入院費用はいくらかかる?自己負担額の平均相場を解説
この記事の要点
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入院費の平均額はいくら?
実際に入院ではどれくらいの費用がかかってしまうのでしょうか。
ポイント
- 厚生労働省の統計によれば、「入院」にかかる医療費の平均は1件あたり54万5,375円でした※1。
- これは医療費総額で、私たちが窓口で支払うのはその3割以内ですから、実際の負担額は16万3,612円となります。
- これはあくまで平均で、入院費は、入院日数に大きく左右されますし、入院日数はどのような病気で、どのような状態なのかによって異なるでしょう。
同じ統計で入院日数を見てみると、全体での平均は約15日です※2。
傷病分類別では、次のような傷病での入院日数が長いです。
傷病分類 | 入院日数 | 金額 | 自己負担額(3割) |
---|---|---|---|
結核 | 20日 | 52万3,374円 | 15万7,012円 |
統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害 | 29日 | 38万3,874円 | 11万5,162円 |
神経系の疾患 | 22日 | 50万6,182円 | 15万1,855円 |
脳血管疾患 | 21日 | 68万2,326円 | 20万4,698円 |
※厚生労働省の統計より、診療種別「入院」の日数を件数で割って1件あたりの日数を算出。日数が20日以上の傷病分類を抜粋した。金額は点数を件数で割って1件あたりの費用を算出。端数は四捨五入。点数1点を10円とした。自己負担額はその3割。
ここまでの統計は、全年齢のものですので、乳幼児や高齢者も含んでいます。
年代 | 入院日数 | 金額 | 自己負担額(3割) |
---|---|---|---|
20~24 | 10日 | 38万1,074円 | 11万4,322円 |
25~29 | 9日 | 32万9,499円 | 9万8,850円 |
30~34 | 10日 | 33万9,653円 | 10万1,896円 |
35~39 | 11日 | 40万5,679円 | 12万1,704円 |
40~44 | 13日 | 49万6,299円 | 14万8,890円 |
45~49 | 14日 | 54万3,280円 | 16万2,984円 |
50~54 | 15日 | 55万7,794円 | 16万7,338円 |
55~59 | 15日 | 57万3,973円 | 17万2,192円 |
60~64 | 15日 | 58万6,657円 | 17万5,997円 |
※2 厚生労働省「医療給付実態調査」平成30年度の「統計表 第1表 年齢階級別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)」をもとに、診療種別「入院」の各年齢の日数を件数で割って1件あたりの日数を算出。金額は点数を件数で割って1件あたりの費用を算出。端数は四捨五入。点数1点を10円とした。自己負担額はその3割。
25~29歳を除いて、基本的に入院日数は10日以上で、自己負担額も10万円を超えています。
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※1 厚生労働省「医療給付実態調査」平成30年度の「統計表 第1表 年齢階級別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)」をもとに、診療種別「入院」の全年齢の点数を件数で割って1件あたりの費用を算出。端数は四捨五入。費用は点数1点を10円とした。
※2 厚生労働省「医療給付実態調査」平成30年度の「統計表 第1表 年齢階級別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)」をもとに、診療種別「入院」の全年齢の日数を件数で割って1件あたりの日数を算出。端数は四捨五入。
公的医療保険制度適用後の平均自己負担額はいくら?
