け捨て型と終身型はどちらがおすすめかについてわかりやすく解説しました。
終身医療保険は保障が一生涯にわたって続くだけでなく、保険料もずっと変わらないのがメリットです。固定費として計算しやすいため、生活設計をするうえでも管理しやすくなっています。
一方で「保険を見直す機会が少ない」「インフレのリスクがある」といったデメリットがあるため、誰にでもおすすめできるわけではありません。
定期型医療保険との違いを理解し、ご自身のライフスタイルに合わせて最適な商品を選択しましょう。
編集部
大学卒業後、信用金庫に入社。中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。
保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店『コミヤ保険サービス』を設立。
保険代理店の実務経験を生かして、執筆業や講師業も行う。
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
岩手県出身。大学卒業後、銀行、外資系生命保険会社、建設業(企業再生)を経て、ほけんのぜんぶに入社。
保険業界経験歴は18年。岩手県生命保険協会副会長も務める。