医療保険の給付金とは?種類や対象者を公的・民間医療保険で徹底比較
今回は医療保険の「給付金」の概要と種類、受け取れる条件の違いなどを解説。気になる給付金にかかる税金なども併せて紹介します。
この記事の要点
- 1.公的保険(健康保険)は原則として「現物給付」ですが、民間医療保険では現金を受け取ることができるため、同じ「給付」という言葉でも内容は異なります。
- 2.給付金を受け取ることができる対象者および対象となる項目も、公的保険(健康保険)と民間の医療保険では異なるため確認が必要です。
- 3.精神疾患が原因の場合も、条件を満たせば公的保険(健康保険)や民間の医療保険でも給付金を受け取ることができます。
- 4. 民間の医療保険に加入する際は、保険相談窓口で専門家に相談し、納得したうえで加入しましょう。
- 5. 保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」では、40社以上の保険商品から専門家があなたにぴったりの保険をご提案します。
目次
医療保険の給付金とは
医療保険における「給付金」とは、どのような制度なのでしょうか?
公的保険(健康保険)の給付金(保険給付)
業務外のケガ・病気に関して国によって適用が認められている療養を受ける場合に給付を受けられます。
健康保険を扱う病院の窓口で保険証を提出すれば、次のような療養を受けることが可能です。
ポイント
- 診察
- 薬剤の支給
- 手術などの治療
- 入院・看護
民間医療保険の給付金
給付金を受け取ったからといって、保険が解約になることはありません。
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保険金と給付金との違い
給付金と似たような言葉に「保険金」があります。
死亡時・満期時に保険金を受け取ることによって契約が消滅する点が「給付金」とは異なります。
医療保険の給付金の種類
それでは、公的保険(健康保険)と民間の医療保険それぞれの医療保険の給付金の種類を見ていきましょう。
まずは公的保険(健康保険)から解説します。
公的保険(健康保険)の給付金
現物給付
公的保険(健康保険)では、診療・検査・投薬・手術・入院などの「病気やケガの治療に必要な医療行為」を受けることができます。
ポイント
- 被保険者本人に関する現物給付…療養の給付
- 被保険者が扶養している人への現物給付…家族療養費
現金給付
現物給付が原則の公的保険(健康保険)ですが、以下のような制度に関しては公的保険(健康保険)から一定額が支給される「現金給付」になっています。
現金給付の項目
- 出産手当一時金
- 埋葬料
- 傷病手当金(会社員・公務員の健康保険のみ)
「出産一時金」は子どもを1人出産した場合に原則として42万円(産科医療保障制度の対象外の医療機関での出産では40.4万円)が受け取れます。
「埋葬料」は、被保険者やその家族が亡くなった場合に、埋葬した家族に5万円(国民健康保険は自治体によって異なる)が支給される制度です。
「傷病手当金」は業務外の病気やケガで働けない場合に一定額の手当金を受け取れる制度で、詳しくは後述します。
民間医療保険の給付金
次に、民間の医療保険で受け取れる給付金について解説します。
入院給付金
公的保険(健康保険)では自己負担が3割以下になる一方、治療に関して直接現金を受け取ることはできません。
ポイント
- 民間の医療保険では「入院1日あたり5,000円・1万円」といった金額を契約時に設定し、万が一の入院の場合は現金を受け取れます。
- ただし、1回の入院が長期化する場合には医療保険の「支払限度日数」によって全額を受け取れない可能性がある点に注意が必要です。
- 医療保険ごとに1入院ごとの限度日数が60日、120日、180日などと決められています。
複数回の入院があった場合も、原因が同じ病気などで前回の退院の翌日から180日以内の入院では1回の入院とカウントされることも覚えておきましょう。
注意点
- 現在は1日だけの入院(日帰り入院)でも給付金を受けられるタイプが主流ですが、かつては免責期間(入院5日目から支給、等)が設定されており、この場合は入院4日目までは入院給付金が支給されませんでした。
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手術給付金
ポイント
- 支払対象となる手術を受けるごとに何度でも受け取ることができますが、保険会社によっては「施術の開始から〇日に1回」などの支払限度を設定していることもあります。
- 手術給付金の対象は「公的医療保険の対象になっている約1,000種類」または「保険会社が指定している88種類」のどちらかで、いずれが適用されるかは保険の「約款」で記載されています。
