自動車を所有している人のほとんどは、自賠責保険以外に民間の自動車保険に加入しています。
しかし、保険の満期が近づいてきたり、車を買い替えたりしたときに、「保険料が高い」「補償内容が不足している」などの理由から自動車保険の乗り換えを検討される人もいるのではないでしょうか。
保険料や補償内容に不満を感じるなら、別の保険会社の自動車保険に乗り換えてしまうのも選択肢の一つです。
本記事では、自動車保険を乗り換えるタイミングと乗り換え前に知っておきたいメリット・デメリット、注意点についてご紹介します。
この記事の要点
- 自動車保険を乗り換えるタイミングは、「保険の満期日」がベスト。
- それより早く乗り換えをしてしまうと、等級が上がる場合は契約してから1年後にずれ込んでしまうほか、もし等級が下がる場合は契約直後に等級が下がってしまいます。
- しかし、乗り換えによるメリットが大きい場合には満期日以外に乗り換える選択肢もあるでしょう。
- ご自身のライフスタイルと補償内容を照らし合わせ、最適と思うタイミングで乗り換えできるように検討を進めるのがおすすめです。
- 自動車保険の乗り換えで悩んでいる人は、無料保険相談窓口「ほけんのぜんぶ」でプロに相談してみましょう。
この記事は5分程度で読めます。
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自動車保険の乗り換えに最適なタイミング
自動車保険の乗り換えに最適なタイミングはいつなのでしょうか?ここから、自動車保険の乗り換えタイミングに関して詳しく解説していきます。
乗り換えるべきタイミングは「従来の自動車保険の満期」
自動車保険の乗り換えでお得になるタイミングは、「従来の自動車保険の満期」です。
ポイント
- 満期を迎えて乗り換えるときに無事故あるいは保険を使わない状態であれば、乗り換えないときと同じように1段階等級が上がります。
- 逆に満期を迎えるまえに解約して乗り換える場合、乗り換え先の自動車保険の等級が上がるのはその契約が始まってから1年後です。
事故を起こして保険を使った場合も同様です。
編集部
自動車保険の等級は引き継がれる
自動車保険では、事故歴に応じて翌年の契約での等級が変わります。
ポイント
- 1等級から20等級まで細かく分かれており、1年無事故あるいは事故を起こしても保険を使わない場合は1段階、3年契約で3年とも無事故なら3段階等級が上がります。
- 逆に契約中に事故を起こして保険を使ってしまった場合は、事故の内容によりますが基本的に3段階ダウンすることになります。
編集部
満期以外のタイミングの方が良い場合もある
保険期間中の事故の有無に関係なく、基本的には自動車保険の乗り換えは従来の自動車保険の満期のタイミングがベストです。
ただし、必ずその時点でしか変更できないというわけではありません。
例えば、「乗り換え先の契約がより有利な場合」が挙げられます。上がるはずの等級が据置になったり、予定より早く等級が下がったりといったデメリットを帳消しにして余りあるほどの補償内容だと感じる場合、満期前に解約して乗り換えてしまうことで早くメリットを得られます。
自動車保険の乗り換え手順
自動車保険を乗り換える際は、どのような手続きが必要なのでしょうか。具体的な流れは、以下のようになります。
自動車保険の乗り換え手順
- 乗り換え先の保険会社を探す
- 乗り換え先の保険会社社に申し込みをする
- 現在契約中の保険会社に解約の連絡をする
- 解約手続きをする
保険会社によって、書類の記入や保険料の支払いなど必要な手続きは異なります。各社案内に従って解約手続きを進めましょう。
乗り換え時の詳しい注意点については、『自動車保険を乗り換える前に確認すべき4つの注意点』で紹介していきます。
❶乗り換え先の保険会社を探す
自動車保険を乗り換える際、まずはどの保険会社にするかを選ばなければなりません。しかし、日本には多くの保険会社が存在し、選び方に迷うことがよくあります。
そこで役立つのが自動車保険の一括見積もりサービスです。
一度の情報入力で複数の保険会社から見積もりを取得できるもので、個々の保険会社に順番に見積もりを依頼する手間を省くことができます。また、自分では考えつかなかった保険会社が最適な条件を提供してくれることもあり得ます。
