iDecoのメリット・デメリット

老後への備えとして、iDeCo(イデコ)に加入するか迷っている方も多いのではないでしょうか。

iDeCo(イデコ)には、節税対策や資産運用をしながら老後資産を形成できるといったメリットがあります。しかし、一方でそのデメリットを把握しておくことも大切です。

そこで今回は、iDeCo(イデコ)のメリット・デメリットを詳しく紹介します。

最後に、iDeCo(イデコ)に加入しないほうがいい人やおすすめな人の特徴もまとめているので、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

iDeCo(イデコ)の特徴

資産運用

iDeCo(イデコ)の特徴

  • iDeCo(イデコ)とは、任意で個人が加入する年金制度
  • 老後資金を積み立てながら資産運用も可能
  • 節税対策としても有効

iDeCo(イデコ)とは、任意で加入する「個人型確定拠出年金」です。近年、老後に3,000万円以上の資産が必要だといわれているので、個人で資産形成できる年金制度として注目を浴びています。

厚生年金や国民年金+個人で資産形成するための、年金制度です。老後資金を積み立てながら、節税対策や資産運用ができるお得なサービスだと言えます。

また、iDeCo(イデコ)の掛金は月々最低5,000円から積み立てられます。掛金の変更は1年間に1度きりです。掛金の上限額は、国民年金の被保険者種別によって差があります。

被保険者種別 掛金の上限額
第1号被保険者(自営業者) 68,000円
第2号被保険者(会社員・公務員) 12,000~23,000円(条件によって変動)
第三号被保険者(専業主婦) 23,000円

掛金の金額は1,000円単位で自由に決められるので、人それぞれ見合った金額で、無理なく老後資金を積み立てられるでしょう。

iDeCo(イデコ)の5つのメリット

iDeCo(イデコ)のメリット

iDeCo(イデコ)のメリット

  • 掛金が全額控除される
  • お手軽に資産運用にチャレンジできる
  • 投資信託が低コストで運用可能
  • 資産運用で得た利益は非課税
  • 受け取り時の税負担が軽減される

iDeCo(イデコ)のメリットといえば節税対策が代表的ですが、ほかにも数多くのメリットがあります。今現在、iDeCo(イデコ)に加入すべきか検討中の人は、ぜひ参考にしてみてください。

iDeCo(イデコ)のメリットを知れば、すぐにでも加入したくなるかもしれませんよ。

1. 掛金が全額控除される

iDeCo(イデコ)で毎月積み立てる掛金は、全額所得控除の対象です。

 所得控除とは、所得から一定の金額を差し引ける制度です。年間の所得に対して所得税・住民税が課税され、所得が大きいほど税負担も加重されます。

つまり、iDeCo(イデコ)で積み立てた分だけ所得税・住民税を軽減できるということです。

2. お手軽に資産運用にチャレンジできる

資産運用

iDeCo(イデコ)では、積み立てた資金で資産運用ができます。単純に貯金するだけでなく、貯めたお金で資産運用ができるのはiDeCo(イデコ)の大きなメリットでしょう。

 また、あらかじめ用意されている運用商品の中からお好みの商品選ぶだけなので、資産運用の知識がない人でも気軽に運用できます。

金融機関ごとに運用商品の数が限定されているので、資産運用初心者でもお手軽にチャレンジできます。

● iDeCo(イデコ)の運用商品

資産運用の運用商品は大きく分けると2種類で、リスク・リターンを考慮しながら、自由に選べるのが特徴です。

iDeCo(イデコ)の
運用商品
特徴
定期預金・保険
  • 基本的に元本割れするリスクがない
  • リターンは投資信託に比べて少ない
投資信託
  • 元本割れのリスクがある
  • 掛金+資産運用で資産形成のスピードを加速できる

ちなみに、定期預金・保険のような元本割れするリスクがない商品を「元本保証型」、投資信託のように元本が変動する可能性がある商品を「元本変動型」と言い表します。

3. 投資信託が低コストで運用可能

iDeCo(イデコ)のメリット

iDeCo(イデコ)の投資信託は、ほとんどの商品に購入手数料がかかりません。投資信託の購入手数料は、購入時に1度だけ支払うものです。

 通常、投資信託の購入金額に対して0~3%程度の購入手数料が設定されていますが、iDeCo(イデコ)の投資信託では不要です。

一般的に100万円の投資信託を購入したら、3万円程度の購入手数料が発生します。しかし、iDeCo(イデコ)なら3万円もの手数料を支払わなくて済むかもしれません。

また、信託報酬も通常の投資信託より、低いパーセンテージで運用できます。

信託報酬とは
プロの投資家に運用してもらうために支払う手数料を指します。総資産に対して〇%という内容で毎日差し引かれるのが特徴です。

投資信託は長期間運用するのが一般的なので、信託報酬が低ければ低いほど最終的に大きな資産を残せます。また、保有資産額が大きくなれば、信託報酬で支払う金額が増えることも覚えておきたいポイントです。

