
投資信託を運用しているけれど、いつが売り時かわからないという人は意外と多いのではないでしょうか。何を基準に売るタイミングを判断したらいいのかは初心者には難しいポイントです。
そこでこの記事では、投資初心者に悩みが多い「手放す時期はいつなのか」をはじめ、売るべきタイミングの見極め方や、売り時を判断をする際の注意点について解説します。
投資信託の売り時・タイミング
投資信託の主な売り時は、以下5つです。ベストタイミングで売却したい方は目を通してみてください。
- 自分が決めた目的を達成できた時
- 今後上昇の兆しがない時
- 暴落した時
- 投資比率を調整したい時
- 乗り換え先がある時
投資の目的を達成できた時
投資を始める際に決めた運用の目的や、目標の資産額を達成した際は、売り時といえます。投資を始める前には、資産を運用する目的や、目標の総資額などを自身で確認しておきましょう。
含み益が出ている状態で保有し続けていると、また価格が変動し目標額を下回ってしまうことも考えられるので注意が必要です。
せっかく運用目標を達成していても、さらに利益を得るために保有し続けているうちに価格が下落してしまうということも考えられます。
今後上昇の兆しがない時
投資信託の運用では、長期的に資産を運用して利益を得ることを目指す人が多いでしょう。そのため、経済状況や市場の変化によって、長期的な運用益が見込めなくなった場合には運用していても意味がありません。
投資を始めたときは「長い目で見て右肩上がりだろう」と期待できた金融商品でも、時間の経過とともに期待値が下がってしまうことも大いにあります。
長期的に保有していても値上がりが見込めないのであれば、保有しているメリットはありません。
暴落した時
運用している投資信託の価格が大幅に下落し、大きな損失が出る可能性があるときには、損失の拡大を防ぐために売る決断をすることも必要でしょう。
基準価格の推移から推測して、通常と違う動きをした下げ幅である時などには、早い決断も必要になります。
どのくらいの価格まで下がったら、売るべきなのか、自分の中で分析を固めておくといいでしょう。
投資比率を調整したい時
投資信託を運用している中で、投資先の価格変動によってポートフォリオの資産の比率が大きく変わってしまうことがあります。
ポートフォリオの資産配分は、リスクやリターンを考え運用方針に合わせて決めているものなので、価格の変化に合わせて比率が高くなった資産を売ることも大切です。
ポートフォリオの分配比率が偏ってしまったまま運用を続けてしまうと、価格変動リスクが高い投資信託が下落したタイミングで総資産に対する損失の割合が大きくなってしまいます。
乗り換え先がある時
新たな金融商品が登場したり、自分の資産運用の方針が変わったことで、他の投資先に魅力を感じるようになった場合、資金調達のために今保有している投資信託を売るということもあります。
世界では、日々新たな金融商品が登場しています。しっかりと、最新情報を追いかけておくとチャンスを逃すことがないでしょう。
運用している資産の全てを売らなくても、資産の一部を売って資金を得て、新たな投資先へ投資を行うという選択肢もあります。
売り時を見極める際のポイント
投資信託を売却するタイミングが分かったら、次は売り時を見極める必要があります。売り時を見極めるポイントは以下3つです。
- 投資した資金の位置付けで判断して売る
- 基準価額が値上がりした時に売る
- 自分で決めた目標に達したら売る
投資した資金の位置づけで判断して売る
売り時を判断する際には「投資した資産の位置付け」が重要な判断基準になることがあるでしょう。
自分の資産の中で、資産を運用している目的は何か、資産の運用目標は何か、によって売り時として定義されるタイミングも変わるでしょう。
例えば、資産を運用している中で基準価格が下がり、含み損が出ていたとしても、その資金が今すぐ必要ないという場合であればそのまま運用を続けることができます。
売り時の判断は、基準価格の変動のような外的な要因ばかりではなく、投資家自身の運用目的など、内的な要因も考慮する必要があります。
基準価額が値上がりしたときに売る
買った時点から右肩上がりとなり、運用目標を大幅に達成した場合は、売り時と判断できるでしょう。
まだ運用予定の期間が残っていたとしても、自分が立てた目標値に到達している場合には、一度投資信託の売却を行い、利益を確定する判断も大切です。
ロングスパンで考えている場合には、含み益が運用目標を達成した時点で一度利益を確定。運用益が出た状態でさらに他の投資先で資金を運用するということもできます。
投資信託などの金融商品の価格は日々変動するものなので、含み利益が出ているタイミングで一度売却するという決断は重要です。
自分で決めた目標を達成したら売る
投資を始める際に運用目標を決め、それを達成した時点で売却するという方針で運用をするのもいいでしょう。自分の大切な資産を運用するわけですから、自分軸で売り時を決めるというのもとても重要です。
基準価格の上下などの外的要因ばかりに惑わされすぎず、自分の目標にあった資産運用をすることが何よりも大切です。自分の運用の軸を明確にして投資を行いましょう。
初心者にとって、投資信託の基準価格の変動の要因や先々の価格変動を予測するのは、かなり難しいはずです。プロでも予測ができない場合もあることを覚えておきましょう。
そのため、自分個人の運用目標や、運用目的を明確にしておくと、周りに惑わされずいい決断ができます。
投資信託の売り時を見極める際の注意点
投資信託の運用を中で最も大切ともいえる、売却のタイミング。売り時をしっかりと見極めて、運用した資産を効果的なタイミングで売却して、利益確定を行いましょう。