保険を契約する際、満期日ギリギリになると十分に比較・検討できない可能性があるため、早めに見積もりを取ることをおすすめします。
編集部
❷乗り換え先の保険会社に申し込みをする
自動車保険の乗り換えを検討する場合、新しい保険会社に他社からの乗り換えを伝えましょう。手続きには、契約中の自動車保険の保険証券、運転免許証、車検証が必要です。
また、契約の開始日は解約日(満期日)と同日に設定して重複期間や空白期間を作らないようにしましょう。ただし、等級(ノンクレーム割引等)の引き継ぎができない場合もあるため、この点にも注意が必要です。
❸現在契約中の保険会社に解約の連絡をする
乗り換え先の保険会社を決定したら、現在の契約している保険会社に解約の通知を行いましょう。
通常、保険契約は満期に自動的に終了するものですが、以下のような状況では解約の通知が必要です。
途中解約する場合
保険期間途中で契約を解約する場合、保険会社に連絡して手続きを行う必要があります。途中解約には解約手数料や返戻金の計算などが関わることもあるため、詳細な情報を確認しましょう。
解約手続きは保険会社に連絡して行います。注意深く手続きを進め、適切なタイミングで解約の通知を行いましょう。
自動継続の特約を付加している場合
自動継続の特約を付加している場合、解約の通知をしないと保険が自動的に更新されます。特に代理店型の自動車保険では、自動継続の特約が一般的ですが、ダイレクト型でもこの特約が付いている場合があります。
満期日が近づくと保険会社から契約内容の確認と通知期限についてのお知らせが届くので、契約を更新しない旨の連絡を期限内に行うようにしましょう。
編集部
❹解約手続きをする
契約や解約に必要な書類がある場合は、必要な情報を記入し、指定された方法で返送しましょう。
また、保険料の支払い期限までに乗り換え先の保険会社に保険料を支払いましょう。
自動車保険を乗り換えるメリット・デメリット
自動車保険の乗り換えには、メリットもあればデメリットもあります。乗り換えたことでかえって不利にならないように、しっかり把握しておきましょう。
自動車保険を乗り換えるメリット
自動車保険を乗り換えるメリットは、以下のとおりです。
自動車保険を乗り換えるメリット
- 保険料の節約が期待できる
- 自分に合った補償やサービスを得られる
保険料の節約が期待できる
自動車保険は、同じ補償内容であったとしても保険会社によって保険料は全く異なります。
ポイント
- 自動車保険はカーディーラーなどの代理店を通じて契約する「代理店型」と、ネットで契約する「ネット型」に大別できますが、基本的に店舗が不要で人件費が安いネット型の保険料が割安です。
- たとえば従来の保険が代理店型の場合、ネット型に切り替えることで保険料が安くなる場合があります。
さらに、保険の乗り換えのタイミングでキャンペーンが実施されることもあります。
編集部
乗り換えをすることで仮に等級が上がるまでの期間が延びてしまったとしても保険料が安くなるメリットの方が大きいのなら、タイミングを無視して乗り換えてしまうのも選択肢の一つです。
自分に合った補償やサービスを得られる
自動車保険に付帯するサービスは保険会社によって異なり、新しいサービスも次々と登場しています。
ポイント
従来の自動車保険を契約した段階ではその保険がベストの選択だったとしても、保険商品を見直した結果、自分に合った自動車保険が新しく見つかることもあるでしょう。
たとえば、「ロードサービスの充実度」は保険会社によって千差万別で、レッカーサポートや宿泊費用サポート、さらにはペットの宿泊費用の補償が受けられることもあります。
また、携行品の補償内容も異なり、ゴルフクラブやスノーボードなどの損害に関するサポートを受けることも可能です。
同じ名前でも補償内容が異なるケース
- 人身傷害保険では友人の自動車に搭乗中や歩行中に自動車事故に遭っても補償されるのが一般的です。
- しかし、なかには契約車両に搭乗中に事故にあった場合のみ補償を受けられるタイプもあります。
契約車両に搭乗中以外の補償が不要なら、このような保険会社を選択することで保険料が安くなる可能性があります。
加えて、保険会社によっては「緊急サポート」用のアプリを提供しており、事故時にGPSを使って迅速にサポートを受けることができます。他社のより優れたサービスが判明した場合、契約途中での乗り換えを検討するのも一つの選択肢です。
