平均寿命と健康寿命の違いとは?伸ばす方法と2024年最新データを紹介
日本は長寿大国といわれますが、せっかく長生きしても寝たきりでは老後の生活は厳しいものになります。そこで、最近注目されているのが健康寿命です。
健康寿命とは一体何でしょうか。平均寿命と健康寿命の違いとはどのようなところなのでしょうか。健康寿命を過ぎた後の老後生活はどのようにすごせばいいのか、今からできる貯蓄方法も知りたいところですよね。
さまざまな疑問や不安を感じる方のために、今回の記事では、平均寿命と健康寿命の違いと健康寿命を過ぎた後の老後生活資金について解説します。
この記事の要点
- 1.平均寿命と健康寿命の違いは、「何歳まで生きられるか」と「何歳まで健康で生きられるか」の違いです。
- 2.日本人の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳で、健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。
- 3.平均寿命と健康寿命の差が延命期間(健康に生活できない期間)で、介護費用などの出費が予想されます。
- 4.延命期間を含めた老後生活資金を予測し、早めに準備を始めることが老後対策のポイントです。
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目次
平均寿命とは
最初に、平均寿命についてみていきましょう。平均寿命の定義と現状について説明します。
平均寿命の定義
そのため、現在20歳の人や50歳の人が平均して何歳まで生きられるか、という予測値とは異なります。ある年齢の人が、その後何年生きられるかという予測値は「平均余命」といいます。
平均余命は、毎年厚生労働省が発表する「簡易生命表」に記載されており、毎年の平均寿命は、簡易生命表で0歳の人の平均余命を見ればわかります。
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参考:生命保険文化センター「日本人の平均寿命はどれくらい?」
【2024年最新】男性の平均寿命は81.05歳、女性は 87.09歳
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は次の通りです。
日本人の平均寿命
- 男性の平均寿命:81.05歳
- 女性の平均寿命:87.09歳
日本人の平均寿命は延び続けていて、2001年と比較して男女とも3年前後も長くなりました。
最新データである2023年の統計では、前年までの数字を若干下回る結果となりましたが、これは、新型コロナウイルスの流行による高齢者の死亡率が上昇したことに起因すると思われます。
日本人の平均寿命の推移 | ||
---|---|---|
調査年数 | 男性 | 女性 |
2001年 | 78.07歳 | 84.93歳 |
2004年 | 78.64歳 | 85.59歳 |
2007年 | 79.19歳 | 85.99歳 |
2010年 | 79.55歳 | 86.30歳 |
2013年 | 80.21歳 | 86.61歳 |
2016年 | 80.98歳 | 87.14歳 |
2019年 | 81.41歳 | 87.45歳 |
2023年 | 81.05歳 | 87.09歳 |
また、諸外国と比較すると、日本の平均寿命は男女とも世界で1位、2位を競う水準です。
表は横にスライドできます
平均寿命の国際比較(2016年) | |||||
---|---|---|---|---|---|
男性の平均寿命 | 女性の平均寿命 | ||||
順位 | 国名 | 平均寿命 | 順位 | 国名 | 平均寿命 |
1位 | スイス | 81.2歳 | 1位 | 日本 | 87.1歳 |
2位 | 日本 | 81.1歳 | 2位 | フランス | 85.7歳 |
3位 | オーストラリア | 81.0歳 | 2位 | スペイン | 85.7歳 |
4位 | カナダ | 80.9歳 | 4位 | 韓国 | 85.6歳 |
4位 | アイスランド | 80.9歳 | 5位 | スイス | 85.2歳 |
6位 | シンガポール | 80.8歳 | 6位 | シンガポール | 85.0歳 |
7位 | ノルウェー | 80.6歳 | 7位 | イタリア | 84.9歳 |
7位 | スウェーデン | 80.6歳 | 8位 | オーストラリア | 84.8歳 |
9位 | イタリア | 80.5歳 | 9位 | カナダ | 84.7歳 |
9位 | ニュージーランド | 80.5歳 | 10位 | ルクセンブルク | 84.6歳 |
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参考:厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況」
参考:日本WHO協会「世界保健統計2020版」
平均寿命の今後