売却のタイミングを見極める際に初心者が注意して方がいい点を紹介します。
値下がりしても一度は様子をみる
投資信託の運用をしていく中で、価格基準が下落することもあるでしょう。しかし、中には一時的な価格下落もあることを押さえておくことが大切です。
価格が下落した際には、なぜ価格の変動が起きたのかを冷静に分析することが大切です。「価格が下がった」とパニックになってはいけません。
一時的な価格の下落は、長期の運用には付き物です。最終的に利益確定をする際に、価格が上昇して運用益を得られることを目指して運用しましょう。
保有している投資信託の全てを一挙に売却する必要はない
投資信託を売却する際には、運用している投資信託の全てを一度に売却する必要はありません。何回かに分けて売り時を決めることもできることを押さえておきましょう。
資産運用を行う期間に余裕がある場合は、価格基準が運用目標に達した段階で投資信託の一部を売却し、残りはそのまま運用を続けるということも可能です。
積み立ての投資をして投資信託を購入するタイミングをずらすことで運用リスクを軽減できるのと同じように、売却のタイミングを分散させることにもリスク軽減の効果があります。
売却した後のことを考えておく
運用している投資信託の売り時を判断する際には、売却した後の資金の使い道について考えておくといいでしょう。
実生活で資金が必要という場合ももちろんありますが、現状では資金が必要ではない場合には、さらに資産運用を続けることを考えることも大切です。
さらに運用を続けていく場合には、同じように投資信託で運用していくのか、FXや株式などその他の金融商品に投資するのか再検討する必要があります。
投資先を変える際には手間やコストがかかるので、慎重に決断した方がいいでしょう。運用のリスクやリターン、将来性などを加味して投資を検討します。
さらに、手数料について調べておくのも大切です。
現在運用している投資信託の売却費用や、これから投資を行う金融商品の購入費用などを確認しましょう。
投資信託NISAの場合の売り時は?
投資信託でつみたてNISAや一般NISAを活用しているケースの売り時は、運用目標を達成した時点や価格基準が上昇したときです。
つみたてNISAや一般NISAには、非課税期間や年間の非課税枠が指定されているため規定をよく押さえた上で運用や売却を行うことが大切です。
非課税投資枠 | 非課税期間 | |
一般NISA | 年間120万円 | 最長5年間 |
つみたてNISA | 年間40万円 | ・最長20年間 |
一般NISAは、短期間でも積極的に資金投資を行って利益を出すことを目指す運用に有効ですが、非課税期間が終了したタイミングで損失がない状態にすることが大切です。
一方でつみたてNISAの場合には、売却のタイミングで税制面の有利・不利があるわけではありません。そのため、自身の運用方針にしたがって、運用目標を達成したタイミングなどで売却しましょう。
投資信託3つの売り方
投資信託には主に「すべて売却」「複数回で売却」「必要な分だけを売却」というような3つの売り方があり、それぞれの売り方は売却目的によって使い分けられます。
- 保有している投資信託をすべて売却する
- 数回に分けて売却する
- 必要な分だけを売却する
ここでは、3つの売り方と目的別の使い分け方について紹介します。
保有している投資信託をすべて売却
まずは、初心者でも一番想像がつきやすいであろう「保有している投資信託をすべて売却する」というやり方です。
運用している投資信託の基準価格が上がり、資産運用の目標としていた価格を超えた場合は、利益を確定するために保有している投資信託を全て売却しても良いかもしれません。
しかし反対に、一度投資信託を売却してしまうと、その後、どれだけ基準価格が高騰したとしても利益には繋がらなくなってしまいます。
売却を考えている投資信託の将来性などを考慮した上で、売却するかしないか、どの程度を売却するのか、判断するようにしましょう。
数回に分けて売却
保有している投資信託を数回に分けて売却するという方法もあります。
運用している投資信託の基準価格が上昇し、運用目標を達成してもなお、将来的に更なる価格上昇が見込める場合は、資産の一部を売却するという方法もあります。
今すぐに資金が必要というわけではなく、このまま運用を続けていっても資産に余裕がある場合にも有効な方法です。
運用目標を達成したところで、運用している投資信託の一部を売却し利益を確定。残りはそのまま運用を続けていくのもいいでしょう。
売却した一部の資産で別の投資信託の運用を始めるというのもありです。自分にあった売却方法を見つけましょう。
必要な分だけを売却する
急に資金が必要になった場合などに有効なのが「必要な分だけを売却する」という方法です。他に魅力的な投資先を見つけたり、実生活で急にまとまった資金が必要になることも想定できます。
資産運用をする中で、さらに魅力的な投資先が見つかることもあります。その際には柔軟に投資先を変更してもいいでしょう。
もし今売ると損失が出てしまうという場合でも、どうしても資金が必要な場合には売却するという判断をした方がいい場合もあります。
その場ではもちろん損失になりますが、長い目で見たときに、新たな投資先で更なる運用利益が期待できるときには有効な判断です。
まとめ
投資信託を売るのに適切なタイミングはいつなのかを中心に解説してきました。
投資信託は、せっかく時間やコストをかけて運用している資産です。ベストな売り時を判断して利益を得られるのが理想的でしょう。
この記事で紹介した投資信託の具体的な売り方についても、ぜひ参考にしてみてください。
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