いかに信託報酬が安い商品を選ぶかが、投資信託の鉄則です。

4. 資産運用で得た利益は非課税

税金

iDeCo(イデコ)の資産運用で得た利益(運用益)に対して、税金はかかりません

 通常、銀行預金や投資信託などの資産運用をして得た運用益に対しては20.315%の税金が課税されます。

本来なら、運用益から約20%の税金を差し引いた金額しか増えませんが、iDeCo(イデコ)なら運用益が全額資産に加算されます。

毎年約20%ものアドバンテージがあるので、より効率的に資産形成ができるということです。

5. 受け取り時も税負担が軽減される

退職金や年金を受け取る際に所得税・住民税が課税されるのと同じく、iDeCo(イデコ)で貯めた資金も課税対象です。

ですが、受け取り方によってそれぞれ税負担を軽減する所得控除が用意されています。

  • 一時金で受け取る際に適用される「退職所得控除」
  • 年金で受け取る際に適用される「公的年金等控除」

受け取り方を選べる上に、所得控除ができるのは魅力的です。それぞれどんな内容なのか確認しましょう。

● 退職所得控除とは

iDeCo(イデコ)のメリット

退職所得控除とは、通常退職金を受け取る際に利用する所得控除です。「勤続年数に対して所得控除の金額が異なる」といった特徴があります。

勤続年数(iDeCoの加入期間) 退職所得控除の金額
20年以下の場合 40万円×勤続年数
(80万円以下の場合は80万円)
20年超えの場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

参考:国税庁│退職所得控除額の計算方法
※勤続年数が10年1か月など、1年未満の端数がある場合は切り上げます(例:5年6か月なら6年)。

iDeCo(イデコ)の場合は勤続年数ではなく、加入期間を基準にします。

仮にiDeCo(イデコ)の加入年数が10年なら「40万円×10年=400万円(退職所得控除額)」です。また、退職所得は以下の計算式を用いて算出します。

退職所得の計算式
退職所得=(収入-退職所得控除)×1/2

つまり、上記の計算式で算出した金額に所得税・住民税がかかるので、退職所得控除で少ない金額にすれば税負担を軽減できます。

● 公的年金等控除とは

iDeCo(イデコ)のメリット

公的年金等控除とは、年金受給者に対して用意されている所得控除です。

 受け取り時の年齢が65歳未満なら70万円まで、65歳以上なら120万円までの金額を年間の年金収入から差し引けます。

それぞれの控除額を超える場合は、雑所得の計算式を用いて手元に残る金額を計算します。雑所得とは、公的年金等の収入やフリマアプリなどで売却した利益、仮想通貨(暗号資産)で得た利益のことです。

公的年金等の
収入額
割合 控除額
65歳未満 60万超え、130万円未満 100% 60万円
130万超え、410万円未満 75% 27万5000円
410万超え、770万円未満 85% 68万5000円
770万超え、1000万円未満 95% 145万5000円
1000万円円以上 100% 195万5000円
65歳以上 60万超え、130万円未満 100% 110万円
130万超え、410万円未満 75% 27万5000円
410万超え、770万円未満 85% 68万5000円
770万超え、1000万円未満 95% 145万5000円
1000万円円以上 100% 195万5000円

参考:国税庁│公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法

雑所得の計算方法は「公的年金等の収入金額×割合-控除額」です。もし65歳からiDeCo(イデコ)で積み立てた資金を毎月20万円ずつ受け取った場合の雑所得は、以下の通りです。

雑所得の計算例
  1. 20万円×12か月(1年間)=240万円
  2. 240万円×0.75(75%)-27万5000円=177万5000円

上記の結果から、毎月20万円ずつ受け取った場合の手元に残る金額は年間177万5000円だということがわかります。計算は簡単にできるので、事前に把握しておくと安心です。

iDeCo(イデコ)の5つのデメリット

iDeCo(イデコ)のデメリット

iDeCo(イデコ)のデメリット

  • すべての人が加入対象ではない
  • 原則60歳になるまで受け取り不可能
  • 手数料+維持費がかかる
  • 元本割れのリスクがある
  • 金融機関の選択が面倒