日本人の平均寿命は、今後もまだまだ延びるという推計があります。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると、2065年の平均寿命は現在より3~4年長くなります。
ポイント
- 2065年の男性:平均寿命84.95歳
- 2065年の女性:平均寿命91.35歳
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引用:農林水産省「2 健康寿命と栄養・食生活に関する現状と取組」 P6 図表1-1
健康寿命とは
平均寿命がいくら延びても、要介護状態や寝たきりの状態が長ければ充実した老後を送ることはできませんよね。老後生活を考える上で、いつまで健康に生活できるかを考える指標として「健康寿命」
が注目されています。
健康寿命の定義
「日常生活に制限がない」とは、介護など他人に頼らずに自立して健康に生活できることです。
たとえば、平均寿命が85歳、 健康寿命が75歳ならば、75歳以降の10年間が延命期間に該当し、日常生活に制限のある生活が想定されます。
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男性の健康寿命は72.68歳、女性は75.38歳
厚生労働省の2019年度調査では、日本人の健康寿命は次の通りです。
ポイント
- 男性の健康寿命:72.68歳
- 女性の健康寿命:75.38歳
平均寿命の延びとともに、健康寿命も延びています。
日本人の健康寿命の推移 | ||
---|---|---|
調査年数 | 男性 | 女性 |
2001年 | 69.40歳 | 72.65歳 |
2004年 | 69.47歳 | 72.69歳 |
2007年 | 70.33歳 | 73.36歳 |
2010年 | 70.42歳 | 73.62歳 |
2013年 | 71.19歳 | 74.21歳 |
2016年 | 72.14歳 | 74.79歳 |
2019年 | 72.68歳 | 75.38歳 |
平均すると男性も女性も、70歳から75歳にかけて健康寿命に達し、その後に延命期間(日常生活に制限のある生活を送る期間)に入ります。
平均寿命や健康寿命の推移をみてみると、次の2点が気になるところです。
注意点
- 2001年と比較して、健康寿命は平均寿命ほど延びていない。
- 男性と女性を比較した場合、女性は平均寿命と健康寿命の差が大きい
つまり、「延命期間が長期化している」「男性と比較して女性の延命期間が長い」ということです。
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健康寿命を延ばすための国の政策
人生100年時代を迎えて、国は「誰もがより長く元気に活躍できる社会」の実現に向けて次の政策課題を掲げています。
国が掲げる政策課題
- 多様な就労・社会参加(70歳までの就業機会確保など)
- 健康寿命の延伸
- 医療・福祉サービス改革プラン(ロボット活用・システム化などによるサービス提供の効率化)
「健康寿命の延伸」については、2040年までに男女とも健康年齢を3年以上延ばすことを目標としました。
具体的には、「健康寿命延伸プラン」にて次の取り組みを推進します。
健康寿命延伸プラン
- 次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成等
- 疾病予防・重症化予防
- 介護予防・フレイル(※)対策、認知症予防
※健康と要介護の中間にあたる状態。本人や家族も気がつきにくいという特徴がある。
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参考:厚生労働省「図表2-3-1 健康寿命延伸プランの概要」
平均寿命と健康寿命の違い
平均寿命と健康寿命について解説してきましたが、両者の違いを再確認しておきましょう。
ポイント
- 平均寿命:現在0歳の人が、その後何年生きられるかという予測値
- 健康寿命:現在0歳の人が、その後何年日常生活に制限のない生活が送れるかという予測値
言い換えると、「何歳まで生きられるか」と「何歳まで健康で生きられるか」との違いです。平均寿命と健康寿命の推移とその差(=延命期間)についても再度、確認します。まずは男性からです。
男性の平均寿命と健康寿命 | |||
---|---|---|---|
①平均寿命 | ②健康寿命 | ①-②延命期間 | |
2001年 | 78.07歳 | 69.40歳 | 8.67年 |
2004年 | 78.64歳 | 69.47歳 | 9.17年 |
2007年 | 79.19歳 | 70.33歳 | 8.86年 |
2010年 | 79.55歳 | 70.42歳 | 9.13年 |
2013年 | 80.21歳 | 71.19歳 | 9.02年 |
2016年 | 80.98歳 | 72.14歳 | 8.84年 |
2019年 | 81.41歳 | 72.68歳 | 8.73年 |