編集部
自動車保険を乗り換えるデメリット
自動車保険を乗り換えるデメリットは、以下のとおりです。
自動車保険を乗り換えるデメリット
- 保険期間中に乗り換えると等級が上がるのが遅くなる
- 解約返戻金が月割計算より少ない場合も
- 月払いが良いとは限らない
- 乗り換えることで補償が弱くなる可能性がある
保険期間中に乗り換えると等級が上がるのが遅くなる
すでに解説しましたが、満期日までに保険を乗り換える場合は等級の面で不利に働くことがあります。
等級が上がるケースと下がるケースで、それぞれ以下のように不利に働く場合があることを覚えておきましょう。
注意点
- 等級が上がるには乗り換えしてから1年が必要
- 等級が下がる場合は乗り換えのタイミングで下がってしまう
編集部
解約返戻金が月割計算より少ない場合も
注意点
- 年払いした自動車保険を満期になる前に解約すると、解約返戻金が単純に月割した金額より少なくなる場合があります。
- 解約返戻金は保険会社が設定した「短期料率」によって計算されますが、単純に月割になっていないことがあるのです。
短期料率は保険会社ごとに設定が異なりますが、ここではA社の例をみてみましょう。
A社では解約返戻金は「年間保険料×(1-経過期間に対応する短期料率)」で計算されます。
短期料率表 | |
期間 | 短期料率 |
7日まで | 10% |
15日まで | 15% |
1ヵ月まで | 25% |
2ヵ月まで | 35% |
3ヵ月まで | 45% |
4ヵ月まで | 55% |
5ヵ月まで | 65% |
6ヵ月まで | 70% |
7ヵ月まで | 75% |
8ヵ月まで | 80% |
9ヵ月まで | 85% |
10ヵ月まで | 90% |
11ヵ月まで | 95% |
12ヵ月まで | 100% |
年間保険料が6万円の契約を「6ヵ月超7ヵ月未満」で解約した場合の解約返戻金の金額は以下のとおりです。
ポイント
6万円×(1-0.75)=1万5,000円
編集部
月払いが良いとは限らない
年払いの場合、解約返戻金は短期料率によって計算されることが分かりました。
編集部
保険料が月払いの場合は、解約後に保険料の支払いは発生しません。
注意点
- しかし、そもそも保険料が年払いよりも高めに設定されていることが多いのです。
- 解約してそのまま新しい保険を契約する場合、支払う保険料が多くなることも考えられます。
年の途中に自動車保険を乗り換える可能性があるかを考えて、月払いにするか年払いにするかを決めていきましょう。
乗り換えることで補償が弱くなる可能性がある
メリットの項では、乗り換えることで自分に合った補償に切り替えられることを述べました。
しかし逆に、乗り換え前の補償内容の方が充実しているケースもあります。
注意点
- 例えば個人賠償責任保険で従来は示談交渉サービスが付帯しているケースで、新しく安い保険に乗り換えたら示談交渉サービスがなかったということもあります。
- 示談交渉サービスがないために、自分で示談交渉を進めるしかなくなってしまい「やっぱり乗り換えないほうがよかった……」と感じることもあるかもしれません。
自動車保険を乗り換える際の4つの注意点
自動車保険を乗り換える前に、いくつか確認すべき注意点があります。乗り換え後に後悔しないためにも、必ずチェックしておきましょう。
自動車保険乗り換え時の注意点
- 満期日と新しい保険の開始日を同じにする
- 解約したあとはスムーズに新しい保険を契約する
- 保険を使った場合はどんな事故だったか確認する
- 次の契約まで時間が空く場合は「中断証明書」を発行する
❶満期日と新しい保険の開始日を同じにする
満期日に保険を乗り換える場合でも保険期間中に乗り換えるにしても、「乗り換え先の自動車保険の開始日を満期日と同じ日にする」ことが必要です。
ポイント
2つの自動車保険を重複することができないため、重ねてしまうと後から訂正が必要になります。
たとえば現在の契約の補償開始日が10月10日だとします。次の契約の補償開始日についても同じ10月10日することが基本です。
「保険期間を重ねたら安心かも……」と思うかもしれませんが、仮に10月8日や9日にしてしまった場合はあとから訂正する必要があります。
