先進医療特約は必要か?費用や確率から必要性を徹底解説
医療保険やがん保険の特約のなかには「先進医療特約」というものがあります。文字通り先進医療を受けた場合に保障を受けられる特約です。
先進医療とは、厚生労働大臣認定の高度の医療技術を用いる治療法のことで、「陽子線治療」や「重粒子線治療」といった例が挙げられます。
治療費が高額になりがちな先進医療の費用を保障してくれる頼もしい特約ですが、できるだけ安い保険料で合理的な保険を契約しようと思うと、特約を付帯することを避けたいのも事実です。
今回は、「先進医療特約は、本当に必要な特約なのか」といった疑問を解消するため、先進医療特約の特徴と必要性を解説します。
この記事の要点
- 1.先進医療は種類に応じて負担額が全く異なりますが、がんに関する陽子線治療や重粒子線治療の場合は300万円前後の自己負担が発生する可能性もあります。
- 2.先進医療を受ける可能性は1%未満と低いものの、絶対に受けることはないと決まってはいません。
- 3.保険料は数百円程度ですから、万が一のときに備えて特約を付けておく方が安心できるでしょう。
- 4. 先進医療特約について気になっている人は、一度保険相談窓口で専門家に相談してみることをおすすめします。
- 5. 保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」では、あなたの要望や状況を踏まえ、専門家が必要な特約を無料でご提案します。
この記事は5分程度で読めます。
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医療保険における先進医療特約とは
先進医療とは
先進医療とは、特定の大学病院などで研究・開発された、「難病などに対する新しい治療法」「実績を積んで確立された手術方法」などで、厚生労働省に認定された医療技術のことです。
ポイント
- 先進医療を受けた場合に発生する費用は全額が自己負担になります。
- かかる費用は数万円程度の治療もある一方、一部では数百万円以上の治療費が発生する場合もあります。
厚生労働大臣が認める医療技術、適応症、医療機関などは随時見直しが行われます。
なお、先進医療にはAとBの2種類があります。主な違いは以下のとおりです。
ポイント
- 先進医療A=未承認、適用外の医薬品医療機器の使用を伴わないもの
- 先進医療B=適応外の医薬品、医療機器の使用を伴うもの
治療を受けられる大学病院は決まっている
先進医療は、どこの病院でも必ず受けられるわけではありません。
医療技術ごとに治療を実施できる医療機関が特定されています。
同じ方法で治療を受けたとしても、承認を受けていない病院で受けた場合は先進医療には該当しません。
先進医療の例:重粒子線治療
先進医療にはさまざまな種類があります。たとえば悪性新生物(がん)に対して用いられる重粒子線治療。
がんの病巣への狙い撃ちが可能になった治療法で、手術での切除が困難ながんや通常の放射線治療では治療が難しい「重要な器官のそばにあるがん」などでも治療ができます。
また、がん細胞を破壊する力が強いのも特徴です。通常の放射線には抵抗を示すがんであっても効果を発揮します。
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先進医療特約とは
高額になりがちな先進医療に備える方法としては、医療保険やがん保険に付帯させられる先進医療特約が一般的です。
先進医療特約選びの注意点
先進医療特約を付ける場合、「限度額」には気を付けておきましょう。
注意点
1回当たりでは技術料の実額、通算では1,000万円程度になるのが一般的です。
先進医療特約の保険金の受け取り方
また、先進医療でかかった費用をどのように支払い、どのように保険金を受け取るのかも事前に理解しておく必要があります。
一般的なのは「立て替え払い」です。
自分で先進医療に関する費用を支払ったうえで、領収書を保険会社に送付して給付を受けます。
ポイント
- 立て替え払いでなく保険会社から直接支払ってもらえることで、高額になる技術料の立て替えが必要ありません。
- 先進医療を選択するほどの病気に悩まされているとき、お金の心配をしなくてもいいのは大きなメリットといえるでしょう。
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先進医療特約の保障範囲
先進医療特約は文字通り、先進医療に対してのみ保障される特約ですので、先進医療として厚生労働省(厚生労働大臣)の認可を受けている必要があります。
保険の加入時には認定されていなくても、治療を受けた時点で認定されていれば特約の対象に含まれます。
注意点
ただし「今現在は申請中で、もう少しで認可される」という状態で治療を受けても、先進医療特約の対象には含まれません。
あくまでも治療を受けた時点で先進医療として認定されていることが必要です。
医療保険・がん保険の先進医療特約の違い
ひとくちに先進医療特約といっても、医療保険の特約とがん保険の特約では保障の範囲が異なります。
ポイント
- がん保険に付帯させる場合、特約が使えるのはがんの治療に対するものだけに限られます。
- 一方の医療保険では全ての先進医療が対象になる点が異なります。
がん保険の先進医療特約では保障されない技術もあるため、がん以外の高額な先進医療に備えるなら医療保険に付加することをおすすめします。
注意点
ただし、医療保険では基本的にがん保険で受け取れる「がん診断給付金」などを受けられないデメリットもあります。
重複して契約している場合はどうなる?
