iDeCoとNISA・つみたてNISAの違いを徹底比較!併用やリスクも解説

老後2,000万円問題が叫ばれる昨今、将来に備え貯蓄を考えている方も多いことでしょう。そこで、貯蓄の手段として考えられるのが「iDeCo」や「NISA」の利用です。

これらはいずれも「一定範囲内額の投資に対して税金がかからない制度」です。

そこでこの記事では、iDeCoとNISAについて深掘りして解説します。つみたてNISAやそれぞれの制度の比較、証券会社を分けるメリットについても詳しく紹介しています。

iDeCo(イデコ)とは?

ideco

iDeCo(イデコ)とは「individual-type Defined Contribution pension plan」の頭文字をとった言葉で、個人型確定拠出年金となります。

 iDeCoに加入をすると、自分で投資商品を選び、毎月積み立てる形で60歳まで運用します。

そして、原則60歳以降に年金もしくは一時金として受け取ることができるようになっているのです。逆に、iDeCoに投資したお金は60歳までは引き出すことができないので注意が必要です。

また、iDeCoはNISAと同様に、金融機関で口座を開設することで加入することができます。

以前までは、自営業者などiDeCoに加入できる方に限りがありましたが、2017年1月以降公務員や主婦、会社員でも加入できるようになっています。

ただし、会社員の場合は勤め先の企業がiDeCoへの加入を認めている場合に限られます(2021年7月現在)。

加入を検討する際には、事前に確認しておくようにしましょう。

iDeCoの4つの特徴

ここからは、iDeCo4つの特徴について、さらに深掘りして解説していきます。

iDeCoの4つの特徴
  1. 年間の非課税投資額に上限がある
  2. 掛金は全額所得控除される
  3. 出た利益に税金はかからない
  4. 60歳以降に受け取る際も税金がかからない

    1年間の非課税投資額に上限がある

    iDeCoの4つの特徴

    iDeCoの年間の非課税投資額の上限は、14万4,000円から81万6,000円となっています。

    非課税枠の上限は、投資家の職業によって異なります。

    以下は、職業別に月間の非課税枠を表したものです。

    職業 非課税投資額上限
    公務員 12,000円
    会社員(企業年金あり) 12,000円
    会社員(企業年金なし・確定拠出年金あり) 20,000円
    会社員(企業年金なし) 23,000円
    専業主婦・主夫 23,000円
    自営業 68,000円

    月額の非課税投資額の上限に、自営業と公務員ではかなりの差があることが分かります。会社員であれば勤め先の条件によって変動するため、確認しておくといいでしょう。

     また、毎月の投資額は、非課税投資額の範囲内であれば年に1回変更することが可能です。

    ちなみに、非課税投資額の下限は月に5,000円と定められており、NISAやつみたてNISAとは異なります。

    2掛金は全額所得控除される

    所得控除

    iDeCoで投資した掛金は、その全額が所得控除の対象となります。つまり、年間の投資額が所得から差し引かれて所得税や住民税などの税金が算出されるため、iDecoは節税効果があるのです。

    節税できる金額計算の例

    課税所得600万円の会社員が毎月20,000円をiDeCoで積み立て投資した場合

    20,000円×12ヶ月=240,000円
    240,000万円×(所得税20%+住民税10%)=72,000円

    上記の通り、年間で72,000円の節税効果が期待できる計算になります。

    結果的に、節税効果が期待できるところが、iDeCoのメリットのひとつと言えるでしょう。

    3出た利益に税金はかからない

    iDeCoの4つの特徴

    iDeCoもNISAと同様に、投資の運用益に対して税金がかかりません

     通常は運用益にかかる約20%の税金がiDecoでは非課税となり、利益をそのまま受け取ることができます。

    先ほど説明したように、投資の掛金にも税金がかかりません

    よって、iDeCoは「投資金額」と「運用益」の両方に税金がかからない投資方法となります。

    460歳以降の受け取りも税金がかからない

    年金

    iDeCoは60歳以降「老齢給付金」として受け取り始めることが可能です。受け取り方法は、以下の2種類です。

    iDeCoの受け取り方法
    1. 一括受け取り(一時金)
    2. 分割受け取り(年金)

