老後のお金がない時の対処法|みじめにならない為に今すべきこと
平均寿命が伸び「人生100年時代」と言われるようになりましたが、心配なのは老後のお金の事です。少子高齢化が進む今、年金の支給額だけでは生活できないと心配に感じる現役世代は少なくないでしょう。
今回の記事では、老後のお金がない時の対処法といざという時に頼りになる制度を中心に解説します。
この記事の要点
- 1.老後の家計収支がどうなるかは、収入である老齢年金の受給額と、毎月の生活費によってきまります。
- 2.収入も支出も個人個人で大きく異なるので、ねんきん定期便などで自分の老後の家計収支がどうなるかを確認しておきましょう。
- 3.お金がない時の対処法は、「支出を抑える」「収入を増やす」「資産を増やす」の3つが基本です。困ったときは、国の支援制度を利用することも選択肢の1つです。
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目次
老後のお金がない?!年金総額はいくらもらえる?
老後破綻が話題になっていますが、実際に老後の生活費は足りなくなるのでしょうか。
ポイント
厚生労働省の調査によると、2021年3月時点で生活保護を受けている高齢者世帯の総数は約91万世帯(令和3年3月分概数)にのぼり、全体の55.8%を占めます。※
個人ごとに状況は大きく異なるので、老後の収入と支出を個々に概算し、老後の家計収支を考えなければなりません。
まずは、収入について見ていきましょう。
※参考:厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和3年3月分概数)の結果を公表します」
老後の主な収入は公的年金
老後の収入として多くの人が当てにしているのが公的年金です。
職業別にもらえる年金は次の通りです。
ポイント
- 自営業者や専業主婦:老齢基礎年金
- 会社員や公務員 :老齢基礎年金と老齢厚生年金
老齢厚生年金は厚生年金保険料を払っていた会社員などがもらえる年金で、厚生年金に加入したことのない人は全くもらえません。
また、厚生年金加入期間が短い人は、老齢厚生年金をもらえますが年金額はわずかです。
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老齢年金の平均的な受給額
それでは、実際にいくらくらいの年金がもらえるのでしょう。
厚生労働省の「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均受給額は次の通りです。
老齢年金の受給額
- 老齢厚生年金の受給額:月額14万6,162円
- 老齢基礎年金の受給額:月額5万6,049円
老齢厚生年金の受給額は老齢基礎年金を含めた金額です。
年金制度の加入期間や加入中の収入(老齢厚生年金の場合)などによって受給額は異なります。
上記の夫が会社員の世帯では、臨時的な費用を除いて、毎月の生活費が21万円以内であれば老後の家計収支は成り立ちます。
注意点
- しかし、支出が収入を上回った場合、毎月の家計は赤字になり赤字を補填する貯蓄がないと困ったことになります。
- 夫婦とも自営業者であった世帯では、年金収入は12万円なので支出を全て補うのは難しいでしょう。
十分な老後資金を準備して取り崩して生活するか、収入を増やすために働かざるを得ないでしょう。
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老後の生活に必要なお金はいくら?
次に、老後の支出についてみていきましょう。主な支出は毎月の生活費です。
総務省の「家計調査報告」によると、令和2年度の65歳以上の夫婦のみ世帯と単身世帯の支出は次の通りです。
主な支出項目 | 夫婦のみの無職世帯 | 単身の無職世帯 |
---|---|---|
食料費 | 6万5,804円 | 3万6,581円 |
住居費 | 1万4,518円 | 1万2,392円 |
光熱費・水道代 | 1万9,845円 | 1万2,957円 |
家具・家事用品代 | 1万0,258円 | 5,328円 |
被服費・履物代 | 4,699円 | 3,181円 |
医療費 | 1万6,057円 | 8,246円 |
交通費・通信費 | 2万6,795円 | 1万2,002円 |
教養・娯楽費 | 1万9,658円 | 1万2,910円 |
雑費 | 1万9,351円 | 1万3,180円 |
交際費 | 1万9,826円 | 1万5,253円 |
仕送り金 | 1,384円 | 1,066円 |
税金 | 1万2,589円 | 6,430円 |
社会保険料 | 1万8,551円 | 5,082円 |
支出合計 | 25万5,550円 | 14万4687円 |
出典:総務省「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要・P19」
夫婦世帯の年金収入が21万円、毎月の生活費が25.5万円ならば、月々4.5万円の赤字です。
65歳以降の老後期間を25年間(300か月)と仮定すると、赤字の累計額は1,350万円になります。
また、生命保険文化センターの意識調査では、「老後の生活費はいくらくらい必要?」という質問に対する回答の平均額は次の通りでした。
老後の生活費はいくらくらい必要?