先進医療特約は、重複して契約している場合もあるでしょう。たとえば医療保険とがん保険に別々に加入して、それぞれで先進医療特約に加入している場合です。
重複して受けられるかどうかは、給付条件が保険会社によって異なります。
注意点
ただし、同一被保険者が同じ保険会社で医療保険とがん保険の両方に先進医療特約を付加することは基本的にできません。
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先進医療でかかる費用はいくら?
先進医療にかかる費用は全額が自己負担ですが、一体どれくらいの金額が必要になるものでしょうか。
厚生労働省の資料「令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」によれば、先進医療Aに関して必要な1件当たりの費用は以下のとおりです。
表は横にスライドできます
先進医療総額 | 年間実施件数 | 1件当たりの費用 | |
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 | 35,737,368円 | 118件 | 302,859円 |
---|---|---|---|
陽子線治療 | 3,247,072,000円 | 1,196件 | 2,714,943円 |
神経変性疾患の遺伝子診断 | 1,447,400円 | 74件 | 19,559円 |
重粒子線治療 | 2,196,001,000円 | 703件 | 3,123,756円 |
家族性アルツハイマー病の遺伝子診断 | 90,000円 | 3件 | 30,000円 |
腹腔鏡下膀胱尿管逆流防止術 | 3,578,080円 | 14件 | 255,577円 |
出典:厚生労働省|「令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用から抜粋」をもとに作成
治療の内容によってかかる費用は全く異なるのが特徴で、なかには数万円レベルの先進医療もあります。
ポイント
- 陽子線治療では約271万円、重粒子線治療では約312万円といった具合に、非常に高額になってしまう傾向にあります。
- 「がんの家系である」といった場合には、先進医療特約の重要性は高まるとみて良いでしょう。
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先進医療を受けた場合の費用負担の計算例
たとえばがんに罹患して先進医療として重粒子線治療を選択、結果として以下の費用がかかったと仮定します。
このうち300万円は先進医療の技術料全額が自己負担です。
一方、診察や検査、入院費用等、通常の治療と共通の部分には公的な医療保険が適用されます。
ただし、保険適用部分に関しては高額療養費制度の対象になっていますので、後日一定金額以上は払い戻しを受けることができます。
70歳未満の高額療養費制度における上限負担額は以下のとおりです。
表は横にスライドできます
所得区分 | 自己負担限度額 |
---|---|
① 区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) | 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1% |
② 区分イ (標準報酬月額53万〜79万円の方) | 167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1% |
③ 区分ウ (標準報酬月額28万〜50万円の方) | 80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1% |
④ 区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) | 57,600円 |
⑤ 区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) | 35,400円 |
※ ※1総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。
引用元:全国健康保険協会|高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
区分ウに該当する場合、200万円の医療費における自己負担限度額は以下のとおりです。
つまり、最終的な自己負担額は309万7,430円になるということです。
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先進医療を受ける確率は高い?低い?
先進医療費が非常に高額になる可能性は分かりました。それでは「治療を受ける確率」については、どうでしょうか。
がんの場合
厚生労働省の平成29年(2017)患者調査によると、悪性新生物による入院患者数は約14万2,000人です。
一方、令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用によれば、がんの先進医療である治療の年間実施件数は以下のとおりです。
ポイント
- 陽子線治療=1,196件
- 重粒子線治療=703件
合計で1,899件です。割合としては両方を合わせても1%前後であり、決して多い割合とはいえないでしょう。
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引用元:厚生労働省|令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用
医療保険に先進医療特約は必要?不要?
先進医療特約は付帯させた方が無難
すでにお伝えしたとおり、病気やがんになったりした場合でも先進医療を受ける可能性は高くありません。
先進医療を受ける確率が低いのなら、わざわざ保障を準備する必要はありません。
ポイント
- ただし、がんであれば先進医療を受ける可能性は1%前後とはいえ、ゼロではありません。
- もし利用することになった場合は数百万円~1,000万円の費用がかかる可能性があります。
- 費用が支払えない場合、治療を諦めることにつながってしまうでしょう。
一方、先進医療特約を付帯させたとしても、かかる保険料は数百円程度です。
たった数百円の保険料であれば、お守り代わりに付けておくということも十分に考えられます。
選ぶなら終身型の先進医療特約の方が安心
先進医療特約は、保険会社や商品ごとに「更新型」「終身型」に分かれています。このなかで選ぶとしたら、終身タイプがおすすめです。
ポイント
- 終身タイプ=保険の契約期間中に特約の更新が発生しない
- 更新タイプ=主契約が終身保険だったとしても、10年ごとに更新が発生する
更新タイプは10年ごとに更新が必要で、その都度保険料が変化します。
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fa-arrow-circle-o-right表は右にスクロールできます。
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まとめ
今回は先進医療特約の特徴と必要性を解説しました。
先進医療は種類に応じて負担額が全く異なりますが、がんに関する陽子線治療や重粒子線治療の場合は300万円前後の自己負担が発生する可能性もあります。
先進医療を受ける可能性は1%未満と低いものの、絶対に受けることはないと決まってはいません。保険料は数百円程度ですから、万が一のときに備えて特約を付けておく方が安心できるでしょう。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
・本コンテンツは商品の概要を説明しています。
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