病気やけがに備えるための保険として、保険会社から販売されているのが「医療保険」です。しかし、日本は国民皆保険制度もあって公的医療保険が充実しています。
成人であれば、治療に対する自己負担は3割で、一定額を超えた場合は「高額療養費制度」による払い戻しも可能なだけあって、民間の医療保険にわざわざ加入する必要性について気になる方も多くおられます。
本記事では、医療保険がいらないと言われる理由と必要性、不要な人の特徴についてまとめて解説します。ぜひ最後までご覧ください。
医療保険の必要性に関するまとめ
- 医療保険がいらないと言われる大きな理由の1つに、「公的医療保険制度が充実していること」が挙げられます。
- しかし、入院した場合の自己負担額は約20万円と言われ、多くの人が自己負担額の66.9%を保険金でカバーしている事実から医療保険の必要性は高いと言えます。※
- 医療保険選びで迷っている方は、まず保険相談窓口で専門家に相談してみるのがおすすめです。
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※出典:公益財団法人生命保険文化センター 令和4年度「生活保障に関する調査」
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医療保険はいらない・不要と言われる理由
なぜ医療保険は「いらない・不要」と言われているのでしょうか?以下では、その理由を詳しく解説します。
日本の公的制度が充実しているから
「医療保険はいらないのではないか」と民間の医療保険の必要性がよく議論されるのは、公的医療保険制度が充実しているためです。
公的医療保険制度とは、病気やケガで医療機関を受診した際、医療費の大部分を国や自治体が負担する仕組みです。この制度は日本国籍のある人全員に加入義務があり、「国民皆保険制度」とも呼ばれます。
公的医療保険制度の自己負担割合
医療費の自己負担割合 | |
小学校入学前 | 2割 |
小学校入学後〜69歳まで | 3割 |
70〜74歳まで | 2割 (現役並み所得者は3割負担) |
75歳以上 | 1割 (現役並み所得者は3割負担) |
例えば30歳の男性が、医療機関で1万円の医療費がかかったとしたら、その人が負担する医療費は3,000円となります。
編集部
このような公的医療保険制度の充実ぶりから、民間の医療保険は不要だと考える方もいるのです。
高額療養費制度があるから
高額療養費制度とは、月間の医療費が高額になった場合、自己負担額を超えた分が後に払い戻される制度です。この制度により、突然の高額医療費が発生しても、経済的な負担を軽減できます。
例えば、月収30万円の方が医療費100万円かかった場合、自己負担額は約21万2,570円となり、残りの約78万円は後日払い戻されます。
このように大きな医療費の負担を軽減できる点が高額療養費制度のメリットです。そのため、民間の医療保険が必須ではないと考える方も少なくないでしょう。
保険料が家計の負担になるから
医療保険が「いらない」と言われる理由の3つ目は、保険料が家計の負担になる可能性が挙げられます。
さらに、契約時の年齢や保障内容によって保険料が変動し、年齢が高くなるほど保険料が増加する傾向があるため、負担は大きくなりがちです。
また、家計の優先順位や経済状況によっては、貯蓄を優先して医療保険の支出を抑える方が効果的な場合もあります。
編集部
条件によって給付金が支払われないことがあるから
医療保険が「いらない」と言われる理由の4つ目は、条件によって給付金が支払われないことがある点です。
例えば、医療保険には「入院日数」に制限がある場合があり、一定の日数以下の入院では給付金が支払われないことがあります。
また、特定の病気や治療に対して保障が除外されることもあります(慢性疾患の治療や美容整形など)。
このように、医療保険は必ずしもすべての状況で有効ではないため、「不要」と考える人もいるのです。
十分な貯蓄があり収入が安定しているから
医療保険が「いらない」と言われる理由の5つ目は、高額な医療費に対応できるだけの貯蓄があり、収入が安定しているためです。
貯蓄で十分に医療費を賄える経済的余裕があれば、万が一の病気や怪我の際にも保険に頼らず自己負担で対応できると考える人も多いです。
編集部
医療保険がいらないのはこんな人!