一方、iDeCo(イデコ)にはどうのようなデメリットがあるのでしょうか。魅力的なメリットが多い反面、人によってはデメリットと感じる部分もあります。

あらかじめデメリットを理解していれば、後で後悔せずに済むので必ず確認しておきましょう。

1. すべての人が加入対象ではない

iDeCo(イデコ)の加入対象は2021年7月現在、20歳以上60歳未満の人です。他にもiDeCo(イデコ)に加入できない・加入しづらい人の特徴は、いくつかあります。

iDeCo(イデコ)に加入できない・しづらい人の特徴
  • 国民年金保険料の支払いをしていない
  • 海外に在住している
  • 企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入している
  • 農業者年金に加入している

上記の中で注意が必要なのは「海外に在住している」「企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入している」という項目です。

 今現在、日本在住でiDeCo(イデコ)に加入している人でも海外転勤した場合、iDeCo(イデコ)を解約しなければならない可能性があります。

もし海外転勤の予定があれば、事前に口座開設している金融機関に問い合わせ見てましょう。また会社員の人の場合、所属している企業が「企業型DC(企業型確定拠出年金)」に加入している可能性があります。

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を積み立てし、従業員が資産運用をして年金を受け取る年金制度です。企業によって従業員が希望して加入するケースと、自動的に加入するケースにわかれます。

制度上、企業型DCとiDeCoは併用できますが、企業がiDeCoとの併用を認める必要があります(2021年7月現在)。

そもそも企業型DCに加入しているかわからない人も多いと思うので、まずは勤務先の人事部や総務部に問い合わせてみましょう。

2. 原則60歳になるまで受け取り不可能

iDeCo(イデコ)のデメリット

iDeCo(イデコ)は老後資金を形成するための年金制度なので、原則60歳までは受け取れません

 旅行や引っ越しなど急な出費があったとしても、資金は受け取れないのでご注意ください。

なお、60歳で受け取るには、加入期間が10年以上あることが条件です。もし60歳時点で加入期間が10年以下なら、受け取り開始年齢を最大65歳までずらせます。

また、途中で解約したいと思っても簡単に解約できません。例外的に解約できる条件もありますが、基本的に解約できないと思ったほうがいいでしょう。

iDeCo(イデコ)を途中解約するための条件
  • 加入者が死亡した場合
  • 加入者が高度障がい者になった場合
  • 加入者が「脱退一時金」を受け取る条件を満たした場合

 

また、脱退一時金を受け取る条件も非常に複雑です。ほとんどの人が該当しない条件なので、途中解約は不可能だと考えておきましょう。

日本国籍を有しない方が、国民年金、または厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができます。

出典:脱退一時金の制度│日本年金機構

このように、iDeCo(イデコ)は一度加入すると融通が利きにくいのが難点のひとつと言えます。

3. 手数料+維持費がかかる

iDeCo(イデコ)のデメリット

iDeCo(イデコ)には、口座開設手数料や信託報酬、維持費などさまざまなコストがかかります。

 とくに口座開設手数料と維持費は、金融機関に関わらず支払う必要があるので要注意です。

口座開設手数料と維持費は「国民年金基金連合会」に対して支払うものなので必須のコストです。

金融機関が「口座開設無料」としているのは、あくまでもその金融機関内で手数料が必要ないという意味なので、別途手数料が発生することを理解しておきましょう。

また、iDeCo(イデコ)の各種手数料は金融機関ごとに異なるので、なるべく手数料が安い金融機関で口座開設するのがおすすめです。

国民年金基金連合会に支払う口座開設手数料は2,777円、維持費は毎月167円です(2021年7月現在)。

4. 元本割れのリスクがある

iDeCo(イデコ)のデメリット

iDeCo(イデコ)は積み立てた資金で自由に資産運用をできるメリットがありますが、投資信託を選択する場合元本割れのリスクがあります。

元本割れとはiDeCoで積み立てた資産(元本)を運用した後に、もともとあった金額より減ってしまうことです。

 投資信託は成功すれば大きなリターンを得られますが、当然ながら失敗する可能性もあります。

最悪の場合、支払った掛金の合計額より受け取り額が下回る場合もあるので銘柄選びは慎重に行いましょう。

投資信託で運用するなら、リスク・リターンを考慮した上で銘柄を選定する必要があります。

5. 金融機関の選択が面倒

iDeCo(イデコ)のデメリット

iDeCo(イデコ)を取り扱う金融機関は多数あります。そのため「どの金融機関で口座開設すればいいかわからない」という事態に陥る可能性も十分あります。

もしiDeCo(イデコ)の口座を開設する際は、以下のポイントに着目してみてください。

iDeCo(イデコ)の口座開設をする際に押さえるべきポイント
  1. 自分が運用したい商品を取り扱っている
  2. 信託報酬などの諸費用が他社より安く設定されている
  3. Web画面が見やすい
  4. コールセンターの対応時間が柔軟である