- 老後の最低日常生活費:平均22.1万円
- ゆとりある老後生活費:平均36.1万円
令和2年度の生活費の平均27万929円は、「最低日常生活費」と「ゆとりある老後生活費」の中間くらいの金額でした。
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老後のお金がない時の6つの対処法
老後のお金がない時の対処法は、「支出を抑える」「収入を増やす」「資産を増やす」の3つが基本です。そのほかの重要なポイントを加えて、次の6つの対処法について解説します。
6つの対処法
- 対処法①:節約する(支出を抑える)
- 対処法②:長く働く(収入を増やす)
- 対処法③:資産運用する(資産を増やす)
- 対処法④:自宅を売却する
- 対処法⑤:人に相談する
- 対処法⑥:健康増進に努める
対処法①:節約する(支出を抑える)
対処法の1つ目は、節約して支出を抑えることです。
長年の習慣や周囲に対する見栄、プライドが邪魔をして、現役時代と同レベルの生活を続ける人も多いのが現実です。
しかし、毎月の家計収支が赤字ならば生活レベルを落として節約しないと、老後の蓄えはあっという間になくなってしまいます。
ポイント
節約のポイントは、固定費を下げることです。
携帯電話料金やインターネット回線料金、電気・水道・ガス代などは、契約する会社やプランを変えることで大幅な節約ができるケースがあります。
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対処法②:長く働く(収入を増やす)
対処法の2つ目は、できるだけ長く働いて収入を増やすことです。
ポイント
- 少子高齢化対策や老後の生活資金対策として、政府は「希望すれば仕事を続けられる環境」づくりを推進しています。
- 高年齢者雇用安定法の平成24年度改正では、「定年を60歳未満とすることの禁止」と「65歳までの雇用確保措置」の2つを企業に義務付けました。
- また、令和2年の高年齢者雇用安定法の改正(令和3年4月1日実施)では、「65歳から70歳までの就業機会を確保」するように企業に努力義務を課しました。
厚生年金は70歳まで加入出来るので、長く会社勤めをするほど老齢厚生年金の増額を図れます。
参考:厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
対処法③:資産運用する(資産を増やす)
対処法の3つ目は、資産運用して老後資産を増やすことです。
若いうちはリスクを取って高い運用利回りを狙い、高齢になると安全・確実な資産運用を行うのが基本と言われます。
株式や投資信託に投資した場合、若い人ならば値上がりするのを我慢して待つ時間的余裕があります。
しかし、老後の生活資金がすぐに必要な場合、損をしてでも換金しなければならないこともあります。
60代や70代の人ならば、人生100年時代を見据えて、今後10年~20年くらいは使う予定のない資産なら、多少のリスクを取って運用するのもいいでしょう。
注意点
- ただし、短期的な利益を求め慣れないハイリスク商品に手を出し、退職金を大きく減らしてしまうケースもあります。
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対処法④:自宅を売却する
対処法の4つ目は、自宅を売却して生活資金を得ることです。
出来るのは持ち家の人限定ですが、老後生活資金としてまとまった資金を手に入れることができます。
ポイント
- ただし、自宅売却後の住居については家賃が必要となるため、売却する場合としない場合の収支を慎重に検討する必要があります。
- また、自宅を担保に金融機関からお金を借りて、死亡した時に自宅を売却して返済する「リバースモーゲージ」という選択もあります。
対処法⑤:人に相談する
対処法の5つ目は、人に相談してお金に関する問題点を解決することです。
たとえば、多重債務を抱えている人は法テラス(各種法的トラブルの解決に向けた情報やサービスを提供する国の法的支援機関)や消費生活センターなどに相談しましょう。
注意点
債務の増加を防ぎ、返済の目処を立てないと、老後破綻の危険性は高まります。
また、住宅ローンの返済に困っている場合は融資先の金融機関、資産運用やライフプランについてアドバイスが欲しい場合はファイナンシャルプランナーなどに相談しましょう。