医療保険がいらないと考えられるのは、次のような人です。
医療保険がいらない人
万が一の入院にも対応できる十分な貯蓄がある人
十分な貯蓄がある人は、直ちに医療保険に加入する必要性は低い傾向にあります。万が一、病気・ケガをしても、手元の資金からまかなえるからです。
ちなみに、入院した場合の経済的負担については次のようなことがわかっています。
入院した人が負う経済的負担
- 過去5年以内に入院したことがある人の平均入院日数は17.7日
- 一度の入院で支払った平均自己負担額は19.8万円
- 病気・ケガでの入院が原因で逸失した収入の平均は26.8万円
(出典:公益財団法人生命保険文化センター 令和4年度「生活保障に関する調査」)
編集部
また、次の点にも注意してください。
十分な貯蓄がある人の注意点
- 先進医療などで高額な治療費がかかった場合、公的医療保険制度は適用されない
- 入院時の差額ベッド代や食事代、日用品代なども公的医療保険制度ではカバーできない
- あとから医療保険に加入したくなっても健康状態によっては加入できないことがある
- 医療費を自分でまかなうことで、その資金で得られたかもしれない投資や事業の成果などを失う恐れがある
保険料の支払い損になりたくない人
また、医療保険に加入しても、病気・ケガをしないまま保険期間の終了を迎える人もいるでしょう。その場合、どうしても支払った保険料は返ってきません。
その保険料を損に感じてしまう人は、無理に加入しないのも、確かに一つの選択肢です。
編集部
この先も病気・ケガと無縁でいられるという根拠はなく、万が一のときの医療費負担は、重くなるかもしれません。
そのようなリスクを軽減するためにも、医療保険はおすすめです。
医療保険の必要性が高い人
逆に医療保険に入るべきなのは、以下の項目に当てはまる方です。
医療保険が必要な人
健康に不安がある人
健康に不安がある人にとって、医療保険は将来のリスクに備えるために必須と言えるでしょう。
特に持病や家族歴、過去に病歴がある場合は病気やケガのリスクが高いです。健康なうちに医療保険に加入することをおすすめします。
最近では「引受基準緩和型医療保険」や「無選択型医療保険」といった、健康状態に不安がある人でも加入しやすい保険商品もありますが、保障内容が一般的な保険よりも薄くなることがあるため注意が必要です。
編集部
妊娠前の女性
妊娠や出産を控えている女性は、できるだけ妊娠前に医療保険に加入することをおすすめします。
特に、長期入院時の差額ベッド代や食事代、見舞いのための交通費などは自己負担となるため、事前に備えておくと安心です。
また、健康保険では「出産一時金」や「出産手当金」が支給されますが、それでも入院にかかる費用は思いのほか高額になる可能性があります。
編集部
家族が増えた人
小さなこどもがいる家庭は、保険への加入が不十分であることが考えられます。なぜなら、子どもの入園・入学費用、住宅購入など、費用がかさむ時期だからです。
40代以降と比べて年収も低く貯蓄も十分ではないことが多く、このようなときに病気で入院することで日常生活に影響が出ることが考えられます。
編集部
充実した医療を受けたい人
差額ベッド代や食事代、先進医療など、健康保険が適用されない部分に備えたい方には、医療保険の必要性が高いと言えるでしょう。
特に、高額な費用がかかる先進医療は全額自己負担となるため、医療保険でその費用をカバーすることを強くおすすめします。
重いケガや病気が不安な人
会社員や公務員の場合、万が一ケガや病気で働けなくなった場合に一定の条件を満たせば「傷病手当金」を受け取れます。
傷病手当金のポイント
- 手当の金額は1日ごとの給料の約3分の2です。
- 受け取れる期間は最長で1年6ヵ月となっています。
また、有給休暇を利用すれば、休みながら働いているときと同等の給与を受け取ることが可能です。一方の自営業者・フリーランスの場合、傷病手当金を受け取れません。
注意点
- 会社員・公務員のような月給制ではないことから、入院などで働けないと基本的に収入はゼロです。
- 景気の動向次第で収入が安定せず、何かのきっかけで収入が激減する可能性があります。
- その中でケガや病気になるリスクを常に抱えているのが自営業者・フリーランスです。
医療保険を選ぶ際の確認ポイント
数ある医療保険の中から自分にとは適した保険を選ぶには、以下のポイントを確認しましょう。
医療保険を選ぶときの確認ポイント
- 保険期間や保険金額は適切か
- 入院日数はいつからいつまでカバーされるか
- 自分が欲しい特約は含まれているか
特に今は入院期間が短くなっている傾向にあるため、日帰り入院でも一時金が支払われるかどうかを確認しておくと、より安心です。
また医療保険には、次のような特約を付加する事もできます。必要に応じて検討してみましょう。
医療保険に付加できる特約
- がん保障特約
- 特定疾病保保障特約
- 女性疾病保障特約
- 通院保障特約
- 先進医療特約
※保険会社によって特約の名称が異なる場合があります。
もしどのような保険や保障がよいか迷われる際は、「ほけんのぜんぶ」のような無料の保険相談窓口で専門家に相談することをおすすめします。
医療保険はいらない?に関してよくある質問
まとめ
今回は「民間の医療保険は必要なのだろうか?」と迷っている人に向けて、医療保険がいらないと言われる理由をはじめ、必要な人・不要な人の特徴についてまとめて解説しました。
医療保険とは、被保険者が病気・ケガをして治療を目的とする入院をしたときに、入院日数に応じて一定の入院給付金を受け取れる保険のことです。
入院による経済負担は大きく、病気・ケガのリスクは常にあるため、十分な貯蓄がある人以外は医療保険の必要性が高いと言えるでしょう。
編集部
大学卒業後、信用金庫に入社。中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。
保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店『コミヤ保険サービス』を設立。
保険代理店の実務経験を生かして、執筆業や講師業も行う。
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
岩手県出身。大学卒業後、銀行、外資系生命保険会社、建設業(企業再生)を経て、ほけんのぜんぶに入社。
保険業界経験歴は18年。岩手県生命保険協会副会長も務める。