    一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となるので、覚えておきましょう。

    どちらの受け取り方法でも、一定金額まで税金控除の対象となる点が、iDeCoの大きなメリットです。

    また、受け取る合計金額の一部を一時金として受け取り、残りを年金方式で分割して受け取っていくという方法を選ぶこともできます。

    NISA(ニーサ)とは?

    nisa

    NISA(ニーサ)とは「NIPPON Indivisual Savings Account」の頭文字をとった言葉で、少額投資非課税制度という意味です。2014年1月にスタートし、個人投資家向けに作られた制度です。

     NISAとは金融商品に投資することで出る利益に対し、一切課税されなくなる制度のことをいいます。

    通常であれば、投資を行うと利益に対して20.315%が課税対象です。例えば、1万円の利益がでた場合だと約2,000円が税金として徴収されます。しかし、NISAはこういった税金がかかりません。

    つまり、1万円の利益が出たら、そのまま1万円を受け取ることができるのです。

    NISAの4つの特徴

    ここからは、NISAをより深く理解するための4つのポイントについて解説していきます。

    NISAの4つのポイント
    1. 非課税の対象は株式投資信託や上場株式など
    2. 非課税投資枠は年間120万円
    3. 非課税となる期間は最長5年
    4. 金融機関に口座を開設して利用する

      1非課税の対象は株式投資信託や上場株式など

      NISAの4つの特徴

      NISAでは、以下が非課税の対象となります。

      NISAで投資できる投資商品
      • 株式投資信託
      • 上場株式
      • REIT(不動産投資信託)
      • ETF(上場投資信託) など

        後に説明する「つみたてNISA」とは投資できる商品が異なるので、おさえておきましょう。

        2非課税投資枠は年間120万円

        NISAの4つの特徴

        NISAの非課税投資枠は、年間で120万円までとなっています。

         120万円以内の投資から生まれた利益には、一切課税されることはありません。

        また、120万円の範囲内であれば、対象投資商品の中から自由に選んで購入できます。購入できる回数にも特に制限はなく、複数の商品を何回でも購入することが可能です。

        3非課税となる期間は最長5年

        非課税投資枠とあわせてチェックしておきたいのが、非課税となる期間です。NISAの非課税期間は、最長で5年と決められています。

        つまり120万円×5年で、合計600万円が非課税の対象となるのです。

        4金融機関に口座を開設して利用する

        口座開設

        NISAで積み立て投資を行う際には、金融機関にNISA専用の口座を開設する必要があります。

         例えば、証券会社に口座を開設する場合は、総合口座を開設した後に、別枠でNISA専用の口座を開設するようなイメージです。

        総合口座を選ぶ際、一般口座特定口座(源泉徴収あり)特定口座(源泉徴収なし)の3つの中から選びます。

        総合口座の違い

        一般口座
        • 売却損益・税金の計算、納税のすべてを自分で行う
        • 確定申告が必要
        • 1年間見込み売却益が小さく、確定申告が不要となる可能性が高い方におすすめ
        特定口座
        (源泉徴収あり)
        • 売却損益・税金の計算、納税を行ってくれる
        • 確定申告は不要
        特定口座
        (源泉徴収なし)
        • 売却損益の計算を行ってくれる
        • 確定申告が必要

        もともと口座をもっていれば、NISA専用の口座を開設するだけで始められます。

        口座を持っていない場合は、それぞれの口座の特徴をあらかじめ理解し、自分にあったものを選ぶ必要があるでしょう。

        つみたてNISAとは?

        つみたてNISAとは?

