子宮頸がんとは?治療方法や治療期間、治療費用を徹底解説
子宮頸がんは、20代後半から30代に急増する、女性にとっては気になる病気の1つです。
女性にとっては身近な健康リスクとして広く認知されていますが、子宮頸がんってどんな病気なのでしょうか?罹患率や治療期間も知りたいです。
そこで、今回の記事では、子宮頸がんの治療や治療にかかる費用等について解説します。子宮頸がんの治療方法や治療費についても解説しますので、医療保険などに加入する時の参考にしてください。
この記事の要点
- 1.子宮頸がんは子宮頸部(子宮の入り口)にできるがんで、毎年約1万人が罹患し約3,000人が亡くなっています。
- 2.治療はステージに応じて手術や放射線治療や化学療法を行いますが、ステージが進行するほど治療期間は長くなります。
- 3.また、がんが子宮頸部にとどまっている場合の5年生存率は95.7%ですが、ステージが進行したり再発した場合は大きく低下します。
- 4.早期発見で比較的簡単に完治する病気であるため、定期的に検査を受けるなどしてリスク管理をしましょう。
- 5. もしもの時の備えとして保険加入を検討している人は、専門家に相談して自分に合った保険を選ぶのがおすすめです。
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子宮頸がんとは?どれくらいの確率で罹患するの?
最初に、子宮頸がんとはどんな病気か、罹患率はどれぐらいなのか、など子宮頸がんの基本的な知識について見ていきましょう。
子宮頸がんとは
子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」に分類されます。
(子宮の構造)
子宮頸部は子宮の入り口にあたるため、子宮頸がんは婦人科の診察などで比較的発見されやすいといわれます。
早期発見によって比較的治療もしやすいがんですが、進行すると治療が難しく骨盤の中のリンパ節に転移したり、ほかの臓器に転移することもあります。
注意点
- 子宮頸がんは「異形成(がんになる前の状態)」という状態を数年経てからがん化しますが、異形成の時期には自覚症状はほとんどありません。
- 子宮頸がんになると、「出血」や「膿のようなおりもの」が増えたり、下腹部・腰の痛みを感じたり、尿や便に血が混じることがあります。
子宮頸がんの検査は、まず細胞診(子宮頸部の細胞を採取して検査)をします。
異常な細胞が発見されると、精密検査(超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査など)によって確認します。
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子宮頸がんの罹患率
国立がん研究センターの調査によると、子宮がん(子宮体がんと子宮頸がんの合計)の罹患数の順位は女性のがん患者数の第5位です。
第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 前立腺 | 胃 | 大腸 | 肺 | 肝臓 |
女性 | 乳房 | 大腸 | 肺 | 胃 | 子宮 |
男女合計 | 大腸 | 胃 | 肺 | 乳房 | 前立腺 |
また、子宮頸がんの罹患状況は次の通りです。毎年、約1万人が罹患し約3,000人が亡くなっています。
ポイント
- 2018年の診断数:10,978人(人口10万人あたり16.9人)
- 2019年の死亡数:2,921人(人口10万人あたり4.6人)
- 2009年~2011年の5年相対生存率:76.5%
2018年度の女性の人口10万人あたりのがん診断数は650.1人で、子宮頸がんの占める割合は2.6%程度とそれほど多くはありません。
(年齢別の子宮頸がん罹患率)
特に、30代の女性については全てのがんの内、子宮頸がんが占める割合が10%を超えています。
表は横にスライドできます
20歳~24歳 | 25歳~29歳 | 30歳~34歳 | 35歳~39歳 | 40歳~44歳 | 45歳~49歳 | 50歳~54歳 | 55歳~59歳 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全てのがん | 28.4人 | 57.6人 | 109.7人 | 188.7人 | 318.1人 | 468.6人 | 577.6人 | 685.2人 |
子宮頸がん | 0.7人 | 5.2人 | 18.1人 | 26.4人 | 27.8人 | 29.2人 | 26.4人 | 23.5人 |
割合 | 2.5% | 9.0% | 16.5% | 14.0% | 8.7% | 6.2% | 4.6% | 3.4% |
参考:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)(次表も同様)
また、乳がんと子宮がん(子宮体がんと子宮頸がんの合計)について、全てのがんに占める割合をみると次の通りです。
表は横にスライドできます
20歳~24歳 | 25歳~29歳 | 30歳~34歳 | 35歳~39歳 | 40歳~44歳 | 45歳~49歳 | 50歳~54歳 | 55歳~59歳 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
乳がん | 3.2% | 14.9% | 25.0% | 35.8% | 45.7% | 48.0% | 39.0% | 33.1% |
子宮がん | 4.9% | 13.7% | 22.0% | 19.9% | 15.3% | 14.0% | 15.2% | 12.9% |
合計 | 8.0% | 28.6% | 47.0% | 55.7% | 61.0% | 62.0% | 54.2% | 46.0% |
20代後半と30代前半では子宮がんは乳がんとほぼ同じくらいの割合で、20代前半と比べて急増していることがわかります。
また、乳がんと子宮がんを合わせると、30代から50代にかけて全てのがんの5割前後を占めます。
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子宮頸がんの治療方法と治療期間は?