編集部
❷解約したあとはスムーズに新しい保険を契約する
空白期間が生じることで、万が一事故に遭った場合に補償されなくなってしまう点も気を付けておく必要があります。
自動車保険の等級を引き継げるのは満期日(解約日)から起算して7日以内であり、それを過ぎると等級は最初の6等級に戻ってしまいます。
❸保険を使った場合はどんな事故だったか確認する
従来の自動車保険で保険を利用した場合、次の契約の等級にも影響することになります。
編集部
保険を乗り換えると特約は引き継がれない点に注意
また、現在の自動車保険の特約が新しい保険契約では適用されない点に注意が必要です。
たとえば「等級プロテクト特約」を付けている場合などが該当します。
しかし、他社に乗り換えする場合には適用されないため、事故を起こして保険を使っている場合は乗り換えによって保険の等級が下がってしまいます。
❹次の契約まで時間が空く場合は「中断証明書」を発行する
場合によっては従来の自動車保険を解約してから、次の保険を契約するまでに時間がかかることも考えられます。
たとえば廃車にしてから新車が納品されるまで時間がかかる場合、自動車が必要ない都市部に引っ越す場合などです。
このように、保険の解約から次の契約まで一定期間以上の時間が空く場合は「中断証明書」の発行が必須です。
ポイント
- 通常は解約してから次の自動車保険の契約開始までは原則7日以内でなければいけません。
- 7日を過ぎると、たとえ20等級の人でも6等級に戻ってしまうのです。
- しかし、中断証明書を発行していれば最長で10年まで等級の引継ぎ期間を延ばすことが可能です。
編集部
自動車保険の乗り換えに関してよくある質問
自動車保険は満期を迎える前に乗り換え可能です。保険契約の満期日までに新しい保険会社と契約を結び、古い保険を解約することで乗り換えが可能です。ただし、等級が上がるタイミングが遅くなる・自分で解約手続きを行う必要があるといった点には注意が必要です。
自動車保険を乗り換えると、保険料が安くなったり、自身のライフスタイルに合った補償を得られる可能性があります。たとえ保険等級が上がるまでの期間が延びても、保険料の削減が大きなメリットとなる場合は、タイミングを問わず乗り換える選択肢もあります。
まとめ
今回は自動車保険を乗り換えるタイミングと、乗り換えのメリット・デメリット、注意点について紹介しました。
自動車保険を乗り換える場合は基本的に「保険の満期日」がベストです。それより早く乗り換えしてしまうと等級が上がる場合は契約してから1年後にずれ込んでしまうほか、もし等級が下がる場合は契約直後に等級が下がってしまいます。
ただし、乗り換えによるメリットが大きい場合は満期日以外に乗り換える選択肢もあるでしょう。ご自身のライフスタイルと補償内容を照らし合わせ、最適と思うタイミングで乗り換えできるよう検討を進めてみてください。
自動車保険の途中解約には、解約手数料や返戻金の計算などが関わることがありますので十分な注意が必要です。
編集部
人材派遣会社17年経営したのち、保険代理店に転身後16年従事、2級FP技能士・トータルライフコンサルタント・MDRT成績資格会員2度取得。
ファイナンシャルプランナーとしてライフプランニングや家計診断を通して老後資金の対策、節約術などを提案。
また自らのがん闘病経験をふまえた生きる応援・備えるべき保障の大切さをお伝えしています。
飲食業をはじめ多業種の財務経理、株式公開予定企業などの経理業務構築、ベンチャーキャピタル投資事業組合運営管理を経て、2002年ファイナンシャル・プランナーとして独立。
2005年株式会社くらしと家計のサポートセンター、NPO法人マネー・スプラウト設立。「家計も企業の経理も同じ」という考えを基本に、「家計」「会計」「監査」の3領域を活用した家計相談、会計コンサル、監査関連業務、講師・講演、執筆など幅広く活動。
大学卒業後、信用金庫に入社。中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。
保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店コミヤ保険サービスを設立。保険代理店の実務経験を生かして、執筆業や講師業も行う。