入院した場合、医療費の自己負担に加えて、さまざまな費用が発生することはお伝えしました。
生命保険文化センターの調査※では、調査時点の過去5年以内に入院を経験した人が、実際に負担した費用の平均は20.8万円でした。
分布は以下のとおりです。
自己負担額 | 割合 |
---|---|
5万円 未満 | 7.6% |
5万~10万円 未満 | 25.7% |
10万~20万円 未満 | 30.6% |
20万~30万円 未満 | 13.3% |
30万~50万円 未満 | 11.7% |
50万~100万円 未満 | 8.4% |
100万円 以上 | 2.7% |
5万円未満で済んでいる人もいる一方、100万円以上かかったという人も2.7%います。
注意点
- この数値は費用の負担、つまり「支出した額」ですので、働けないことによる収入減などはここにはあらわれてきていません。
- 入院によっては収入減(逸失収入)があったかどうかという問いには、21.6%の人が「逸失収入がある」と答えています。
- 逸失収入があると答えた人の、失われた収入の平均は32万円でした。
- 自己負担と収入減を合わせると、一度入院すると、50万円程度は貯蓄が減ってしまう可能性が高いといえそうです。
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入院費を補える公的医療保険制度と生命保険とは
入院費を補う手段や制度について、整理しましょう。
公的医療保険制度
私たちは、全員がなんらかの公的医療保険制度に加入しているため、その対象とされている医療(保険診療)については、かかった医療費の大半が、公的医療保険制度からの給付で賄われます。
そして年齢などによって決まっている1~3割の自己負担割合ぶんだけを負担すればよいのです。
小学校に入る前まで | 2割 |
---|---|
小学校入学後~69歳まで | 3割 |
70歳~74歳まで | 2割 |
75歳以上 | 1割 |
※70歳以上でも現役並み所得者の場合3割負担になることもあります
ただし、すでにお伝えしたとおり、次のようなものは保険診療ではないので、公的医療保険制度からは給付されず、すべて自己負担しなくてはなりません。
保険診療外で全額自己負担となる事項
- 食事療養費(入院中の食事代)
- 差額ベッド代(希望して個室に入院した場合などの費用)
- 入院中の日用品代
- 家族が付き添いやお見舞いをする際の費用(交通費や宿泊費など)
特に注意したいのは、自由診療と呼ばれる、保険診療ではなく、先進医療のように保険診療と合わせて受けることも認められていない種類の療養についてです。
これらの医療を受けると、保険診療部分についても保険給付がされず、かかった医療費の全体が、すべて自己負担になってしまいます。
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高額療養費制度
つまり、どんなに医療費がかかっても、一定の上限額は超えないのです。
高額療養費制度による医療費の上限額は次のとおりです。
所得区分 | 限度額(自己負担額) |
---|---|
区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) | 25万2,600円+(総医療費※-84万2,000円)×1% |
区分イ (標準報酬月額53万〜79万円の方) | 16万7,400円+(総医療費※-55万8,000円)×1% |
区分ウ (標準報酬月額28万〜50万円の方) | 8万100円+(総医療費※-26万7,000円)×1% |
区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) | 5万7,600円 |
区分オ (市区町村民税の非課税者など) | 3万5,400円 |
※総医療費とは窓口で支払った額(3割)ではなく本来の10割の医療費のこと
※この表は70歳未満の場合
年収300万~400万円程度の人(表の区分ウに相当)は、月あたり8万~9万円程度が負担する医療費の上限です。
注意点としては、高額療養費制度は月単位で考えるため、月をまたいでかかった費用については、同じ月内に受けた場合の医療費と比べて負担が増す可能性があるのと、そもそも高額療養費制度は保険診療の医療費にしか適用されないという点があります。
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傷病手当金
ポイント
- 病気などのため仕事を休み、報酬が支払われなかった場合、支払われなかった報酬の3分の2に相当する額が、公的医療保険から給付されます。
- 連続して3日以上休んだ場合の4日目以降に支給され、最長で1年6ヵ月間、給付を受けることができます。
また、あくまでも報酬が支払われなかった日に対して支給があるため、有給休暇などを利用して休んでいる場合も対象外です。
生命保険による給付
ここまで、入院費が補うための公的医療保険制度を紹介しました。
生命保険文化センターの調査※でも、入院によって生じた自己負担や逸失収入を、生命保険によって補ったという人が63.4%いました。