子宮頸がんの治療方法はステージによって異なります。また、治療期間は治療方法によって決まります。
治療方法別の治療期間は次の通りです。
ポイント
- 円錐切除術:2日~3日
- 単純子宮全摘術:約10日
- 広汎子宮全摘術:3週間~4週間
- 放射線療法:7週間~8週間
- 化学療法:約半年
手術名などを聞いてもよくわからないと思いますので、まずは、子宮頸がんのステージとその治療方法を確認しましょう。
表は横にスライドできます
ステージ | 腫瘍の広がり | 主な治療方法 | |
---|---|---|---|
Ⅰ期(子宮頸部に限定) | A1 | 広がり7 mm 以下・深さ3 mm 以下 |
|
A2 | 広がり7 mm 以下・深さ5 mm 以下 | ||
B1 | がんの大きさ4㎝以内 | ||
B2 | がんの大きさ4㎝超 | ||
Ⅱ期(子宮頸部を超えて浸潤) | A | 膣の上2/3まで浸潤 |
|
B | 子宮頸部の周辺まで浸潤 | ||
Ⅲ期(骨盤壁や膣下部まで浸潤) | A | 膣の下1/3まで浸潤 |
|
B | 骨盤壁まで浸潤 | ||
Ⅳ期(遠隔転移) | A | 膀胱や直腸に浸潤 |
|
B | 腹腔内や内臓などに転移 |
主な治療方法の治療内容は次の通りです。
表は横にスライドできます
治療方法 | 治療内容 |
---|---|
円錐切除術 |
|
単純子宮全摘術 |
|
広汎子宮全摘術 |
|
放射線療法 |
|
化学療法 |
|
化学放射線同時療法 |
|
ステージがⅠ期・Ⅱ期の場合は、手術によって患部が摘出できれば治療期間は比較的短くなります。
しかし、ステージがⅢ期・Ⅳ期と進んだ場合、放射線治療や化学療法を行うのが一般的で治療期間は長くなります。
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子宮頸がんの治療費
子宮頸がんの治療費は、がんのステージや治療方法によって大きく異なります。
例えば、手術を受けた場合、病院窓口での支払額(健康保険の3割負担額)の目安は次の通りです。
ポイント
- 子宮頸部円錐除去術(入院4日間):7万円~10万円
- 単純子宮全摘出術(入院10日間) :22万円~30万円
治療内容によっては、より高額な費用が必要になるケースもありますが、実際の自己負担額は健康保険の「高額療養費制度」によって抑えられます。
ポイント
高額療養費制度とは、1か月にかかった医療費が高額になった場合、一定金額(自己負担限度額)の超過分が払い戻される制度です。
自己負担限度額は年齢や収入などによって異なります。
表は横にスライドできます
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当(※) |
---|---|---|
①区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) | 25万2,600円+(総医療費※1-84万2,000円)×1% | 14万0,100円 |
② 区分イ (標準報酬月額53万〜79万円の方) | 16万7,400円+(総医療費※1-55万8,000円)×1% | 9万3,000円 |
③ 区分ウ (標準報酬月額28万〜50万円の方) | 8万100円+(総医療費※1-26万7,000円)×1% | 4万4,400円 |
④ 区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) | 5万7,600円 | 4万4,400円 |
⑤ 区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) | 3万5,400円 | 2万4,600円 |
※1総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。
※2直近1年間に3か月以上の高額療養費の支給を受けた場合、4か月目から自己負担限度額が軽減される制度
参考:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」
例えば、標準報酬月額28万円〜50万円の人の1か月の治療費が100万円かかったときの自己負担限度額は次の通りです。
- 自己負担限度額=8万100円+(100万円-26万7,000円)×1%=8万7,430円
治療費が100万円かかっても、高額療養費制度が適用されれば自己負担限度額は約9万円です。
ただし、次の費用は保険適用されないため全額自己負担になります。
自己負担になる項目
- 差額ベッド代
- 先進医療など健康保険が適用されない費用
- 入院時の食事療養費の負担額
- 入院時の生活費(雑費など) など
厚生労働省の調査によると、平均的な差額ベッド代は1日あたり6,000円台ですが、病院によっては数万円かかることもあります。
また、保険の利かない先進医療の費用も高額になりがちで、たとえば陽子線治療や重粒子線治療を受けると費用は数百万円にもなります。
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子宮頸がんが再発した場合、余命はどれくらい?
国立がんセンターの調査によると、進行度別の子宮頸がんの生存率(2009-2011年診断例の5年相対生存率)は次の通りです。
進行度は前述のステージとは異なり3つに区分されています。
ポイント
- 限局(※1):95.7%
- 領域浸潤(※2):36.9%
- 遠隔転移(※3):9.5%
- 平均:76.5%
がんが子宮頸部にとどまっている場合、95.7%が5年後に生存していることになるので早期発見が重要です。
子宮頸がん再発後の生存率については、「最初の子宮頸がん治療時に放射線療法を行ったかどうか」に注意が必要です。
最初の治療時に放射線療法をしていない場合、骨盤内にとどまって再発した子宮頸がんについては放射線療法によって5年生存率が33~74%と高くなります。
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※1:がんが原発臓器に限局しているもの
※2:「原発臓器の所属リンパ節への転移を伴うが隣接臓器への浸潤がないもの」または「隣接する臓器に直接浸潤しているが遠隔転移がないもの」
※3:「遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤があるもの」
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まとめ
子宮頸がんは子宮頸部(子宮の入り口)にできるがんで、毎年約1万人が罹患し約3,000人が亡くなっています。
- 人口10万人あたりの罹患数(2018年度):16.9人
- 人口10万人あたりの死亡数(2019年度):4.6人
女性の全がんに占める子宮頸がんの割合は一生涯では約2.6%とあまり高くありませんが、30代の女性に限れば15%前後にもなります。
治療はステージに応じて手術や放射線治療や化学療法を行いますが、ステージが進行するほど治療期間は長くなります。
また、がんが子宮頸部にとどまっている場合の5年生存率は95.7%ですが、ステージが進行したり再発した場合は大きく低下します。
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