たとえばA社の手術給付金で支払対象になるのは、以下の2つの条件を満たした手術です。
- 約款で定められた手術※であること
- 治療を目的とした手術であること
※約款で定められた手術は「公的医療保険対象の手術等」を対象とする契約と「約款別表1~88の手術番号」を対象とする契約に分かれています。
なお、手術給付金の金額は「入院給付金の日額」に手術の種類に応じた倍率を乗じて計算されるのが一般的です。
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通院給付金
通院給付金が設定されている保険に加入している場合、「対象となる通院」が何かをあらかじめ確認しておきましょう。
女性疾病入院給付金
特定のがんや脳卒中など「女性で発生率が高い疾病」が対象になることもあります。
具体的には、以下のような疾病が女性疾病入院給付金の給付対象です。
女性疾病入院給付金の給付対象例
- 乳がん
- 子宮筋腫
- 甲状腺の障害
- 分娩の合併症
- 脳卒中 など
先進医療給付金
厚生労働大臣が医療技術ごとに定めた基準を満たす医療機関で治療が行われます。
このように「厚生労働大臣が定めた先進医療による療養」を特定の施設で受けた場合、先進医療給付金を受け取れます。
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医療保険の給付対象者は誰?
では、これまで解説してきた医療保険の給付を受けることができる対象者は誰になるのでしょうか。
こちらも、公的保険(健康保険)と民間の医療保険それぞれに分けて見ていきましょう。
公的保険(健康保険)の給付対象は「業務外の病気・ケガ」
公的保険(健康保険)では、被保険者やその家族(被扶養者)が以下のような場合に給付を受けられます。
ポイント
- 業務外の病気・ケガ
- 薬剤・治療材料の支給
- 出産(異常分娩の場合)
- 出産手当一時金(現金給付)
- 死亡(埋葬費)(現金給付)
民間医療保険は病気やケガによる入院・通院などが支給の対象
一方の医療保険の給付対象は、「病気やケガで入院・手術・通院などをした人」です。
ポイント
- 前述した給付金のうち、メインになるのは「入院給付金」「手術給付金」です。
- 入院給付金は1日あたり5,000円・1万円といった形で入院日数に応じた金額が給付され、手術給付金は「定額」または「倍率方式(手術内容ごとに10倍、20倍、40倍など)」で支給されます。
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給付金を受けるためには健康状態の「告知」と審査の通過が必要
医療保険に加入する際は、以下のような内容の「告知」によって、自身の健康状態を正しく保険会社に伝える必要があります。
告知項目
- 身長・体重
- 現在の健康状態
- 健康診断の結果
- 既往歴(過去5年の医師の診察・治療・投薬などの情報)
- 障害の有無 等
通常の医療保険での加入が難しい場合は、「引受基準緩和型」の医療保険に加入する選択肢もあります。
告知の項目が3~5つに限定されており、一般の医療保険で加入が難しい人でも告知項目に該当がなければ保険への加入が可能です。
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医療保険の給付対象外となるケース
公的保険(健康保険)でも民間の医療保険においても、加入していても給付の対象外となるケースがあります。
それぞれの給付対象外の場合を見ていきましょう。
公的保険(健康保険)で給付対象外になる場合
公的保険(健康保険)では、以下のような場合には給付を受けることができません。
公的保険(健康保険)における給付対象外の項目
- 業務上の病気やケガ
- 通勤途中の病気やケガ
- 病気とみなされないもの
- 治療のためでないもの
業務上のケガ・病気は「業務災害」、通勤途中でのケガや病気は「通勤災害」として、いずれも公的保険(健康保険)の対象外です。
そのほか病気ではない以下のような項目は公的保険(健康保険)の対象外のため、治療を受ける場合は自費診療が必要です。
公的保険(健康保険)対象外の項目
- 自然分娩
- 予防注射
- 治療のためではない美容整形 など
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民間医療保険で給付対象外になる場合
民間の医療保険で給付対象外になる場合は以下のとおりです。
民間の医療保険で給付対象外の項目
- 保険の保障が開始されない場合
- 保障対象外の病気や手術の場合