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対処法⑥:健康増進に努める
対処法の6つ目は、健康増進に努め医療費や介護費用を抑えることです。
ポイント
- 老後の生活が苦しくなる原因の1つに、病気の治療費用や体の衰えによる介護費用などがあります。
- 健康な間は普通に生活できていたのに、病気の治療や介護でお金がかかり生活できなくなるケースもあります。
- 食生活に気をつけたり適度な運動を行ったりするなど、健康状態を維持・増進することが、老後の家計の安定につながります。
老後のお金がない時に頼れる制度はある?
老後の生活資金に困った時、国からはどんな支援を受けられるのでしょうか。
いざというとき頼れる制度について紹介します。
生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度は平成27年4月にスタートした新しい支援制度で、市区町村ごとに制度運用しています。
就労に困難を抱える生活困窮者を受け入れ、就労機会を提供するとともに生活面や健康面での支援を行います。
具体的には次の通りです。
生活困窮者自立支援制度(一部)
- 自立相談支援事業(生活と就労に関するワンストップ型の相談窓口)
- 住居確保給付金の支給
- 就労準備支援事業(就労に向けた教育・訓練)
- 一時生活支援事業(住居喪失者に対し日常生活に必要な衣食住を提供)など
参考:厚生労働省「制度の紹介」
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生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度は、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支え、在宅福祉や社会参加の促進を目的とした貸付制度です。
主な制度内容は次の通りです。
生活福祉資金貸付制度
- 窓口は各市区町村の社会福祉協議会
- 貸付金額の上限は、使用目的に応じて定められている
- 貸付利息は、連帯保証人がいれば無利子、いない場合は年率1.5%
- 利用できるのは「65歳以上の高齢者がいる世帯」、障害者手帳など持つ人がいる世帯」 など
生活保護制度
生活保護制度は、憲法で保障する「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」ための生活困窮者に対する保護制度です。
生活保護には、生活を営む上で必要な費用に対応し、8種類の扶助があります。
生活保護制度(一部)
- 生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)の支給
- 住宅扶助:アパート等の家賃の実費支給
- 医療扶助:医療サービスの費用が無料になる
- 介護扶助:介護サービスの費用が無料になる など
扶助の金額は、扶助の種類と居住地によって異なります。
東京都の場合、23区などの生活扶助基準額は高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)で121,480円です。年金などの収入があると、基準額から収入額を差し引いた金額が支給されます。
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まとめ
老後の家計収支がどうなるかは、収入である老齢年金の受給額と、毎月の生活費によってきまります。平均的な収入(老齢年金の受給額)と支出(毎月の生活費)は次の通りです。
ポイント
- 老齢厚生年金の受給額:月額14万6,162円
- 老齢基礎年金の受給額:月額5万6,049円
- 高齢夫婦世帯の生活費:27万929円
収入も支出も個人個人で大きく異なるので、ねんきん定期便などで自分の老後の家計収支がどうなるかを確認しておきましょう。
お金がない時の対処法は、「支出を抑える」「収入を増やす」「資産を増やす」の3つが基本です。困ったときは、国の支援制度を利用することも選択肢の1つです。
まずは、市区町村役場などで相談するなど、早期に問題解決に着手しましょう。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
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