2001年と比較して平均寿命も健康寿命も延びましたが、平均寿命のほうが延びが大きく延命期間は0.06年延びました。ただし、最大9.17年だった延命期間も直近では短縮化しています。
次は女性についてみてみましょう。
女性の平均寿命と健康寿命 | |||
---|---|---|---|
①平均寿命 | ②健康寿命 | ①-②延命期間 | |
2001年 | 84.93歳 | 72.65歳 | 12.28年 |
2004年 | 85.59歳 | 72.69歳 | 12.90年 |
2007年 | 85.99歳 | 73.36歳 | 12.63年 |
2010年 | 86.30歳 | 73.62歳 | 12.68年 |
2013年 | 86.61歳 | 74.21歳 | 12.40年 |
2016年 | 87.14歳 | 74.79歳 | 12.35年 |
2019年 | 87.45歳 | 75.38歳 | 12.07年 |
女性についても、男性と同様の傾向があります。2001年と比較して延命期間は延びましたが、直近では短縮化しています。
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平均寿命-健康寿命=10年で必要になる費用を徹底解剖
それでは、延命期間(=平均寿命-健康寿命)を約10年として、その間に必要となる費用について解説します。総務省統計局の「2019年家計調査」によると、高齢夫婦(無職)のモデル世帯の家計収支は次の通りです。
ポイント
- 収入(公的年金など)①:月237,659円
- 支出(主に生活費) ②:月270,929円
- 家計の収支 ①-②:月33,269円の赤字
引用:総務省統計局「2019年家計調査(家計収支編)P18」
モデル世帯の家計収支を見ると、健康に生活しているときでも、毎月33,269円の赤字が発生します。10年間では次の通りです。
ポイント
10年間の赤字の累計:33,269円×120か月=約400万円
まずは、要介護の期間についてです。介護経験のある人の「平均的な介護期間は4年7か月」です。
介護期間 | |
---|---|
期間 | 割合 |
6か月未満 | 6.4% |
6か月以上1年未満 | 7.4% |
1年以上2年未満 | 12.6% |
2年以上3年未満 | 14.5% |
3年以上4年未満 | 14.5% |
4年以上10年未満 | 28.3% |
10年以上 | 14.5% |
平均 | 4年7か月 |
次に費用です。介護に伴う自宅の改築や介護用ベッド購入などの「一時的な費用は平均69万円」です。
介護に要する一時的な費用 | |
---|---|
費用 | 割合 |
0円 | 15.8% |
15万円未満 | 19.0% |
15万円以上25万円未満 | 8.6% |
25万円以上50万円未満 | 6.8% |
50万円以上100万円未満 | 9.1% |
100万円以上150万円未満 | 6.0% |
150万円以上200万円未満 | 1.9% |
200万円以上 | 6.1% |
平均 | 69万円 |
最後は、毎月かかる費用です。公的介護保険サービスの自己負担費用などを含め「毎月の費用は7.8万円」です。
介護に要する毎月の費用 | |
---|---|
費用 | 割合 |
0円 | 3.6% |
1万円未満 | 5.2% |
1万円以上2万5千円未満 | 15.1% |
2万5千円以上5万円未満 | 11.0% |
5万円以上7万5千円未満 | 15.2% |
7万5千円以上10万円未満 | 4.8% |
10万円以上12万5千円未満 | 11.9% |
12万5千円以上15万円未満 | 3.0% |
15万円以上 | 15.8% |
平均 | 7.8万円 |
介護に要する費用の有無や金額は人それぞれですが、「介護期間4年7か月」「一時的な費用69万円」「毎月の費用7.8万円」と仮定すると次の通りです。
ポイント
介護に要する費用:69万円+7.8万円×4年7か月(55か月)=約500万円
上記より、延命期間10年間に必要となる費用は、家計の赤字累計約400万円と介護費用約500万円を合計して約900万円です。
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老後のために今からやっておきたい貯蓄方法
延命期間10年間に必要となる費用は、高齢夫婦(無職)のモデル世帯で約900万円と高額です。さらに、仕事を辞めてから健康寿命(男性72.68歳、女性75.38歳)までの生活費も必要です。
定年を迎えるまでにやっておきたい貯蓄方法を紹介します。
おすすめの貯蓄方法①税制メリットを活用した貯蓄
貯蓄をするための方法はいろいろありますが、税制メリットを活用した次の制度がおすすめです。
税制メリットを活用した制度
- 個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ):掛金全額が所得控除、運用益も非課税、受取時に所得控除、などのメリット。