        中・長期での投資を考えているのであれば、つみたてNISAという選択肢もあります。

         つみたてNISAは、2018年1月にスタートした制度で、最長20年までが非課税対象です。

        また、年間の投資金額にも違いがあり、NISAが120万円なのに対し、つみたてNISAは40万円までとなっています。

        つまり、40万円×20年間で、合計800万円までの投資が非課税の対象となるのです。

        つみたてNISAの投資対象商品

        さらに、投資対象商品も異なります。NISAでは、株式にも投資が可能ですが、つみたてNISAの場合は中・長期での投資に適している投資信託にのみ投資可能です。

         つみたてNISAは、長くコツコツ投資していくことが目的となっており、リスクが大きすぎず手数料の安い商品だけを、非課税の対象としているのです。

        また、NISAとつみたてNISAの併用はできないようになっています。

        あらかじめ頭に入れておきましょう。

        iDeCo・NISA・つみたてNISAの違いを比較

        iDeCo・NISA・つみたてNISAの違いを比較

        NISAとつみたてNISA・iDeCoは、いずれも「ある一定金額内の投資であれば税金がかからない制度」です。それぞれの特徴や違いを見ていきましょう。

        NISA つみたてNISA iDeCo
        年間非課税
        投資枠
        120万円 40万円 14万4,000円~81万6,000円
        ※諸条件により変動あり
        非課税期間 最長5年 最長20年 20歳~60歳
        投資対象商品 株式、投資信託 投資信託 投資信託、保険・定期預金
        解約・受け取り いつでも可能 いつでも可能 原則60歳以降
        ※最低10年の積立期間が必要
        非課税期間の延長 合計10年まで可能 不可 不可
        税優遇 拠出金の所得控除 なし なし あり
        運用益 非課税 非課税 非課税
        受け取り時の控除 なし なし 退職所得控除、公的年金等控除

        それぞれの制度を比較してみると、メリット・デメリットが見えてくるかと思います。

        そこでデメリットを補うために検討したいのが、各制度の併用です。

        iDeCo・NISA・つみたてNISAの併用はできる?

        iDeCo・NISA・つみたてNISAの併用はできる?

        NISAもしくはつみたてNISAと、iDeCoの併用は可能です。

         ただし、NISAとつみたてNISAの併用はできないので注意しましょう。

        併用するのであれば「NISAとiDeCo」、もしくは「つみたてNISAとiDeCo」という組み合わせになります。

        制度の併用がおすすめ

        なぜこれら制度を併用する必要があるの?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

        その理由は、それぞれの制度の利用目的が異なるからです。つまり、それぞれの制度の弱点を補うような形で併用するのがコツとなります。

        併用する2つのポイント

        ここからは、制度の併用を考える際の2つのポイントについて解説します。

        併用の2つのポイント
        1. 途中で引き出せるかどうか
        2. 年間の非課税投資額の上限はどうか

        1途中で引き出せるかどうか

        iDeCo・NISA・つみたてNISAの併用はできる?

        1つめのポイントは、投資をしている最中にお金を引き出せるかどうかです。

        NISA いつでも可能
        つみたてNISA いつでも可能
        iDeCo 原則60歳以降
        ※最低10年の積立期間が必要

        NISA、つみたてNISAは共に途中でお金を引き出すことが可能です。例えば、子供の学費で資金を捻出したいと思ったときに、すぐに引き出して支払うことができます。

        一方iDeCoは、60歳まで引き出すこと、そして脱退することもできません。また、原則最低10年の積立期間が必要です。

         投資を始めるのが遅ければ、最高で65歳まで受け取りを開始することができないのです。

        iDeCoは「個人型確定拠出年金」という名前の通り、リタイア後の年金として活用されます。よって、途中でお金が必要になった際の利用はできず、デメリットとなり得るでしょう。

        しかし、NISAとiDeCoを併用することで、各制度の弱点を補う形で様々な用途に対応できます。

        2年間の非課税投資額の上限はどうか

        iDeCo・NISA・つみたてNISAの併用はできる?