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※生命保険文化センター令和元年度「生活保障に関する調査」
入院保障(入院給付金)
入院保障(入院給付金)とは、主に以下のような内容となります。
入院保障(入院給付金)のポイント
- 入院保障は民間の医療保険のほぼすべてで用意されている基本的な保障ですし、死亡保険などに特約(オプション)として付加もできます。
- 病気やケガで入院した場合、入院した日数に応じて入院給付金が受け取れる形が一般的です。
- 給付日額という形で、入院一日あたりの給付額を決めて契約し、実際に入院した日数に応じて給付を受けます。
保険商品によって細かな点では違いがあり、日帰り入院の場合も1日とカウントして給付されるものもあれば、入院日数が短い場合も、規定日数以下は一律で規定日数分が給付されるという商品もあります(例:5日以下の入院は5日ぶんの日額を給付するなど。たとえば給付日額1万円で、3日間入院した場合も5万円の給付が受けられる)。
注意点
- 入院保障は、多くの場合、1入院あたりの給付限度日数が決まっている点に注意が必要です。
- 60日や120日などという場合が多く、限度日数が60日であれば、60日以上は、入院したとしても給付金が支払われません。
- また、一度退院したとしても、180日以内に同じ病気による入院をした場合は続けて数えるという決まりがあることがほとんどです。限度日数60日の場合で、40日入院し、退院した後、10日後にまた同じ病気で入院した場合、そこからの入院についても残り20日ぶんしか給付されないということです。
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特定疾病保障
特定疾病保障のポイント
- がん保険や三大疾病保険などが代表的で、同じ内容の特約を死亡保険や医療保険に付加することもできます。
- がんの場合、診断された時点で給付される形が多く、心疾患や脳血管疾患などは一定日数以上の入院などを条件としている場合があります。
- 必ずしも入院に結びつく疾患というわけではありませんが、実際に、これらの病気では長期入院になる傾向があるため、入院費を補うことができるでしょう。
所定の一時金がまとまって受け取れるという形式が一般的です。
先進医療保障
医療保険やがん保険に特約として付加するケースが多いです。
先進医療保障のポイント
- 先進医療は、内容によって非常に高額になり、また、受けられる医療機関が限られていることから入院費はもちろんのこと、付随する費用もかかりがちです。
- 先進医療を受けることになる確率は高くはないですが、もしもの場合は先進医療保障が役立ちます。
収入保障・所得補償
収入保障・所得補償のポイント
- 一部のがん保険などに、収入保障を特約として用意している商品もあります。
- 入院などで働くことができなかった場合、働けなかった日数に応じて、あらかじめ契約した額の給付金が支払われる形が一般的です。
入院費に加えてかかる費用
生命保険文化センターによる調査※で、「ケガや病気に対する不安」を感じているという人は全体の89.6%に上っています。
ポイント
- 具体的な不安の内容としては「家族に肉体的・精神的負担をかける」がもっとも多いです。
- 続いて「長期の入院で医療費がかさむ」と答えた人が51.8%います。
- 半数以上の人は長期入院の医療費を心配していることがわかります。
それは医療費だけにとどまりません。
入院して受ける治療そのものに要する費用(「入院基本料」)に加え、次のような費用が発生します。
入院基本料の他に必要となる費用
- 食事療養費(入院中の食事代)
- 差額ベッド代(希望して個室に入院した場合などの費用)
- 入院中の日用品代
- 家族が付き添いやお見舞いをする際の費用(交通費や宿泊費など)
治療費についても、保険適用のものだけでなく、先進医療と呼ばれる特別な治療を受けるなら、その技術料が必要です。
先進医療の技術料は全額が自己負担となるため、高額になりやすいとされています。
注意点
- これは家族についても同じで、入院した人のために家族が仕事を休んだなら、世帯全体としての収入減につながります。
- たとえ専業主婦(主夫)であっても、家事・育児ができないことで、代わりに有償の家事サポートを利用することになるかもしれません。
このように、入院は、家族にとってはお金の面でも大きなインパクトがある出来事です。
※生命保険文化センター令和元年度「生活保障に関する調査」
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まとめ
入院費の平均などを調べつつ、費用負担に対して、どのような対策が可能かをまとめました。
統計をご紹介しましたが、統計はあくまでも統計にすぎません。予測を超える負担の可能性もある以上、ある程度の余裕を持った備えをしておいたほうが安心でしょう。
公的医療保険制度をベースに、民間の医療保険などをプラスしていくことも検討してみてはいかがでしょうか。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
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