- 入院期間が短い場合(各保険会社の支給条件によります)
- 支払限度日数を超えた場合
これらについて見ていきましょう。
保険の保障が開始されない場合
申込書を提出しても、すぐに保障が開始されるとは限りません。
一般的な医療保険は以下3つの手続きが全て完了して、初めて保障が開始されます。
- 申込書を提出
- 告知・審査
- 初回保険料の払込
保険料の払込よりも審査の結果があとから出た場合、告知・審査が完了したときから保障が開始されます。
※契約内容によっては、告知日または保険会社(もしくは代理店)で申込書を受領した日のいずれか遅いときから保障が開始されます。
保障対象外の病気や手術の場合
医療保険では、病気の内容によっては給付金が支払われない可能性があります。
以下のような原因で入院したとしても、給付金受け取りの対象外です。
保障対象外となる病気や手術例
- 正常分娩
- インプラントなどの審美歯科
- 美容整形
- 健康診断目的の入院
- 人間ドック など
入院期間が短い場合
入院給付金で対象になるケガ・病気の入院期間が短い場合、入院給付金が支給されないこともあります。
支給の条件は保険商品によってさまざまで、日帰り入院でも給付金を受け取れる保険もあれば「継続して〇日以上入院したときに〇日目から支給される」という条件が付された保険もあります。
すでに民間の医療保険に加入している場合は確認してみましょう。
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支払限度日数を超えた場合
長期間入院した場合や同じ病気やケガが原因による場合、給付金が支給されないこともあります。
注意点
- 1回あたりの入院に関しては「支払限度日数」が1入院あたり60日・120日・180日といった日数で設定されているためです。
- 同じ病気が原因で、退院後の翌日から180日以内に再び入院した場合は1回の入院としてカウントされるため、支払限度日数の残り具合によっては全日数分の給付を受けられません。
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【番外編】精神疾患が原因で給付金は支給される?
会社員・公務員加入の社会保険では「傷病手当金」が支給される
傷病手当金を受けるためには、以下の4つの条件を満たすことが必要です。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
自営業やフリーランスでは傷病手当金が使えない
傷病手当金は会社員・公務員が加入する社会保険では受け取れますが、自営業者・フリーランスが加入する「国民健康保険」では受け取ることができません。
障害等級に認定されれば「障害年金」を受け取れますが、認定には初診日から1年6ヶ月がかかります。
ポイント
- 認定までの間に働けないことによって収入がゼロになる可能性があり、自営業者やフリーランスは収入減少に対するリスクを和らげるために「医療保険」などへ加入する必要性が高いといえます。
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民間医療保険は精神疾患でも入院給付金が支給される
民間医療保険で入院給付金の支払対象になる入院は、以下の条件を満たす必要があります。
入院給付金を受け取れる条件
- 医師による治療が必要
- 自宅での治療が困難
- 常に医師の管理下で治療に専念すること
入院給付金を受け取れる条件は、責任開始日※以後に発病した病気に関する治療を目的とした入院です。
医師の診断書によって「入院」「入院給付金」の条件を満たしているかどうかが審査されるため、条件を満たしあっても入院給付金を受け取ることは可能です。
※責任開始日とは、生命保険会社が契約上の責任を開始する時期。
医療保険は通院日数に応じて通院給付金を受け取れるタイプがありますが、こちらも給付の条件を満たせば精神疾患でも受け取れます。
注意点
- ただし「入院を経たうえでの通院」という条件が付いている場合が多いため、契約した内容を確認することは必須です。
まとめ
今回は、公的保険(健康保険)と民間医療保険それぞれの「給付金」の特徴と種類について解説しました。
原則として「現物給付」の公的保険(健康保険)と現金を受け取れる民間医療保険では、同じ「給付」という言葉でも内容は全く異なります。
まずは「公的保険(健康保険)」と「民間の医療保険」それぞれの違いを把握していきましょう。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
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