- つみたてNISA(ニーサ):年間の掛金40万円に対する運用益が非課税。
- 個人年金保険:掛金に対し個人年金保険料控除。(控除額の上限は年間4万円または5万円)
老後に向けた貯蓄は長期間にわたるため、1回あたりの税制メリットは少額でも累計すれば大きな金額になります。
ただし、個人の運用方法は多様化しており、個人ごとに得意な運用方法も異なります。
ポイント
- 株式運用や不動産投資など、税制メリットがない貯蓄方法も選択肢です。
- 重要なのは少額でも早期に貯蓄をスタートすることです。
おすすめの貯蓄方法②働き方を変えて貯蓄
貯蓄を始めようと思っても、教育費や住宅ローンなどの支払いで老後準備に手が回らないケースもあるでしょう。そんなときにおすすめするのが、働き方を変えることです。主な方法は次の3つです。
- 夫婦共働きをする
- 定年後再雇用や再就職によって長く仕事を続ける
共働きとは、夫婦がともに雇用されて働いていることです。目先の収入が増えるだけでなく、将来の公的年金の増額にもなります。
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豊かな老後生活のためにおすすめな保険
生命保険の中には、老後の生活資金や保障のための「個人年金保険」や「低解約返戻金型終身保険」、介護費用のための「介護保険」など、老後の生活に活用できる保険商品があります。
個人年金保険
老後の生活費を準備するための保険として、まず頭に浮かぶのが「個人年金保険」です。
60歳や65歳といったように、契約時に定めた年齢まで保険料を支払い、契約時に定めた年齢に達すると年金を受け取ることができ、受取期間は10年や20年などの一定期間タイプと、生涯にわたって受け取れる終身タイプがあります。
さらに、支払った保険料は「個人年金保険料控除」の対象になるので、年末調整や確定申告の際に手続きをすることで所得控除を利用でき節税対策になります。
ただし、すべての個人年金保険が該当するわけではなく、以下の条件をすべて満たした保障のみとなります。
ポイント
- 個人年金保険料税制適格特約が付いている
- 年金受取人は契約者かその配偶者
- 年金受取人と被保険者が同一人
- 保険料の払込期間が10年以上
- 年金受取開始年齢が60歳以上で受取期間が10年以上
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低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、被保険者が死亡したときに受取人が保険金を受け取れる死亡保険のひとつで、一生涯の保障が得られるものをいいます。
ポイント
- 「低解約返戻金」という名前がついている通り、通常の終身保険よりも中途解約をした場合の解約返戻金が低額になっており、一般的に70%程度に抑えられていますが、その分保険料が割安に設定されています。
- 低解約返戻金型終身保険の大きな特徴として、保険料の払込期間終了後に中途解約すると一気に解約返戻金額が上昇するということがあります。
たとえば、払込期間を30年に設定した場合、払込を終えた31年目から一気に解約返戻金額が多くなるということです。
介護保険
公的介護保険だけでは介護費用に不安がある場合、民間の保険会社が取り扱っている介護保険に加入する方法があります。
ポイント
- 公的介護保険は基本的に現物支給となり、給付額は要介護度に応じて異なります。
- 一方で、民間の介護保険は現金支給なので使い勝手が良く、給付額は自分で任意に設定できるというメリットがあります。
また、公的介護保険が適用されるには一定の条件を満たした人や対象となる疾患である必要がありますが、民間の介護保険では公的介護の保障対象外となってしまう人も保障対象になる可能性があります。
注意点
しかし、保険料の支払い負担があることや、要介護状態になっても必ずしも保障対象となるわけではないというデメリットもあります。
とはいえ、介護費用における経済的な不安を払しょくするというメリットもあるため、加入を検討するのも良いでしょう。
保険の加入や見直しを検討するなら必ずすべきこと
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まとめ
平均寿命と健康寿命の違いは、「何歳まで生きられるか」と「何歳まで健康で生きられるか」の違いです。
日本人の平均寿命と健康寿命は次の通りです。
- 平均寿命:男性81.05歳、女性87.09歳
- 健康寿命:男性72.68歳、女性75.38歳
平均寿命と健康寿命の差が延命期間(健康に生活できない期間)で、介護費用などの出費が予想されます。
延命期間を含めた老後生活資金を予測し、早めに準備を始めることが老後対策のポイントです。
・本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
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