どうしても迷ってしまう方は、大手ネット証券や人気の高いネット証券を選んでみるのもひとつの手です。

「多くの人から指示されている=サービスの質が担保されている」と考えることもできるでしょう。

iDeCo(イデコ)に向いていない人は?

iDeCo(イデコ)に向いていない人は?

iDeCo(イデコ)に向いていない人の特徴

  • 専業主婦、または無職の人
  • 貯金がなく、日々の生活がギリギリな人
  • 収入に大幅な変動がある人

iDeCo(イデコ)の仕組みはすべての人が恩恵を受けれそうな制度ですが、中には加入しないほうがいい人も存在します。基本的には、前述で紹介したメリットを十分に受けられない人が対象です。

iDeCo(イデコ)に加入する意欲が高まっている人も、一度落ち着いて自分が該当しないか確認してみてください。

専業主婦、または無職の人

専業主婦や無職の人は、iDeCo(イデコ)のメリットを最大限に受けられない可能性があります。理由としては、収入の低さ(または無い)が原因です。

 収入が低ければ所得税・住民税を納める必要がないため、iDeCo(イデコ)の代表的なメリットである節税効果を一切受けられません。

また、収入が低いのに無理して毎月一定の掛金を積み立てるのは得策ではないでしょう。

ちなみに、iDeCo(イデコ)の掛金が支払えない場合は「加入者資格喪失届」を提出する必要がありますよ。

貯金がなく、日々の生活がギリギリな人

iDeCo(イデコ)に向いていない人は?

貯金がない人や、日々の生活がギリギリな人もiDeCo(イデコ)への加入をおすすめできません。生計を立てるのが難しい状況であれば、老後資金のために資産形成を試みるのも難しいでしょう。

 また、途中で大きな出費を必要としてもiDeCo(イデコ)で積み立てた資金は受け取れません。

急な支出に対応できない可能性が出ることも、貯金がない人が加入しないほうがいい理由だと言えます。

老後資産を形成する前に、まずは現状を安定させることに注力しましょう。

収入に大幅な変動がある人

収入に大幅な変動がある人もiDeCo(イデコ)に加入するのは控えたほうがいいでしょう。収入に大幅な変動がある人は、掛金が支払えなくなる可能性があります。

収入が減って掛金が支払えなくなるパターンの代表例
  • 産後に産休に入る予定がある
  • 療養中で病気休職に入る予定がある
  • 会社を辞める予定がある

毎月一定の掛金を積み立てることで、iDeCo(イデコ)のメリットは最大限に受けられます。今後、安定した収入が確保できそうか自分の将来も含めて考えましょう。

【まとめ】iDeCo(イデコ)はこんな人におすすめ

ここまで、iDeCo(イデコ)のメリット・デメリットについて解説してきました。

今回の内容から、基本的にiDeCo(イデコ)はあらゆる年代の人におすすめです。

iDeCo(イデコ)がおすすめな人

  • 毎月5,000円〜の掛金を支払える人
  • 自分で貯金するのが苦手な人
  • 老後資金に不安がある資産運用初心者

iDeCo(イデコ)には、節税対策資産運用をしながら老後資産が形成できるといった魅力的なメリットがあります。

多くの日本人が加入対象なので、「加入に向いていない人」や「デメリットが気になる」方でなければ、検討する価値があるでしょう。

ぜひこの記事を参考にして、iDeCo(イデコ)で老後資金を形成してみてはいかがでしょうか。
監修者の紹介

監修者の写真

監修者岡田行史

人材派遣会社17年経営したのち、金融関連業務に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタントMDRT成績資格会員2度取得。ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。

・本記事の内容は、本記事内で紹介されている商品・サービス等を提供する企業等の意見を代表するものではありません。
・本記事の内容は、本記事内で紹介されている商品・サービス等の仕様等について何らかの保証をするものではありません。本記事で紹介しております商品・サービスの詳細につきましては、商品・サービスを提供している企業等へご確認くださいますようお願い申し上げます。
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