        2つ目のポイントは、年間の非課税投資額の上限です。NISAとつみたてNISA、iDeCoでそれぞれ上限が異なります。

        NISA 120万円
        つみたてNISA 40万円
        iDeCo 14万4,000円~81万6,000円
        ※諸条件により変動あり

        特にiDeCoは、職業によって非課税投資額の上限が決まってしまうため、そもそも大きな額を投資することができない方もいることでしょう。

        老後に使うお金以外にも、住宅の購入費用や子供の学費なども貯蓄したいと考えるのであれば、iDeCoのみでは頼りないかもしれません。そこでNISA、もしくはつみたてNISAと併用すれば、よりたくさんの投資を行えます。

        もし、iDeCoで年間非課税投資額の上限まで投資しても、まだ投資に回せる資金がある場合は併用を検討することをおすすめします。

        口座開設の証券会社は分けるのがおすすめ

        口座開設の証券会社は分かるのがおすすめ

        前提として、NISAとつみたてNISA、iDeCoはそれぞれ1人につき1つの口座しか開設できません

        しかし、これらの制度の併用を考える際に、証券会社を分けて口座開設することを検討している方もいるのではないでしょうか。

        事実、証券会社を分けることには、いくつかのメリットがあります。

        証券会社を分けるメリット
        • 投資できる商品の幅が広がる
        • 証券会社独自の強みを生かせる

          投資できる商品の幅が広がる

          口座開設の証券会社は分かるのがおすすめ

          それぞれの証券会社によって、投資できる商品に違いがあります。

          証券会社 米国株 中国株 FX 日経225先物
          SBI証券
          楽天証券
          松井証券 × ×
          岡三オンライン証券 × ×
          DMM.com証券 × ×
          上記の表では銘柄単位ではなく、大きなカテゴリでの取扱商品の有無を示しています。より具体的な取り扱い銘柄となると、その違いは運用益に対し、さらに大きく影響してくるでしょう。

          まずは、自分が投資したい商品を定め、その商品の取り扱いをしている証券会社を選ぶといいでしょう。

          証券会社独自の強みを生かせる

          口座開設の証券会社は分かるのがおすすめ

          証券会社は、各社で独自の強みを持っています。

          証券会社が持つ独自の強みの一例
          • 分析ツール
          • 手数料形態
          • セミナー
          • カスタマーサポート など

            証券会社を分けることで、それぞれが独自に提供しているサービスの中から、自分に合ったものを自由に選んで利用することができるのです。

            特にセミナーは、無料で参加できることをウリにしている証券会社もあります。投資初心者の情報収集の手段として、利用する価値は大きいでしょう。

            iDeCo・NISA・つみたてNISAのリスク

            NISAとつみたてNISA、iDeCoには、常に「元本割れ」するリスクがつきまといます。

            元本割れとは?
            投資した商品の価値が変動し、結果的に購入時の価格を下回ってしまうことを言います。

            いくら一定金額内の投資に税金がかからなくなるとは言え、投資であることに変わりはないことを忘れてはいけません。

             また、運用には手数料がかかります。手数料を差し引くと、結果的に元本割れのリスクとなります。

            投資する商品を見誤れば、損をしてしまう可能性も十分にあるでしょう。

            あくまで投資商品なので、100%の保証なないことを念頭に置いて置いておくことが大切です。

            まとめ

            ここまで、NISAとつみたてNISA、iDeCoについて解説してきました。NISA、つみたてNISA、iDeCoは一定範囲内の投資に税金がかからない制度です。

            記事のまとめ
            • NISA、つみたてNISAは途中で解約・受け取り可能、iDeCoは原則60歳まで不可
            • 「NISAとiDeCo」「つみたてNISAとiDeCo」は併用できる
            • いずれもあくまで投資なので元本割れののリスクがある

              どの制度も「将来の資金繰りを考え貯蓄しておこう」という考えのもとに作られたものです。しかし、それぞれにメリット・デメリットがあるのも事実です。

              制度を有効活用するためには、自分のライフプランにあったものを選ぶことが最も重要だと言るでしょう。

              監修者の紹介

              監修者の写真

              監修者岡田行史

              人材派遣会社17年経営したのち、金融関連業務に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタントMDRT成績資格会員2度取得。ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。

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